夢みるように眠りたい [DVD]
夢みるように眠りたい [DVD] (JUGEMレビュー »)

2018年の上半期は映像作品に恵まれました、といっても僕の好みなので万人向けとは言い難いのですが。笑
本作も(もう観る機会ないな)と諦めてましたよ、TSUTAYAの宅配レンタルには大助かりです。
心の「閉じられなかった輪っか」の記憶や言えず終いとなった(サヨナラ)と(アリガトウ)の悔恨が救われる気持ちになります、中勘助の「銀の匙」並みに甘々ですが。
映画界の新海誠こと林海象、'86年の監督デビュー作にして製作と脚本も兼任でインディーズ上映した低予算モノクロの“ニューサイレント”。
初主演の佐野史郎と監督の対談解説コメンタリーも、本気で映画好きなら是非。
紹介記事【2018.01.20】
プロハンター DVD Collection
プロハンター DVD Collection (JUGEMレビュー »)

黄金時代の藤竜也&草刈正雄+柴田恭兵という'81年のTVドラマシリーズ、横浜を舞台に繰り広げられるディテクティブ・アクション!
宍戸錠&小林稔侍の刑事コンビと、榎木兵衛と庄司三郎の情報屋兄弟も可笑しいです。
サバンナRX−7は4話から登場、3話までのアメ車も好いなぁ。
怒りで福岡訛りが激化する竜崎には大笑い、でも最終話は「探偵物語」ばりに寂しいんだよなー?
紹介記事(VOL.1)【2018.04.26】
Night to Remember: Uptown Soul Classics
Night to Remember: Uptown Soul Classics (JUGEMレビュー »)
Shalamar
シャラマーを知らなくても楽しめる、煌めく70年代ディスコ・ミュージック。
シャラマーを知ってるアナタも納得の選曲、数多ある彼らのベスト盤でもベストかつリーズナブル。
買ってよし、聴いてよしの一枚です。
紹介記事【2018.05.27】
オーバーマン キングゲイナー 5.1ch DVD-BOX (期間限定生産)
オーバーマン キングゲイナー 5.1ch DVD-BOX (期間限定生産) (JUGEMレビュー »)

DVDは全9巻のTVアニメシリーズ。
皆殺しのトミノと呼ばれた富野カントク心機一転、シベリアからヤーパンへのエクソダス×シベ鉄の攻防を描く摩訶不思議なロボットアニメです。
遥か未来を舞台にしつつも寓話的で、ほのぼのギャクを盛り込みながらも会話の上手さは流石だわ……いわば新世紀「ザブングル」、ただし最後がチト残念。
紹介記事(Vol.9)【2018.03.03】
キッドナップ・ブルース 【初DVD化】
キッドナップ・ブルース 【初DVD化】 (JUGEMレビュー »)

今ではレンタル店でも置いてないしamazonでも希少高値で、一生観る機会はないかと思ってましたよツタヤディスカスありがとう!
ナウい写真家だった頃の浅井愼平が初監督、主演はタモリ一義で音楽は山下洋輔……これでピンときたらご覧あれ。
ジャズメン崩れのパチプロが、鍵っこ舞とチャリブラするうちロードムービーに。
監督は脚本だけでなく、自ら撮影と照明も担当して晩夏の湿度から冬の乾いた冷たさまでを映し取ってます。
育児放棄とか偏向報道とか地方の人の温もりと疎外感、破滅への足音とラスト2分間の白さが沁みます。
対外的には「詰まらないから観ないで」と言っておきたい、昭和ノスタルジーを先取したカルト的な1本です。
紹介記事【2018.01.01】
GANTZ:O DVD 通常版
GANTZ:O DVD 通常版 (JUGEMレビュー »)

リアルな深夜の大阪道頓堀と、精度の高いモーション・キャプチャー&リップ・シンクロのキャラに(CGアニメもここまで来たか!)と驚かされます。
実写で演ったら嘘くさくなる非日常の緊迫感と恐怖に引き込まれ、津嘉山正種池田秀一らの意外なCVキャスティングにもビックリ。
杏にはマジ堪えます、二次元なのに!笑
紹介記事【2018.04.19】
フラクタル [レンタル落ち] 全4巻セット [マーケットプレイスDVDセット商品]
フラクタル [レンタル落ち] 全4巻セット [マーケットプレイスDVDセット商品] (JUGEMレビュー »)

TVシリーズのアニメで、DVDは全4巻。
「コナン」の残され島みたいな景色に「ナウシカ」っぽい飛行機と、牧歌的な光景と裏腹なハイテク世界。
ネッサとネッサと“世界の鍵”、ジェンダーとAIとDVと。
やがて悲しき楽園の真実、胸を衝く永遠のかくれんぼ。
紹介記事(1巻)【2018.05.08】
地球へ・・・
地球へ・・・ (JUGEMレビュー »)

近年のリメイクはクソでしたが、絵が古臭くても構成は本作の方が格段にマシです。
時代を先取りした奥深いテーマは原作に及ばずとも、まとめ方は及第点と言えるのではないかと。
ストーリーと共に素晴らしい、有機的な宇宙船の造形も忘れ難いです。
紹介記事【2018.01.24】
What Time Is It?
What Time Is It? (JUGEMレビュー »)
Time
当時は(プリンスの弟分バンド)とか言われていましたが、実質プリンスの別名義状態だったとは・・・大半が5分超のエレ・ファンク6曲入り、日本でパクられまくったモリス&ジェロームジェロームのコミカルなステージ・アクトは「ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲」で観られます。
紹介記事【2018.02.17】
バニシング IN TURBO [DVD]
バニシング IN TURBO [DVD] (JUGEMレビュー »)

原題は「Grand Thieft Auto」、だけど「バニシングIN60」的な「車泥棒」ムービーではありません。
ラスベガスの教会を目指す若い男女vs.父親の配下&マザコン婚約者、「ランナバウト3」のロールスロイスは本作が元ネタだったのね?
カーアクションは'77年なりに頑張ってるけど、見どころはクライマックスの中流生活デモリション位かも…なのに不思議と一味ちがう余韻が残るという点で、低予算映画のお手本かも。
まぁポスター・アートの名匠ジョン・ソリー(John Solie)のインタビューだけでも一見の価値あり、かと。
紹介記事【2018.02.25】
異世界の勇士 (1981年) (徳間文庫)
異世界の勇士 (1981年) (徳間文庫) (JUGEMレビュー »)
高千穂 遙
'79年の異世界召喚ヒロイック・ファンタジーですから、新味がなくても当然。笑
既にフォーマットとしては使い古された感もあるし、本当に異世界で敵を倒すだけの直球展開なのですが。
読みやすい文章でサクサク進むので、色々とベタながら飽きさせません…むしろこのアッサリとした終幕が心地好いな、手垢まみれの物語でも惹き込まれました。
横田順彌による巻末解説も、学生時代の著者や当時のSF事情が伺えて興味深いです。
紹介記事【2018.05.05】
劇場版 天元突破グレンラガン 紅蓮篇、螺巌篇 [レンタル落ち] 全2巻セット [マーケットプレイスDVDセット商品]
劇場版 天元突破グレンラガン 紅蓮篇、螺巌篇 [レンタル落ち] 全2巻セット [マーケットプレイスDVDセット商品] (JUGEMレビュー »)

「紅蓮篇」と「螺厳篇」でTVシリーズを再編集したダイジェスト。
まるで「ザブングル」な、今じゃ珍しい荒唐無稽なロボットアニメ・・・しかし発掘オーバーテクノロジーって「イデオン」かい、しかも「螺厳篇」では馬鹿ガイナックス発動の無限インフレ化に大笑い。
それでいて滅法アツい男泣きアニメというね、中川翔子の力量にも刮目ッ!
「紅蓮篇」紹介記事【2018.06.26】
「螺厳篇」紹介記事【2018.06.27】
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス [レンタル落ち]
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス [レンタル落ち] (JUGEMレビュー »)

マーベル・スタジオ製作の、B級テイストを狙ったアメコミSF映画。
しかし「Mr. blue sky」で掴まれました、80年代だけでなく6〜70年代の通好みな選曲も二度観して納得。
オッサンの方が笑えるネタ満載です、というかエゴの正体って複製人間マモーだけど何故?笑
肌色が青や緑だと人種という意識が馬鹿げてきますね、ただしストーリーはギャグとネタから逆算したような印象も。笑
紹介記事【2018.04.24】
2300年未来への旅 [DVD]
2300年未来への旅 [DVD] (JUGEMレビュー »)

もしも「未来惑星ザルドス」が好きならば観る価値ありそうな、「スターウォーズ」前夜の70年代SF映画です。
まぁ「ザルドス」程の哲学性も見どころもありませんね、後出しなのに。笑
「80日間世界一周」の監督と、ジェリー・ゴールドスミスの音楽でコレは残念だけど……突っ込み所の多さとか、真実は「Don't trust over 30」の否定とか妙なクセが独特です。
紹介記事【2018.01.10】
不思議な少年 (岩波文庫)
不思議な少年 (岩波文庫) (JUGEMレビュー »)
マーク トウェイン
著者を童話作家と思うなかれ、僕の性格に大きな影響を与えた一冊です。
かつて何度となく読み返しましたが、10年以上ぶりに読んでみたら(なんか違う)感が強くて戸惑いました。
でもそれは、既に僕が本書の少年とシンクロしてるって事なのかも。
とはいえ冒頭の“一五九〇年の冬であった。オーストリアは、まだ世界から遠く離れて、眠りこけていた”という一文には心を掴まれますね。
正統なバージョンであるとされる「不思議な少年 第44号」は駄作なので、本書をご一読される事を強くオススメします。
紹介記事【2018.04.07】

最近読んだ本
マーク・トウェイン(著)、大久保博(訳)「ハックルベリ・フィンの冒険」

初版'04年の角川文庫、こちらも「アーサー王宮廷のヤンキー」同様「トウェイン完訳コレクション」の一冊です…子供の頃に読んだ童話絵本をイメージしたら大違いですよ、これまた「アーサー〜」並みの分厚さで読むのが大変でした。笑
「アーサー〜」もそうでしたが、本書を理解するには約120年前のアメリカ南部の教養がないと分かりにくいんですよ…いかにも著者らしい、古き良きアメリカの牧歌的なジュブナイルに見せ掛けた辛辣な社会批判が散りばめられている事は見当が付くのですけど。
そこをナイスフォローしてくれてる、巻末のあとがきを先に読む方が好いかも?

しかしあとがきの追記で、本文中の“黒ん坊”という訳出への言い訳を補足しなきゃならなかったのってさ…やっぱクレームに対する予防線を張っとかないと、またぞろ「ちびくろサンボ」の二の舞になりかねないからなのでしょうねぇ?笑
正直なところ、本書を読むまで「トム・ソーヤの冒険」の大筋と混同してました…こちらは「トム〜」の続編であり、家出したハックが黒人奴隷のジムとミシシッピー川を下っていく途中で様々な出来事に遭遇するロードムービー的な話で。
終盤のエピソードにトムが加わってくるのですが、彼もまた著者の皮肉を体現する側の役とは気の毒な!

トムはハックにとって「ヤンチャの師匠」な筈なのに、やる事なす事どうも的外れに思えて…なんだかスッキリしない幕切れだと思ってたのを、あとがきで解説されて目からウロコ状態。
本書を出版した翌年から書き始めたという「アーサー〜」や、晩年に書かれたとされる「不思議な少年」を読んでいたから強い反骨精神が本書にも潜んでいると予測はしてましたが…むしろ著者自身ヤンキーならぬ「奴隷制時代の現代人」じゃないかと驚くほど現代的な視点の持ち主で、本気で当時の旧態依然とした大衆意識を変えたかったのだと思えてきます。
彼が生きてたら、トランプ政権に絶望しちゃうな。笑

訳者によるあとがきは、本書に仕込まれた著者の真意を種明かししてくれます…南部という定義は“ミシシッピ河とオハイオ川とが合流するところにあるケイロという町”以南を指すそうで、迷信深くリンチに興じる自らを敬虔な善人と信じる南部人をストレートに描いていたら出版直後に猛反発を買っていたでしょう。
いわば南部のエクソダスですが、実は未だに過去の話とは言えないのかも…というのは、先日みた「奇跡の絆」の元になった人物が語った「現代でも密かに奴隷制度が存続している」という話を思い出したからで。
アメリカにも、メディアが流さない恥部はあるのね。

“アメリカ南部では、南北戦争以前、名士はみな「ミスター」の代わりに「大佐」とか「将軍」とか「判事」とかと呼ばれていた”といった南部あるあるや、著者も南部人だからこその“もし本当のリンチが行われるとすれば、それは暗闇のなかで行われるはずだ。南部式にな”といったフレーズは興味深いです…袋叩きにしたペテン師をコールタールに鶏の羽根をまぶして焼き殺すと知ったハックの“良心ってぇものは、分別なんかもってねぇ”という嘆きは「不思議な少年」に通じる著者の悲憤ですね。
どんな人間の皮膚にだって、奴隷の色はついている”とは、シンプルな名言。

追記:下線を引いた言葉に関して、そういえば元ザ・クラッシュジョー・ストラマーが生前「所詮は誰もが下働きなのさ」と言っていたのを思い出しました。
それとWikipedia情報によれば、本書は“アメリカ南北戦争以前の、おそらく1830年代か1840年代頃を舞台としている”そうで、ヘミングウェイら擁護派の声も空しく閲覧制限や自粛の対象となっているそう。


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    | books | 2019.05.22 Wednesday | comments(0) | trackbacks(0) |
    最近読んだ本
    宮城谷昌光「重耳 (上)」

    重い耳と書いて(ちょうじ)、このタイトルで僕は怪奇譚を連想したのですが全然ちがって古代中国を舞台にした歴史小説なのでした。
    初版'93年の講談社刊、全3巻の“書下ろし長編小説”だそうなので中巻と下巻があるのでしょう…でも本書は、図書館の「ご自由に」コーナーに置かれてあったのを持って来たのです。
    自分の読み終えた本を置いて、上巻だけの本書と交換してきたんですね…バラッと見た感じでは少し堅苦しい印象もしましたけど、とりあえず(面白かったら続きは買っても好いか)と思って読み始めたのでした。
    結論としては面白いのですが、続巻を買うかは微妙。

    前に読んだ武侠小説を思わせる、中原に覇を唱える武将たちの痛快活劇…というよりは、やや俯瞰気味に一国の戦況を描いてる感じ?
    といっても表題の主人公が初陣を飾るのは終盤ですし、いわば本書は彼が上がる舞台の地ならし的な内容なので仕方ないのかも…周という国の凋落から東周や晋といった類縁の国々が並び立つ春秋戦国時代へと突入し、曲沃という辺境の地に封ぜられ200年を経た小国の称という主を軸として本書の物語は展開します。
    とはいえ称の息子たる次代君主や重耳の兄2人に関して多くの紙数を割かず、末孫の重耳へとバトン・タッチされていくのですけど。

    まぁ実際、3巻に亘る大河長編ともなれば導入部も長くなろうというものです。
    それと中国の歴史に疎い読者には、武王や成王といった称号(おくり名)の慣習やら周王室との血縁関係など特異な文化や社会構成への前置きが必要ですからね。
    まぁそういう説明をされても話が進むと混乱してきますから、いきなり重耳の活躍から筆を起こされていたら訳が分からなかったでしょうね…というか個人的には、そういったB.C.1,000年頃の中国に関する解説に強く興味を惹かれました。
    逆に言えば、続巻は重耳の活躍が主体で解説はなさそうですし…だったら買う程でもないか、という気が。

    とはいえ話自体も戦国物としては面白いんですよ、ただ主役が登場しても第三者視点から描かれていると歴史絵巻っぽく感じられて。
    周の武王から黄河支流にあった唐の地を与えられた叔虞は晋を建国、約200年後に周が滅亡し東周の建国を助けた晋の文候は西方の覇王となります…次王の昭候は伯父の成師を晋都の翼から南方の曲沃に封じますが、昭候の暗殺から曲沃と晋は敵対し成師の孫である称候の時代へと至ります。
    晋は東周の後援を得てはいたものの、翼の主家は晋室と呼べない有様だったようで…いわば東周の西国に過ぎない晋の内紛が続き、重耳の働きで遂に翼は陥落。

    しかし重耳は三男坊ですから、目立ってしまって2人の兄に疎まれそう…おそらく次巻では曲沃を追われた重耳&忠臣の旅路が描かれるのでしょう、彼の名が初めて記される本文の25ページ末にも“長くつらい流浪のすえに、中国全土に覇をとなえる英主となる”と書かれてありますからね。笑
    一人称視点ではないので重耳に感情移入してハラハラドキドキって感じじゃないし、中原の勢力図が書き換えられていく様子を高みの見物で残り2巻も楽しめるかな?って思うとなぁ…やっぱり続きは知らなくても好いや、もし気になってきたら購入するだろうけど。


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      | books | 2019.05.10 Friday | comments(0) | trackbacks(0) |
      最近読んだ本
      小原猛「琉球奇譚 シマクサラシの夜」

      石垣島に行くのに持ってく本として、ちょっとどうなのかな?…とは思ってましたが、結局「フライト乗り遅れ」があったりもして到着前に読み終えてました。
      内容については書題のとおり“奇譚”ですので、おどろおどろしさは控えめです…怖いというより不思議だったり哀しかったり、あとは薄気味悪かったり程度。
      でもそれが、個人的には好い案配なのです…ノロとかウタキとか、内地の人間にしては特殊な設定が当然の物として描かれるのもね。
      基本的に聞き書きスタイルで、スマホが出てくる近年の話もあれば戦時中の話もあり…どの話も、語り口に温かみが感じられました。

      表題のシマクサラシとは“集落に一種の結界を張る行事”で、別に島腐らしではなく戦前は疫病を防ぐ意味で行われていたのだそう。
      屠った牛から4つのシマクサラシの骨を作り、住民は集落のウタキすべてを拝みシマクサラシの骨は集落の四方に注連縄のように吊り下げられ…しかし準備の負担感とノロの不在から廃れ始め、若い世代が不衛生かつ野蛮な習慣と嫌うようになって“どの地域の集落でも、いつの間にか行われなくなってしまった”とか。
      神人のお告げにより復活した行事から連載する展開の意外さ、拝所で見付かった犬神の呪いと役所が潰した古墓との因果関係も不明。

      古墓の供養祭を執行してウタキの連続不審死は止まるも、姿なき野犬の吠え声と不審死した亡霊たちの目撃例は解決出来ぬまま…どの話も全容が解明される事はないですし、非常に想像の余地ありまくりなので合わない人は本当にダメかも。
      でも僕は、むしろこういう話が好きなんです…著者が移住して間もない30年以上前に遭遇した神ダーリやカンカカリャ(神憑り)の人たち、本編にも描かれるユタの家に伝わるブトキという呪人形とイチジャマ(生霊)にまつわる一連の出来事には畏れの感覚を呼び覚まさせる何かがあります。
      それにしても、ムシヌムン(虫の物)とは蟲毒ですな。

      他に、個人的に印象深かった話は「崖から飛び込む」と「人知れず、こんなところに」ですね…全34話、アッサリと語られる話からディテールの細かい話までバリエーション豊富です。
      そして“キーブルダッチャー(鳥肌)!”とか“アキサミヨー(信じられない)”“アッキサミヨー(なんてこと)”“アギジャビヨー!(なんてこった!)”といった独特な驚愕表現には、勝手ながら緊迫感のない間のユルさを感じてしまいましたよ…と、こうして記事をしたためているのは石垣島の寝静まったゲストハウス午後11時なのですが。
      あ、今オーナーが出て来て妙にホッとしました。笑


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        | books | 2019.05.02 Thursday | comments(0) | trackbacks(0) |
        最近読んだ本
        片岡義男「波乗りの島」

        本書は僕が初めて手にした著者の小説であり、著者の初期短編集でもあります。
        初版'80年の角川文庫で、'初出年代順に74〜'78年の5編が収録されています。
        表紙カバーと巻頭ページの写真は佐藤秀明だったんですね、ずっと浅井慎平とばかり思っていました…後述しますが、巻末に著者と佐藤の対談も収録してます。
        かなり前から読み返したくて探してましたが、何故か高騰してまして…ようやく安く出品されていたので購入したものの、かつて読んだ時に感じた読み辛さは相変わらずで慣れるまで時間が掛かってしまいました。
        だけど、やっぱり読み返す価値はあった気がします。

        本書は、ハワイイに住むバリー・カネシロという青年サーファーを主人公にした連作短編集です…彼はサーフ・レジェンドのラリー・デイヴィスの仕事を手伝い、言うなれば波乗り三昧の日々を送っているのです。
        著者の処女作でもある「白い波の荒野へ」は、サーフ・ムービーのラッシュ上映シーンから始まります。
        上司というより先輩のようなラリーと、同僚というか波乗り仲間のジェニファーとバリーが見つめる奇跡的な波のシークエンス…その微に入り細を穿つような描写は、次第に文字を追うのが苦痛に感じられました。
        スローで水の動きを再生し、逐一説明されるようで。

        千葉の海でボディボードを経験したからって偉そうな事は言えませんけど、まったく想像が付かないという訳ではないのです…ただ、著者自身が目撃したのであろう波の魅力を余す所なく記そうとする情熱が上滑りしている印象を受けます。
        僕も自分の感動的な体験を文章にしようとして、無闇にくだくだしくなる時が多々あるので…そうした気持ちは非常に伝わってきますが、同時に凝縮した時間に息苦しさも覚えるのです。
        もちろん、それは過去に読んだ時には感じ取れませんでした…当時は畳み掛けてくる活字の波を、ひたすら想像力を駆使して乗り越えて行っていたのですから。

        13歳の僕はウエストコーストに憧れながら、サーフィンといえばビーチ・ボーイズ程度の認識しかありませんでした…奇跡の波の到来を何故エマニュエルは予言し得たのか、サーフ・サファリという病気が本当にあるのかもチンプンカンプンで。
        (長くなったので分けます)


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          | books | 2019.04.24 Wednesday | comments(0) | trackbacks(0) |
          最近読んだ本
          「ジルオール 完全攻略マニュアル」
          「ジルオール キャラクターズ白書」

          はい、最近またハマってるPSソフト「ジルオール」の攻略本と副読書です。
          「完全攻略マニュアル」の初版は'99年で「キャラクターズ白書」は'00年、監修はゲーム本編を制作したTEAM INFINITEで出版元は光栄…ゲーム自体はコーエー表記なんですけど、まだ会社名は漢字だったのね?
          先ずは「完全〜」で、久々にプレイしたゲームについて色々と確認がてら…「旅立ちの章」はソフトの解説書を詳しくしたような、要は世界設定とシステム面の説明なので本書のメインは「冒険の章」になります。
          エンディングに絡むキャラクターの紹介と人物相関図、イベント解説&マップ。

          イベントは『歴史事件』『主人公別スタート』にラストバトルまでの各種イベント『人・その他』と“全部で24通り”と記しつつ何故か23パターンの『エンディング』をカラー画像付きで紹介、マップは町もダンジョンも基本的にエリア名と宝箱の有無の配置図のみで画像は単色かつサムネイル並みに小さいオマケ。笑
          コラム『種族間の交流』『伝説の神々たち』はともかく『フェイレイインタビュー』はED歌手の宣伝です、明らかにゲーム眼中なしの素直さが正直で好印象。
          「知識の章」は各種データを掲載、特に各ソウル習得条件と種族別モンスターデータは知らないと損かも。

          ソウル習得条件ポイント、ネガヴァニティアのKindとアムドゥシアスのWildは「5以下」だったのかぁ…「8以下」だと思ってたんだけど、無限版と違うとは!
          モンスターに関しては出現地が掲載されてる点が無限版の攻略本(「コンプリートガイド」上巻)より細かいかな、しかしリッチはLv.15でHP=847だったのか(無限版ではHP=1524)…って、よく読んだら“プレイヤーのレベルの約3分の1に相当する”らしいので平均レベル60だったらLv.20なのか?
          じゃあ仮にプレイヤーがLv.99だったら敵は皆Lv.33って事か、それより無限版はリッチのデバフ耐性高いし強ザコが全般的にHP含めステータス上がってるかも。

          次に「キャラクターズ〜」ですが、こちらは口絵からして末弥純じゃない…本文イラストもテイスト違うし、ちょい騙された感が。笑
          第一章「キャラクターガイド」は14名を純正かつ見開きで紹介、39名は顔グラのみで1ページに4名ずつ…更に主要な脇キャラは1ページに8名、そして偽絵で約10名とザックリ。
          第二章「神話体系」は創世神話とその解説で、バイアシオン大陸の神々については無限版「始原口伝」よりも記述が長め…第三章「ジルオールの世界」は各種族や社会構成、文化などへの考察で無限版「始原口伝」とも被りますが個人的には本書の方が楽しめました。

          第四章「冒険をもっと楽しむために」のキャラメイキング指南、戦士なら1月3日か29日生まれの男性で魔法使いなら7月8日か24日生まれの女性がベストだそう。
          「バイアシオンの歩き方」は無限版「始原口伝」タウンガイドに劣るけど、無印版の最重要情報「エンディング発生条件」は必見かも…24番目のEDはネメア&オイフェだったのね、あと「ダルケニスとなったレムオンに会うには?」も無印版を攻略する上で重要。
          箸休め的な坂本麻美の「ジルオール4コマ劇場」も、こういう本と割り切れば。笑
          それと開発者アンケートね、無限版「究極攻略」のと読み比べてみたりして。
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            | books | 2019.04.17 Wednesday | comments(0) | trackbacks(0) |
            最近読んだ本
            ジーン・ウルフ(著)、岡部宏之(訳)「警士の剣〔新しい太陽の書3〕」

            再読です、前巻までの旅も終わって渓谷の要塞都市スラックスからの再開です。
            いきなり愛するドルカスの心が離れていく不安に苛まれ、断腸の思いで彼女の意志を尊重するセヴェリアン…そして彼もセクラの時と同じ轍を踏み、追われるようにして放浪の身となり。
            執拗に命を狙うアギアの追撃、おぞましい怪獣アルザポとの襲来や原住民との戦い…せっかく旅連れとなった幼い少年を亡くすわ双頭の巨人テュポーンに捕らわれるわ、終いには湖畔の城塞で思いがけない人物と皮肉な再会を果たした末に愛剣と鉤爪をも失くす始末。
            彼が取り戻したのは、鉤爪の中にあった欠片のみ。

            師匠から授かった剣は、セヴェリアンが幼少から過ごした拷問ギルドで修得した技術に欠かせない特殊な構造でした…つまり彼は、自身のアイデンティティを喪失してしまったのです。
            もはや執行者ではなくなってしまった彼が、次巻でどうなるか…かなり忘れてしまってますが、やや性急に畳んじゃったような気も。
            1巻から始まった旅が2巻で終わり、この3巻では何者でもなくなる事が次の最終巻へと繋がっていくとしても…前2巻に比べればメタ的な仕込みも少なく、情報量が抑えられてる分だけ読みやすいというか物語世界に没入しやすいですね。
            って、見落としてるかな?

            ところで前回、宮脇孝雄なる翻訳家による巻末解説「記憶の人セヴェリアン」に書かれていた“古代キリスト教世界最大の神学者”アイグスティヌスの数奇な人生に興味を惹かれましたが…今回は彼の著書にある“時間は神の被造物が存在する場所に固有のもので、人間の記憶と大いなる関係がある”という概念は、非常に先見性が高かったと今更ながら驚かされました。
            逆に言うなら記憶とは時間であり「記憶の追記や上書きによって時間も変容し得る」という認識は、セヴェリアンに設定された完全記憶という感覚を理解する以上の知的スリルを気付かせてくれる感じがしました。


            〈新しい太陽の書〉関連記事:
            「拷問者の影〔新しい太陽の書1〕」| 2017.01.15
            「調停者の鉤爪〔新しい太陽の書2〕」| 2017.01.21
            「警士の剣〔新しい太陽の書3〕」| 2017.03.05
            「独裁者の城塞〔新しい太陽の書4〕」| 2017.03.26
            「新しい太陽のウールス」| 2017.04.05
            「拷問者の影〔新しい太陽の書1〕」(再読)| 2017.04.22
            「調停者の鉤爪〔新しい太陽の書2〕」(再読)| 2018.03.13
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              | books | 2019.04.07 Sunday | comments(0) | trackbacks(0) |
              最近読んだ本
              篠田節子「ルーティーン」

              この文庫の装幀というかカバーはインパクトがあるなー、鯨幕というかVIVA YOUみたいな白と黒の縞模様。
              副題に「篠田節子SF短編ベスト」とあるけど、どんな類いのSFなのかがまったくイメージ出来ないし。
              という訳で、純粋に装幀パワーだけで借りてみた本書…初版'13年のハヤカワ文庫、10編とエッセイ&インタビュウ各1編を収録。
              初出は'93〜08年で表題作は書き下ろし、如何にもSFな作品から(どこがSFなの?)という作品まで予想外に濃いめの味わいが。
              巻末解説によると、著者は20余年のキャリアを持ち一般にはジャンル横断作家と認識されているそうで。

              「子羊」は清らかな世界の“神の子”M24と外界から招かれた汚ならしい笛吹きの交流を描き、鍛練を要する音色により無垢な肉体と魂に芽生えた自我が楽園の真実を受け入れるお話。
              「世紀頭の病」は旧コギャル世代に蔓延する謎の老化症から始まるハチャハチャSF悲喜劇、あの頃の筒井康隆みたいなオチも傑作!
              「コヨーテは月に落ちる」は終末願望を刺激する不条理劇、再開発された埋め立て地のイメージは非常に共感…キャリアウーマンの描写には、著書の来歴が反映されていそうな印象も。
              「緋の襦袢」は非SF、ケースワーカーと老婆の軽い住居ホラーという感じ。

              「恨み祓い師」もSFじゃなくオカルト風味、序盤の昭和ジェンダー恨み節は女性作家ならでは…というか「緋の襦袢」といい先日の近未来SF集で読んだ人?と思ったけど、共通してたのは老化社会と女性だけで完結してるという点かな。
              「ソリスト」も非SFでコンサート会場の一幕物、ロシアの天才ピアニストにヤキモキさせられる流れから唐突に放り込まれる歴史の闇…如何にもオソロシア、著書の博識にもビックリ。
              収録作では最古の「沼うつぼ」は、言わば(昭和の土着的「老人と海」)か…男の歪んだ心情を簡潔に描く力量と、張り詰めた描写に反した読みやすさは見事。

              「まれびとの季節」はアジア辺境の島を舞台にした新旧の宗教対立、古風な倫理観に埋没させられる感覚に心地好く酔いながらも熱帯の悲しみに浸れました。
              「人格再編」は超高齢化+正論社会の果てに出現する臨場感あふれる近未来を、高度医療に翻弄される医師を通じて描くブラックユーモアSF…因業婆が一転して最貧国へ行く件(くだり)で大笑い、格家族化の功罪では我が意を得たりとも。
              そして表題作、東日本大震災を思わせる出来事にキャリアを捨てた男の意識が生々しいな…ユーミン「気ままな朝帰り」をネガポジ逆転させた、自由気儘な20年を経て覗き込む眼差し!

              恥ずかしながら今まで著書を名前すら知らなかったので、ボーナストラック的なインタビュウで著書を知るという構成は有り難かったな…より正確に言うならライブのメンバー紹介的な?芝居の後で緞帳前に並ぶような?アニメとかのエンディングでキャラが挨拶するみたいな?って、何か違うけどそんな感じがして。笑
              インタビュアーの山岸真や同席の大森望といった大御所(?)との対話も面白かったし、SF研究家という牧眞司(牧伸二じゃないよ)という本書を出版した編者の熱い語りにも好感。
              まさしくベスト盤っぽい著書の入門書ですね、内容もですが絶妙なまとめ方で。
              篠田節子「ルーティーン」(←左クリックで拡大表示されます)


              以下、個人的メモ。
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                | books | 2019.03.26 Tuesday | comments(0) | trackbacks(0) |
                最近読んだ本
                CB'S PROJECT「ファイナルファンタジーXIIのあるきかた」

                本書はPS2ソフトの同名タイトルやり込み本で、少し前に読んだ「エクソダスギルティ ワールドガイダンス」「スターオーシャン Till the End of Timeのあるきかた」と一緒に買っていたのですが…まぁ読みかけの本は沢山あったし、とりあえずゲーム本編をクリアしてからにしようと後回しにしておりました。
                で本書、面白いです!…このシリーズって、出来不出来はゲームソフト次第なんだと感じさせられますね。
                今まで読んだ中では、最初の「DQ5」版より面白いかも?…といいますか、先日読んだ「SO3」版がイマイチだったのも仕方なかった気がしてきました。笑

                いやゲーム自体は面白いんですよ「SO3」も、ただ比べてしまうと作りとして掘り下げる余地はないというか…まぁ別の惑星だからステージが区切られている点は「ローグギャラクシー」とも共通してる訳ですが、オマケ要素では「ローグ〜」に劣るし仕様自体がアクション寄りですからね?
                それはともかく、本書の面白さは「FF12」というソフトが如何に良作かを裏書きするような充実ぶりで…モンスター分布から明らかになる生態系やリージョンを跨ぐ種の伝播、天候や風力と植生が各地の気候帯と関連している辺りはゲーム制作の細かい考証ぶりに感心してしまいましたよ。

                “アーシェ王女の突撃天気予報”や“世界まるみえハントカタログ”など章題からして楽しんでる感じだし、ガンビットで仲間同士のガチンコ勝負とかゲスト1人や召喚獣1柱にバトル丸投げ実況には大笑いです。
                それぞれの性格と武器の組み合わせで変わるモーション一覧や決めポーズに表れる人間関係、モブ依頼人ウォッチングやモグシー屋などNPCのガンビット予測など編集スタッフのノリと情熱が伝わってきますね。
                というかシリーズ恒例の観光ガイド&歩数計測もだけど、今回の「ライセンスボードでお絵描き」とか「ゲートクリスタル登録順で縦読み」はアホ発想だわ!笑

                各種武器の特性や技を活かした戦術や「うたたねガンビット」術はバトルの幅を拡げてくれますし、召喚獣や地名の由来から考察する歴史や交易品の流通網でイヴァリース世界の深みをイメージさせてくれますね。
                ただし無印版に基づいているので後発の「Z.J.S.」や「T.Z.A.」といったインターナショナル版では通じない部分もありますが、読んでる分には楽しめます。
                実際にゲームをプレイして感じた以上に良ゲーである事を教えてくれる本書は逆に、楽しみ方に豊富なバリエーションが仕込まれているからこそ考察もやり込みもユニークなアプローチが可能だったのでしょうな。


                〈CB'S PROJECT〉関連記事:
                【最近読んだ本】「ドラゴンクエストVのあるきかた」| 2011.03.04
                【最近読んだ本】「ローグギャラクシーのあるきかた」| 2017.08.23
                【最近読んだ本】塩田信之 & CB's PROJECT(編)「エクソダスギルティー ワールドガイダンス」| 2018.11.03
                【最近読んだ本】「スターオーシャン Till the End of Timeのあるきかた」| 2019.02.10
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                  | books | 2019.03.19 Tuesday | comments(0) | trackbacks(0) |
                  最近読んだ本
                  コリン・ウィルソン(著)、中村保男(訳)「宇宙ヴァンパイアー」

                  久しぶりに行った図書館で、この中途半端な古臭さを漂わす題名の背表紙に敢えて手を伸ばしたのは何故か…勿論(この“C・ウィルソン”って?)という意外さもありますし、わざわざタイトルの隣に割り込ませた“村上柴田翻訳堂”の文字にまんまと引っ掛かったというのも確かに大きい。
                  でもやっぱり「宇宙」と「ヴァンパイアー」ですよ、まぁ原題どおり「スペース〜」にしちゃうと(B級映画のノベライズ?)って感じだけどさ…また「バンパイヤ」じゃない、妙に背負ってる感がいやらしくて。
                  表紙カバーも意味深長な淫靡さを醸し出してるし、どうにも気になるじゃない?

                  C・ウィルソンは案の定コリン、少年時代「ムー」読者だった僕が大人になって再びオカルトに惹かれるようになった契機が彼の著書だったのです…ネッシーやポルターガイストといった数々の不可思議な情報を、著者自身が取材と検証で白黒付ける内容の本でした。
                  そのタイトルは失念しましたが、盲信でも否定でもなくフラットな視点で書かれていた事が印象強くて…その後オカルト本で名前は度々見掛けたものの、他の著書には出会う機会がなく。
                  こうして忘れた頃に再会した訳です、しかも突飛な題名の空想小説という形で。
                  しかも、よりによって「村上柴田〜」の冠付きで!笑

                  村上春樹柴田元幸が選んだ作品を新訳・復刊する”と謳ってる「村上柴田〜」、翻訳者が別人なのはリマスタリング版だからなのか…'76年の原著を翌年に邦訳した新潮文庫を“著作権者の了解を得て表現や誤記は適宜修正した”のが初版'16年の本書というね。
                  村上×柴田の両名による巻末の【解説セッション】によると、村上が学生時代に“一世を風靡した作家”として“小説で読みやすい”本書を復刊候補に挙げたのに…村上本人が妙に持ち下げてるんですよ、まるで(昔からジャンクフードってキライなんだけどさ、たまーに食いたくなるじゃん?)的な低レベル称賛ぶり。

                  まぁ内輪のノリで話した感じはありましたけど、活字になると著書への憐れむような評価が(春樹ヤな奴)って感じで…だけど僕は好きです、オチが今イチでも。
                  破壊された地球外文明の巨大宇宙船から、人類に酷似した死骸を地上に持ち帰った事で始まる連続殺人…未来のロンドンとスウェーデン北部ストラーヴァンを舞台に、生き血ではなく活力を吸い取る宇宙生命体の謎を推理し追い詰めて行く主人公の顛末や如何に?というのが物語の骨子ですが。
                  ドラキュラ伝承からパンスペルミア仮説へ、そして「聖なる予言」のコントロール・ドラマを思わせる生命力の贈与収奪も織り込み。

                  最後は宇宙生命体に決着を付ける思いもよらない展開から、生命力の循環という不老と若返りの可能性に至っちゃうこの荒唐無稽な説得力ね…いや説得力を感じるのは僕ぐらいかもしれませんが、コントロール・ドラマを超えた先に有り得るのでは?と思えてきます。
                  著書は本来、思想家であって小説家ではないのだそうで…確かに専業のストーリー・テリングには及ばない気もしますが、その粗っぽさも含めて好いのですよ。
                  読み終えてみると、この表紙カバーの妖しげな雰囲気が妙にマッチしていると思えてきますね…まぁクセが強い内容ですから、万人にオススメではありません。
                  宇宙ヴァンパイアー(←左クリックで拡大表示されます)


                  〈中村保男〉関連記事:
                  【最近読んだ本】フレドリック・ブラウン「まっ白な嘘」| 2013.05.24

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                  【最近読んだ本】レイモンド・カーヴァー「大聖堂」| 2008.04.21
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                  〈柴田元幸〉関連記事:
                  【最近読んだ本】ポール・オースター「リヴァイアサン」| 2008.01.23
                  【最近読んだ本】柴田元幸・編「どこにもない国」| 2008.03.27
                  【最近読んだ本】エドワード・ゴーリー「題のない本」| 2012.12.13
                  【最近読んだ本】エドワード・ゴーリー「華々しき鼻血」| 2012.12.16
                  【最近読んだ本】ポール・オースター「リヴァイアサン」(再読)| 2014.07.31
                  【最近読んだ本】ポール・オースター「ミスター・ヴァーティゴ」| 2014.07.31
                  【最近読んだ本】チャールズ・シミック「コーネルの箱」| 2014.10.05
                  【最近読んだ本】バリー・ユアグロー「憑かれた旅人」| 2015.03.01


                  以下、個人的メモ。
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                    | books | 2019.03.06 Wednesday | comments(0) | trackbacks(0) |
                    最近読んだ本
                    CB'S PROJECT「スターオーシャン Till the End of Timeのあるきかた」

                    言うまでもありませんが、本書はPS2のRPGゲームソフト「スターオーシャン3 Till the End of Time」のやり込み本です…ちょっと前に著者名で検索して「エクソダスギルティ ワールドガイダンス」を買った時に同時購入したんですけど、その時は読むのを後回しにしていたのです。
                    だけどゲーム本編も終盤までプレイして、あまりのフリーズ多発に萎えちゃったのでね…読んだらまたプレイしたくなるんじゃないかと、読んでみた次第です。
                    結論から言ってしまうと、本書を読んでもモチ上がりませんでした…といいますか、過去の「あるきかた」シリーズ程じゃない感じ?

                    いや確かに本書でも目からウロコの充実したやり込み記事は読み応えあるんですがね、やはりフリーズが頻発した時のガックリ感を凌駕するには至りません。笑
                    特にバトルに関しては、アクション要素の強い慌ただしさ+シミュレーション的な事前の設定で成立してるので手が出せないというか…オートバトル状態の最中に手動で介入する勝手が、今イチよく分からなくて。
                    バトル以外では、アイテム関連はPARの秘技コードで何でも買えるし合成にも困ってないし…ネタ記事も意外ってより(分かるわー)な感じでしたね、ただフィールドの全体図やエリア間の位置関係は役立ちそう。


                    関連記事:
                    【最近読んだ本】北原尚彦「スターオーシャン Till the End of Time」Side4 Final| 2011.10.11

                    〈CB'S PROJECT〉関連記事:
                    【最近読んだ本】「ドラゴンクエストVのあるきかた」| 2011.03.04
                    【最近読んだ本】「ローグギャラクシーのあるきかた」| 2017.08.23
                    【最近読んだ本】塩田信之 & CB's PROJECT(編)「エクソダスギルティー ワールドガイダンス」| 2018.11.03
                    【最近読んだ本】「ファイナルファンタジーXIIのあるきかた」| 2019.03.19
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                      | books | 2019.02.10 Sunday | comments(0) | trackbacks(0) |




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