素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店 [DVD]
素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店 [DVD] (JUGEMレビュー »)

人生に飽きた大富豪が終活代理店で運命の女性と出会う、という微妙に古臭いプロットに敢えて挑んだ'15年のベルギーと他国の合作映画。
2人が波打ち際で踊るエンドロールに「その男ゾルバ」を連想しましたが、内容は奇想天外なライト・コメディです。
エロもグロも観せずに全年齢での観賞に耐え得る映画です、ヨーロッパ映画らしい上品な笑いで無難にオススメです。笑
紹介記事【2018.07.04】
酔拳 (ドランク・モンキー) [DVD]
酔拳 (ドランク・モンキー) [DVD] (JUGEMレビュー »)

僕にとって(ジャッキー・チェンといえば!)の1本です、「蛇拳」などと同時代ながら、仇討ちなしの明るいストーリー。
しかも赤鼻爺さんユエン・シャオティエンにお調子者ディーン・セキ、凄腕の悪党にウォン・チェン・リーと役者も好いし。
“手は戸を探り 足は戸を破る”とか漢詩っぽく意味あり気だけど訳が分からないフレーズが個人的にツボりました。笑
紹介記事【2018.10.27】
リュミエール! [DVD]
リュミエール! [DVD] (JUGEMレビュー »)

リュミエール協会は1896年より世界各地にスタッフを派遣して最初期の短編動画シネマトグラフを撮影しており、その1割にも充たない108作品を選りすぐって編集した貴重な記録映像集です。
日本語ナレーションは立川志らくによる噺家口調、弁士がわりに的な発案でしょうが好き好きでしょうな。
基本的な映画の手法が早くも完成されていた事に驚かされ、優れた情報媒体であり大衆娯楽でもある動画の偉大さを実感。
現代では一個人の投稿動画が社会を変革し得るまでになった、双方向的な映像の未来を考えてみたりも。
紹介記事【2018.08.11】
光速シスター
光速シスター (JUGEMレビュー »)
星里もちる
好きが高じて往年のドラマ専門チャンネルに勤務する主人公、いわゆる聖地巡礼から帰ると妹が!?
某掲示板のオカルトスレ先取りですか、まぁ連載当時は聖地巡礼なんて言い方もしなかったけれど。
妹の正体は宇宙人、姿を偽装+主人公の記憶を書き換えて居候って!
昔のドラマや特撮へのオマージュを盛り込んだ、作者の趣味全開っぷりと間の取り方が絶妙に可笑しいです。
そして最後は作者に泣かされました、好い意味で。
紹介記事【2018.07.26】
李白の月
李白の月 (JUGEMレビュー »)
南 伸坊
本書から教わった志怪の妙味は、怪談に惹かれる僕の指向を明瞭にしてくれました。
恐怖や怨念じゃないしホラーでもない、不思議の一言では片付かないポッカリとした空白を独特の文体で説明してくれるのですが。
明治大正期の文豪が、かつて日本文学のフォーマットに合わせようとして整理しちゃった翻訳にはない妙味が味わえる筈。
紹介記事【2018.08.04】【2013.07.01】
月光浴音楽
月光浴音楽 (JUGEMレビュー »)
ナカダサトル with FIELD ORCHESTRA
虫の音とか波の音なんかが7トラック、1時間ちょっと続いてる自然音だけのCDです。
本作のポイントは、途中で聴こえるディジュリドゥみたいな謎の低音ですね……聴いてる分に害はないのですが、その場にいるような臨場感に(何の音なんだろう)と聴き入ってる内に爆睡。笑
紹介記事【2018.11.16】【2010.10.20】
遥かな町へ [DVD]
遥かな町へ [DVD] (JUGEMレビュー »)

谷口ジローの同名漫画を実写映画化、だけど何故だかベルギー/フランス/ドイツの合作映画…そして何故かDVD制作は鳥取市?
舞台はフランスの田舎町、帰省した初老のバンドデシネ作家が14歳の運命的な時へとタイムスリップ。
体は少年、心はオッサンて「リライフ」もビックリの振り幅だな!
だけども胸が切なくなるのは、どんな大人の心にも子供だった頃の傷が残っているからなのでしょう。
紹介記事【2018.07.03】
アデライン、100年目の恋 [DVD]
アデライン、100年目の恋 [DVD] (JUGEMレビュー »)

しばらく個人的にハマっている不老不死者というテーマを扱った、麗しきブレイク・ライブリー主演作です。
彼女のコンサバティブなファッションと姿勢の美しさは「隣のヒットマン」のナターシャ・ヘンストリッジを思わせ、チャーミングな表情は深キョン超え!
しかし常人と違うが故に慎重な彼女が恋に落ちたのは、若くて金持ちで慈善家でイケメンで知的でナンパも上手いという胡散臭い程の好青年で……いや、僻みは言うまい。笑
庶民的じゃないラブストーリーが嫌いでなければ、彼女の美しさだけでも。
紹介記事【2018.01.20】
【メーカー特典あり】ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE(オリジナルステッカー付) [DVD]
【メーカー特典あり】ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE(オリジナルステッカー付) [DVD] (JUGEMレビュー »)

台湾のローカル・バスって、高速バスの立派さとは違う魅力があります。
内容はTV番組と一緒です、なので海外とはいえグルメ情報も観光もないのです。
気楽な旅に見せながら、悪天候のアクシデントには同行スタッフの苦労がしのばれます。
個人的にはイイ感じに年増チックなマドンナ、三船美佳にグッときました。笑
紹介記事【2018.10.10】
トウェイン完訳コレクション  アーサー王宮廷のヤンキー (角川文庫)
トウェイン完訳コレクション アーサー王宮廷のヤンキー (角川文庫) (JUGEMレビュー »)
マーク・トウェイン
中学の時に挫折した、文庫本の分厚さと読み辛さも今なら平気!笑
19世紀末のコネチカット・ヤンキーが何故か6世紀のイギリスで大活躍、つまり「読者の現代>130年前の現代>回想の中の現代」と、著者も予期しなかった入れ子構造なのがまた面白いです。
ちなみに、著者と同い年の有名人は“篤姫、小松帯刀、坂本龍馬、福澤諭吉、松平容保、土方歳三”だそう。
トマス・マロリーの古典文学「アーサー王の死」を読んでいる方なら、もっと面白いのでしょう。
「賢者の孫」のネタ元でしょうか、しかし著者の時代を先取した批評精神に脱帽です。
紹介記事【2018.09.28】
ダウンサイズ [DVD]
ダウンサイズ [DVD] (JUGEMレビュー »)

常々「あらゆる地球的問題の根源は過密状態にある」と思っている僕にとっては、興味深い内容でした。
“1950年代、既に研究所は我ら人類にとって最大の脅威は人口の増加にあると確信しておりました…今日我々が直面している災厄、異常気象に食糧危機、更に水質汚染といった危機を予測していたのです”
手のひらサイズになると、1ドルが千ドルの価値に……しかし所詮は実社会の庇護がなければ維持出来ない縮小ライフ、どこか戦前の移民政策や戦後の社会主義国を理想郷と煽った側のニオイも。
法整備が追い付かない状況を好機と見た連中の憎めなさ、悲劇の象徴にされてウンザリなヒロインなどコメディ調ながら重層的な好い物語でした。
込み入ったストーリーを整理した構成力とテンポよい演出、映像美も見事です。
紹介記事【2018.09.23】
グローイング・アップ5 ベイビー・ラブ [DVD]
グローイング・アップ5 ベイビー・ラブ [DVD] (JUGEMレビュー »)

イスラエル版「アメリカン・グラフィティ」、基本は失恋映画で今回はモテ男ボビーの妹がヘタレ主人公ベンジーの恋人に!
安っぽいファッションやショボいレースなど庶民的で微笑ましく、戦後のアメリカが世界に及ぼした影響力が伺えたりも。
チャリポツ野郎ヒューイのジュース「ブフォ!」、はとこのケダモノ娘フリーダ怪演ぶりは見どころ。
DVD自体のちゃちな仕様は謎です。笑
紹介記事【2018.11.22】
FOR YOU (フォー・ユー)
FOR YOU (フォー・ユー) (JUGEMレビュー »)
山下達郎,山下達郎,ALAN O’DAY,吉田美奈子
ファンからすれば(他のアルバムどんだけ知ってんの?)と突っ込まれそうですけど、本作しか知らないんです僕。
でもこれが彼の最高傑作でしょう、収録された楽曲のバランスも鈴木英人のジャケもね。
スライ風ファンク「Hey reporter!」が入ってる統一性のなさが上手く引っ掛かる構成、ただファン向けのボーナストラックが浮いちゃってるんだよなぁ!。
紹介記事【2018.10.13】
レベルE全3巻 完結セット (ジャンプ・コミックス)
レベルE全3巻 完結セット (ジャンプ・コミックス) (JUGEMレビュー »)
冨樫 義博
本作は多分、僕みたいに(作者の名前は見聞きするけどナンボのモンじゃい?)位に思ってる人が読むに相応しい気がします。
鴨川つばめ江口寿史に池上遼一タッチの劇画顔と、分かれば尚更笑えるし有名なのも納得の画力です。
それと秀逸なのは筋の運び方と見せ方ね、ただ人間性は疑うけど!笑
紹介記事【2018.08.16】
スターフォース: 最強の軍団、誕生! (ハヤカワ文庫SF)
スターフォース: 最強の軍団、誕生! (ハヤカワ文庫SF) (JUGEMレビュー »)
B.V. ラーソン
電子書籍として発表されたアメリカ版なろうSF小説、子持ちの大学教授がベタな地球侵略に立ち上がるシリーズの第一作。
意外性あふれる教授の頭脳サバイバルに引き込まれます、ハリウッドが映画化しそうなレベル。
しかし8年経ってもハヤカワ文庫から続きが出ないので、ちょっとオススメしづらいです。笑
紹介記事【2018.08.29】
スターオーシャン3 Till the End of Time
スターオーシャン3 Till the End of Time (JUGEMレビュー »)

ディレクターズ・カット版が出てるようなので、そちらをオススメします。
僕も終盤でメニュー画面を開こうとしてブラックアウトや異音と共に「ディスクからデータを読み込み中です」と表示されたままフリーズでプレイ断念中です。笑
リアルタイム・バトルの忙しさは好みの問題として、城下町などの雰囲気が最高!
中世レベルの惑星に来た主人公がハイテク宇宙人側、という立ち位置はユニークで楽しめました。
紹介記事【2018.07.25】
ドゥービー天国
ドゥービー天国 (JUGEMレビュー »)
ドゥービー・ブラザーズ
若い頃は避けてたドゥービー、ですが名曲「Black water」を収録した本作は通しで聴きたかったのです。
M・マクドナルドのAORカラーが強い後期とは異なる、ブルース+カントリーな旨味と寛いで演奏を楽しんでるバンド感が魅力かと。
70年代ウェストコースト・サウンドを象徴するエッセンス満載で、個人的にはアコースティックの低音が心地好かったな。
紹介記事【2018.09.26】
シチズンフォー スノーデンの暴露 [DVD]
シチズンフォー スノーデンの暴露 [DVD] (JUGEMレビュー »)

国家に逆らえばどうなるか、国家は国民に何を隠しているのか?
かつて一躍時の人となったエドワード・スノーデン氏、時点でも無事に恋人と亡命生活を送れている事を祈ります。
本作の原題は「CITIZEN FOUR」で市民の敵(citizen's foe)ではありません、彼を見るとカナダの白人ラッパーSNOWを連想してしまいますが。笑
本作はドキュメンタリーなので、現場の緊迫した空気は本気(マジ)です。
紹介記事【2018.09.01】
K-PAX 光の旅人 [DVD]
K-PAX 光の旅人 [DVD] (JUGEMレビュー »)

自らを千光年も彼方の「琴座に近い“K−PAX”から来た異星人」という患者ケビン・スペイシーと、精神科医ジェフ・ブリッジスの物語として原作小説にアプローチしてます。
いわば両作が互いを補完しあう関係のようで、ミステリー仕立ての原作を分かりやすく観せてる気もします。
スピリチュアルな観点からも、普通のヒューマンドラマとしても充分に楽しめます。
紹介記事【2018.12.11】
心霊づきあい (MF文庫ダ・ヴィンチ)
心霊づきあい (MF文庫ダ・ヴィンチ) (JUGEMレビュー »)
加門七海
いわゆる心霊体験の豊富な著者が、著名人の“さまざまな「視える」人たち”と語らう企画から生まれた対談集。
巻末には漫画家の山本英夫による著者へのインタビューなど、単行本に追加要素を増やした文庫版です。
大御所的な松谷みよ子稲川淳二の他、TVプロヂューサーにタレントにレスラー議員や海外レポーターなどの“霊的なものへのスタンス”は興味深く読めました。
各インタビューを挟むように前書きと後書きがあって、会話の状況が伝わりやすくなってる構成も僕は好きです。
紹介記事【2018.10.15】
いくぜ!温泉卓球!!
いくぜ!温泉卓球!! (JUGEMレビュー »)

頑張りましたね彩京、ユニークなゲームソフトが出しづらくなったPS2で敢えてこれか!笑
まぁ定価で購入する方は今更いないと思うので、中古プライスなら甥っ子たちとの対戦ゲームに適当かと。
愛ちゃん(当時)が卓球するとは期待しないでください、つかCVも違うし。
この偽カータン、色違いってだけで版権とかクリア出来るの?
ステージ数もキャラも少なめですが操作性は良好で、一応キャラ毎の挙動に違いを持たせてる辺りも好感が。
紹介記事【2018.07.19】

最近読んだ本
ポール・アンダースン(著)、岡部宏之(訳)「百万年の船」2巻

前巻同様、これまた再読です…人類の希少種、不老&ほぼ不死な人々の人生を連作形式にて描く物語です。
巻頭は1221年の平安京が舞台の第八部「女官」、前巻から章数が通しなのは1冊の原書から邦訳版を3分割したせいでしょうか…政変により宮中を追われるオクラは、鎌倉時代より前から生きてきた貴族の暮らしを捨て出家の道を選びます。
第九部「幽霊」は、タタール(モンゴル)人のルーシ侵攻で全滅した1239年のペレヤスラブル(現・リャザン)が舞台です…焦土と化した村で唯一生き延びたヴァルヴァラが、再びスヴァボダとして新たな人生へと立ち上がるまでが描かれます。

第十部「山中にて」はチベットに近い中国の奥地、時代は1570年…リーと名を変えたオクラは、僻村で神として崇められていたトゥ・シャンを訪ねて来ました。
自らの運命を問いながら海を渡って中原を流離ってきた彼女は、遂に不老の同類と出会ったのですが…仙人めいて描かれた新代の彼が明代では悟りへの道を外れ、生き神の座に耽溺している姿は妙に生々しいです。
そして1640年の第十一部「子猫と枢機卿」でジャックことハンノがリシュリュー公爵に接見し、長命人の保護を願い出ます…ルイ十三世の懐刀として働く代わり、公的に同類探し行おうと考えるに至ったのですが。

短い紙数ながら、この慎重な会話劇は手に汗握る思いですね…結果的には時期尚早だったのですが、長命人の中でも本編の主格となるハンノが初めて自ら打って出たエピソードでしたし。
第十二部「最後のまじない」の舞台は白人流入が始まった1710年のアメリカで、干魃を機に平原へと移り住んだ部族は馬と銃による激変にさらされ…パリキ族の襲撃後、不死人と呼ばれる呪術師が村を去ります。
続く第十三部「ひしゃくを追って」は南北戦争直前の1855年、地下鉄組織に加わったオハイオの農夫が逃亡奴隷フローラを匿います…独立戦争を生き延びた彼女の、自由への決死行です。

第十四部「平和主義者」は1872年の西テキサス、開拓小屋を包囲したコマンチ族の中に呪術師の不死人ペレグリーノがいました…顔が利くメキシコ人を雇って彼を訪ねたタラント(ハンノ)でしたが相棒ルーファスは彼らほど短命人にドライになれず開拓者を助けて絶命、遺された長命人同士は再会を約束して別れます。
次は1931年のN.Y.でママ・ロウ(フローラ)とクララ(アリヤット/アテナイース)が出会う第十五部「集合」、更に第十六部「適所」は1938年のアンカラではデイヴィッドことハンノが世界中で出した募集告知に応じたセイガンと面談しますが物別れに終わります。

こうして徐々に長命人が互いの存在を確認し合う中、1942年の第十七部「鋼鉄」ではカーチャ(スヴォボダ)が独ソ戦の激戦地スターリングラード(現ヴォルゴグラード)で戦い続けています…コサック(カザフ)の女スナイパーとして敵陣へ潜入任務、生まれた地域の大国に翻弄される宿命が鋼の魂を鍛えたのでしょうか。
都市の雑踏に紛れた長命人の女性たちは売春業から自立を計り、スヴォボダはルーシの戦乱に抗い続け…いずれにせよ長命人が生き永らえるには選択肢が限られている上に過酷でした、しかも現代になると男女問わず出生や戸籍は管理が厳しくなるのですが果たして?


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    | books | 2019.07.18 Thursday | comments(0) | trackbacks(0) |
    最近読んだ本
    「G・O・D pure 公式ガイドブック」

    PS1のRPGゲームソフト「G・O・D pure」の「ファミ通責任編集のゲーム攻略本」で初版が'98年、僕が初代のプレステ本体を友人から貰ってゲームを始めたのは21世紀になってからだった筈だし本作のソフトも中古で買ったのです。
    本書を買ったのも確かゲームをクリアした後で、以来十数年ぶりにジックリ読み返してしまいました…僕は多分ファミコン世代に属しているのでしょうけど、当時のRPGは二等身デフォルメもドット絵も不満で完全スルーしてたのでした。
    ところが「FF8」の美麗なグラフィックと8等身キャラに圧倒され、そこから見事にハマってしまって。

    いやまぁ初めてプレイしたのが「ときメモ」だった、という事はさておいて。笑
    で、件(くだん)の友人から色々なゲームソフトを借りては遊んでいる内に「アークザラッド」なども遊んでた訳です、それこそパッケージ詐欺の二等身キャラ×ドット絵RPGでしたが。
    ただ買うとなると悩みましたよ、中古で何百円でもね…結果を言えば非常に面白かったんです、RPGの根幹は物語であって見た目は二の次だったと認識させられたのも本作でしたから。
    その後ゲーム類は手放したんですが、本書を目にしたら懐かしくなり…つまり攻略目当てじゃなく、余韻に浸るために買ったのです。

    先ず巻頭にゲームソフトの製作総指揮/脚本/演出を担当した「第三舞台」の鴻上尚史(こうがみしょうじ)からの「これから『G・O・D pure』をプレイするあなたへ」と題したメッセージ文が掲載されていて、5年がかりで完成させた作品への熱い思いが綴られているのですが…久しぶりに読み返して、かつてプレイした頃の(ゲームで感動する)という貴重な体験が胸の中によみがえってきましたよ。
    実際のところ江川達也によるキャラ絵は本編プレイ中で一度も拝めません、まさに典型的なパッケージ詐欺でした…というか、本書のイラストで初めて見て驚いたような記憶があります。

    始まりの町もちゃちなマップで(買って損した)感を味わい、世紀末カタストロフ展開も今更過ぎて投げ時を探りながら変わり果てた日本各地を巡っていたのに…漂着からのシベリア踏破でビビりまくり、殺伐としたウラジオ駅に凹まされポキン村で人心地ついた辺りで魅了されていたのかも。笑
    マップ紹介を眺めていて、結構(あっ、ここ!)と妙に感慨深くなりましたよ…1度クリアしたっきりなのに、ほとんど忘れていなかったのは自分でも意外です。
    バトルはドラクエ風ながら、魔法代わりのサイコとチャクラが独特で…またNPCとの会話が実は重要なのも、よく練られてたなと。

    「旅は人」というように、物語もまた人なんですね。
    大枠としては「少年が仲間と世界を救う」王道RPGながら、際限なく拡げていった風呂敷が最後の最後に裏返されるような演出は本当に唸らされたものです。
    それとネタバレですが、個人的には「FF7」のエアリスよりも本作の方が衝撃的でしたよ…終盤まで信じられませんでしたから、あとエンディング後にプレイヤーが追い込まれるのも!
    こういう攻略本の楽しみってのも、今や懐古趣味なのかもね…ネット上のRPGと攻略サイトなら別の楽しみ方になるでしょうし、インディーズゲームで出すなら5年もかかりませんし?

    追記:Wikipedia情報によりますと、本作(ゲームソフトの方)は元々「G.O.D 目覚めよと呼ぶ声が聴こえ」というタイトルでスーパーファミコン用として'96年末に発売されたソフトからの移植版だったそう。因みにG.O.Dの意味は“Growth or Devolution”で、デーモン小暮が音楽監修に携わっていたとか。
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      | books | 2019.07.12 Friday | comments(0) | trackbacks(0) |
      最近読んだ本
      フランツ・キュモン(著)、小川英雄(訳)「ミトラの密儀」

      初版'18年の筑摩書房ちくま学芸文庫、ですが駅ナカの書店でパラ見した印象で(新書っぽい文庫か)と思ったら大間違いでした…むしろ「文庫サイズの専門学術書」じゃあないですか、しかも1世紀以上も昔の!
      原書の初版は1899年で、大幅に増補改訂された1923年の第三版を底本として1993年に邦訳された平凡社版は第一巻の第二部「結論」のみ…本書はそこから更に図版を減らしてたのではないかな、大して分厚いくもない割に訳註だけで約1/3位を占めるという濃縮ミトラ100%のプロ仕様。
      いやいや、プロには物足りないのかな…しかし全然、素人向けではありません。

      訳者は著者の直弟子に師事しているだけあって誤訳ゼロ!じゃないかな、よく知らんけど…僕は正直そこまでアカデミックにミトラ教を学びたいとか、その栄枯盛衰を深く掘り下げてみたいとは思ってないのです。
      「キリスト教のクリスマスはミトラ教の儀式が由来」と以前どこかで読んだ事があり、その後「ミトラ教はゾロアスター教の分派である」とも何かで読んだんですね…そして主神ミトラス(ミスラ)はヒンドゥー教の神と同源だとか、そういった断片的な情報を整理してみたくなっただけでして。
      まさか駅ナカで売ってる文庫本で、ここまで専門的な内容だとは予想外でした。

      平凡社版には図版が多かったらしく、それを前提とした箇所は意味不明です…というか基本的に研究者向けの論文なので、基本知識が足りてない僕は儀式の様子や芸術的な装飾の特徴などは今一つピンときません。
      ミトラ崇拝の起源は“ペルシア人の祖先たちがインド人の祖先たちとまだ一つであった遠い昔”だそうで、イランのアフラとヴェーダのヴァルナそれぞれに光の神としてミトラを見ていたらしいです…更に遡れば“隣接する民族”バビロニアのアッカド系やセム系の星辰信仰、また“ヒッタイト人の隣人であるミタンニ人によって前一四世紀頃崇拝されていた”のだとか。

      正義と真実を象徴する太陽神ミトラの権威は、初期ゾロアスター教においては最高神アフラマズダーと並び立つ程でした…やがて神学体系が確立されるに従って軍神の性格を帯びていき、一方では魂の救済を担うようになり“古代ギリシアでよく知られていた唯一のイラン神”としてエーゲ海周辺まで浸透したのでした。
      ペルシア帝国でマズダー教はカルデア人の神学と融合し、ミトラは太陽神シャマシュと同一視されます…アルメニアでは土着信仰やシリアのセム系と習合し、カッパドキアに至った共同体はキリスト教時代も後五世紀まで存続したのだそう。
      長くなるので下段に続く。


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      【最近読んだ本】森野たくみ、松代守弘「古代遺跡」| 2016.06.15
      【最近読んだ本】河野典生、山下洋輔「インド即興旅行」| 2017.02.23
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        | books | 2019.07.04 Thursday | comments(0) | trackbacks(0) |
        最近読んだ本
        ジーン・ウルフ(著)、岡部宏之(訳)「独裁者の城塞〔新しい太陽の書4〕」

        シリーズ最終巻の再読です、前巻ではスラックスを出奔して辿り着いた湖畔の城でバルダンダーズとの再会から対決へと至り…師匠から譲り受けた拷問者の剣を失った上に調停者の鉤爪と呼ばれる宝玉を割ってしまったセヴェリアンが、遂に「独裁者」として王の帰還を果たすまでの物語です。
        大森望による巻末解説によると、著者は“意味のないことは一行も書かない”そうですが…しかし僅かな出番しかない割に伏線でもなく後から名前が挙がる登場人物の多さは、セヴェリアンの完全記憶という設定を強調するためじゃないの?
        必然性を感じないエピソードも結構あるし、未だ謎。

        おそらく普通の感覚で読み流しておいて、ノリだけの理解力で貶す読者は少なくないでしょうね…一度観ただけでは分からない映画と同じで、本書もまた繰り返して読まれるよう緻密に設計された物語の一種である点には僕も同意します。
        ただなぁ、改めて読んでも印象が大きくは変わらない歯応えの強さはどうなんだろう…まぁ一度目で読み込んだ情報量の多さを咀嚼する意味で、二度読み必須という気はしましたけどね?
        そして優れた物語の多面性と多義性は、読み手の心理や知識の変化を映す鏡のように感じる訳で…再読までのスパンが短かったので、今回は今イチなのかも。

        しかし調停者の鉤爪とは一体、何だったのでしょう?
        本書の冒頭でも行き倒れた兵士を再生させますが、実はセヴェリアン自身もまた鉤爪を身に付けて間もない時期にアヴァーンの刺から再生していたのでした。
        彼の旅には2つの目的があり、警士としてスラックスに赴任する旅の次にはペルリーヌ尼僧団に鉤爪を返す事が旅の主目的となります…しかし鉤爪の終着地は彼が拷問者から独裁者を経て調停者へと至る道だったのです、あの執拗なヘトールを従えたアギアでさえもが無意識に旅の御者を演じさせられていたのでしょう。
        そして調停者は、新しい太陽へと旅発ったのでした。
        (長くなったので、続きは下欄にて)


        〈新しい太陽の書〉関連記事:
        「拷問者の影〔新しい太陽の書1〕」| 2017.01.15
        「調停者の鉤爪〔新しい太陽の書2〕」| 2017.01.21
        「警士の剣〔新しい太陽の書3〕」| 2017.03.05
        「独裁者の城塞〔新しい太陽の書4〕」| 2017.03.26
        「新しい太陽のウールス」| 2017.04.05
        「拷問者の影〔新しい太陽の書1〕」(再読)| 2017.04.22
        「調停者の鉤爪〔新しい太陽の書2〕」(再読)| 2018.03.13
        「警士の剣〔新しい太陽の書3〕」(再読)| 2019.04.07
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          | books | 2019.06.28 Friday | comments(0) | trackbacks(0) |
          最近読んだ本
          ニック・ホーンビィ(著)、森田義信(訳)「ハイ・フィデリティ」

          要するにハイファイですよね、とか分かったように言ってみたけど…直訳したら高い忠実性?いやいや普通に音楽用語の再現性でしょ、それとも恋愛の先の事?
          しかし秀逸なデザインの表紙カバーです、男女の横顔を近付けまくって耳と耳でハートの形って…女性弁護士との別れ話が進行中なアラサー+ダメンズ(死語)中古レコード店主という、シット・コムっぽい音楽×恋愛物語そのまんまですが。
          初版'99年の新潮文庫で原書の発表は'95年、ただし僕より年上な著者が作中で挙げるミュージシャンや曲名は60〜90's前半までと幅広く…古いネタは特に、結構マニアックな気が。

          まぁ映画やドラマや玩具なども全般的にネタが6〜70年代メインで、多少なりとも分かれば会話の可笑しみが味わえるでしょう…分からなくても巻末の「ほとんど注解に終始する訳者あとがき」が丁寧にフォローしてくれますし、むしろ訳者の注解コメントで笑っちゃったりも度々しました。
          訳者に恵まれましたね本書、本文に突っ込める訳者の音楽的な理解力があればこそですよ…とはいえ本書も含めた著者3作すべて映画化予定らしく、中でも「About a Boy」は既に劇場公開されたのではないかと。
          勝手ながら、著者近影からの連想でビリー・クリスタルを配役しちゃいますが。

          訳出の上手さは、例えば音楽マニア同士の会話“「すごいじゃないか」彼が何を言っているのか、クソほどもわからない”の一文で伝わるでしょう…そしてレコード中毒者を描写した“彼らは、それまでぱたぱたとレコードを見ていた棚に飽きてしまうと、まったくちがうセクションへすたすた歩いていき、迷いもせずに一枚のレコードをとりだしてカウンターまで持ってくる(中略)そして彼らは突然、欲しくもないものを探して途方もない時間を使ってしまったことに暗澹とする”なんて、著者自身も相当なアレだと伝わる筈です。
          音楽的EDな主人公を描くのに、最適なコンビかと。

          音楽的EDとは何ぞや?
          それは“ハリウッドへ行く前のシーナ・イーストンのよう”だったローラが、DJだった頃のロブにリクエストしたソロモン・バークの「Got to get you off my mind」ですな…なんとそれは“ターンテーブルに乗せると、とたんにフロアから人がいなくなってしまう”曲で、途中でロブがマドンナの「Holiday」をかけたのは“ホメオパシーを信じている人が、それを否定しながらもたまに通常の薬をつかわなければならないのとおなじ”理由からで。
          実際、ソウル界の黒松沙士というか…一聴して吹きましたが、クロージング・ナンバーはこの曲なのです。

          待て待て、僕は何を書いてるんだ?…まぁいいさ、どうせまた読み返す筈だし。
          そうそう、本書の舞台はロンドンなのです…“インドで茶摘み男になってやる”とは、如何にもイギリス流ジョークなのでしょう。
          その英国スタイルに関する“エサに食いついちゃ……ああ、くそったれ”の件は、並行して読んでいる「エンデュミオンと叡智の書」にて改めて記すとして。
          “「下手の考え休むに似たり」って言うでしょ”“あなたは昔とまったくおなじ人よ。靴下だって、何年もたてばあなたより変わるわ”とか、いちいち刺さるよローラ…そっかぁ、僕って結構ロブに近いんだな。笑
          Nick Hornby HIGH FIDELITY(←左クリックで拡大表示されます)


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          以下、個人的メモ
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            | books | 2019.06.23 Sunday | comments(0) | trackbacks(0) |
            最近読んだ本
            池波正太郎「夢の階段」

            初版'96年の新潮文庫で、初期作品9編を収録…著者は時代小説を多く残しましたが、随筆の他に旅行記や画集なども味わい深いのです。
            本書の7編はデビュー作を含む現代小説で巻末の2編だけが時代小説という、ちょっと珍しい短編集であり…しかも全編が本書初収録という訳ですから、池波ファンには堪りませんね。
            まぁ現代小説とはいっても昭和で言えば29〜36年、八尋舜右(しゅんすけ)なる人物の解説によれば“著者三十一歳から三十六歳の間に発表された”そうで…つまり2019年現在からすれば約60年前の、いわば戦後の気配が濃厚に感じられる「現代」なのであります。

            昭和も“四十年代に入ると、ほとんど時代小説一辺倒となる”著者ですが、本書の収録作は“現代小説と時代小説をほぼ半々に”手掛けていた頃に書かれたそうです…しかし“このような初期作品までつぶさに渉猟され(中略)いずれも絶版になることなく常時書店に並べられている”のは確かに驚異的ですし、晩年に執筆された作品と比べても読み味が劣らない点に本書は最も感嘆させられました。
            つまり著者に関しては、いわゆる大物海外ミュージシャンの死後どっと出回る未発表音源みたいに音質や楽曲クオリティを心配する必要などは無用という訳です。
            寧ろ池波文学入門編かと。
            (長くなったので、続きは下欄に)


            〈池波正太郎〉関連記事:
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              | books | 2019.06.15 Saturday | comments(0) | trackbacks(0) |
              最近読んだ本
              桜井進「面白くて眠れなくなる数学」

              初版'17年のPHP文庫、如何にも駅中キオスクに置いてそうですな…まぁ実際そうだったんですがね、でも眠れましたよ電車では。
              別に詰まらない訳ではなく、ただ数学というより雑学的な面白さですね…そして肝心の数学的な面白さに関しては、やっぱり数学者って国語は下手だなぁと。笑
              僕も含めて多くの数学嫌いが思っているだろう事は「数学教師の独り合点」にあると思うんですね、こっちの理解レベルお構い無しで自分は教えた気になっちゃうの…本書もまた難解な概念を噛み砕いて説明する、という点で語り下手です。
              もちろん凡百の数学教師よりは、全然マシですけど。

              特に終盤のグラハム数は、まるで終業間際に畳み掛けられたようで…紙数の都合で駆け足になったか逆に余ったページの埋め草的なオマケだったのか、ギネス認定の“もっとも大きい意味ある数”の話は前半以上に丁寧な解説でなくちゃね。
              ただ、著者が最初に記している“数学は言葉”という主張も確かに重要な問題なんですよね…数式のギリシャ文字は漢字のような機能を持っているし、アルファベットは省略された語源を意識しないと混乱します。
              数学の公式って表計算ソフトのマクロを組むような感じかもね、公式の前提となる概念を理解せずに詰め込んでも応用が利かない訳。

              とはいえ雑学的な意味では面白いです、例えばクレジットカードの暗証番号16桁に隠された“Luhnのアルゴリズム”やAMラジオの周波数(搬送波間隔)は9の倍数とか…「屁の臭いを半分にする→90%を除去!」&「音量を倍に感じる→10倍に!」という「ウェーバー=フェヒナーの法則」、カーナビの精度を保証している相対性理論とか西洋音階はピタゴラスの発見した音律であるとかね。
              1が並ぶ自然数レピュニットや「スーパー計算法」などには、古代人が数秘学に執り憑かれたのも分かる気が…数学者たちと歴史の話や和算の話なども興味深く、切り口って大事ですな。

              A版紙の縦横比が「1対√2(白銀比)」というのは聞き覚えありましたが、先ずA0=1平方メートルと定められて順次小さなサイズが考案されたとは…更にB版の面積は同じ級数のA版と比べて約1.5倍になり、B版の長辺はA版の対角線と等しいそう(等比分割)。
              フランス革命が生んだメートル法から実現した世界共通単位は、国際単位系として現在「長さ(m)」「質量(kg)」「時間(s)」「電流(A)」「熱力学的温度(K)」「物質量(mol)」「光度(cd)」の7つが定められているのだとか…因みに本書には書かれてませんが、未だに英米ではメートル法が民間に浸透してないようで。笑

              そうそう、章題の手書き風フォントのヘタウマ感とサイコロゆるキャラのイラストは上手いですね…やや堅そうな内容を、軟らかめな文章と共に中和してます。

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                | books | 2019.06.11 Tuesday | comments(0) | trackbacks(0) |
                最近読んだ本
                ポール・アンダースン(著)、岡部宏之(訳)「百万年の船 (1)」

                再読です。
                ちょうど読みかけている「ミトラの秘儀」という本に、パンノニアという地名が出てきて本書を思い出したんですが…単に主人公の一人がハンノと名乗っていただけで、時代的には第一部の「トゥーレ」と被っているものの具体的な関連性は見出だせませんでした。笑
                本書に関しては以前の記事にて要点を書いちゃった気もしますが、壮大な歴史の流れを確認するため改めて…個人的には第一部の舞台となる紀元前310年前後の世界が最も印象的です、それは遺跡や文献を通して朧気にしか感じられない往時の空気感が見事に描き出されているからでしょうね。

                第二部「不老不死の桃」にて描かれる西暦19年の古代中国は、新王朝から遠く離れた寒村が舞台なので歴史の隔たりは感じられず寓話的です…最初に次巻から読んだし今回は再読というのもあって驚きはありませんが、もしこの1巻から読み始めていたら第一部とは時間も場所も登場人物も一致しない第二部は衝撃的だったのではないでしょうか。
                そして359年のローマ時代が舞台となる第三部「仲間」は導入部を第一部と同様に船主との会話から始めるばかりでなく、主人公ルーゴが第一部でギリシャ世界の脅威となりつつあったゴール人の国ガリアに移ったハンノだと明かします。

                しかもルーゴ(ハンノ)は手際よく、第一部で遠征したプレタニアに財産の一部を隠しておいたのでした…同じ土地で長く暮らす事を避け、周囲から怪しまれないよう移住に備える生き方を身に付けたという訳です。
                第一部の時点で既に700年近く生きている孤独な不老不死者は、1,300年目にして同じ立場から人々に殺されかけていたルーファスの救助に成功します。
                しかし、続く第四部「パルミラでの死」はイスラム教黎明期の641年を生き延びるアリヤットの物語に…更に第五部「だれも運命を避けることはできない」は、ノルナゲストが語る戦士スタルガトとの思い出話に。

                ミレニアムが迫る998年のノルウェイ(トゥーレ)に戻ってきた、流離いの吟遊詩人ノルナゲスト…ハンノの別名かと思わせて、そう匂わせる描写はありません。
                不老で粗野なスタルガトを説得するゲストでしたが、ルーファスとルーゴのようにはいかず…長命に疲れ死を受け入れたゲストの願いは成就したのでしょうか、その願いが叶えられたようには読めないのですけど。
                というか、様々な神々を信仰する短命人を不老不死者の視点から描写する場面が多々あるのは興味深いですね…特にこの1巻で舞台となる世界のほとんどが一神教的だから、というだけではないような気がします。

                1050年のキイフ(キエフ)に移る第六部「出会い」はスラブ系と思しきスヴォボダが主人公ですが、カドックとルーファスと名乗る二人連れに暴漢から救われます…第三部でブリタニアに去って後300年を経たルーゴことハンノは、キムルー(ウェールズ)を拠点に北欧まで広く旅する貿易商カドックとして彼女に出会いましたが同類とは気付かずに別れてしまうのでした。
                その22年後の1072年、第七部「同類」で遂にカドックはコンスタンティノープル(イスタンブール)でアテナイースを名乗るアリヤットとの接触を果たします。
                2千年に亘った希望はしかし、儚い夢に終わります。

                慎重に慎重を期した接触でしたが、不老不死の女性として生き延びてきたアテナイースにとっては同類の伴侶を得る喜び以上に身バレの恐怖が大きかったのね?
                あるいは彼女がパトロンの高官に秘密を明かし、公的な保護を得ようとして裏目に出たのか…ともあれロシア貿易も潮時と見極めていたカドックたちは窮地を脱しますが、彼の落ち込み様には同情を禁じ得ません。
                逆に、恋に浮かれてたカドック(ハンノ)を諭す野蛮人ルーファスの指摘が冴えてるのもまた気の毒で…とはいえ新ローマ帝国の栄光に対するアテナイースとカドックの温度差には、男女の性差が感じられましたね。


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                  | books | 2019.06.05 Wednesday | comments(0) | trackbacks(0) |
                  最近読んだ本
                  ジョン・コートニー・グリムウッド(著)、嶋田洋一(訳)「サムサーラ・ジャンクション」

                  本書は先日の台湾旅行で読むために買った内の一冊て、最初に読み始めたものの詰まらないので別の本に替えてしまったのでした…まぁ(詰まらない)というのは旅の空気にそぐわなかったのも大きかったと思います、それで帰国してから他に読みかけている本と併読して読み終えたという次第。
                  筋書きはウィリアム・ギブスンの「ニューロマンサー」そっくりで、大きく違うのは仮想空間が出てこない事ぐらい…それでも著者は近年のポスト・サイバーパンク小説家として注目株らしく、賞を取ったりして割と高く評価されてるそう。
                  ですが、少なくとも本書は好みが大きく分かれる筈。

                  メキシコ浮浪児上がりの暗殺者アクスルは枢機卿から政敵殺しを請け負います、無論そこには裏があり…人工知能ツォンカパが支配する治外法圏の難民収容コロニーに半殺し状態で放り込まれ、白銀の飛び猿に転生した意思を持つ銃器の助力を得ながら権謀術数の核心へと迫っていくのです。
                  それこそ「ニューロマンサー」ばりのハードボイルドなテイストながら、やたら血生臭いわ糞尿臭いわエロそうでエロくないわ…丁々発止は生身だし、死なない限りナノテク医療で再生余裕の痛々しさはSFながらやたら五感に訴えます。
                  冷血漢ぶってるアクスルのブレも、妙に生々しくて。

                  強がってるクセに結構なビビりだし、仕事に私情を挟みまくりですが…そんなメンタルで殺し屋稼業が務まるとも思えず、ジワジワと「信用ならない語り手」なんじゃ?と思えてきます。
                  そもそも導入部で暗殺失敗してるアクスルは実質上の捨て駒な訳で、状況先行の巻き込まれ展開に付き合わされる読者としては頼りにならない主人公なのです。
                  世界銀行とIMFと国連とカトリックのズブズブ関係、その権益に合致したチベット仏教AIが建設した宇宙のマニ車と元法王が使い込んだヴァチカン口座…そうした背景も、ラグランジュ点に浮かぶ荒涼とした世界では如何にも夢物語。

                  スペインの娼館から連れ出されたマイと彼女を保護する修道女ケイト、何故かメキシコからサムサーラまで追って来る因縁のエミリオ大佐…ツォンカパの目としてリンポチェ化したコルト・ハイパワーは味方らしいけど、誰がどう動くかは予想が付かない孤立無援。
                  著者は改変未来モノを得意とするようで、本書も同一時間軸のシリーズ最終作だそうですが作中での繋がり感はありませんね…読んでてグイグイ惹き込まれるタイプではないのに、後から再読したくなるのは単にオチが分からなかったからってだけではないんですが。
                  超人でも選ばれし者でもないカッコ悪さ、なのかな?


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                    | books | 2019.05.31 Friday | comments(0) | trackbacks(0) |
                    最近読んだ本
                    マーク・トウェイン(著)、大久保博(訳)「ハックルベリ・フィンの冒険」

                    初版'04年の角川文庫、こちらも「アーサー王宮廷のヤンキー」同様「トウェイン完訳コレクション」の一冊です…子供の頃に読んだ童話絵本をイメージしたら大違いですよ、これまた「アーサー〜」並みの分厚さで読むのが大変でした。笑
                    「アーサー〜」もそうでしたが、本書を理解するには約120年前のアメリカ南部の教養がないと分かりにくいんですよ…いかにも著者らしい、古き良きアメリカの牧歌的なジュブナイルに見せ掛けた辛辣な社会批判が散りばめられている事は見当が付くのですけど。
                    そこをナイスフォローしてくれてる、巻末のあとがきを先に読む方が好いかも?

                    しかしあとがきの追記で、本文中の“黒ん坊”という訳出への言い訳を補足しなきゃならなかったのってさ…やっぱクレームに対する予防線を張っとかないと、またぞろ「ちびくろサンボ」の二の舞になりかねないからなのでしょうねぇ?笑
                    正直なところ、本書を読むまで「トム・ソーヤの冒険」の大筋と混同してました…こちらは「トム〜」の続編であり、家出したハックが黒人奴隷のジムとミシシッピー川を下っていく途中で様々な出来事に遭遇するロードムービー的な話で。
                    終盤のエピソードにトムが加わってくるのですが、彼もまた著者の皮肉を体現する側の役とは気の毒な!

                    トムはハックにとって「ヤンチャの師匠」な筈なのに、やる事なす事どうも的外れに思えて…なんだかスッキリしない幕切れだと思ってたのを、あとがきで解説されて目からウロコ状態。
                    本書を出版した翌年から書き始めたという「アーサー〜」や、晩年に書かれたとされる「不思議な少年」を読んでいたから強い反骨精神が本書にも潜んでいると予測はしてましたが…むしろ著者自身ヤンキーならぬ「奴隷制時代の現代人」じゃないかと驚くほど現代的な視点の持ち主で、本気で当時の旧態依然とした大衆意識を変えたかったのだと思えてきます。
                    彼が生きてたら、トランプ政権に絶望しちゃうな。笑

                    訳者によるあとがきは、本書に仕込まれた著者の真意を種明かししてくれます…南部という定義は“ミシシッピ河とオハイオ川とが合流するところにあるケイロという町”以南を指すそうで、迷信深くリンチに興じる自らを敬虔な善人と信じる南部人をストレートに描いていたら出版直後に猛反発を買っていたでしょう。
                    いわば南部のエクソダスですが、実は未だに過去の話とは言えないのかも…というのは、先日みた「奇跡の絆」の元になった人物が語った「現代でも密かに奴隷制度が存続している」という話を思い出したからで。
                    アメリカにも、メディアが流さない恥部はあるのね。

                    “アメリカ南部では、南北戦争以前、名士はみな「ミスター」の代わりに「大佐」とか「将軍」とか「判事」とかと呼ばれていた”といった南部あるあるや、著者も南部人だからこその“もし本当のリンチが行われるとすれば、それは暗闇のなかで行われるはずだ。南部式にな”といったフレーズは興味深いです…袋叩きにしたペテン師をコールタールに鶏の羽根をまぶして焼き殺すと知ったハックの“良心ってぇものは、分別なんかもってねぇ”という嘆きは「不思議な少年」に通じる著者の悲憤ですね。
                    どんな人間の皮膚にだって、奴隷の色はついている”とは、シンプルな名言。

                    追記:下線を引いた言葉に関して、そういえば元ザ・クラッシュジョー・ストラマーが生前「所詮は誰もが下働きなのさ」と言っていたのを思い出しました。
                    それとWikipedia情報によれば、本書は“アメリカ南北戦争以前の、おそらく1830年代か1840年代頃を舞台としている”そうで、ヘミングウェイら擁護派の声も空しく閲覧制限や自粛の対象となっているそう。


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                      | books | 2019.05.22 Wednesday | comments(0) | trackbacks(0) |




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