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「チャンス」のピーター・セラーズが主演した'68年のMGMコメディ、冒頭の劇中劇で状況が分からないうちから笑わされました!
インドから来た駆け出し俳優に扮して、Mr.ビーンの原点か?っていう密室サイレント・コメディ・・・から騒ぎの果てが微妙にセンチメンタルなオチ、という抜け感もまた洒落てますよ。
紹介記事【2017.08.02】
デイブは宇宙船 [DVD]
デイブは宇宙船 [DVD] (JUGEMレビュー »)

「現代文化を異文化の視点で描く」という「星の王子 ニューヨークへ行く」パターンを、もう一捻りして「異星人集団のSF冒険活劇」に練り込んだ本作。
時代遅れの事前情報で人工衛星から計算外、妙に多機能なデイブ・ミン・チャン号・・・原始的で野蛮な文明に毒されていく乗組員、そして地球人と宇宙船のロマンス!
個人的にはクローゼットで大笑い、Old Navyネタも可笑しいな・・・「キャプテン・クランチ」ネタやアイスクリーム屋と間違われるコンチなスーツ姿など、分かればウケる要素も。
紹介記事【2017.03.14】
コンボイ [DVD]
コンボイ [DVD] (JUGEMレビュー »)

故サム・ペキンパー監督作では評価の低い本作、分かってねーよなぁ。
70年代に隆盛したカー・アクション的ロード・ムービーの流れを汲みつつも、救世主の物語が仕込まれてるのは何故?
少なくとも当時のアメリカにおけるトラック運転手という生業の社会的地位はド底辺、その連中からエクソダスが始まり・・・賞賛から憎悪へ豹変する世間に諦めない男と男、死して英雄となる世の中を笑うラストは痛快の一語!
紹介記事【2017.01.17】
PlayStation 2 ミッドナイト・ブラック SCPH-50000NB【メーカー生産終了】
PlayStation 2 ミッドナイト・ブラック SCPH-50000NB【メーカー生産終了】 (JUGEMレビュー »)

正直、ゲームはこれで未だに事足ります。
メーカーには悪いけど、精彩グラとかオンラインとか不要だし。笑
紹介記事【2017.04.21】
勝手に観光協会 勝手に御当地ソング47+1
勝手に観光協会 勝手に御当地ソング47+1 (JUGEMレビュー »)
勝手に観光協会
みうらじゅん&安斎肇による歌とコーラスで、全国各地の郷土愛を歌い上げる本作。
モチーフ探しの観光後、旅館の角部屋で共同作詞&レコーディング…テレコ直録りの部屋鳴りがまたトリップ感を昂ぶらせます。
10年越しの生みの苦しみは、ラスト沖縄の不自然なフェードアウトで昇天したかのよう。笑
[Disc1]紹介記事【2017.06.07】
[Disc2]紹介記事【2017.06.17】
ミッドナイト・ドリーム
ミッドナイト・ドリーム (JUGEMレビュー »)
マンハッタンズ
日本版ジャケの、煌めく摩天楼の夜景がピッタリな甘々コーラス。
ドゥワップ時代から息の長い男声グループによる、ブラック・コンテンポラリーなA.O.R.盤です。
正直、こういう毒にも薬にもならんようなベタさって本来は苦手な筈なんですが・・・1曲目でガッチリ掴まれましたよ、改めて聴いてみても非の打ち所がありません。
紹介記事【2017.01.31】
Discovery
Discovery (JUGEMレビュー »)
藤田千章,佐藤竹善,アンドリュー・オセロット,クリアー・フィッシャー,小林正弘,キャット・グレイ,西村智彦
今となってはジャケのCGがチープですけど、本作のサウンド・デザインは今でも驚異的です・・・楽器の各パートやフレーズと、イコライジングによる音域(周波数)特性の強弱とを緻密に計算してミックスされている気が。
特に最初の2曲に顕著で、更にラスト2曲ではデヴィッド・T・ウォーカーのギターをフィーチャーした佐藤竹善A.O.R.という意外性も。
紹介記事【2017.03.09】
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久々に腹の皮が捩れるほど笑わせてもらいました、北海道ローカル局には勿体無いほど優秀なマジメ君の斜め上を行く“バカ枠入社”の花子さん・・・放送事故か奇跡の視聴率かとハラハラ、腹の皮がw
紹介記事【2017.01.19】
ローグギャラクシー ディレクターズカット PlayStation 2 the Best
ローグギャラクシー ディレクターズカット PlayStation 2 the Best (JUGEMレビュー »)

通常版に様々な新要素を追加し、ゲームバランスも再調整された本作・・・いわゆるクソゲー要素が低減したかは判りませんが、新たに水の星アリスティアへ行けるようになり嬉しい!
ただし武器が増えた分、その合成ルールが通常版から一部変更されて思い通りにいかないもどかしさも。
紹介記事【2017.08.16】
もののけ姫 [DVD]
もののけ姫 [DVD] (JUGEMレビュー »)

世間では不当なほど評価が低いようですが、宮崎駿のジブリ作品では本作こそが最高傑作です。
鎮西の乙事主の“このままでは わしらはただの肉として 人間に狩られるようになるだろう”という言葉が、やがて“小さくバカになりつつある”猪たちを狩りもせず流れ作業で食らう千尋の親に繋がるのです。
紹介記事【2017.04.29】
Zill O'll ~infinite~
Zill O'll ~infinite~ (JUGEMレビュー »)

PS版からのグラフック向上と、仲間キャラクターやイベントの増加で分岐するエンディングもアップした本作。
出身地によって変化する展開、イベントでの対処次第で敵にも味方にもなるキャラクター。
そして奥深い歴史設定が反映された人物造形など、何周しても飽きのこないゲームソフトです。
紹介記事【2017.11.15】
EMOTION the Best 機動警察パトレイバー2 the Movie [DVD]
EMOTION the Best 機動警察パトレイバー2 the Movie [DVD] (JUGEMレビュー »)

前作の(大規模ハッキングによるサイバー・テロ)が絵空事ではなくなった現在と、フェイク情報に自衛隊と警察が翻弄されて東京が戒厳令下に置かれる本作。
冒頭の場面は、PKO日報問題で揺れる現在が25年も前に描かれた本作に重なります。
ハードボイルドな展開に織り込まれた大人の恋路に、古典芸能の趣きを漂わせた演出は意味深です。
紹介記事【2017.04.30】
 (JUGEMレビュー »)

正直に言って、この作者の絵柄は苦手です・・・でも、本作にはこの絵柄しかない!って感じ。
だから苦手な方にも読んでみてほしいです、あの戦争について語らなかった人の気持ちが伝わってきます。
そしてラストの、現代に突き刺さる批評に思いを巡らせてほしいです。
紹介記事【2017.06.20】

最近読んだ本
加門七海「心霊づきあい 11人の作法」

初版'11年のメディアファクトリー刊ダ・ヴィンチMF文庫で、'08年の単行本に加筆修正を行って巻末に漫画家の山本英夫による著者へのインタビューを追加+幽文庫通信に投稿怪談とオマケ要素も盛り沢山!
本書は先に出版された「うわさの人物―神霊と生きる人々」という霊能者へのインタビュー集と並行して、著名人の“さまざまな「視える」人たち”と語らう企画から生まれたそうです。
自身も「見る」質(たち)である著者は“私の「見る」と他者の「見る」には、どれほどの差があるのだろうか”という関心を軸に、各人の体験談や対処スタンスなどを聞き出しています。

インタビューを終えた著者の感想としては、工藤美代子や立原透耶の“霊的なものへのスタンス”を近いと感じたそうで…要は“通りすがりの幽霊は気にしない”という、まぁ見えちゃう人は全般的に「害がなければ放置」だった気もしましたけど。笑
霊は生前の性格が影響していて、行きずりの人間にちょっかいを出してくるのは“ほんっとに性格が悪い”とか…著者は怒鳴ったり柏手のような破裂音を出したり、人こみで他所に行かせる事で祓っているそう。
幽霊がバカ話やお笑い、下ネタに弱いのは話が盛り上がっている場のエネルギーを嫌うのではないか?という考察は腑に落ちる感じ。

更に、怪談専門誌「幽」の出張所として三輪チサと平金魚による2編を収録。
その上、普通の文庫本なら別の執筆家による作品を紹介しているスペースまで1ページ1話の「投稿怪談」3編を掲載…先の幽文庫通信よりも一段と細かい活字ながら、文字通り(尻尾の先までアンコ詰まってる)本書の気前の良さは出版不振からなのでしょうか?
個人的に大概の創作怪談は面白いと思わないので、そんなにオトク感はありませんでしたが…それでも、この出版社の熱意と工夫は特筆に値すると思いました。
そうそう、本編の構成も好かったな…各インタビューを挟むように前書きと後書きがあって、会話の状況が伝わりやすくなってるなぁと。


〈加門七海〉関連記事:
【最近読んだ本】加門七海「怪のはなし」| 2016.06.26
【最近読んだ本】加門七海「怪談を書く怪談」| 2016.07.21


本編の各インタビューに関しては、長くなったので下欄に。
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    | books | 2018.10.15 Monday | comments(0) | trackbacks(0) |
    最近読んだ本
    マーク・トウェイン(著)、大久保博(訳)「アーサー王宮廷のヤンキー」

    中学生の時に読みかけて、文庫本の分厚さと読み辛さに挫折してしまった本作。
    本書は'80年に出版された文庫版を改訂した、初版'09年の角川文庫「トウェイン完訳コレクション」の一冊です…かつて読んでいたバージョンと同じかどうかまでは覚えていませんが、一緒な気がします。
    表紙カバーとか、厚みが。
    話の中身を一言にまとめると「19世紀末のコネチカット・ヤンキーが何故か6世紀のイギリスで大活躍」、なので文中の現代とは今から130年も前なのです…つまり「読者の現代>著者の現代>回想の中の現代」と、著者も予期しなかった入れ子構造なのです。

    実際のところ、本書が遥か未来のアジアの島国で読まれる事とは著者もビックリ!でしょうな…巻末の「改訂版刊行にあたって」によると改訂翌年の'10年はトウェインの没後100年目だったそうで、著者と同い年の有名人という“篤姫、小松帯刀、坂本龍馬、福澤諭吉、松平容保、土方歳三”から(明治時代→飛鳥時代)と日本バージョンを想像してみたりすると別の意味でまたビックリ!です。
    ひょっとしたらタイムスリップ物の元祖かもしれませんがSFじゃありません、ファンタジーというより法螺話なのですが最晩年の「不思議な少年」に劣らぬ辛口批評は著者らしいな。笑

    本書は「著者が遭遇した奇妙な人物の手記」といった体裁で書かれており、その点でも入れ子になってて…更には脚注の解説から察するに、本書は「アーサー王の死」というトマス・マロリーの古典文学に基づくパロディ小説っぽいのです。
    そういった複眼的メタ要素を読み解けるならば、きっと下手なラノベなんかよりスリリングなんだろうけど…なんといっても発想が古いっていうかアイデアをパクられ過ぎた出涸らし状態なのと、アーサー伝承が文化教養レベルで根付いている欧米の感覚で理解する事は出来ないですから誰にもオススメしづらいですね。
    活字は小さいし、厚いし。

    個人的には「コネチカット州で職人頭を務めていた」というヤンキーが、やけに広範な知識と政治的なバランス感覚に長けている点はご都合主義だと思いましたけど…やはり皆既日蝕を予言する逆転劇は改めて読んでも楽しめました、ただし記憶では中盤エピソードだった筈が序盤でアーサー王の宰相に引き立てられる契機だったとは意外でした。
    彼をライバル視する魔術師マーリンが突っ掛かってくる度に体よくあしらい、民衆を虐げる君主制を改革すべく東奔西走する主人公…ロマン幻想を抱く人が顔を真っ赤にしそうな、不潔で無知蒙昧な中世や騎士鎧の描写など今でも可笑しい!

    統一通貨の発行から印刷物の流通に通信網の整備と、慎重かつ急速に下準備を進めて貴族制度も実質的に解体してしまうのですが…やはりラスボスは英国国教会、つまり宗教なのですな。
    ほんの油断から寝首を掻かれて大ピンチに陥るも、迫る大軍勢を近代的叡知で死体の絨毯に…苦い勝利に酔う間もなくマーリンが忍び寄り、予想外な形で呆気ない幕切れを迎えました。
    思わず最終章を二度読みしましたが、このオチのなさは歴史改変モノとしての宿命という気もしてきます。
    それにしても最近ちょっと話題になった「賢者の孫」とかいうなろう小説さ、本書をパクってません?笑


    関連あるかもしれない記事:
    【最近読んだ本】ライマン・フランク・ボーム「オズのふしぎな魔法使い」| 2013.01.09


    以下、個人的メモ。
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      | books | 2018.09.28 Friday | comments(0) | trackbacks(0) |
      最近読んだ本
      アーヴィング・ペニグ(著)、片岡義男(訳)「メシア・ストーンズ 聖なる石をもとめて」

      初版'95年、角川春樹事務所刊…本書を購入したのは、3つの理由からでした。
      1・カラフルな表紙カバーのデザインに惹かれて。
      2・久々に90年代スピリチュアル本も好いかなぁ?
      3・このテの本を片岡義男が翻訳してるのは何故?
      まぁ理由1&2は文字どおりの意味ですが、3番目の理由には補足が要りますよね…少なくとも僕のイメージでは片岡の書く小説って唯物論的というか人物の内面描写が非常に少ないのに、本書のように個人の神秘的な体験というプラグマティズムとは対極にあるメンタリティを扱う物語と関わりを持つ事が正直なところ不可解に思えたからです。

      主人公は妻子ある大学教授で、むしろ非科学的なスピリチュアル系には否定的な人物です…その彼に父の代理人を名乗る弁護士から手紙が届くのですが、幼少期に家族を捨てて失踪した父への嫌悪感と怒りを消し去る事は未だに出来ません。
      父の遺した手紙から、彼が失踪に至った信じ難い事実を知る主人公…父への葛藤を抱えつつも半信半疑で、人類が神より賜りし遺産へと近付いていくのでした。
      しかしながら、誰が“「インディ・ジョーンズ」のスリルとサスペンス、「聖なる予言」の深遠さをも凌駕した”などと評したんだ?…結局、徹頭徹尾B級ドラマの筋書きじゃないか!

      大体ね、旧約聖書時代の石板とか思い切り風呂敷拡げて投げっ放しじゃん…合間の奇跡エピソードも杜撰で、こっちは気分好く騙されたいのにグダグダ引っ張って現地入りまでに残りページ数が半分以下の有様。
      いよいよ二千年紀を超えるオーパーツにご対面か、ってとこで呆気なく出現し読者無視のハッピーエンド。
      おいおい、オマエら勝手に感動したり満足してんじゃねーよ!…こんなんキリスト者だって納得いかねーだろ、CIAが関わってる割に出て来ないのも謎だし。
      言うなれば「アドベンチャー要素抜きの笑えないロマンシング・ストーン」だな、観た訳じゃないけどさロマンシング・ストーン。

      ただし文体は意外なほど読みやすく、翻訳の片岡が自身の小説で用いる特徴的な文体を本書では欠片も見せない点が気になりました。
      片岡が80年代の文体を捨てたのか、あるいは意図的に本書では避けたのか…だとすれば、あの文体には如何なる意図があったのか?
      まぁ本書とは無関係な事ですが、個人的には(何故こんな話を引き受けたのか?)という疑問と共に興味が湧きました…もしかしたら依頼を選り好みしている状況じゃなかったからかも?なぁんて、余計な想像までしちゃったりもして。笑
      初版'95年、角川春樹事務所刊…出版時は、まだギリギリでラビン首相暗殺前の中東和平に希望が満ちていたんだな。


      以下、個人的メモ。
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        | books | 2018.09.12 Wednesday | comments(0) | trackbacks(0) |
        最近読んだ本
        B・V・ラーソン(著)、中原尚哉(訳)「スターフォース 最強の軍団、誕生!」

        ちょうど「スターウォーズ」の事を思い出している時(あの頃に氾濫した真似っこSF映画に「スターフォース」ってあったような)と考えていて、しばらく経って古本屋に行ったら本書を発見し…そりゃ買うでしょ奇遇だし、といっても本書は70年代に出版された訳ではないのですけども。
        初版'12年のハヤカワ文庫SFで原書は'10年、しかも元は電子書籍として発表されたそうで…要はアメリカ版「なろう」作家という事でしょうか、出版形態も様変わりしつつあるのね?
        それにしては昔っぽいタイトルですな、わざと狙った気もするし名付け親の年齢を反映したのかな?とも。

        主人公は子持ちの大学教授、舞台は現代の地球および周辺…自宅から子供と妻を拉致したUFOに遺体を投棄され、自らもアブダクションされ殺されかけた教授ですが専門知識を活かしてUFOの意図を理解しマスターとして認識されます。
        世界各地で同様の出来事が発生している事や、彼と同様にUFOから認められた乗員の存在を知るに至り…更には敵対する大艦隊との初戦に勝利し、各国政府に自分達UFO軍団「スターフォース」を承認させ。
        その過程すべてがサバイバル感覚で、予測不能な状況を分析し対処する教授の頭脳が唯一の武器なのです。

        一度はUFOから不合格者として投棄された女子大生をホニャララし、更に…ってネタバレはこの辺で止しましょう、知らないで読んだ方が楽しめますからね!
        そりゃあ何だってそうですけど、特に本書は意外性あふれる教授の頭脳サバイバルがキモなので…宇宙からの侵略者を撃退する、古臭いSF設定に密室サスペンスばりの謎解き要素を融合させたユニークさは見事。
        終盤の肉弾戦は、読んでるだけで息が詰まるほど!
        ただ連載してたかのように章を繋ぐ筋運びには、あざとさを感じなくもないですな…電子書籍のランキングを上げるためだったのか?などと考えてしまい、ちょっと興が殺がれました。

        追記:スターフォース、ありましたね・・・Wikipedia情報によりますと“1984年にテーカン(後にテクモと改称、現・コーエーテクモゲームス)から稼働されたアーケードゲーム。北米向けに稼働されたアーケード版のタイトルは、『MEGA FORCE』”だったそうで、画像検索したら'77年にSPI社から販売された戦略ボードゲームもヒット。知らなかったなぁー。
        スターフォース(←左クリックで拡大表示されます)
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          | books | 2018.08.29 Wednesday | comments(0) | trackbacks(0) |
          最近読んだ本
          黒木あるじ(監修)「怪談四十九夜 怖気」

          現在、小説5冊を同時進行で読んでまして…その合間にちょっと怪談も読みたくなって、それで先に読み終えちゃったのが先日の「怪談標本箱」と本書という。
          こういう超短編の実話怪談集って読みやすいんですよ、自分としては主食に対するお惣菜感覚なんですが…それはともかく、本書の中身について書きますね。
          収録順に、小田イ輔/神薫/真白圭/百目鬼野干/伊計翼(たすく)/冨士玉女/宇津呂鹿太郎/つくね乱蔵/黒木あるじ/吉澤有貴の10名…監修者のみ4編、他の9名は各自5編という構成のアンソロジーです。

          奇妙なのは巻末の著者紹介に、我妻俊樹という1編も収録していない作家の名前が筆頭に加えられていて吉澤有貴の紹介が抜けている点です…これはもしかしたら、我妻と吉澤は同一人物でペンネームを使い分けていたのかもしれませんが。
          因みに「まえがき」によると、四十九日は「満中隠」とも呼ばれ“死者が初七日から七日ごとに受ける裁きの最後の日”であり“現世との別離をあらわす〈忌明け〉の夜”なのだそうで。
          しかし最初はありきたりな怪談のフォーマットを思わせて予想外の方向へと捻ってゆくパターンが多いですね、まぁイメージのし易さは重要なんですけども。

          思い描くのが難しい、込み入った状況や特殊なシチュエーションですと怖さを感じる場面で話が混乱しちゃったりしますからね…それと実話怪談って基本的に著者自身の体験談か体験者からの聞き書き或いは孫聞きを文章化してると思いますが、話の最後に例えば“そう言って彼女はククッと笑い声を洩らした”とかいったオチが付くと全体が創作めいた印象になってしまうのも(書き方の匙加減が難しいジャンルだよなぁ)と改めて思わされました。
          完全な創作とは違うしノンフィクションともまた違う、実に独特な筆力を要するジャンルなんですなぁ。
          初版'17年、竹書房刊。


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          【最近読んだ本】戸神重明「怪談標本箱 生霊ノ左」| 2018.05.30
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            | books | 2018.07.12 Thursday | comments(0) | trackbacks(0) |
            最近読んだ本
            戸神重明「怪談標本箱 生霊ノ左」

            今更なんですが、どうやら僕は古本屋に行くと怪談本を探してしまうようで…今まで買った怪談本は、ほとんど同じ古本屋で見付けていた事に気が付きました。
            今回のも実話系の文庫本で、半年前に出たばかりなのに半値でしたよ…出版元は「恐怖箱」という怪談本シリーズを出している竹書房で、裏表紙の見返しに書かれていた既刊を数えてみたら「深怪」から始まって21冊も出ているのでした。
            その全部が実話怪談を謳っている訳ではないのでしょうし、複数の著者や編者が手掛けているにしてもねぇ…こんなペースで吐き出させていたら、底が割れるのも時間の問題という気が。

            本書に収録された33編は、群馬県に在住の著者が地元を中心に全国各地の怪異体験者から集めた話を文章にまとめた怪談です…クワガタ好きの著者自身も、前に読んだ本で体験談を記していたのを覚えています。
            確かにゾクッとする話がない訳じゃないのですけれど、特筆に値するエキセントリックさが感じられないといいますか…いわゆる「呪われた土地」的な話って、あんまり耳袋や柳斎志異っぽい味わいがなくてね。
            逆に(気のせいでは?)レベルの、怪談未満な話の実話らしさは楽しめましたが。
            印象としては全体に小粒で、それ故に(出版社の皆伐によって実話リソースが枯渇しているのでは?)という憶測を抱かせるのです。

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            【最近読んだ本】木原浩勝「隣之怪 蔵の中」| 2008.08.02
            【最近読んだ本】松谷みよ子「あの世からのことづて」| 2008.09.24
            【最近読んだ本】岡本綺堂「中国怪奇小説集」 | 2008.10.07
            【最近読んだマンガ】山岸凉子「鬼」| 2009.06.29
            【最近読んだ本】ラフカディオ・ハーン「完訳 怪談」 | 2010.05.19
            【最近読んだ本】篠塚 達徳「新釈 諸国百物語」 | 2010.07.12
            【最近読んだ本】夢枕獏「奇譚草子」| 2010.10.10
            【最近読んだ本】高橋克彦「鬼」| 2010.10.15
            【最近読んだ本】東郷隆「人造記」| 2010.12.16
            【最近読んだ本】新井由木子「誰かの見たもの」| 2011.06.01
            【最近読んだ本】松谷みよ子、樋口 淳・責任編集「死と再生の民話」| 2011.07.13
            【最近読んだ本】高橋克彦「星の塔」| 2012.09.11
            【最近読んだマンガ】杉浦日向子「百物語」壱 | 2012.09.16
            【最近読んだ本】阿刀田高・選「ひたすら奇妙にこわい話 寄せられた『体験』」| 2012.11.07
            【最近読んだ本】話梅子(編訳)「中国怪談」| 2013.06.26
            【最近読んだ本】ラフカディオ・ハーン「新編 日本の怪談」| 2013.06.29
            【最近読んだマンガ】南伸坊「李白の月」| 2013.07.01
            【最近読んだマンガ】南伸坊「仙人の壺」| 2013.07.04
            【最近読んだ本】遠藤ケイ「<山界風聞>おこぜの空耳」| 2013.10.15
            【最近読んだ本】志村有弘・編「戦前のこわい話 近代怪奇実話集」| 2014.02.12
            【最近読んだ本】小原猛(作)、三木静(画)「琉球怪談百物語 不思議な子どもたち」| 2014.04.29
            【最近読んだ本】富岡直方「日本猟奇史 明治時代編」| 2014.06.07
            【最近読んだ本】木原浩勝+中山市朗(著)、恩田陸(編)「新耳袋コレクション」| 2014.09.11
            【最近読んだ本】蒲松齢(作)、柴田天馬(訳)「和訳 聊斎志異」| 2014.11.19
            【最近読んだ本】小野不由美「鬼談百景」| 2014.12.09
            【最近読んだマンガ】山岸凉子「ゆうれい談」| 2015.09.06
            【最近読んだ本】日本民話の会・外国民話研究会(編訳)「世界の妖怪たち」| 2015.10.31
            【最近読んだ本】小林和彦(著)、柴田ゆう(画)「知識ゼロからの妖怪入門」| 2016.05.17
            【最近読んだ本】加門七海「怪のはなし」| 2016.06.26
            【最近読んだ本】加門七海「怪談を書く怪談」| 2016.07.21
            【最近読んだ本】小田イ輔「実話コレクション 呪怪談」| 2016.07.26
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              | books | 2018.05.30 Wednesday | comments(0) | trackbacks(0) |
              最近読んだ本
              高千穂遙「異世界の勇士」

              ヒロイック・ファンタジーという言葉は、本書で初めて知りました…「クラッシャージョウ」「ダーティペア」のシリーズで人気を博していた著者による、高校生が異世界に英雄として召喚される非SF小説です。
              最初に読んだのは小6か中1か、当時は現実世界とファンタジーをリンクさせる発想に驚いたものでした。
              既にフォーマットとしては使い古された感もあるし、本当に異世界で敵を倒すだけの直球展開なのですが。
              読みやすい文章でサクサク話が進むので、色々とオーソドックスながら飽きさせません…むしろこのアッサリとした終幕が心地好いです、個人的にはですが。笑

              白昼夢に悩まされるサッカー少年のリュウジは、自分が見知らぬ場所にいる事に気付き…そのまま異形の怪物に襲われ混乱するも、現れた少女に託された霊剣で訳も分からず敵を撃退し。
              一族の王は彼を召喚し命尽き、人々の精神力を束ねる王の娘は敵に捕らわれ…屈強な戦士と身軽な少年、そして敵から寝返った小魔と共に囚われた王女を救出し更に苦難の旅を経て魔海城に乗り込みラスボス打倒。
              しかし村の祭壇で封魔の結界を施している最中、復活したラスボスが逆襲に…霊剣の奥義発動で押し返し、間一髪で封じ込めますが。
              王女の側に駆け寄る途中、召喚の場を踏んでしまい。

              と、完璧にネタバレですけども…まぁ粗筋が分かったところで物語に惹き込まれるのは間違いないし、結末は読んでのお楽しみです。
              背中合わせの現実世界と異世界、物質世界と精神世界…微妙に「ダンバイン」的ですが刊行は'79年ですからね、因みに横田順彌による解説も学生時代の著者や当時のSF事情が伺えてなかなか興味深いものが。
              初版'81年、徳間文庫版。


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              【最近読んだ本】田中光二「エデンの戦士」| 2009.10.15

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              【最近読んだ本】「クラッシャージョウ1 連帯惑星ピザンの危機」| 2017.07.09
              【最近読んだ本】「クラッシャージョウ2 撃滅!宇宙海賊の罠」| 2017.07.20
              【最近読んだ本】「ダーティペア 独裁者の遺産」| 2017.07.26
              【最近みたDVD】「ダーティペアの大勝負 ノーランディアの謎」| 2018.04.21
              【最近みたDVD】「ダーティペア 諜略の005便」| 2018.04.22
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                | books | 2018.05.05 Saturday | comments(0) | trackbacks(0) |
                最近読んだ本
                マーク・トウェイン(著)、中野好夫(訳)「不思議な少年」

                本書を知ったのは高校での授業中、ある教師の脱線トークからでした…今の僕の価値観は、多くの部分で本書に感化されたといっても過言ではない気がします。
                その後も何度か読み返しては知人にあげてを繰り返し、そのうちまた読むだろうな…と思っている間に10年以上が過ぎていました。
                その空白期間に僕が成長したという事なのか、今回の再読では(これも別編集?)と疑ってしまうほど印象が以前とは違っていました。
                というのも本書は晩年の著者が遺した未完成の原稿に基づいており、内容の異なる「不思議な少年 第44号」も邦訳されているのです。

                一応「44号」も読んだ事はありますが、かなり設定を変えているのでテーマは同一でも話は別物でした…最終稿に近いといわれる「44号」ですが、個人的には本書の方が寓話性に富み構成もシンプルなので作品としての完成度は上かと。
                ところが今回また読み返した岩波文庫版の本作も、過去に読んでいた内容が所々で欠落しているような…といっても具体的に思い出せる訳ではないので単なる僕の思い違いでしょうけど、非常に(なんか違う)感が強いので戸惑いを覚えます。
                それに前ほどサタン少年への共感が感じられなくなり、読書中の高揚感を失った気がするのも寂しい限り。

                まぁ裏を返せば、それだけ僕が彼の思想を血肉として成長した証なのかもしれません…著者が神の子サタンの口を借りて語る(辛辣ながら核心を衝いた人間批評)も、今の僕には既に基本概念となっているのでしょう。
                表紙カバーの言によれば著者は晩年“人間不信とペシミズムに陥”っていたとありますが、これまた再読している最中の「アーサー王宮廷のヤンキー」も同様にシニカルかつ毒舌だらけなので生来の観察力の賜物だったのではなかろうかと。
                とはいえ、“一五九〇年の冬であった。オーストリアは、まだ世界から遠く離れて、眠りこけていた”…この最初の一文には、やはり心を掴まれました。


                関連記事:
                【最近読んだ本】蒲松齢(作)、柴田天馬(訳)「和訳 聊斎志異」| 2014.11.19
                【最近読んだ本】マーク・トウェイン(著)、大久保博(訳)「アーサー王宮廷のヤンキー」| 2018.09.28


                以下、個人的メモ。
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                  | books | 2018.04.07 Saturday | comments(0) | trackbacks(0) |
                  最近読んだ本
                  ジーン・ウルフ(著)、岡部宏之(訳)「調停者の鉤爪〔新しい太陽の書2〕」

                  約半年ぶりの再読を半年がかりで終わらせました、読みたい本が見付からない時の繋ぎにしてたもので…しかし最初に読んでから1年しか経ってなかったのかぁ、もっと以前に読んだ気がしてたので意外ですが。
                  道理で、記憶が薄れてない訳だわ!…とはいえ、この「新しい太陽の書」4部作と「新しい太陽のウールス」を併せた「ウールス・サイクル」シリーズを読む前と後では(自分の中で何かが変わってしまったように感じている)という点には変わりありませんけれど。
                  上手く言えないけど、まるでSF/ファンタジー要素に反応する思考・読解の改変プログラムみたいに。

                  殊にSFやファンタジー系の物語を咀嚼する際に、何故か本シリーズのイメージが沸き上がって来るようになりまして…以前には覚えがない事ですし、大体こんなガバガバな話なのにね?
                  というか読んでる最中には情景を思い浮かべにくい話なんですよ、世界全体が独特なので類推から想像を膨らませるのが難しいんです…しかも細部まで緻密に計算されているようで矛盾や不整合だらけ、もしかしたら劇中劇などの頻出するメタ・ストーリーに表層下の意識に働きかける仕掛けでも施してあるのかなぁ?
                  読書中は浮かばないイメージが、思い出す時には不思議と浮かんでくるという。

                  まるで残像ですな、一読しただけで焼き付けを起こす程ではない気がするのですけども…ともあれ本巻、シリーズ全体の中では割合に読みやすくて好きですね。
                  城塞都市ネッソスを発ってセヴェリアンの赴任地であるスラックスに到達する直前までの物語は、反逆者の宴から独裁者の家に至る紆余曲折を経て旅芸人の2人と別れ廃墟で女優を看取る巻末に至る長い旅路です。
                  最も印象深かったのは、セヴェリアンと共に旅してきたジョナスが正体を明かして鏡の彼方へと去る場面ですね…そして一気に衰えていくジョレンタが消失した廃墟の不穏な空気も、忘れ難い感触を残しました。


                  〈新しい太陽の書〉関連記事:
                  「拷問者の影〔新しい太陽の書1〕」| 2017.01.15
                  「調停者の鉤爪〔新しい太陽の書2〕」| 2017.01.21
                  「警士の剣〔新しい太陽の書3〕」| 2017.03.05
                  「独裁者の城塞〔新しい太陽の書4〕」| 2017.03.26
                  「新しい太陽のウールス」| 2017.04.05
                  「拷問者の影〔新しい太陽の書1〕」(再読)| 2017.04.22
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                    | books | 2018.03.13 Tuesday | comments(0) | trackbacks(0) |
                    最近読んだ本
                    ウィリアム・ギブスン(著)、浅倉久志(訳)「あいどる」

                    先日読んだ「ニューロマンサー」がイメージと違ってたので、また引っ張り出して読み直してみましたよ…それにしても、いくらサイバーパンク系の蔵書が本書しかなかったからって表紙カバーがボロボロになるまで読んだっけかなぁ〜?笑
                    読み比べてみた印象としましては、長編を書き慣れて文章がこなれたのか単にハードボイルド文体は疲れるとか不人気だったとかで変更したからか…本書の方が格段に読みやすいですね、まぁ翻訳者が違うっていうのも大きいのでしょうが。
                    それに執筆時からは近未来に相当する現代と付かず離れず程度のサイバー描写、という点も関係ありそう。

                    でも一番の違いは、本書で2人に設定された語り手が両者とも世間に疎いって事かも…片や十代の少女ですし、片や一種の“カウボーイ”ではあれど特殊な成育環境を経て特殊な才能を獲得した孤独な青年ですし。
                    2人が関わるのは、ワールドワイドなビジュアル系ユニット“ロー/レズ”メンバーとバーチャル・アイドルの結婚話…そして国家級ナノテク兵器を追うロシア系マフィアからの接触、って分かりやすいというかいささかラノベ的といいますか。笑
                    本書はスプロール三部作ではなく所謂“橋”三部作の二作目であり、大地震後のエキゾチックジャパンな東京の描写が興味深いです。


                    関連記事:
                    【最近読んだ本】ウィリアム・ギブスン「あいどる」| 2010.12.19
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                    【最近読んだ本】ウィリアム・ギブスン「ニューロマンサー」| 2018.01.16

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                    【最近読んだ本】ウィリアム・ギブスン「あいどる」| 2010.12.19
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                      | books | 2018.02.20 Tuesday | comments(0) | trackbacks(0) |




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