素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店 [DVD]
素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店 [DVD] (JUGEMレビュー »)

人生に飽きた大富豪が終活代理店で運命の女性と出会う、という微妙に古臭いプロットに敢えて挑んだ'15年のベルギーと他国の合作映画。
2人が波打ち際で踊るエンドロールに「その男ゾルバ」を連想しましたが、内容は奇想天外なライト・コメディです。
エロもグロも観せずに全年齢での観賞に耐え得る映画です、ヨーロッパ映画らしい上品な笑いで無難にオススメです。笑
紹介記事【2018.07.04】
酔拳 (ドランク・モンキー) [DVD]
酔拳 (ドランク・モンキー) [DVD] (JUGEMレビュー »)

僕にとって(ジャッキー・チェンといえば!)の1本です、「蛇拳」などと同時代ながら、仇討ちなしの明るいストーリー。
しかも赤鼻爺さんユエン・シャオティエンにお調子者ディーン・セキ、凄腕の悪党にウォン・チェン・リーと役者も好いし。
“手は戸を探り 足は戸を破る”とか漢詩っぽく意味あり気だけど訳が分からないフレーズが個人的にツボりました。笑
紹介記事【2018.10.27】
リュミエール! [DVD]
リュミエール! [DVD] (JUGEMレビュー »)

リュミエール協会は1896年より世界各地にスタッフを派遣して最初期の短編動画シネマトグラフを撮影しており、その1割にも充たない108作品を選りすぐって編集した貴重な記録映像集です。
日本語ナレーションは立川志らくによる噺家口調、弁士がわりに的な発案でしょうが好き好きでしょうな。
基本的な映画の手法が早くも完成されていた事に驚かされ、優れた情報媒体であり大衆娯楽でもある動画の偉大さを実感。
現代では一個人の投稿動画が社会を変革し得るまでになった、双方向的な映像の未来を考えてみたりも。
紹介記事【2018.08.11】
光速シスター
光速シスター (JUGEMレビュー »)
星里もちる
好きが高じて往年のドラマ専門チャンネルに勤務する主人公、いわゆる聖地巡礼から帰ると妹が!?
某掲示板のオカルトスレ先取りですか、まぁ連載当時は聖地巡礼なんて言い方もしなかったけれど。
妹の正体は宇宙人、姿を偽装+主人公の記憶を書き換えて居候って!
昔のドラマや特撮へのオマージュを盛り込んだ、作者の趣味全開っぷりと間の取り方が絶妙に可笑しいです。
そして最後は作者に泣かされました、好い意味で。
紹介記事【2018.07.26】
李白の月
李白の月 (JUGEMレビュー »)
南 伸坊
本書から教わった志怪の妙味は、怪談に惹かれる僕の指向を明瞭にしてくれました。
恐怖や怨念じゃないしホラーでもない、不思議の一言では片付かないポッカリとした空白を独特の文体で説明してくれるのですが。
明治大正期の文豪が、かつて日本文学のフォーマットに合わせようとして整理しちゃった翻訳にはない妙味が味わえる筈。
紹介記事【2018.08.04】【2013.07.01】
月光浴音楽
月光浴音楽 (JUGEMレビュー »)
ナカダサトル with FIELD ORCHESTRA
虫の音とか波の音なんかが7トラック、1時間ちょっと続いてる自然音だけのCDです。
本作のポイントは、途中で聴こえるディジュリドゥみたいな謎の低音ですね……聴いてる分に害はないのですが、その場にいるような臨場感に(何の音なんだろう)と聴き入ってる内に爆睡。笑
紹介記事【2018.11.16】【2010.10.20】
遥かな町へ [DVD]
遥かな町へ [DVD] (JUGEMレビュー »)

谷口ジローの同名漫画を実写映画化、だけど何故だかベルギー/フランス/ドイツの合作映画…そして何故かDVD制作は鳥取市?
舞台はフランスの田舎町、帰省した初老のバンドデシネ作家が14歳の運命的な時へとタイムスリップ。
体は少年、心はオッサンて「リライフ」もビックリの振り幅だな!
だけども胸が切なくなるのは、どんな大人の心にも子供だった頃の傷が残っているからなのでしょう。
紹介記事【2018.07.03】
アデライン、100年目の恋 [DVD]
アデライン、100年目の恋 [DVD] (JUGEMレビュー »)

しばらく個人的にハマっている不老不死者というテーマを扱った、麗しきブレイク・ライブリー主演作です。
彼女のコンサバティブなファッションと姿勢の美しさは「隣のヒットマン」のナターシャ・ヘンストリッジを思わせ、チャーミングな表情は深キョン超え!
しかし常人と違うが故に慎重な彼女が恋に落ちたのは、若くて金持ちで慈善家でイケメンで知的でナンパも上手いという胡散臭い程の好青年で……いや、僻みは言うまい。笑
庶民的じゃないラブストーリーが嫌いでなければ、彼女の美しさだけでも。
紹介記事【2018.01.20】
【メーカー特典あり】ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE(オリジナルステッカー付) [DVD]
【メーカー特典あり】ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE(オリジナルステッカー付) [DVD] (JUGEMレビュー »)

台湾のローカル・バスって、高速バスの立派さとは違う魅力があります。
内容はTV番組と一緒です、なので海外とはいえグルメ情報も観光もないのです。
気楽な旅に見せながら、悪天候のアクシデントには同行スタッフの苦労がしのばれます。
個人的にはイイ感じに年増チックなマドンナ、三船美佳にグッときました。笑
紹介記事【2018.10.10】
トウェイン完訳コレクション  アーサー王宮廷のヤンキー (角川文庫)
トウェイン完訳コレクション アーサー王宮廷のヤンキー (角川文庫) (JUGEMレビュー »)
マーク・トウェイン
中学の時に挫折した、文庫本の分厚さと読み辛さも今なら平気!笑
19世紀末のコネチカット・ヤンキーが何故か6世紀のイギリスで大活躍、つまり「読者の現代>130年前の現代>回想の中の現代」と、著者も予期しなかった入れ子構造なのがまた面白いです。
ちなみに、著者と同い年の有名人は“篤姫、小松帯刀、坂本龍馬、福澤諭吉、松平容保、土方歳三”だそう。
トマス・マロリーの古典文学「アーサー王の死」を読んでいる方なら、もっと面白いのでしょう。
「賢者の孫」のネタ元でしょうか、しかし著者の時代を先取した批評精神に脱帽です。
紹介記事【2018.09.28】
ダウンサイズ [DVD]
ダウンサイズ [DVD] (JUGEMレビュー »)

常々「あらゆる地球的問題の根源は過密状態にある」と思っている僕にとっては、興味深い内容でした。
“1950年代、既に研究所は我ら人類にとって最大の脅威は人口の増加にあると確信しておりました…今日我々が直面している災厄、異常気象に食糧危機、更に水質汚染といった危機を予測していたのです”
手のひらサイズになると、1ドルが千ドルの価値に……しかし所詮は実社会の庇護がなければ維持出来ない縮小ライフ、どこか戦前の移民政策や戦後の社会主義国を理想郷と煽った側のニオイも。
法整備が追い付かない状況を好機と見た連中の憎めなさ、悲劇の象徴にされてウンザリなヒロインなどコメディ調ながら重層的な好い物語でした。
込み入ったストーリーを整理した構成力とテンポよい演出、映像美も見事です。
紹介記事【2018.09.23】
グローイング・アップ5 ベイビー・ラブ [DVD]
グローイング・アップ5 ベイビー・ラブ [DVD] (JUGEMレビュー »)

イスラエル版「アメリカン・グラフィティ」、基本は失恋映画で今回はモテ男ボビーの妹がヘタレ主人公ベンジーの恋人に!
安っぽいファッションやショボいレースなど庶民的で微笑ましく、戦後のアメリカが世界に及ぼした影響力が伺えたりも。
チャリポツ野郎ヒューイのジュース「ブフォ!」、はとこのケダモノ娘フリーダ怪演ぶりは見どころ。
DVD自体のちゃちな仕様は謎です。笑
紹介記事【2018.11.22】
FOR YOU (フォー・ユー)
FOR YOU (フォー・ユー) (JUGEMレビュー »)
山下達郎,山下達郎,ALAN O’DAY,吉田美奈子
ファンからすれば(他のアルバムどんだけ知ってんの?)と突っ込まれそうですけど、本作しか知らないんです僕。
でもこれが彼の最高傑作でしょう、収録された楽曲のバランスも鈴木英人のジャケもね。
スライ風ファンク「Hey reporter!」が入ってる統一性のなさが上手く引っ掛かる構成、ただファン向けのボーナストラックが浮いちゃってるんだよなぁ!。
紹介記事【2018.10.13】
レベルE全3巻 完結セット (ジャンプ・コミックス)
レベルE全3巻 完結セット (ジャンプ・コミックス) (JUGEMレビュー »)
冨樫 義博
本作は多分、僕みたいに(作者の名前は見聞きするけどナンボのモンじゃい?)位に思ってる人が読むに相応しい気がします。
鴨川つばめ江口寿史に池上遼一タッチの劇画顔と、分かれば尚更笑えるし有名なのも納得の画力です。
それと秀逸なのは筋の運び方と見せ方ね、ただ人間性は疑うけど!笑
紹介記事【2018.08.16】
スターフォース: 最強の軍団、誕生! (ハヤカワ文庫SF)
スターフォース: 最強の軍団、誕生! (ハヤカワ文庫SF) (JUGEMレビュー »)
B.V. ラーソン
電子書籍として発表されたアメリカ版なろうSF小説、子持ちの大学教授がベタな地球侵略に立ち上がるシリーズの第一作。
意外性あふれる教授の頭脳サバイバルに引き込まれます、ハリウッドが映画化しそうなレベル。
しかし8年経ってもハヤカワ文庫から続きが出ないので、ちょっとオススメしづらいです。笑
紹介記事【2018.08.29】
スターオーシャン3 Till the End of Time
スターオーシャン3 Till the End of Time (JUGEMレビュー »)

ディレクターズ・カット版が出てるようなので、そちらをオススメします。
僕も終盤でメニュー画面を開こうとしてブラックアウトや異音と共に「ディスクからデータを読み込み中です」と表示されたままフリーズでプレイ断念中です。笑
リアルタイム・バトルの忙しさは好みの問題として、城下町などの雰囲気が最高!
中世レベルの惑星に来た主人公がハイテク宇宙人側、という立ち位置はユニークで楽しめました。
紹介記事【2018.07.25】
ドゥービー天国
ドゥービー天国 (JUGEMレビュー »)
ドゥービー・ブラザーズ
若い頃は避けてたドゥービー、ですが名曲「Black water」を収録した本作は通しで聴きたかったのです。
M・マクドナルドのAORカラーが強い後期とは異なる、ブルース+カントリーな旨味と寛いで演奏を楽しんでるバンド感が魅力かと。
70年代ウェストコースト・サウンドを象徴するエッセンス満載で、個人的にはアコースティックの低音が心地好かったな。
紹介記事【2018.09.26】
シチズンフォー スノーデンの暴露 [DVD]
シチズンフォー スノーデンの暴露 [DVD] (JUGEMレビュー »)

国家に逆らえばどうなるか、国家は国民に何を隠しているのか?
かつて一躍時の人となったエドワード・スノーデン氏、時点でも無事に恋人と亡命生活を送れている事を祈ります。
本作の原題は「CITIZEN FOUR」で市民の敵(citizen's foe)ではありません、彼を見るとカナダの白人ラッパーSNOWを連想してしまいますが。笑
本作はドキュメンタリーなので、現場の緊迫した空気は本気(マジ)です。
紹介記事【2018.09.01】
K-PAX 光の旅人 [DVD]
K-PAX 光の旅人 [DVD] (JUGEMレビュー »)

自らを千光年も彼方の「琴座に近い“K−PAX”から来た異星人」という患者ケビン・スペイシーと、精神科医ジェフ・ブリッジスの物語として原作小説にアプローチしてます。
いわば両作が互いを補完しあう関係のようで、ミステリー仕立ての原作を分かりやすく観せてる気もします。
スピリチュアルな観点からも、普通のヒューマンドラマとしても充分に楽しめます。
紹介記事【2018.12.11】
心霊づきあい (MF文庫ダ・ヴィンチ)
心霊づきあい (MF文庫ダ・ヴィンチ) (JUGEMレビュー »)
加門七海
いわゆる心霊体験の豊富な著者が、著名人の“さまざまな「視える」人たち”と語らう企画から生まれた対談集。
巻末には漫画家の山本英夫による著者へのインタビューなど、単行本に追加要素を増やした文庫版です。
大御所的な松谷みよ子稲川淳二の他、TVプロヂューサーにタレントにレスラー議員や海外レポーターなどの“霊的なものへのスタンス”は興味深く読めました。
各インタビューを挟むように前書きと後書きがあって、会話の状況が伝わりやすくなってる構成も僕は好きです。
紹介記事【2018.10.15】
いくぜ!温泉卓球!!
いくぜ!温泉卓球!! (JUGEMレビュー »)

頑張りましたね彩京、ユニークなゲームソフトが出しづらくなったPS2で敢えてこれか!笑
まぁ定価で購入する方は今更いないと思うので、中古プライスなら甥っ子たちとの対戦ゲームに適当かと。
愛ちゃん(当時)が卓球するとは期待しないでください、つかCVも違うし。
この偽カータン、色違いってだけで版権とかクリア出来るの?
ステージ数もキャラも少なめですが操作性は良好で、一応キャラ毎の挙動に違いを持たせてる辺りも好感が。
紹介記事【2018.07.19】

最近読んだ本
陳凱歌(著)、千夜ハルコ(編訳)「運命の子」

著者のチェン・カイコーは映画監督で、本書も監督作品のノベライズみたいです…韓流歴史ドラマ風な表紙カバーと本書の薄さから、きっと長編大河小説の序章部に過ぎないのだろうと思っていたら大ハズレで。
きちんと本書一冊で完結してましたよ、薄いのに。笑
因みに舞台は半島じゃなくて大陸で、時は晋代…古代中国の伝承を基に脚色が繰り返され元代に完成された雑劇の演目「趙氏孤児」を更に脚色した、いわば忠臣蔵のような感じですかね。
もし(史実に基づく)と謳ってもウソとは言えないんだろうけど、基本的には昔から人気が高い報恩仇討ちの武侠ドラマという訳です。

ただ、武侠といっても一族虐殺の乱戦状態やクライマックスの一騎討ちといったバトル・シーンは割とアッサリした印象ですね…思うに小説では中心的な人々の感情や関係性を丁寧に描き、おそらく映画ではワイヤー・アクションやCGを用いた剣劇で華やかさを演出しているのではないかと。
また興味深い事に、先日読んだ「重耳」こと晋の文公の名が最初に出てくるんですね…文公の重臣と知られた趙衰の血を継ぐ唯一の子は、実の子を身代わりにした町医者によって政敵の一族皆殺しを免れたのです。
まぁ「重耳」は日本人が書いた歴史小説なので、武侠物ではありませんけども。

というか本書だって別に武侠物と謳っている訳じゃなく、武侠の定義も分からないクセに僕が勝手に決め付けただけなのです…なので実際「武芸に秀でた人物が私利私欲でなく男気に惚れ大義に命を捧げる」といった武侠らしさは本書に感じられません、紛らわしい書き方してゴメンナサイ。笑
趙氏を滅ぼした武将と復讐の機会を伺う町医者、武将から我が子同然の寵愛を受ける運命の子…御家再興の大義はあれど、義侠心あふれるキャラクターが存在しないのは残念に思います。
しかし巻末解説によれば、むしろ著者は運命の岐路に立たされた心の揺らぎを描きたかったようですね。

本書の原典となった雑劇は明代に伝奇物の「八義記」としてリメイクされ、そちらは滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」の元ネタみたいに特徴的な義士が活躍するそうで…今も京劇の「八義図」として演じられている武侠仕立てのアレンジではなく、著者はヒューマン・ドラマとして人物造形のリアリズムを追求したのね?
映像で観ればまた違うんだろうけど、小説としては中途半端さを感じましたよ。
伝奇ファンタジーじゃないし武侠アクションとも思えない、といって大河ドラマの壮大さも感じられず史実というにはウソ臭過ぎる…でもこの薄さにしては読ませます、コスパ高いです。
初版'11年、角川文庫。


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    | books | 2019.09.17 Tuesday | comments(0) | trackbacks(0) |
    最近読んだ本
    藤原章生「絵はがきにされた少年」

    この書題を見た瞬間、思わず「蝋人形の館」の名台詞がデーモン小暮閣下の声で再現されました…もちろん脳内でね、まぁ今では知らない世代も多そうだけど。
    「オマエも絵はがきにしてやろうか!?」
    いやネタじゃないっす、読み終えるまで表紙を見る度この幻聴が脳内再生されました…でも本書は、元・毎日新聞記者がアフリカ特派員時代のエピソードを綴った第3回開高健ノンフィクション賞受賞作なんです。
    僕だけかもしれませんが、どうも「アフリカ」という単語には常に何かしら紋切り型のフレーズがセットになってしまう気がします。
    はがしても、剥がしても。

    飢餓?貧困?搾取?虐殺?内戦?大自然?野生動物?砂漠?金鉱?ダイヤ?
    まぁ「南米」とか「東南アジア」であっても様々な象徴はありますし、逆に日本人も海外からは未だに「出っ歯」「アーモンド・アイ」「ハイテク」「ハラキリ」といった先入観を持たれてたりするんでしょうが。
    それでも特にサハラ以南の、いわゆるブラック・アフリカは地理的な遠さもあり(焦点の定まりにくい地域)といった印象が僕にはあります…例えば有名な報道写真「ハゲワシと少女」の真実や、著者が十代で体験した募金のエピソードに垣間見える(実体不明な罪悪感)とも無縁ではないような。

    というか「ハゲワシと〜」に関しては、馬鹿げた批判に対して天下の「ニューヨーク・タイムズ」がウソで取り繕った事も興味深いですな…“状況や暴力について陳腐な意見を聞くと、俺の脳はシャッターを下ろしてしまうんだ”と地元紙に語った撮影者は結局、何も知らずに偽善を叫ぶ声に殺されてしまったのだけど。
    と、若干ヘビーな話から始まりますが表題その他のエピソードは割と穏やかめです…といっても笑える話はないですし、無知と貧困は語る以前の大前提という。
    まぁ西欧人がアフリカに責任を感じるのは分かりますけど、そこに生きてるのはその土地の人々な訳です。

    身近というには遠すぎて、そのボヤけた輪郭に何かを連想してしまうのかな…そもそもアフリカ人は1つじゃなく無数の部族があるし同じ種族でも差別対象を呼び分けていて、白人(ブランコ)と黒人の子はムラートでムラートと白人の子はカブリートでと混血にも無数に呼び名があるそうで。
    平和な時は肌の色が白に近いほど信頼と優遇を得る代わり、暴動になると今度は白いほど憎悪の対象になってしまう…肌が黒い部族ほど他の部族から蔑まれる共通認識は、やはり白人の優位性から生じたのかなぁ。
    (助けたい!)ってのとは違うけど、でも何かもどかしく感じてしまうのは何故?

    かつての白人政権が従属しない黒人を無力化するため、ダウナー系ドラッグを開発し無料でバラ蒔いた話は国家の本質を見る思いがしました…しかも「インド人の横流し品」という噂も一緒に流してたそうで、狡猾な情報操作術といい他岸の火事と思ってられません。
    そしてアウトブレイクの村の、冗談みたいな情報格差ね…発生源のエキスパートに一切フィードバックがない事にも、搾取に通じる一方通行さを感じました。
    マントル対流の影響を受けないほど安定している南アの鉱床は地下深度3〜4千mの坑内堀りが可能なのだとか、でも所詮は人件費の安さで成立してるのね。笑


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    以下は個人的メモ
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      | books | 2019.09.11 Wednesday | comments(0) | trackbacks(0) |
      最近読んだ本
      リチャード・バック(著)、村上龍(訳)「イリュージョン」

      再読、いや再々々読かな…位はしてますね、この村上龍バージョンに関しては。
      前にも記事にしてますし、まぁ改めて書く事はないかな…と思ったら案外と思い付いちゃいました、いや粗捜しでなく新たな発見が。
      夏から秋へと向かうアメリカ中西部の大平原、2人の飛行機乗り…まぁ実際クラシックだよね、今時レシプロ機なんて金持ちの趣味にしかならなそうだけど。
      しかし彼らはジプシー飛行士、秋から春までの間は何してるんだ?…真冬は氷点下の世界で遊覧飛行は商売にならないよね、でも日銭を稼ぐ暮らしぶりからすると自宅を構えてる気もしないし。笑

      それに今更だけど、何故ドナルド・シモダは死を選んだのか…後継者が出来たから?とも考えたのだけど、むしろ彼が死を招き寄せていた節があるし彼には死なない選択も出来たんだし。
      となると、死を選ぶ自由もあるって事を後継者への最後のレッスンにしだかったのか…誰もが自分と同じくなれるのに、変わる気もなく口先の救いを求める人たちにはウンザリだよね。笑
      2人はイリノイ州フェリス北部で出会い、セントルイスに近いトロイからウィスコンシン州ハモンドに…イリノイとインディアナの州境沿いを経てオハイオ州メイトランド、そして同州ライアソンまでを飛びます。

      これらの地名に、何か意味があるのかな?…と、ふと気になってしまったりも。
      きっとアメリカ人の読者なら何かしら想起するイメージがあるんじゃないかな、例えば日本人の作家が「佐世保」とか「伊香保」とか書く時に日本人の読者が何かしらを了解するように。
      そう考えると疑問になるのが(そこまで有名な地名?)という、各地の風景や人々を思い描き分けている人などいるのだろうか?っていう点ね…どうも単なる田舎町っぽいし、ひょっとしたら実在しない地名かも?笑
      いつか試しに周辺地図をチェックしてみて、大まかにでも飛行ルートを起こしてみたらまた面白いかもな。


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      【最近みたDVD】村上龍「CUBA〜音楽の勝利」| 2013.01.02
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      【最近読んだ本】村上龍「空港にて」(再読)| 2017.11.21


      以下は今回の個人的メモ。
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        | books | 2019.09.02 Monday | comments(0) | trackbacks(0) |
        最近読んだ本
        松宮宏「秘剣こいわらい」

        恋煩い、は特に関係ありません…この「こいわらい」なる珍妙なタイトル、必ずオチに絡めてる筈!と読んでたら大ハズレでした。笑
        まぁ主人公が巨乳女子大生ですから、恋はしますけど…って、いきなり切り口これだと誤解を招くよなぁ?
        個人的には本作の二大イラネ要素でしたけどね「巨乳」と「女子大生」、というか初版'13年の講談社文庫ながら本書の元は'06年マガジンハウス刊「こいわらい」だったそうで…文庫化の大幅な加筆・修正の過程で場面展開が変わってしまったと大森望の巻末解説にありましたが、ならば「巨乳」も「女子大生」も削った方が好かったのでは?

        って批判的コメントが先に来ちゃいましたけど、基本設定の「現代×女剣士」はポイント高いですね…ただ、京都が舞台になってるのが個人的にはラノベ臭といいますかアニメの「四畳半神話大系」的なイメージになってしまったりもして。
        これは京都に関心が薄い僕の想像なんですが、世間的には好い案配に名所やランドマークが散らばっていたりで地理を思い浮かべやすいのかなぁ…しかも余所より歴史を絡ませやすかったり、まるで近所に深山幽谷がありそうな印象も便利そう。
        名家伝来の剣術奥義、お家再興の仁義と暗躍…デビュー作にしては、脇キャラのあしらいもこなれてます。

        大森望の解説で明かされる、本作の辿った経緯もなかなか興味深かったなぁ。
        '00年の日本ファンタジーノベル大賞で受賞を逃しながら、6年後には無名かつ無冠のまま単行本で出版され…翌年は東京国際映画祭の“映画企画を売り買いする”マーケットで映画化が決まるも頓挫、'10年にドラマ化が実現して3年後に文庫化され本書に至ると。
        受賞を逃した応募作が読み捨てられる事なく、形態は違えど様々なコンテンツ・ビジネスの中を揉まれ揉まれて陽の目を見る…こうしたバックストーリーと業界の裏事情は、一般読者にとって新鮮味がありますしドラマチックな顛末ですね。
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          | books | 2019.08.26 Monday | comments(0) | trackbacks(0) |
          最近読んだ本
          木原浩勝「九十九怪談 第五夜」

          先日の「第四夜」に続きまして、本書もミッチリ99話を収録…読み終えたばかりの話でも、読み返すと引き込まれてしまいます。
          正直(どこまでマジなの?)と思わなくもないけれど、仮に作り話でも一話毎が奇想天外すぎて天晴れです。
          そういえば途中に無題のエピソードを挟むってのも、著者なりのテクニックだったりするのかなぁ?…前の「第四夜」になかったので油断してました、というかまたもビビってしまいましたよ無題なだけなのに。笑
          内容は著者自身の体験談で、本編の刈り込んだ文体とは違うエッセイ調の文章がウエハース効果を上げているのは狙い通りなのかも。


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          【最近読んだ本】「九十九怪談 第四夜」| 2019.08.13


          以下、個人的に印象深かった話。
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            | books | 2019.08.17 Saturday | comments(0) | trackbacks(0) |
            最近読んだ本
            木原浩勝「九十九怪談 第四夜」

            前に「第一夜」を手にした時は、夜毎99話で何夜まで続くのかと思っていましたが…続いてたんですねー、どんだけネタあるんだ!
            こないだ本書と「第五夜」と「第九夜」を見付けて買っちゃいました、別に信者じゃないんですけど著者は個人的に当たりなのでね。
            怪談て、合わない人の話は退屈なのよ怖い云々でなく…著者は誰かの体験を聞いて書いてるようですが、如何に再構成して書くかで同じ話が全然変わるのでは?
            つまり語り手(視点)や時制を変えてみたり、敢えてぼやかしたり語らなかったり…著者が聞いた元の話が実際はどんな感じだったかを、勝手に想像してみたり。

            さて本書(本夜?)もキッチリ99話、詰まってます…といっても、1つのエピソードを小分けにするパターンも結構あるんですけど。
            それにしても感心しちゃいますよ、もう怪談というよりもバリー・ユアグローばりのシュールなショート・ショートですね…だけどラストを飾る港区のマンション話×5は、その後の取材時エピソード+現場写真(?)にゾワッときました。
            初版'13年の角川文庫ですが、元は'11年の単行本…つまり、いきなり文庫本ではなく単行本で出しても売れてるという事でしょう。


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            以下、個人的に印象深かった話。
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              | books | 2019.08.13 Tuesday | comments(0) | trackbacks(0) |
              最近読んだ本
              マシュー・スケルトン(著)、大久保寛(訳)「エンデュミオンと叡智の書」

              初版'08年の新潮文庫、原書の発表はその2年前…この如何にもハリポタ二番煎じ感たっぷりなタイトル&表紙カバーながら、歴史を股に掛けるスペクタクル・ロマンの気配に惹かれて手にしたという次第です。
              印刷の父とされるグーテンベルクの助手エンデュミオン・スプリングの視点で描かれる中世の物語と現代の少年ブレーク・ウィンターズの物語を繋ぐ“空白の本”と“最後の書(ラスト・ブック)、時空を超えたビブリオ・ミステリー!…だけどドラゴンが出てきたり、やっぱり結末が続巻に持ち越されるというお約束な展開には正直なところガッカリさせられましたけどね。

              面白いのは、別に選んでるつもりはないのにイギリスが舞台の小節が続くなぁというのと…同時に読み進めていた「ハイ・フィデリティ」と共通していた(エサに食いつく)表現ね、会話中で言うまいとしている事を相手につられて喋っちゃうという場面なんですが。
              もしかしたらイギリス特有の笑わせ方なのでしょうか、まぁ偶然が重なっただけでしょうけど…こうして邦訳されてしまえば映画と違ってイギリス英語かは分からない筈なのに、何故か英国小説には共通する特有の空気が感じられるのです。
              それは歴史じゃなく、家並みとか路地や時間の流れ方が関係していそうな気も。

              15世紀半ばのエンデュミオンと現代のブレーク、それぞれのエピソードが行き来する構成は「マイ ネーム イズ メモリー」を思わせますが…本書で描かれるのは現代編が“最後の書”の登場と紛失まで、中世編は現代編での舞台となる新天地オックスフォード到着までと序盤も序盤です。
              著者自身が同校出身なだけに情景描写は細かく、実際に現地を見学された方は思い出に浸れそうですが…愛着ある光景を簡素に表すって難しいんですよね、言い方を変えれば冗長すぎ。笑
              ただ、書生たちが筆写に挿絵彩色に装幀など分業で写本に励む時代のオックスフォードはファンタジック。

              本書は語り聞かせ本なのでしょう、言葉遊びも子供向けですし…大人が読んでも物足りないけど、子供が読むには複雑な気もします。
              程々に先読み出来ちゃうのはやむを得ないのかもね、最初は可愛げなく思えた妹ダックとブレークの距離感は上手いと思いました。
              エンデュミオンが実在したのかは不明ですが、実在したグーテンベルクの偉業を横取りしたヨハン・フストやピーター・シェーファーの描かれ方は著者の仮説に基づいているようですね…というか本来は著者が論文として発表したかった自説を、色々考えて近頃流行りのフォーマットで物語に落とし込んだような印象も。


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                | books | 2019.08.07 Wednesday | comments(0) | trackbacks(0) |
                最近読んだ本
                アン・ブラッシェアーズ(著)、大嶌双恵(訳)「マイ ネーム イズ メモリー」

                表紙カバーの「天空の城ラピュタ」っぽいイラストに(YAノベルだろうな)とは思いつつ、海外小説で輪廻転生モノという意外性に惹かれまして…でも続き物だったのね、だったら分かるトコに書いといてくれよ!
                しかも続巻が出てる様子もないじゃん、初版'13年の新潮文庫で原書は'10年なのに…というか本書が“大人向け”とか、単に性描写ありってだけじゃないの?
                気にすんなよ一言も「セックスした」とは書いてないんだし、別に「肉棒」とか「蜜壺」なんて言葉も出てこないんだからさ…ちょっと終盤にイチャイチャする程度だし、主役の2人はハタチ前ぐらいなんだしさ。

                出だしは結構ミステリアスで、ルーシー目線の現在とダニエル目線の過去とが交互に語られる感じです…彼女は覚えてないけど彼は記憶を保持したまま転生を繰り返し今に至るという訳で、何となく変わり者なダニエルに惹かれていたルーシーもファースト・コンタクト時に(ヤバい奴)認定。笑
                意気消沈のダニエル、入水失敗からの消息不明に…前世で「忘れない」って誓ったに彼女に対して、思い出させようと焦り過ぎた事で却って慎重になりまして。
                目を離してる隙に親友の弟と初体験&因縁深い転生者に言い寄られ…気付けば2人は隣国へと婚前旅行、後追いダニエルの奪還劇に。

                いや端折り過ぎましたかね、奪還からの覚醒ヤリまくり&逃亡で続巻へ…っておーい、せめて因縁の転生者にオチ付けてあげてよ!笑
                スロースタートな前半の前々々々世エピソードですけども、主に中近東〜欧州なのが「百万年の船」みたいで個人的にハマってたんですよ…片や不死で本書は転生ではありますがね、またダニエルの生に関する達観ぶりにも「百万年〜」のハンノに通じる感じがして。
                転生の中で何度も出逢う彼女と、ダニエルに敵意をむき出し圧倒する男…そしてダニエルより長く転生を繰り返し助言を与える者、更に本書では明かされず終いだった敵側の謎の協力者。

                物語はルーシーの故郷バージニア州を中心に進み、時折ダニエルの回顧が挟まれます…B.C.520頃のアンティオキアで兄だった人物との確執や北アフリカ遠征で出会った少女への贖罪意識が、582年のコンスタンティノープルや773年の都市ペルガモンとカッパドキアでの人生へと続きます。
                899年にはベネチアの船乗りとしてクレタ島沖でベンと出会い、かつてペルガモンでダニエルを殺した時に兄ホアキムだった敵対者との因縁に気付かされます。
                ただし彼は転生者を見分ける能力がなく、代わりに他人の体を乗っ取る鬼畜スキルの持ち主…といっても、その辺は特に描かれず。笑

                ホアキムとの対決も次巻に持ち越しですからね、トーマス・ジェファーソンも先々への伏線でしょうな…中盤に前世を思い出し始めたルーシーは最後の前世であるイギリスへと赴き、そこで決定的な証拠を得て過去世への疑念を捨てました。
                しかし何故ホアキムは彼女を見付けたのやら、しかもダニエルの名を騙ってグイグイ迫ります…妙だと感じつつ押し切られるようにメキシコへ、そこに本物ダニエル登場で一気にハリウッド映画みたいな展開に!笑
                淡々と歴史ミステリー進行から突如、終盤で銃撃交じりの逃避行とは…ブータンで妊娠発覚の一方、ダニエル死亡フラグの手紙で幕?


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                  | books | 2019.07.30 Tuesday | comments(0) | trackbacks(0) |
                  最近読んだ本
                  パウロ・コエーリョ(著)、山川紘矢+山川亜希子(訳)「アルケミスト 夢を旅した少年」

                  もはや何度読み返したか知れませんし、以前にも紹介記事を上げてる筈です。
                  最初の頃は後半の錬金術師と旅をする部分が印象強く、その後は前半のクリスタルを売る店で働く部分に共感というか惹かれていたような気がします…そしてまた時を経て読み返すと、更に細かな場面にも心が反応するようになりました。
                  これは別に優れた物語の重層性とかではなく、むしろ人は見たいように見てしまうという感じに近い気も。
                  結局は常に何かに捕らわれていて、バイアスなしに物事は受け止められないのでしょう…いつか無の境地に至るまで、そういう自分を肝に命じておきたいです。

                  最初から、風は吹いていたんですよね…そして少年は純粋であるが故に、無意識に大いなる錬金術の技を実践していたのでしょうな。
                  愛とは、より好い変化です…あるいは、それを実現しようとする魂の試みです。
                  ただし愛がもたらす変化とは、それ自身であり尽くした結果なのでしょう…少年は羊飼いから水晶売りになり、やがて砂漠の旅人になって最後は大いなる魂と繋がっている自分の心が見せた夢を叶えるに至ります。
                  それぞれの人がそれぞれの夢を知っていて、叶える事を先ず考えてしまいます。
                  それが途方もなく困難に思えたり、リスクの大きさに恐れを抱いてしまいます。

                  少年も、この物語の顛末を知っていたなら最初の一歩は踏み出せなかった気がします…ですが彼は羊飼いでいた時と変わらず目の前の物事に没頭し、何度も諦めかけながらも夢を忘れず兆しに従っていきました。
                  その夢がどのようにして実現化するか、彼は知りませんでした…物言わぬ羊や水晶の声を聞き、必ずしも友好的ではない人との出会いにも武張らず臆せずに耳を傾け本質を聞き取ります。
                  以前は錬金術を学ぶ青年が、少年と対照的な敗者として描かれたのだと思っていました…でも彼は彼の道を歩み始めたのですね、そして夢を諦めた者も不幸には描かれていないのでした。

                  マクトゥーブ、それは書かれている…つまり「既に決定付けられた未来」を指す言葉なのだと、そのように僕は解釈をしていました。
                  そして、その言葉を少年に教えたのはメルキゼテックだと思い込んでいましたが…実際に言ったのはクリスタル商人であり、らくだ使いとファティマでした。
                  「決定付けられた未来」というのもまた「諦めろ」という意味ではないと思ってはいましたが、少し安直に捉えていた気がしてきました…といっても、今までとの差をどう言い換えたら好いのか分からないけれど。
                  言うなれば、それは大いなる意志への信頼に基づいているような感覚ですかね。

                  幾つか疑問も浮かんできました、例えば砂漠の難民から彼の夢を聞かされた時に少年がその場所を明かさなかったのは何故か…彼が夢を見た場所を掘り始めた時、何も疑わなかったのか。
                  読み返すほどに、無駄なエピソードがないと感じます…この新たな疑問も、いつかまた読み返した時に新しい発見に変わるでしょう。
                  特に今回は「行動を通してのみ人は学ぶ」という錬金術の言葉が印象深かったです、もちろん僕は何かを学ぶために本を読む訳ではないのですが…単に経験から学ぶという以上に、世界が語り掛けてくる声に耳を澄ましていようと思います。
                  マクトゥーブ。


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                  以下、個人的メモ
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                    | books | 2019.07.23 Tuesday | comments(0) | trackbacks(0) |
                    最近読んだ本
                    ポール・アンダースン(著)、岡部宏之(訳)「百万年の船 (2)」

                    前巻同様、これまた再読です…人類の希少種、不老&ほぼ不死な人々の人生を連作形式にて描く物語です。
                    巻頭は1221年の平安京が舞台の第八部「女官」、前巻から章数が通しなのは1冊の原書から邦訳版を3分割したせいでしょうか…政変により宮中を追われるオクラは、鎌倉時代より前から生きてきた貴族の暮らしを捨て出家の道を選びます。
                    第九部「幽霊」は、タタール(モンゴル)人のルーシ侵攻で全滅した1239年のペレヤスラブル(現・リャザン)が舞台です…焦土と化した村で唯一生き延びたヴァルヴァラが、再びスヴァボダとして新たな人生へと立ち上がるまでが描かれます。

                    第十部「山中にて」はチベットに近い中国の奥地、時代は1570年…リーと名を変えたオクラは、僻村で神として崇められていたトゥ・シャンを訪ねて来ました。
                    自らの運命を問いながら海を渡って中原を流離ってきた彼女は、遂に不老の同類と出会ったのですが…仙人めいて描かれた新代の彼が明代では悟りへの道を外れ、生き神の座に耽溺している姿は妙に生々しいです。
                    そして1640年の第十一部「子猫と枢機卿」でジャックことハンノがリシュリュー公爵に接見し、長命人の保護を願い出ます…ルイ十三世の懐刀として働く代わり、公的に同類探し行おうと考えるに至ったのですが。

                    短い紙数ながら、この慎重な会話劇は手に汗握る思いですね…結果的には時期尚早だったのですが、長命人の中でも本編の主格となるハンノが初めて自ら打って出たエピソードでしたし。
                    第十二部「最後のまじない」の舞台は白人流入が始まった1710年のアメリカで、干魃を機に平原へと移り住んだ部族は馬と銃による激変にさらされ…パリキ族の襲撃後、不死人と呼ばれる呪術師が村を去ります。
                    続く第十三部「ひしゃくを追って」は南北戦争直前の1855年、地下鉄組織に加わったオハイオの農夫が逃亡奴隷フローラを匿います…独立戦争を生き延びた彼女の、自由への決死行です。

                    第十四部「平和主義者」は1872年の西テキサス、開拓小屋を包囲したコマンチ族の中に呪術師の不死人ペレグリーノがいました…顔が利くメキシコ人を雇って彼を訪ねたタラント(ハンノ)でしたが相棒ルーファスは彼らほど短命人にドライになれず開拓者を助けて絶命、遺された長命人同士は再会を約束して別れます。
                    次は1931年のN.Y.でママ・ロウ(フローラ)とクララ(アリヤット/アテナイース)が出会う第十五部「集合」、更に第十六部「適所」は1938年のアンカラではデイヴィッドことハンノが世界中で出した募集告知に応じたセイガンと面談しますが物別れに終わります。

                    こうして徐々に長命人が互いの存在を確認し合う中、1942年の第十七部「鋼鉄」ではカーチャ(スヴォボダ)が独ソ戦の激戦地スターリングラード(現ヴォルゴグラード)で戦い続けています…コサック(カザフ)の女スナイパーとして敵陣へ潜入任務、生まれた地域の大国に翻弄される宿命が鋼の魂を鍛えたのでしょうか。
                    都市の雑踏に紛れた長命人の女性たちは売春業から自立を計り、スヴォボダはルーシの戦乱に抗い続け…いずれにせよ長命人が生き永らえるには選択肢が限られている上に過酷でした、しかも現代になると男女問わず出生や戸籍は管理が厳しくなるのですが果たして?


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                      | books | 2019.07.18 Thursday | comments(0) | trackbacks(0) |




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