スキャナー・ダークリー [Blu-ray]
スキャナー・ダークリー [Blu-ray] (JUGEMレビュー »)
俳優の仕草や表情をアニメとして再構築する、非常に手間の掛かった映像が生理的に苦手な人もいるでしょうね。
しかしながら出演者も(誰々が出てるから)という理由で観て欲しくはないでしょう、自伝的要素の強い原作を尊重した結果としてのスキャニメーションは実に効果的です。
意義を見出せない業務に延々と従事させられる主人公、彼の破滅を前提とした麻薬撲滅作戦…小さな政府がもたらした民間委託の陥穽、委託された組織間のマッチポンプは緩いディストピアですが。
どこまでが虚構でSFなのか、エンディングには賛否が分かれそう。
紹介記事【2019.07.27】
ブレイク・ビーターズ [ ゴードン・ケメラー ]
ブレイク・ビーターズ [ ゴードン・ケメラー ] (JUGEMレビュー »)
旧東独、といっても今じゃ通じなさそうですが…80年代の社会主義国でヒップホップに目覚めちゃった若者と、彼らの活動を体制翼賛に取り込もうとする当局との丁々発止を描く青春コメディ。
飼い慣らそうとする権力側と調子を合わせつつ苦悩する主人公たち、ベルリンの壁が崩壊して彼らを待ち受けるラストのほろ苦さとタフさに男泣きです。
自分でいる事を描いている点で、英国のサルサ映画「カムバック!」と併せてオススメ。
紹介記事【2019.11.02】
ダーリン・イン・ザ・フランキス 1《完全生産限定版》 (初回限定) 【Blu-ray】
ダーリン・イン・ザ・フランキス 1《完全生産限定版》 (初回限定) 【Blu-ray】 (JUGEMレビュー »)
荒廃した世界で生き残りを賭けて地底人と戦う少年少女、その謎が明らかになるにつれ絶望の色は増すばかりですが…絵空事に潜む「茶色の朝」の未来、大人目線で子供たちの希望を切に願ってしまいました。
次の世代のために何が出来るだろう、この気持ちを失わずにいたいです。
紹介記事【2019.08.28】
月曜日の友達(1-2巻 全巻) 全巻セット
月曜日の友達(1-2巻 全巻) 全巻セット (JUGEMレビュー »)
中学生になったばかりの頃の、世界の拡がりに戸惑う姿は性別や世代を超えて響きますね。
作画力もストーリーテリングも卓越してます、些細な一瞬を捉える巧さが。
忘れていた何か、忘れたくなかった何か…最後のコマに、胸が苦しくなりました。
紹介記事【2019.11.11】
TVアニメ『プラネット・ウィズ』オリジナルサウンドトラック [ 田中公平 ]
TVアニメ『プラネット・ウィズ』オリジナルサウンドトラック [ 田中公平 ] (JUGEMレビュー »)
(↑※サムネイルのリンクはサントラにしています)
所謂スピリチュアルなストーリーでありながら、どこか70年代アニメっぽいお約束とフォーマットをごちゃ混ぜにして力技で着地させたような奇想天外さが独特。
戦隊ヒーローに学園モノ、ジャンプ的な熱血インフレ勝負など…ネタの重ね掛けでも訳分からなくならない見事な構成、思いがけずラストに泣かされました。
正義のあるところに悪がある、よって正義は愛ではない…ならば善とはなんなのか? 先ずはご覧あれ。
紹介記事【2019.09.10】
ポルノ☆スターへの道 [ ニック・スウォードソン ]
ポルノ☆スターへの道 [ ニック・スウォードソン ] (JUGEMレビュー »)
ラジー賞を独占した下ネタ満載ムービー、とりあえず下品ですけど線引きはキッチリしてますね…笑わせる内容は、少なくとも男性なら他人事じゃないというか。
女性同士の巨乳幻想みたいなね、目の付け処が上手いなぁと。
まぁ万人向けではないにせよ、僕は感心しつつ大笑いしました。
紹介記事【2019.10.17】
夜長姫と耳男 (岩波現代文庫) [ 近藤ようこ ]
夜長姫と耳男 (岩波現代文庫) [ 近藤ようこ ] (JUGEMレビュー »)
原作者の作品は知らないので、本作は衝撃的でした…こんな物語が書かれていたのかと、まるで伝承の聞き書きか夢を書き起こしたような浮遊感!
印象としては南伸坊が中国の怪異譚を漫画にした「仙人の壺」に近い、無闇に説明しようとしない描線のアッサリ感が素晴らしいです。
空白の多さに、却って想像力を掻き立てられました。
紹介記事【2019.11.25】
さよならの朝に約束の花をかざろう 通常版 [Blu-ray]
さよならの朝に約束の花をかざろう 通常版 [Blu-ray] (JUGEMレビュー »)
不老不死というか不死者の物語にハマっているとはいえ、ファンタジー世界が舞台だとなぁ…と思ってましたが、不死者の(一般的な寿命の人間社会で生きる哀しみ)というツボを丁寧に描いていて好感が持てました。
寓話的なラストが作品世界と相まって、爽やかに切ないです。
紹介記事【2019.09.23】
おとなのけんか [ ジョディ・フォスター ]
おとなのけんか [ ジョディ・フォスター ] (JUGEMレビュー »)
血生臭い原題の割に、ほぼダイニング一間で完結している会話劇です。
子供の喧嘩に親が出て、大人同士で和やかに話し合って解決する目論見が破綻してエスカレート。
隣人を愛せれば戦争なんて起きない訳で、そんな皮肉な原題と裏腹に子供同士は親心を知らず…淡々としてますが大いに笑わせてくれます、個人的にはオススメ。
紹介記事【2019.10.22】
【中古】 山本耳かき店 ビッグCスペシャル/安倍夜郎(著者) 【中古】afb
【中古】 山本耳かき店 ビッグCスペシャル/安倍夜郎(著者) 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
耳かき店ブームの火付け役、なんて書いては申し訳ないのですけども…決してブームに便乗した後追いではない、と。
穏やかな時間の流れる小さな町で、耳かき屋さんを訪れる客の脳内イメージが秀逸です。
こんな表現があったのか、こんな漫画があったのかと目からウロコ耳から(略)。
紹介記事【2019.12.23】
グラン・プリ [Blu-ray]
グラン・プリ [Blu-ray] (JUGEMレビュー »)
最初はソール・バスの映像分割がスタイリッシュというより情報過多に感じましたが、それが後から効いて来るんですね…世界各地を転戦するF1レーサーと彼らを取り巻く人間模様が主軸ながら、走行シーンも見甲斐があります。
クールなドラマと60年代のムードが、ダンディな三船敏郎も含めて現代とは別世界のようです。
紹介記事【2019.12.21】
絵はがきにされた少年 [ 藤原章生 ]
絵はがきにされた少年 [ 藤原章生 ] (JUGEMレビュー »)
アフリカに対する先入観や固定観念が、ことごとく覆されます…偏見を持たないように心掛けていたつもりでも、日本にいて伝わってくる情報自体にバイアスが入っている訳ですが。
西欧支配の呪縛に歪められた各地の民族性や搾取の構造など、日本では見えにくい暗部が著者の目を通して見えてくるようで。
アフリカの話であり、同時に現代の実像でもあるのでは?と。
紹介記事【2019.09.1】
【中古】 マンガでわかる 戦後ニッポン /手塚治虫(著者),水木しげる(著者),つげ義春(著者),はるき悦巳(著者),ちばてつや(著者) 【中古】afb
【中古】 マンガでわかる 戦後ニッポン /手塚治虫(著者),水木しげる(著者),つげ義春(著者),はるき悦巳(著者),ちばてつや(著者) 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
現代に至る国内の移ろいを漫画に語らせる好企画アンソロジーです。
漫画にしか出来ない表現は、例えば三輪自動車が走る風景でありリンチされる米軍の操縦士であり…基本的に主観視点であるが故の、俯瞰の効く文学表現よりも接地した仮想体験なのかも。
いわば漫画こそが伝え得た戦後の一片、切り口を変えて続けてもらいたいですね。
紹介記事【2019.12.12】
あきれたあきれた大作戦 [ ピーター・フォーク ]
あきれたあきれた大作戦 [ ピーター・フォーク ] (JUGEMレビュー »)
笑いって鮮度があると思ってました、本作を観るまでは。
先が読めずに引き込まれましたが、確かに繰り返し観たくなるかも…計算されたシナリオが効いた笑いと、映像的な古さもまた味わい深いです。
スタンダードでバカバカしくて無駄のない、意外な傑作。
紹介記事【2019.12.10】
人気マンガ・アニメのトラウマ最終回 極限編 [ 鉄人社編集部 ]
人気マンガ・アニメのトラウマ最終回 極限編 [ 鉄人社編集部 ] (JUGEMレビュー »)
面白可笑しい切り口で紹介されてるので、ファンの方にしてみれば物申したい点も多々ありそうですが。
様々な事情から意外な最終回を迎えていた、有名な作品の数々に先ずビックリ…知って何かの役に立つ訳ではありませんけど、やはり切り口が面白いのですよ。
紹介記事【2019.09.24】
【国内盤CD】【ネコポス送料無料】ファウンテインズ・オブ・ウェイン / トラフィック・アンド・ウェザー
【国内盤CD】【ネコポス送料無料】ファウンテインズ・オブ・ウェイン / トラフィック・アンド・ウェザー (JUGEMレビュー »)
「Stacy's mom」の青春パンクをイメージしてたら好い意味で裏切られました。
どこかSDP「スチャダラ外伝」に通じる旅アルバム、共通する根っこは世代なのかグローバル環境なのか…しかしELOっぽさを連想させるサウンドも厭味なく無理して頑張ってない感じだし、三人称のスキットみたいに様々な切り口で綴られる旅の寸描が詩的。
パッキング上手で飽きさせない仕上がりかと。
紹介記事【2019.07.08】
【中古】[PS2]ローグギャラクシー ディレクターズカット(Rogue Galaxy Director's Cut)(20070321)
【中古】[PS2]ローグギャラクシー ディレクターズカット(Rogue Galaxy Director's Cut)(20070321) (JUGEMレビュー »)
無印版も僕は楽しめましたが、ダレ要素を改善して全体的にボリューム・アップしておりオススメです。
難を言えば、このDC版では攻略本が出てない事ですね…特に武器の合成レシピが違っているし、追加武器はノーヒントで試行錯誤の連続に。
水の惑星にある3連宝箱は、多分エリアボスに乗って飛び移らなきゃ取れないと思うので、これからプレイする方は気を付けてね!笑
紹介記事【2018.07.19】
【中古】PS2 スターオーシャン3 Till the End of Time
【中古】PS2 スターオーシャン3 Till the End of Time (JUGEMレビュー »)
ディレクターズ・カット版が出てるようなので、そちらをオススメします。
僕も終盤でメニュー画面を開こうとしてブラックアウトや異音と共に「ディスクからデータを読み込み中です」と表示されたままフリーズでプレイ断念中です。笑
リアルタイム・バトルの忙しさは好みの問題として、城下町などの雰囲気が最高!
中世レベルの惑星に来た主人公がハイテク宇宙人側、という立ち位置はユニークで楽しめました。
紹介記事【2018.07.25】

最近読んだ本
高千穂遙「水の迷宮」

「クラッシャージョウ」シリーズ第11巻は初版'13年のハヤカワ文庫、JAというのはジュニア枠でしょうか…オビ文によれば“8年ぶり”だそうで、思えば著者のデビュー作でもある「連帯惑星ピザンの危機」から36年になるんですね。
表紙と口絵は今やアニメ監督を務め漫画家としても知られるまでになった安彦良和、流石にもう本文中の挿し絵までは描いてくれないにせよ大御所も義理堅い!
ところでオビにあった声優の久川綾による推薦文、何かと思ったら本作は彼女が作詞した楽曲「水のラビリンス」にインスパイアされた旨の謝辞が…ちょっと意外、アニソン聴くの著者?

本作の舞台は内戦が続く海洋惑星、深海遺跡の調査チーフ護衛がジョウ達の任務です…衛星軌道上から銀河連合が監視してるとはいえ、中立地帯の端っこは戦闘の最前線でもある訳で。
最初に登場するのが本作ヒロインで政府軍の傭兵アプサラ、実は極秘監視下にある禁忌の人造両棲人“水巫女”…妙な成り行きで調査メンバーとして雇用された彼女、戦局を変えるオーバーテクノロジーを秘めた遺跡を狙う現地の第三勢力に雇われた自称“発掘屋”と古代文明人の思惑が入り乱れて予想外の結末まで例によって一気に読ませます。
ただし、今回はクラッシャーが脇役っぽかった気も。

まぁ本作は発想の主体が「水のラビリンス」ですから、主役は“水巫女”アプサラなのでしょう…なのでジョウやアルフィンの大活躍を期待したシリーズのファンは、ちょっと物足りなく感じるのではないかなぁ?
その点は僕も肩透かしを食らった気分でしたが、やはり読み始めたら止まらなくなる著者の筆運びは文句なし!ですよ…こういう「物語に没頭する」という感覚を求めていたので、充分に満足させてもらいました。
“種の保存を最優先としている以上、すべての生物は必ず戦争を起こす(中略)その戦争が、さらなる技術革新の推進につながり、文明はますます発達していく”

先住種族が通った道をなぞるような同種間の内戦、人口増加で自滅寸前だった地球に乱立した宗教国家と移民惑星内の宗教対立…シリーズ過去作でも度々カルト教団の暗黒面が描かれてきましたが、今回は飽くまで“水巫女”の背景止まり。
むしろ戦争という内輪争いへのユニークなアプローチは、既存の宇宙活劇と毛色を異にしている印象があります…そこがまた、金看板を別件の道化回しに使ったようにも感じるのですが。
敢えて言うなら、もう少し異質な先住種族の遺構や水中肉弾戦の描写に筆を割いても好かったのでは…書き下ろしであれば、決して無理ではなかったんでしょ?


〈高千穂遙〉関連記事:
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【最近読んだ本】「聖獣の塔 運び屋サム・シリーズ2」| 2016.06.04
【最近読んだ本】「クラッシャージョウ9 ワームウッドの幻獣」| 2017.06.13
【最近読んだ本】「ドルロイの嵐 クラッシャージョウ外伝(1)」| 2017.06.28
【最近読んだ本】「クラッシャージョウ1 連帯惑星ピザンの危機」| 2017.07.09
【最近読んだ本】「クラッシャージョウ2 撃滅!宇宙海賊の罠」| 2017.07.20
【最近読んだ本】「ダーティペア 独裁者の遺産」| 2017.07.26
【最近みたDVD】「ダーティペアの大勝負 ノーランディアの謎」| 2018.04.21
【最近みたDVD】「ダーティペア 諜略の005便」| 2018.04.22
【最近読んだ本】「異世界の勇士」| 2018.05.05
【最近みたDVD】「クラッシャージョウ 氷結監獄の罠」| 2018.12.02
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    | books | 2020.07.02 Thursday | comments(0) | - |
    最近読んだ本
    ラリイ・ニーヴン(著)、小隅黎・伊藤典夫(訳)「無常の月」

    初版'18年のハヤカワ文庫ですが、過去の同名短編集とは別物のようで…つまり単なる新装版でなく、表題作の映画化に併せて収録作品を入れ換えた「ザ・ベスト・オブ・ラリイ・ニーヴン」バージョンという訳。
    実は先日の「もののあはれ」と同時進行で読んでいたのですが、7編を収録する本書の方が後になってしまいました…特に他意はないものの、気鋭の中国SF作家と比べれば本書はノスタルジックなレトロSFといった趣きが感じられます。
    それは決して悪い意味ではなく、王道に近い一種の安心感があったというか…何しろ初出が'66年から'75年とくれば、それも当然で。

    最初の3編は著者の代表作「ノウンスペース」シリーズからで、世界設定が共通していて取っ付き易いですね…「クラッシャージョウ」シリーズにも通じるスペース・オペラ風味や、奇想天外な生命体が小気味好いです。
    70年代前半の表題作と「ホール・マン」の終末感は、完全な絶望ではない生殺し状態にリアルな冷戦時代の気分が反映されてそう。
    剣と魔法のファンタジー世界を舞台に、リソース枯渇と野蛮な現代人を皮肉った「終末も悪くない」の無常感も冷戦の産物でしょうか…しかし最後の「馬を生け捕れ!」は時間旅行×ファンタジーという、えらく牧歌的なSFコメディです。

    前半のスペオペ冒険活劇は、未来的ガジェット&未知の生態に懐かしさは感じるものの未だにSF界の王道テイストといえるでしょう…後半のファンタジーSFは、むしろ5〜60年代だからこそ描けた「大魔王作戦」的な大らかさが新鮮に感じられたりもしますけど。
    表題作が21世紀の今になって映画化されると知ると、当時とは構造が異なるにせよ時代の空気に似通った倦怠感があるような気もして興味深いですね…これは夜が明けるまでの男女を通じて、月が異様に輝く理由を徐々に読者が知らされてゆく一風変わった話です。
    彼らは生き残り、アメリカ以外は全部壊滅という。笑

    まぁ映画化といっても公開が決まるまではポシャる可能性も高い訳ですし、仮に完成しても原作は脚色で換骨脱胎されてそうですが。
    シリアスなミステリー仕立てにするのか、オチを引き延ばしてパニックスリラー展開に持ってくのか…最悪の事態は免れつつも暗い未来の予感を残すシニカルなストーリーで現代の観客を如何に共振させるのか、それを想像すると映画プロデューサーって時代の先を読む嗅覚に長けてるなぁと。
    理想を描くにも八方塞がりな、冷戦を超えても何故かバラ色になれなかった未来…なるほど「時空のゆりかご」とも一脈通じますね、答えがない点も含めて。笑
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      | books | 2020.06.21 Sunday | comments(0) | - |
      最近読んだ本
      ケン・リュウ(著)、古沢嘉通(訳)「もののあはれ」

      初版'17年のハヤカワ文庫、本書は新☆ハヤカワ・SF・シリーズから'15年に「紙の動物園」として出版された本を二分冊した内の一冊だそうで…故に「ケン・リュウ短編傑作集2」なのね、もう一冊の文庫版「紙の動物園」もパラ見して本書を選んだ次第ですが。
      本当は「折りたたみ北京」が前から気になっていて、だけど手に取ってみたら「紙の〜」と「折りたたみ〜」よりも全体的には本書が一番面白そうだったのでね…飽くまで中国SFというエキゾチックな興味でいえば、という基準ですけど。
      著者は'76年の甘粛省生まれ、といっても現在は在米の弁護士兼プログラマー。

      本書に収録された8編は、先ず表題作が先制パンチを食わせてきます…原題も「Mono no Aware」、主人公の大翔が語る日本的な精神性の翻訳感に戸惑いと気恥ずかしさを感じさせられる碁の大局観と利他の解釈!
      一読して(分かったように持ち上げてらぁ)と思ったものの、巻末の作品解説によれば“主人公は問題解決のため積極的に行動しなければならない”という西欧的「規則」に従わない中国や日本の物語への興味から書かれたそうで…ポッと出の作家に鼻っ柱を叩かれたような腹立たしさも、他の作品を経て読み返すと腑に落ちました。
      しかし「ヨコハマ買い出し紀行」って、例えも秀逸!

      次の「潮汐」は並びが上手いな、身構えた所で脱力系とか…解説にもありますが、日本の70年代ハチャハチャ風味に(マジか)と。
      「選抜宇宙種族の本づくり習性」も70年代の筒井康隆を彷彿とさせるユーモアSF、そして「どこかまったく別な場所でトナカイの大群が」はデータ人類の少女が古代人の母とピクニックに出るという本領発揮のシンギュラリティSF。
      プラスティネーションと不老を扱う「円弧」、様々な神話を織り込んで筒井の「幻想の未来」を上書きする壮大さに至る「波」…それぞれ不老不死をテーマとしながら、孤独についての異なる余韻がまた絶妙。

      「1ビットのエラー」は言われるまでもなくテッド・チャンの「地獄とは神の不在なり」を連想させます、ただしテッドの了解は得ているし僕には両作とも非常に印象深い物語ですね…信仰心とは何なのか、もしそれが接続ミスだとしたら?
      恋が心のエラーと喩えられるように愛という感覚そのものが幻覚であり、失われた楽園だったとして…この一神教的世界観からの落とし処もまた東洋的といいますか、僕は心地好いけど。
      ラスト「良い狩りを」の原題「Good Hunting」は成句なんですね、清代末のファンタジー〜香港スチームパンクという如何にも中国SFらしさに満足しました。
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        | books | 2020.05.28 Thursday | comments(0) | - |
        最近読んだ本
        石川純一「宗教世界地図」

        再読です、いや再々読か?
        本書は'90年の「Foresight」誌創刊号から約2年半の連載記事をベースとして'93年の単行本化と同様、時代に即した大幅な加筆修正を加えた新潮文庫版ではありますが…それも既に20年以上が経過していると思えば、世界情勢を理解する一助とするには些か鮮度に難ありという気もします。
        だけど本書の内容は未だに役立ってくれている実感があるし、手放すにしても折角だから最後に一読してからでも好いよな…といった次第で、世界を股にかけるビジネスマンにはオススメ出来ない代物でしょう。笑
        実際、90年代の宗教事情でも現在は見えてきます。

        改めて思うのは、いわゆる西欧列強の爪痕ですね…アフリカの内紛も大半が宗主国という植民支配の都合で引いた国境や内政干渉が膿みとなってる印象ですが、中東〜南アジア一帯の紛争も根っこにあるのは英仏その他の残した負の遺産と。
        先進国ぶって他人事みたく非難決議とか、よく言えるよな…宗主国による分割統治とは、宗派間を対立させて抵抗勢力を団結させない政治的工作だった訳です。
        旨味は吸ったし、そろそろヤバいから手を引くかと撤退したり独立させたり…で、自分たちが付けた傷から流れる膿みに眉を潜める。
        そんな欧米への不信感は拭えませんわな、と超納得。

        (いやそれ宗教じゃなくね)と思われるかもしれませんが、現代の主だった宗教的対立で火が点いてる場所には過去に煽った者がいるんですよ…イランの故ホメイニ師の革命輸出も始まりには英国の石油利権絡みの工作があるし、かつては異教徒同士で共存していた国も他国の分割統治で対立構造へと変質してしまったり。
        大体において異教徒に寛容だったイスラム教をテロリストの温床みたく言うのも、キリスト教が図々しくて恩知らずなのを棚上げしてると思えるんですよね…それは本書を読んだから、という訳ではありませんが。
        ま、一神教は一神教で仲良くやってくれっていうね!

        著者は序文で「冷戦が終わって宗教が台頭してきた」という解釈の一面性に「冷戦時代の国際政治が“分かりやすい構図”でのみ語られてきた」点を指摘していて、これは現代の世界情勢においても当てはまる気がします…宗教問題もまた一つの切り口であり、保護主義政策や迎合政治もまた一つの切り口に過ぎないと。
        そして「N.Y.でのイスラム教徒によるビル爆破テロ」という一文は、911以前の90年代半ばには既にそうした事例があったという事ですね…あのWTCの事故がイスラム系のテロと即断された背景には、自演か他作かはともかく既に下地があったという訳です。

        また宗教の本質とは“極めて政治的な”生の変革であり、精神の平安や救済とは貧困や社会欺瞞に直面する人々が現状を改変していく理想や希望でもあるのでした…多くの宗教は最初、被支配層や社会の底辺から染み込むように広まります。
        そうして宗教が国を動かす程に浸透するにつれ保守化し、改革派や新たな創唱宗教が変革を生み出していく…なるほど政教分離が難しいのも道理です、宗教は「ありのままで」的な現状維持を肯定しないからね?笑
        飽くなき細やかな夢の実現、あるいは失われた栄光の日々を…煽動したり虚栄心をくすぐったりの、人を操る手段も口実もSNSで多様化しそう。笑


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        以下、個人的メモ
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          | books | 2020.05.17 Sunday | comments(0) | - |
          最近読んだ本
          エラン・マスタイ(著)、金子浩(訳)「時空のゆりかご」

          初版'18年のハヤカワ文庫で、原著「ALL OUR WRONG TODAYS」も前年に発表されたばかりというカナディアンSFです…著者はSFに限らず名の知れたハリウッド作品を幾つも手掛けている気鋭の脚本家にして映画製作者で、作家デビューとなった本作も刊行前に映画化権を大手が買い取ったとか。
          というより元々が、映画の脚本として執筆していたそうで…まぁ即座に映画化されるとは限らないにしても、彼自身が脚本に練り直しているというから原作とは似ても似つかない映画になる心配はなさそうです。笑
          しかし本作、時間SFの体裁を取っていますが本質はジュブナイルなのでした。

          時間SF風ジュブナイルといっても主人公は生まれながらの負け犬アラサー、偉大なる父親の重圧で如何にヘタレな半生を送ってきたかというクソみたいな自分語りで445ページの前半158ページが費やされます。
          本書のレビューを書いてる方々は、おそらく55章が前章までのあらすじと知るより早く評価を下したのだと思いますね…駄文の烙印を押されてから覆す程のインパクトもないですし、そもそも「あの頃に夢みた別の未来から来た青年が巻き起こすドタバタ騒動!」を期待してるからオフビートかよ!と腹が立つ訳です。
          実際「1,100(税抜)返せ」的な論評も仕方ないかと。

          それはハヤカワSFだから辛口になるのであって、朝日ソノラマ文庫だったらまた違った筈です…ただし世界線の分岐点が60年代半ばに置かれたニュアンスは、逆にソノラマ読者じゃチンプンカンプンでしょう
          ベトナム戦争アポロ計画という、アメリカ黄金時代の崖っ縁が想像出来ないとね…凋落目前とは思いもしない当時のアメリカ国民が描いた楽観的なビジョン、その世界を小説として表現出来なかったからこそ苦肉の覚え書き形式に仕立てたのではないかと思ったり。
          要は著者の脳内にある魅力的なイメージが文章に置き換えられていないのが、評価を損ねている要因かと。

          映像化すれば逆「バック・トゥ・ザ・フューチャー」的な感じになるんだよね?と、判官贔屓になっちゃうのは巻末の謝辞と訳者あとがきを読んだせいです。笑
          イスラエル人の父が移住までして結婚した母は美術館の館長を務める美術評論家、化学者の祖父の影響で幼い頃から50〜60年代SFに描かれていた“すでに確定し、わたしにとっての遠い過去になった未来に思いをはせ”たという著者。
          その来歴で腑に落ちるのは、彼が相次いで亡くしたばかりの母と祖父が本書に描かれた父母なのです…読み方としては邪道ですが、著者自身の幸福な日々が反映されている点はリアルな訳。

          きっと自身の思い出から「パルプSFの能天気な未来と実際の未来」を発想して、結果的に悲観的な現実に直面せざるを得なくなる前の甘い日々に自身の幸福な記憶を織り込んでバランスを取ったのでは?と…架空の未来を描写する筆力のなさを補うリアリティを持ち込んで、甘酸っぱいジュブナイルに仕上げたのだろうという感じがしたのです。
          主人公が息子へ伝える覚え書きとして「この世界は完璧じゃないけど最悪って程でもない」と、そして歴史には残らないけれど君の父親が今の世界を残すために最善を尽くしたのだと。
          青臭い大人のためのパルプフィクション、なのでは?


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            | books | 2020.05.12 Tuesday | comments(0) | - |
            最近読んだ本
            ポール・アンダースン(著)、岡部宏之(訳)「百万年の船 (3)」

            再読ですが、読み終えるのが惜しくて先延ばしにしておりました…不老不死の人々が織り成す群像劇も本書の第十八部「最後の審判の日」でほぼ現代に至り、原著が発表された'89年の14年前に当たる'75年に。
            幕開けは、チベット奥地に隠れ住んでいたトゥ・シャンとユキコの許を半世紀ぶりに再訪したワンダラー…という事は前巻の第十四部と第十五部の間にも一度は会っていた訳ですが、その際は通訳を介した曖昧な会話と互いの警戒心もあって50年後の再会を告げて去るしかなかったのでした。
            当時の通訳は困惑したでしょうけど、言葉も学んだ上で約束を果たしたのです。

            既に仙人じみた隠棲を続けるのも難しいと感じていた2人は、またも渋るトゥ・シャンをユキコが説得する形でハンノ手配のアイダホ農場に腰を落ち着け…そこで里親になった身寄りのない子供から伝え聞いた、N.Y.で教団を主宰するマカンダルとローザことアリヤットの噂をハンノに伝えます。
            シアトルの「ルーファス記念研究所」で不老不死の研究を進める一方、かつてトルコでパトゥルシウスと物別れに終わった後も世界中の新聞に意味深長な広告を打っていたハンノ…代理人の新たな報告を受けてデンマークに飛んだ彼は、オルガを名乗るスヴォボダと約千年ぶりに抱き合います。

            前巻の最後、'42年の独ソ戦を生き抜いたスヴォボダは亡命先で獣医となっていました…ギャングの脅迫を機にマカンダルとアリヤットはハンノ達との合流に同意しますが、ハンノに敵対心を抱いた政治家が身元調査を始めた事からサスペンス・ムードは最高潮に。
            この第十八部は、ここまでの「短命な一般人の作り上げた文明社会を生き抜く不老不死者」という物語のクライマックスになります。
            最終節になる次の第十九部では一気に遥かな未来へと時代が進み、カミングアウトと共に不老不死の研究成果を提供して全人類が変容を遂げた新たな社会形態における物語になるのです。
            (下段に続きます)


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              | books | 2020.04.24 Friday | comments(0) | - |
              最近読んだ本
              V.A.「remix TRAX vol.10 misturada SOUND OF RARITY FROM BRASIL」

              以前「最近聴いたCD」として紹介した本作、図書館ではCD扱いですけども形態としてはCDマガジンなので今回は一応(読み物)として改めてご紹介…どうやら解説によれば“remix本誌”は本来、テクノを筆頭に“アンダーグラウンドな土壌で語られるストリート&クラブ・ミュージック”を扱う媒体なのだそうで。
              とはいえ流行り物をチャラッと浚うつもりじゃないのか、本作「ミストゥラーダ」に収録された11曲は“全曲現地新録音”というから気合い入ってますな!
              とはいえ現地スケジュールは5日のみ、しかも運悪く“カーニヴァル・ホリデイ”とバッティングですか?

              予め6曲分のバック・トラックは完成していたものの、スタジオ初日に聴いたテイクはブラジル最新音楽事情が反映されていて日本やUKのクラブが求めるような音ではなかったとか…スタジオのオーナーでもある御大ロベルト・メネスカルにしてみれば古くさい“60〜70年代モノ”を求められていたとは予想外だったようですが、説得に理解を示し改めて録り直しに。
              そう、本作がリリースされた'95年はレア・グルーヴ真っ盛り!…つまりリアルタイムで進行する音楽事情と別に、クラブDJの選眼で掘り返されたマイナーっぽい古い音を新録する事がremix側の要望だった訳。
              (下欄に続きます)

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                | books | 2020.04.11 Saturday | comments(0) | - |
                最近読んだ本
                一橋文哉「外国人ヒットマン」

                初版'19年、KADOKAWA刊。
                図書館の新着本コーナーで目に止まって衝動借りしちゃいました、なんか国内の犯罪絡みって「週刊大衆」だか「週刊ポスト」だかみたいだと引いちゃうんですけどね…逆にCIAとか海外組織の話だと何故か興味が湧く事もあって、本書に関しては後者のノリです。
                しかし恐ろしい話ですな、来日した足でサクッと済ませて即帰国という日帰り殺人旅行…偽造パスポートだから追跡調査も難しく、しかも近隣諸国とは犯人引き渡し条約を締結してない点が利用されてる節もあり。
                読み終えた直後、依頼人から底辺下請けまで5人が芋づる逮捕されるニュースが!?

                そのニュースは関係者全員が中国内にいたから、本書のような越境パターンとはまた事情が異なる訳ですが…いくら人口が多いからって、凄まじい数のヒットマンが営業してるのね中国。
                台湾組織と連携する福建省マフィア、残留帰国二世が多数活躍する東北マフィアなど拠点毎に得意とするシノギがあるそうで…大陸マフィアの老舗で国外展開を早める香港系に急成長を遂げた韓国系、同盟国マレーシアを足場にする北朝鮮工作員など闇のビジネスも国際企業顔負けのグローバル化が進んでいるのですな?
                例え主犯の目星が付いても実行犯が別にいて、繋がりの証明は出来っこないと。

                著者は「グリコ・森永事件」や「宮崎勤事件」など様々な犯罪ノンフィクションを手掛け、本書に紹介されている裏社会絡みの凶悪な未解決事件を扱う著作も。
                それらに比べると本書の内容が浅く広くなるのも已む無しで、そもそも解決してない事件ですからディープな情報も期待出来ません。
                ほとんどがネット上の噂レベルで目新しさはありませんが、それらも本書のように裏とコンタクトが出来る情報源が出所ならば話半分が話八割ぐらいには思えてきそう…ライブドア/王将/世田谷/ナンペイといった事件の実行手口と仲介役、ヒットマン派遣組織の動向までを追える構成です。

                ライブドア“懐刀”沖縄暗殺で二重三重に派遣されていたヒットマン達、世田谷一家惨殺犯の足取りと近況…王将社長射殺と金兄毒殺の関連性、フィリピン人の八王子スーパー強盗計画を乗っ取った中国人ヒットマン辺りは自分の行動範囲に近く通りすがりで巻き添えにされかねない恐怖感満点。
                潜伏先の定番フィリピンに建つ最新鋭の演習施設やカンボジアに移住した元G組長とオウム残党の密着などは、台湾や韓国以上に今から行く気は起きなくなります…微妙に読みにくく感じるのは色々とボカシたいからなのか、というよりは自分に裏社会の基礎知識が足りないせいなのかもしれません。


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                以下、個人的メモ
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                  | books | 2020.03.29 Sunday | comments(0) | - |
                  最近読んだ本
                  クリストファー・チャプリス&ダニエル・シモンズ(著)、木村博江(訳)「錯覚の科学」

                  初版'14年の文春文庫、著者はSF作家のダン・シモンズとは別人だと思います…いや案外そうなのかな、でも多分ちがうと思う。笑
                  それはさておき本書、ここ数年で読んだ本の中では断トツのインパクトでした。
                  もし仮に「自称科学者のエセ科学」だったとしても、これだけ徹底して人間の根本的な出鱈目さを突き付けられると様々な感情が沸き上がるものなんですね…もちろん猜疑心や不信感は当然として、妙な嬉しさや痛快さまで感じましたよ。笑
                  きっと遠くない内に再読すると思うので、今回は要点を絞ってご紹介します。
                  それでも結構な長文になりそうですけど、抑え目で。

                  本書では錯覚を6種に大別して扱っていますが、特に最初の「注意の錯覚」がインパクトありました…何しろ目の前のゴリラに気付かないんですから、他の事柄に注意を向けている時には!
                  それを他人事だと思っちゃう、というのも「自信の錯覚」なんですって…知った気でいる「知識の錯覚」や経験に基づく「原因の錯覚」、関連性から思い込む「可能性の錯覚」と常に陥りがちな「記憶の錯覚」。
                  人類が進化の過程で伸ばした能力は、つまり選ばなかった能力を犠牲にしてたのですな…どうにか克服可能な課題などではなく、集中力や生活能力と引き換えに生じた精神構造上の盲点。
                  要するに個人の資質と無縁の人間らしさ、というね。

                  だから盗用は必ずしも悪意ではなく、医療ミスだってプロ失格じゃない訳です…悪気があって騙したんじゃなく、それが人間なのね?
                  僕は基本的にデータや統計といった権威ぶった数字は信じてませんし、所詮は見たい物を見て信じたい事を信じてるのが人間だろうと思ったりしてます…「たった一つの真実」なんて詭弁だし、人に絶対なんて有り得ないと思ってるのです。
                  故にこそ信じたいし赦さなければと思う半面、これもまた壮大なトリックでは?と受け入れ難い気持ちもあり…しかし己の記憶力を根拠に持論を主張する友人には、是非とも本書を読んで柔軟さを学んでほしいな!

                  因みに各章の題と小見出し(?)は、こんな感じです。
                  実験I えひめ丸はなせ沈没したのか? 注意の錯覚
                  潜望鏡で海上を監視していた潜水艦長は、えひめ丸が「見えていた」のに「見落とした」という。だが、これは不思議ではない。人間は、バスケの試合に乱入したゴリラにさえ、気づくことができないのだ
                  実験II 捏造された「ヒラリーの戦場体験」 記憶の錯覚
                  ヒトは記憶を脳に定着させる時、「本当にあったこと」だけでなく、「あるべきこと」を勝手に混同させてしまう。ヒラリー・クリントンが大統領選で語った「戦場体験」のウソも、このメカニズムで作られた
                  実験III 冤罪証言はこうして作られた 自信の錯覚
                  レイプ魔の顔貌を細部までしっかり目に焼きつけた被害者女子大生は、自信たっぷりに「犯人」の顔写真を選び出した。ぶれることのない法廷供述は、完璧だった。だが、真犯人は全くの別人だったのだ
                  実験IV リーマンショックを招いた投資家の誤算 知識の錯覚
                  専門用語にご用心! 難解な言葉や概念を駆使する専門家でさえ、肝心のことがわかっていないことがしばしばある。おかしいと感じたら「なぜ?」を連発してみよう。ニセモノはすぐに馬脚をあらわす
                  実験V 俗説、デマゴーグ、そして陰謀論 原因の錯覚
                  「セックスで若返る」「9・11事件はブッシュ政権の陰謀」「ワクチン接種で自閉症になる」……根拠のない話が、なぜ定説となってしまうのか? 偶然を必然と捉えたがる人間心理の陥穽
                  実験VI 自己啓発、サブリミナル効果のウソ 可能性の錯覚
                  「モーツァルトを聞くと頭が良くなる」「潜在意識を刺激すれば消費者マインドを刺激できる」……科学実験ではことごとく否定されているこれらの説は、なぜ広く信じられているのか?



                  以下、個人的メモ
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                    | books | 2020.03.16 Monday | comments(0) | - |
                    最近読んだ本: 「錯覚の科学」からの引用の続き
                    しおりの数が43(引用箇所は74)と非常に多くなったので、記事ページを分けてみました。
                    元記事:【最近読んだ本】クリストファー・チャプリス&ダニエル・シモンズ「錯覚の科学」 | 2020.03.16

                    では以下、個人的メモ(かなり長文)。

                    (p.251以降分は下段にて)
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                      | books | 2020.03.16 Monday | comments(0) | - |




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