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「チャンス」のピーター・セラーズが主演した'68年のMGMコメディ、冒頭の劇中劇で状況が分からないうちから笑わされました!
インドから来た駆け出し俳優に扮して、Mr.ビーンの原点か?っていう密室サイレント・コメディ・・・から騒ぎの果てが微妙にセンチメンタルなオチ、という抜け感もまた洒落てますよ。
紹介記事【2017.08.02】
デイブは宇宙船 [DVD]
デイブは宇宙船 [DVD] (JUGEMレビュー »)

「現代文化を異文化の視点で描く」という「星の王子 ニューヨークへ行く」パターンを、もう一捻りして「異星人集団のSF冒険活劇」に練り込んだ本作。
時代遅れの事前情報で人工衛星から計算外、妙に多機能なデイブ・ミン・チャン号・・・原始的で野蛮な文明に毒されていく乗組員、そして地球人と宇宙船のロマンス!
個人的にはクローゼットで大笑い、Old Navyネタも可笑しいな・・・「キャプテン・クランチ」ネタやアイスクリーム屋と間違われるコンチなスーツ姿など、分かればウケる要素も。
紹介記事【2017.03.14】
コンボイ [DVD]
コンボイ [DVD] (JUGEMレビュー »)

故サム・ペキンパー監督作では評価の低い本作、分かってねーよなぁ。
70年代に隆盛したカー・アクション的ロード・ムービーの流れを汲みつつも、救世主の物語が仕込まれてるのは何故?
少なくとも当時のアメリカにおけるトラック運転手という生業の社会的地位はド底辺、その連中からエクソダスが始まり・・・賞賛から憎悪へ豹変する世間に諦めない男と男、死して英雄となる世の中を笑うラストは痛快の一語!
紹介記事【2017.01.17】
PlayStation 2 ミッドナイト・ブラック SCPH-50000NB【メーカー生産終了】
PlayStation 2 ミッドナイト・ブラック SCPH-50000NB【メーカー生産終了】 (JUGEMレビュー »)

正直、ゲームはこれで未だに事足ります。
メーカーには悪いけど、精彩グラとかオンラインとか不要だし。笑
紹介記事【2017.04.21】
勝手に観光協会 勝手に御当地ソング47+1
勝手に観光協会 勝手に御当地ソング47+1 (JUGEMレビュー »)
勝手に観光協会
みうらじゅん&安斎肇による歌とコーラスで、全国各地の郷土愛を歌い上げる本作。
モチーフ探しの観光後、旅館の角部屋で共同作詞&レコーディング…テレコ直録りの部屋鳴りがまたトリップ感を昂ぶらせます。
10年越しの生みの苦しみは、ラスト沖縄の不自然なフェードアウトで昇天したかのよう。笑
[Disc1]紹介記事【2017.06.07】
[Disc2]紹介記事【2017.06.17】
ミッドナイト・ドリーム
ミッドナイト・ドリーム (JUGEMレビュー »)
マンハッタンズ
日本版ジャケの、煌めく摩天楼の夜景がピッタリな甘々コーラス。
ドゥワップ時代から息の長い男声グループによる、ブラック・コンテンポラリーなA.O.R.盤です。
正直、こういう毒にも薬にもならんようなベタさって本来は苦手な筈なんですが・・・1曲目でガッチリ掴まれましたよ、改めて聴いてみても非の打ち所がありません。
紹介記事【2017.01.31】
Discovery
Discovery (JUGEMレビュー »)
藤田千章,佐藤竹善,アンドリュー・オセロット,クリアー・フィッシャー,小林正弘,キャット・グレイ,西村智彦
今となってはジャケのCGがチープですけど、本作のサウンド・デザインは今でも驚異的です・・・楽器の各パートやフレーズと、イコライジングによる音域(周波数)特性の強弱とを緻密に計算してミックスされている気が。
特に最初の2曲に顕著で、更にラスト2曲ではデヴィッド・T・ウォーカーのギターをフィーチャーした佐藤竹善A.O.R.という意外性も。
紹介記事【2017.03.09】
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久々に腹の皮が捩れるほど笑わせてもらいました、北海道ローカル局には勿体無いほど優秀なマジメ君の斜め上を行く“バカ枠入社”の花子さん・・・放送事故か奇跡の視聴率かとハラハラ、腹の皮がw
紹介記事【2017.01.19】
ローグギャラクシー ディレクターズカット PlayStation 2 the Best
ローグギャラクシー ディレクターズカット PlayStation 2 the Best (JUGEMレビュー »)

通常版に様々な新要素を追加し、ゲームバランスも再調整された本作・・・いわゆるクソゲー要素が低減したかは判りませんが、新たに水の星アリスティアへ行けるようになり嬉しい!
ただし武器が増えた分、その合成ルールが通常版から一部変更されて思い通りにいかないもどかしさも。
紹介記事【2017.08.16】
もののけ姫 [DVD]
もののけ姫 [DVD] (JUGEMレビュー »)

世間では不当なほど評価が低いようですが、宮崎駿のジブリ作品では本作こそが最高傑作です。
鎮西の乙事主の“このままでは わしらはただの肉として 人間に狩られるようになるだろう”という言葉が、やがて“小さくバカになりつつある”猪たちを狩りもせず流れ作業で食らう千尋の親に繋がるのです。
紹介記事【2017.04.29】
Zill O'll ~infinite~
Zill O'll ~infinite~ (JUGEMレビュー »)

PS版からのグラフック向上と、仲間キャラクターやイベントの増加で分岐するエンディングもアップした本作。
出身地によって変化する展開、イベントでの対処次第で敵にも味方にもなるキャラクター。
そして奥深い歴史設定が反映された人物造形など、何周しても飽きのこないゲームソフトです。
紹介記事【2017.11.15】
EMOTION the Best 機動警察パトレイバー2 the Movie [DVD]
EMOTION the Best 機動警察パトレイバー2 the Movie [DVD] (JUGEMレビュー »)

前作の(大規模ハッキングによるサイバー・テロ)が絵空事ではなくなった現在と、フェイク情報に自衛隊と警察が翻弄されて東京が戒厳令下に置かれる本作。
冒頭の場面は、PKO日報問題で揺れる現在が25年も前に描かれた本作に重なります。
ハードボイルドな展開に織り込まれた大人の恋路に、古典芸能の趣きを漂わせた演出は意味深です。
紹介記事【2017.04.30】
 (JUGEMレビュー »)

正直に言って、この作者の絵柄は苦手です・・・でも、本作にはこの絵柄しかない!って感じ。
だから苦手な方にも読んでみてほしいです、あの戦争について語らなかった人の気持ちが伝わってきます。
そしてラストの、現代に突き刺さる批評に思いを巡らせてほしいです。
紹介記事【2017.06.20】

最近読んだ本
高千穂遙「異世界の勇士」

ヒロイック・ファンタジーという言葉は、本書で初めて知りました…「クラッシャージョウ」「ダーティペア」のシリーズで人気を博していた著者による、高校生が異世界に英雄として召喚される非SF小説です。
最初に読んだのは小6か中1か、当時は現実世界とファンタジーをリンクさせる発想に驚いたものでした。
既にフォーマットとしては使い古された感もあるし、本当に異世界で敵を倒すだけの直球展開なのですが。
読みやすい文章でサクサク話が進むので、色々とオーソドックスながら飽きさせません…むしろこのアッサリとした終幕が心地好いです、個人的にはですが。笑

白昼夢に悩まされるサッカー少年のリュウジは、自分が見知らぬ場所にいる事に気付き…そのまま異形の怪物に襲われ混乱するも、現れた少女に託された霊剣で訳も分からず敵を撃退し。
一族の王は彼を召喚し命尽き、人々の精神力を束ねる王の娘は敵に捕らわれ…屈強な戦士と身軽な少年、そして敵から寝返った小魔と共に囚われた王女を救出し更に苦難の旅を経て魔海城に乗り込みラスボス打倒。
しかし村の祭壇で封魔の結界を施している最中、復活したラスボスが逆襲に…霊剣の奥義発動で押し返し、間一髪で封じ込めますが。
王女の側に駆け寄る途中、召喚の場を踏んでしまい。

と、完璧にネタバレですけども…まぁ粗筋が分かったところで物語に惹き込まれるのは間違いないし、結末は読んでのお楽しみです。
背中合わせの現実世界と異世界、物質世界と精神世界…微妙に「ダンバイン」的ですが刊行は'79年ですからね、因みに横田順彌による解説も学生時代の著者や当時のSF事情が伺えてなかなか興味深いものが。
初版'81年、徳間文庫版。


個人的には関連あるかもしれない記事:
【最近読んだ本】田中光二「エデンの戦士」| 2009.10.15

〈高千穂遙〉関連記事:
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【最近読んだ本】「クラッシャージョウ2 撃滅!宇宙海賊の罠」| 2017.07.20
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    | books | 2018.05.05 Saturday | comments(0) | trackbacks(0) |
    最近読んだ本
    マーク・トウェイン(著)、中野好夫(訳)「不思議な少年」

    本書を知ったのは高校での授業中、ある教師の脱線トークからでした…今の僕の価値観は、多くの部分で本書に感化されたといっても過言ではない気がします。
    その後も何度か読み返しては知人にあげてを繰り返し、そのうちまた読むだろうな…と思っている間に10年以上が過ぎていました。
    その空白期間に僕が成長したという事なのか、今回の再読では(これも別編集?)と疑ってしまうほど印象が以前とは違っていました。
    というのも本書には別バージョンの「不思議な少年 第44号」も邦訳されているのです、両方とも著者の晩年に遺した未完成の原稿に基づいているのですが。

    一応「44号」も読んだ事はありますが、かなり設定を変えているのでテーマは同一でも話は別物でした…最終稿に近いといわれる「44号」ですが、個人的には本書の方が寓話性に富み構成もシンプルなので作品としての完成度は上かと。
    ところが今回また読み返した岩波文庫版の本作も、過去に読んでいた内容が所々で欠落しているような…といっても具体的に思い出せる訳ではないので単なる僕の思い違いでしょうけど、非常に(なんか違う)感が強いので戸惑いを覚えます。
    それに前ほどサタン少年への共感が感じられなくなり、読書中の高揚感を失った気がするのも寂しい限り。

    まぁ裏を返せば、それだけ僕が彼の思想を血肉として成長した証なのかもしれません…著者が神の子サタンの口を借りて語る、辛辣ながら核心を衝いた人間批評は今の僕にとって基本概念となっているのでしょう。
    表紙カバーの言によれば著者は晩年“人間不信とペシミズムに陥”っていたとありますが、これまた再読している最中の「アーサー王宮廷のヤンキー」も同様にシニカルかつ毒舌だらけなので生来の観察力の賜物だったのではなかろうかと。
    とはいえ、“一五九〇年の冬であった。オーストリアは、まだ世界から遠く離れて、眠りこけていた”…この最初の一文には、やはり心を掴まれました。


    以下、個人的メモ。
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      | books | 2018.04.07 Saturday | comments(0) | trackbacks(0) |
      最近読んだ本
      ジーン・ウルフ(著)、岡部宏之(訳)「調停者の鉤爪〔新しい太陽の書2〕」

      約半年ぶりの再読を半年がかりで読み終えました、読みたい本が見付からない時の繋ぎにしてたもので…しかし最初に読んでから1年しか経ってなかったのかぁ、もっと前に読んだ気がしてたので意外ですが。
      道理で、記憶が薄れてない訳だわ!…とはいえ、この「新しい太陽の書」4部作と「新しい太陽のウールス」を併せた「ウールス・サイクル」シリーズを読む前と後では(自分の中で何かが変わってしまったように感じている)という点には変わりありませんけれど。
      上手く言えないけど、まるでSF/ファンタジー要素に反応する思考・読解の改変プログラムみたいに。

      殊にSFやファンタジー系の物語を咀嚼する際に、何故か本シリーズのイメージが沸き上がって来るようになりまして…以前には覚えがない事ですし、大体こんなガバガバな話なのにね?
      というか読んでる最中には情景を思い浮かべにくい話なんですよ、世界全体が独特なので類推から想像を膨らませるのが難しいんです…しかも細部まで緻密に計算されているようで矛盾や不整合だらけ、もしかしたら劇中劇などの頻出するメタ・ストーリーに表層下の意識に働きかける仕掛けでも施してあるのかなぁ?
      読書中は浮かばないイメージが、思い出す時には不思議と浮かんでくるという。

      まるで残像ですな、一読しただけで焼き付けを起こす程ではない気がするのですけども…ともあれ本巻、シリーズ全体の中では割合に読みやすくて好きですね。
      城塞都市ネッソスを発ってセヴェリアンの赴任地であるスラックスに到達する直前までの物語は、反逆者の宴から独裁者の家に至る紆余曲折を経て旅芸人の2人と別れ廃墟で女優を看取る巻末に至る長い旅路です。
      最も印象深かったのは、セヴェリアンと共に旅してきたジョナスが正体を明かして鏡の彼方へと去る場面ですね…そして一気に衰えていくジョレンタが消失した廃墟の不穏な空気も、忘れ難い感触を残しました。


      〈新しい太陽の書〉関連記事:
      「拷問者の影〔新しい太陽の書1〕」| 2017.01.15
      「調停者の鉤爪〔新しい太陽の書2〕」| 2017.01.21
      「警士の剣〔新しい太陽の書3〕」| 2017.03.05
      「独裁者の城塞〔新しい太陽の書4〕」| 2017.03.26
      「新しい太陽のウールス」| 2017.04.05
      「拷問者の影〔新しい太陽の書1〕」(再読)| 2017.04.22
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        | books | 2018.03.13 Tuesday | comments(0) | trackbacks(0) |
        最近読んだ本
        ウィリアム・ギブスン(著)、浅倉久志(訳)「あいどる」

        先日読んだ「ニューロマンサー」がイメージと違ってたので、また引っ張り出して読み直してみましたよ…それにしても、いくらサイバーパンク系の蔵書が本書しかなかったからって表紙カバーがボロボロになるまで読んだっけかなぁ〜?笑
        読み比べてみた印象としましては、長編を書き慣れて文章がこなれたのか単にハードボイルド文体は疲れるとか不人気だったとかで変更したからか…本書の方が格段に読みやすいですね、まぁ翻訳者が違うっていうのも大きいのでしょうが。
        それに執筆時からは近未来に相当する現代と付かず離れず程度のサイバー描写、という点も関係ありそう。

        でも一番の違いは、本書で2人に設定された語り手が両者とも世間に疎いって事かも…片や十代の少女ですし、片や一種の“カウボーイ”ではあれど特殊な成育環境を経て特殊な才能を獲得した孤独な青年ですし。
        2人が関わるのは、ワールドワイドなビジュアル系ユニット“ロー/レズ”メンバーとバーチャル・アイドルの結婚話…そして国家級ナノテク兵器を追うロシア系マフィアからの接触、って分かりやすいというかいささかラノベ的といいますか。笑
        本書はスプロール三部作ではなく所謂“橋”三部作の二作目であり、大地震後のエキゾチックジャパンな東京の描写が興味深いです。


        関連記事:
        【最近読んだ本】ウィリアム・ギブスン「あいどる」| 2010.12.19
        【最近読んだ本】ニール・スティーブンスン「スノウ・クラッシュ」| 2012.07.25
        【最近読んだ本】テリー・ビッスン「JM」| 2014.07.16
        【最近読んだ本】ガレス・L・パウエル「ガンメタル・ゴースト」| 2016.07.03
        【最近読んだ本】ウィリアム・ギブスン「ニューロマンサー」| 2018.01.16

        〈浅倉久志(訳)〉関連記事:
        【最近読んだ本】ウィリアム・ギブスン「あいどる」| 2010.12.19
        【最近読んだ本】ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた」| 2013.05.12
        【最近読んだ本】ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「たったひとつの冴えたやりかた」| 2014.01.10
        【最近読んだ本】シェイムズ・ティプトリー・ジュニア(著)、伊藤典夫(共訳)「愛はさだめ、さだめは死」| 2014.03.26
        【最近読んだ本】V.A.「きょうも上天気」| 2015.01.09
        【最近読んだ本】R.A.ラファティ「昔には帰れない」| 2015.06.25
        【最近読んだ本】テッド・チャン「あなたの人生の物語」| 2017.01.07
        【最近読んだ本】ポール・アンダースン「大魔王作戦」| 2017.06.21
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          | books | 2018.02.20 Tuesday | comments(0) | trackbacks(0) |
          最近読んだ本
          片岡義男「花のある静かな休日」

          今まで僕は、著者の筆致をドライだのプラグマティックだのと評してきたけれども…今回は読んでいて、登場人物すべてに心が枯れ果てている印象を持った。
          もしも登場人物が「嬉しい」とか「素敵」などと言っても、その感情が伝わってこないのだ…だが仮に「退屈」と言えば、それは寧ろ違和感なく受け取れる筈。
          何故かと考えてみて、心理描写がないからだと思った…退屈そうなのは描写がスタティックだからであり、感情吐露が白々しいのはエモーショナルな発言に相応しい内面を読者の想像に一任しているせいだろうと。
          こんな上っ面だけの言動を読んで、何が面白いのか?

          これが面白いのだ、もはや個人的な欲望や情念などといった内面を掘り下げる物語を必要とする読者はトレンディドラマを観ているだろう…著者は敢えて登場人物たちに人間味を感じさせず、ある意味トレンディドラマ以上に現実感の希薄なキャラクターを描こうとしたのではないか?
          本書に収録された話は短編というよりも短く、目次がないばかりか一話毎の改ページもない…前の話から二行空けて題名があり、一行空けて本文が続いてゆく。
          基本的には男性と女性の会話を中心とする一幕物で、たまに女性の独白や空想で完結している話がある「片岡版ショートショート」。

          例えば最初の「桟橋にて」は“彼”が実家での見合いに行くため年上の女性から車を借りる際の会話文であり、次の「午後二時三十分、会議。四時三十分まで」は退屈な会議に上の空な女性が浸っているセンチメンタルな妄想を描いている。
          「水を飲むだけ」は空っぽの部屋を何度となく訪れてる女性の話、こんなモチーフで読ませるのは驚きだ。
          「空の青さ」は一夏をリゾートホテルで過ごす、ボディ・ビルディングが好きな翻訳家“優子”のスケッチ…海外の現代作家が書いた短編小説のような印象と、著者にしては珍しく登場人物に固有名詞が与えられていて新鮮に感じられた。

          本書は結婚を話題にする話が多く、著者の価値観を反映したのか「恐怖小説の発端」などシニカルな意見が全体として目に付く気も。
          「あの美しいグリーンを見てほしい」の、女性の瞳が緑色からブルーに変わる話は個人的に興味深い…1ページ超の短さで綴る「雨の彼方からの手紙」と、長い時間経過をトリッキーに用いた「男性がふたりに、女性がひとりの場合」は“彼女”の現状を想像させる。
          「コーヒー一杯だけ」は雨の夜に行く先々が定休日で、文章の色気が心地好い。
          しかし2章立ての「結婚して三年」と、続く「結婚することになりました、と彼は言う」はくだくだしい。

          「私たち五人」の辿った結婚と離婚のロンドは本当に(何が面白いのか?)と思ったが、上司の酒席に付き合わされた帰途を描く「彼女との会いかた」はインディアンの(怒りの手放し方)を連想して深く心に残った。
          ビアンというかネコ化した女性の「ブルーベリーが落ちる」、フィージー音楽のLPが録音された場所にあるモカンボ・ホテルの英国式朝食で衝撃を受ける「一杯の紅茶の、ずっとむこう」…ロランド・ハナの曲に触発された「ブラックベリーの冬」の思い出話は恋愛が生む孤独感を、また「D・ホックニーのプール」は屋内プールの浮遊感と閉塞感を絶妙に捉えている(「現在は否定されざるを得ない」に関しては、以前の記事に書いたので省略)。

          巻末の3話「防波堤で会話する」「ふたりの湖面標高」「なにか気になること」は共通して、旅先の男女が会話しながら物語の骨格を組み立ててゆく話だ…殊に最後の「なにか〜」は前述の「水を飲むだけ」制作裏話みたいで興味深い反面、何故か興を削がれたような鼻白んだ気持ちになった。
          著者が実際に、このようにして知的な女性とゲームを楽しむようにストーリーを構想している気は何故かしないのだが…こうした入れ子めいた構造は意欲的とはいえ説明的な進行感は否めず、作風が煮詰まった苦肉の策ではないかと勘繰りが浮かんでしまうのは残念。
          しかし再読したら、またいつか読み直したくなった。


          〈片岡義男〉関連記事:
          【最近読んだ本】片岡義男「名残りの東京」| 2009.11.21
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          【最近読んだ本】片岡義男「花のある静かな休日」| 2012.01.01
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          【最近読んだ本】片岡義男「缶ビールのロマンス」(再読)| 2016.12.01
          【最近読んだ本】片岡義男「彼とぼくと彼女たち」(再読)| 2017.11.09


          以下、収録話タイトル
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            | books | 2018.01.31 Wednesday | comments(0) | trackbacks(0) |
            最近読んだ本
            ウィリアム・ギブスン(著)、黒丸尚(訳)「ニューロマンサー」

            初版'86年のハヤカワ文庫刊、本格的サイバーパンク到来を告げた著者が'84年に発表した長編第一作です…本書も「虎よ、虎よ!」並みに値段が高止まりしてたんですけど、気が付けば¥372まで下がっていたので送料込みで¥629なら買い時かなと思いポチッと購入。
            しかし第一章が「千葉市憂愁 (チバ・シティ・ブルース)」とは、のっけからパンチの利いた訳出だわ…浅倉久志が“IDORU=あいどる”と訳したのが本書の名訳“さらりまん”に由来しているように、著者の造語に対する黒丸の名訳が以降の邦訳サイバーパンクにおけるデファクト・スタンダードになったのも納得。

            ちなみに表紙カバーを手掛けたのは奥村靫正(ゆきまさ)で、これまた「あいどる」表紙カバーの元ネタと思えなくもないな…と度々「あいどる」を引き合いに出してるけど、思えば著者の小説って他は「ヴァーチャル・ライト」を読んだ筈なのに内容は覚えてないと気付いて今更ビックリ。笑
            とはいえ、先ず面食らったのは(ギブスンってこんな読みにくい文章だったっけ?)という意外さでした。
            如何にもハードボイルド小説を意識した硬さは、もしや期待の重みに緊張した表れか…主観視点で一切の説明なしに近未来へ放り出されるのはともかく、読み慣れるまで結構かかったな。

            侵入対抗電子機器の頭文字を取ったICE、その氷を割るのを生業とするカウボーイ…クライアントを裏切って神経を焼かれた元カウボーイのケイスは、今やチバの外人街で半端仕事を請け負って食い繋ぐ有様。
            そんな彼をスカウトし、治療ついでに仕込んだ真菌毒の時限解除を枷にデカいヤマを依頼する謎の男…相棒は人体改造した女アサシン、先ずはケイスの師匠“フラットライン”の記録人格と厄介な氷を割る羽目に。
            ブラック・アイスは後の「攻殻機動隊」でいう攻性防壁、ケイスもまた脳死寸前の目に遭いつつニューロマンサー攻略…同時進行する冬寂の正体、そして目的。

            Wikipedia情報を後から読んで(そういうコトか!)と思う点ばかりでした、こんなの一度じゃ分からないって…それとマイクロソフト社は既に創業していたそうなので、本書から何かヒントを得た訳ではないのね?
            ただし“遅効ウィルス”といい、明らかに「攻殻〜」は影響下にありますな…しかし意外にも「ブレードランナー」は本書より早かったようです、もしかしたら先行する著者の短編にアジア的な未来絵図が描かれていたのかもしれませんが。
            本書はまた「スプロール三部作」の一部らしく、スプロールでググると“虫食い状に拡がる都市を意味する”とあったのですけれど。

            このググるという行為自体が本書の執筆時には存在し得なかった事を思い、何気なく読み飛ばしていた描写の中に現代のリアルな感覚が予言されていたと考えてゾクゾクしました…その一方でキーパンチされた細長い紙を吐き出すコンピュータなんかも描かれている辺りは、やはり先日の「2300年未来への旅」で感じた(その時代や文化の延長としてイメージされた未来)でしかないんだなぁと。
            他者の意識や感覚をモニターしたり視覚ハッキングなどは先鋭的ですが今や「攻殻〜」でイメージしますね、スペースコロニーの貴族的退廃は「未来惑星ザルドス」の流れを感じたりも。
            「ニューロマンサー」(←左クリックで拡大表示されます)


            関連記事:
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            【最近読んだ本】ガレス・L・パウエル「ガンメタル・ゴースト」| 2016.07.03
            【最近読んだ本】ウィリアム・ギブスン「あいどる」(再読)| 2018.02.20
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              | books | 2018.01.16 Tuesday | comments(0) | trackbacks(0) |
              最近読んだ本
              うえお久光「紫色のクオリア」

              所謂まとめサイトの「オススメのSF小説を教えろ」的な記事で名前が挙がっていて、Amazonで検索したら中古が¥1(送料込みで¥258)!…それなら試しに読んでみるかと、ついでに関連性が指摘されてた「虎よ、虎よ!」も買って予習済み。
              あとがきによると、本書のイラストを担当した漫画家・綱島志朗と「ロボットと女の子」というテーマの誌上コラボ企画で書いた短編が元になったそうで…2編+αの連作構成となっている本書の1編『毬井についてのエトセトラ』が“初出時「紫色のクオリア」より改題”とあるので、それが元の短編だったようです。
              初版'09年、電撃文庫刊。

              電撃、でお察しの通りラノベです…最近はアニメみたいなイラストの口絵ポスターで登場人物紹介にするのが流行りなのね、まぁ爆乳幼女パンチラ的な絵柄じゃなくて好かった(あの手はデカい釣り針に思えて逆に読む気も萎えるので)。笑
              本書の主役は、自分以外の人間がロボットに見える紫色の瞳の少女…あおいちゃんみたく「はわわ」などと口走るのは見た目どおりですが、いわゆるガンプラを直感で速組みする一面も。
              決して(メカに強い)とは描かれないのだけれど、そんな彼女だからこそロボット(に見える人間)を改修してしまえるのであります。
              この発想はなかったなぁ!

              そして視点人物、つまり話の語り手は彼女の友人で平凡なスポーツ少女…ですが「1/1、000、000、000のキス」では友人の命を救うため、改修で生じた能力を駆使して未来に過去に並行世界へ大活躍!
              ここら辺は確かに「虎よ、虎よ!」のクライマックス部を発展させた感じがありますね、むしろ元より面白くなってるのですが…やや(ご想像にお任せします)的な忙しない展開は、夢オチか妄想に思えてきたりも。
              あるいは、そこが本書のギミックなのかも…例えば「人が個々の事象を関連付けてしまう」物語性と、東洋思想的な「時間や空間という幻想」のブリッジング?

              この2話目ではもう一人、紫色の瞳に関心を抱く謎の組織から留学生として派遣された金髪碧眼の少女が重要な役回りを果たします…つまり、主要なキャラはたった3人しかいない訳で。
              1話目では主役と過去の因縁を持つクラスメイトやシリアルキラーも活躍(?)しますが、描かれ方は脇役然としていてね…それと主役少女が見ている(人間=ロボット)設定も1話でこそ活かされましたが、2話目では彼女の稀少価値を説明しているに過ぎないし?
              このカルト作品にありがちな浅彫り感、狙っての事なんだか…ロボットの外観が対象の潜在能力に依存する辺り、もっと彫れるだろ!

              あ、因みにラノベ王道キャラの金髪碧眼留学生少女ね…苗字がフォイルで所属組織がジョウント、これも「虎よ、虎よ!」ネタです。
              っていうか「虎よ〜」繋がりって2話目だけじゃん?
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                | books | 2018.01.09 Tuesday | comments(0) | trackbacks(0) |
                最近読んだ本
                アルフレッド・ベスター(著)、中田耕治(訳)「虎よ、虎よ!」

                寺田克也の印象的なカバーイラストが気になってはいたものの、定価(+送料)で買ってまで読もうとは思わず放置していたら…たまたま¥200の古本を発見、送料が¥257でも買うなら今だ!
                といった次第で、古典的SFの名作と誉れ高い本書を遂に入手しました…ちょうど「紫色のクオリア」に興味を抱いて検索したら本書のオマージュ的な要素があると知り、では先ず本書から読んでおこうかなと。
                だけど個人的には、それほどかぁ?といった感じでしたね…リアルタイムで読んでたら違ったのでしょうが、名作故に散々パクられまくって今となっては新味が薄れてしまったのかも。

                あ、結構ネタバレありますので予めご注意くださいね…と予防線を張っといて早速ですが、この「凡庸な男が神の座に至る」という神話の世界そのまんまなストーリーの骨格に関しては度々「新しい太陽の書」シリーズを連想しました。
                名もない人物の放浪流転が雪だるま式に視野を拡げ、やがて驚くべき世界の全貌を明らかにしていく的な。
                まぁ本書の主人公ガリー・フォイルは能動的ですし、本書の方が先に書かれた訳ですし…そもそも「モンテ・クリスト伯」の復讐譚を下敷きにしたという本書、自分を見殺しにした者への怒りに駆り立てられ、巨大な権力や絶望をも凌駕していきます。

                '39年にSF作家として登場した著者は、40年代をアメコミやテレビの脚本家として過ごし50年代にカムバック…'56年の本書などで名を馳せるも60年代は旅行誌ライターやテレビ業界の内幕物に専念、70年代に三再びSF小説に復帰するも80年代から闘病生活の末に永眠したそう。
                本書の初邦訳は'78年、という事は石森章太郎が「仮面ライダー」の改造人間や「サイボーグ009」の加速装置を着想したのは原書に由来するのかな?…共感覚の描写に用いたフォントの手法は邦訳から間もない時期に模倣され、寺沢武一は「コブラ」でその視覚的表現を試みていましたね。

                もしかしたら「新しい太陽の書」シリーズを連想してしまったのは、その分量に匹敵する程の奇想天外なアイデアが凝縮されているせいなのかも…とにかく矢継ぎ早に新たな難関が迫り来る目まぐるしさは、連載物にありがちな感もあり。笑
                宇宙船の残骸で救助を求める序盤から、人体改造を施されて生還した地球で宇宙船を見付け出すも暗黒の迷路で終身刑となる辺りで1巻分かな…闇医者の整形でサーカスの座長になりすまして密かに当時のクルーを捜し回る辺りで2巻、火星のカルト教団に潜入してから怒涛のクライマックスまでを3巻としても充分な位、勢いよく話が展開します。

                脇役達も小惑星帯の原住民やら宇宙移民出身のテレパスやら、放射能まみれの科学者にダルマ状態のカルト信者などキャラ立ちまくりで。
                更に星間戦争が勃発するわ究極兵器が出てくるわ、復讐に生きる男もラストは時空に呑まれて最終解脱しちゃって…っていうこの「8時だよ!全員集合」前半コントのバラシみたいな投げっぱオチが、一番「新しい太陽の書」っぽいんじゃ?笑
                二十四世紀は宗教が廃れてもスコダとかシトロエンとかRCAビクターといった企業が貴族の家系になっている政治的レトロフューチャーって70年代に流行ったのかな、その辺は微妙に「未来惑星ザルドス」っぽい気も。


                追記:本書の初邦訳は、Wikipedia情報によると“1958年に講談社SFシリーズの1冊として『わが赴くは星の群』の書名で刊行された”そうで、その後“1964年に早川書房のハヤカワ・SF・シリーズから再刊されたときに『虎よ、虎よ!』に改題された”との事でした・・・因みに'78年はハヤカワ文庫版としての刊行年で、僕の(石ノ森章太郎が原書で読んだ説)は思いっ切り勘違いでした。訂正してお詫びします。


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                以下、個人的メモ
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                  | books | 2017.12.30 Saturday | comments(0) | trackbacks(0) |
                  最近読んだ本
                  リチャード・バック(著)、五木寛之(創訳)、ラッセル・マンソン(写真)「かもめのジョナサン【完成版】」

                  あのカモメが、約40年の時を越えて帰ってきた!
                  3章立てだった旧版に「Part Four」を付け加えた【完成版】、実は新たに書き足したのではなく'70年に旧版を発表する前から書き上げられていたのだそう。
                  例えるなら、ビートルズの未発表トラック的な?…まぁ研究者には資料的価値があるでしょうけどね、当時の著者が推敲を重ねた結果(この物語に不必要ない)と判断じて削除した最終章。
                  それは後に書かれた「ONE」の(ページ教)というエピソードに反映されている気がして、やはり本書は旧版の方がスッキリまとまっていると思いましたよ。
                  「Part Four」は蛇足。笑

                  Amazonでのレビューを見ると、旧版は刺殺されたオウム真理教の元幹部が愛読書として公言していたようで…それを本書の内容に絡めて、だから何?って気が。
                  それだけ読み手に委ねる間口の広さを示している、という意味では興味深いと言えますけどね…まぁ気味が悪いなら読まなきゃ好いです、多分そういう人には面白がれない物語ですから。
                  因みに訳者はこの【完成版】から“創訳”と謳っていますが、旧版のあとがきにも“創作翻訳=創訳”の記述がありました…要は既に日本語化してある原訳を下敷きにして、訳者は小説家である自身の言葉へと移し変えただけだったのです。

                  なるほど、つまり村上龍は先例に倣っていたのか!
                  因みに村上訳の「イリュージョン」は、本書と対になっているような印象がありますね…フレッチャー若しくはアンソニーを主人公リチャードに、ジョナサン・シーガルをドナルド・シモダに置き換えたら一つの事象を二つの側面から描いたと解釈も出来そう。
                  野暮は承知で、初版'77年の旧版と本作との違いを探してみたら…“「無事着陸を祈る、ジョナサン」(旧版p.58)”が“「さようなら、ジョナサン」(完成版p.68)”に変更された程度で、他は写真のコントラストが弱くなって旧版より淡い位ですが写真を目立たなくしたいのか(カット数は増えてるけど)?

                  ところで今って、著者の奥さんはレスリーではなくキャサリンというのね…「ONE」や「僕たちの冒険〜翼にのったソウルメイト」でのラブラブっぷりを思うとこっちは寂しい気持ちになりましたが、著者ほどの理解をもってしても男女の機微はまた別問題とは深いなー。
                  例えばジョン・レノンだって、生きていたら今頃はオノ・ヨーコじゃない誰かと「ベッド・イン」しただろうと思えば分からなくはないんだけども…結婚しようが愛情なんて永遠じゃなく、魂の成長の一過程に過ぎないと理解していてもね。
                  既にレスリーとは一緒じゃなくなっていた、その事の方が本編よりも様々な事を考えさせてくれましたよ。


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                  【最近読んだ本】佐宗鈴夫(訳)「イリュージョン 悩める救世主の不思議な体験」| 2014.01.07
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                    | books | 2017.12.21 Thursday | comments(0) | trackbacks(0) |
                    最近読んだ本
                    シルヴィア・ウォー(著)、金子ゆき子(訳)「あの星への切符」

                    如何にも海外ジュブナイルっぽい表紙カバーのイラスト、そして新井素子のデビュー作みたいな邦題…まぁ簡単に言っちゃえば「パパとママは宇宙人?!」とショックで家出した娘の小さな冒険物語、ってSFぶっといて実は勘違いなんて話だったらどうしようかと。
                    原題は「Earthborn」、おぉ如何にもSFっぽい!…でもまぁ、蓋を開けたら誠にジュブナイルでした。笑
                    宇宙人の文化や母星のディテールが曖昧なので、確かにSF感は薄いのですけども…地球人と同化した暮らしぶりの気遣いが本物っぽくて、ファンタジーSFとしては興味深い設定です。

                    オーミンガット星から地球人の文化を探査に来ている両親は帰還指令に寂しさ半分のウキウキ状態、だけど地球生まれのネスタ12歳は超ブルー…絶対に今いる家から離れたくない、でも指令に背けば両親は二度と母星に戻れない二律背反。
                    舞台はイギリス北部のノース・ヨークシャー州、ちょっと前に読んだ「奇術師」の地域からは遠いにせよイギリス感とでもいうか相通じる雰囲気がありますな。
                    読んでる途中に出てくる、自称オーミンガット星人の少年に(もしや?)と思えば案の定…実は本書、三部作の二作目だったのだそう。
                    原著は'02年、邦訳は'06年ランダムハウス講談社刊。

                    “中学校の国語教師だった”著者が孫に捧げる今風おとぎ話、流石に学校内の描写は簡素にしてリアリティありますね…もしかして“学校の食堂で食べない生徒たちが持参した昼食を食べることができる”というサンドイッチルームも、現地の学校には実際あるのかな?
                    “子供たちは生まれながらにして、お話はお話であるということに気づいている”という一文に「僕とおじいちゃんと魔法の塔」を連想し、似てる要素があるなと思いました…何といいますか、子供の反抗心をこそ愛で育てるべし的な?笑
                    退屈かと思いきや、意外と物語に惹き込まれました。


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                      | books | 2017.12.12 Tuesday | comments(0) | trackbacks(0) |




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