Voyage of Prayer―祈りの旅
Voyage of Prayer―祈りの旅 (JUGEMレビュー »)
今西 勇人
祈りの姿勢は、手を合わせ目を閉じる形だけではありません…人が祈る姿は千差万別なのに、祈るという行為やその思いには共通性が感じられるのです。
宗教の奥にある、世界じゅう一人ひとりの心の静けさに。
紹介記事【2016.09.06】
チャンス [DVD]
チャンス [DVD] (JUGEMレビュー »)

「人生とは心の姿なり」
シャーリー・マクレーンは、本作の撮影中にピーター・セラーズが前世について話した事を著書「アウト・オン・ア・リム」で書いていました。
それを意識したせいでスピリチュアルな印象を受けましたけど、むしろ本作の笑いはそうした見方にあるような。
無知な老人チャンスが教養人を翻弄するシュールな寓話、ですが予想外に可笑しいのです。
紹介記事【2016.10.08】
逮捕しちゃうぞ [DVD]
逮捕しちゃうぞ [DVD] (JUGEMレビュー »)

藤島康介が原作の、婦警コンビが活躍するOVAです。
図々しいまでに快活な夏実と大人しそうで冴えたドラテクの美幸、という動と静のバランスは同じ原作者の「パラダイスレジデンス」を思わせますが。
この後に続く同名のTVシリーズにはない凝った実車ディテールや派手なカー・アクション、まだ昭和の気配が色濃い東京の風景は90年代のトレンディ・ドラマっぽいけど…ま、肩の凝らないノリが好い案配なのです。
紹介記事【2016.08.21】
となり町戦争 (集英社文庫)
となり町戦争 (集英社文庫) (JUGEMレビュー »)
三崎 亜記
2016年に読んだ小説から一冊を挙げるのは本当に悩みましたが、本書は外すことが出来ません。
デビュー作でこれって、凄すぎない?
ちょっとシュールでフワフワとした空気の中、自治体行政の地域活性化という名目で遂行されているらしき戦争…“僕”が聞く唯一の銃声は終戦を告げる号砲で、これは「地獄の黙示録」で引用されていた詩の一節“これが世界の終わりのすがただ/ドンともいわないで、すすりなきのひと声で”を連想させます。
文庫の表紙カバーに惹かれたのですけど、これが衝撃的な場面とリンクしてたとは…戦争とは銃器や死体ではなく、本質は経済の真の顔なのだと実感しました。
紹介記事【2016.11.13】
Yesterday,Yes a day (フラワーコミックス)
Yesterday,Yes a day (フラワーコミックス) (JUGEMレビュー »)
岩本 ナオ
話の舞台が共通する「雨無村役場産業課兼観光課」も好かったけれど、個人的には先に読んだ本作の方が好みかも。
地方暮らしの女子高生とか恋愛未満のリアリティが新鮮、この年頃だって恋愛が日常の中心にある訳じゃないんだよねっていう。
紹介記事【2016.03.30】
Eagle Has Landed: Live
Eagle Has Landed: Live (JUGEMレビュー »)
Saxon
どう見てもビジュアルが「スパイナル・タップ」そのものですが、当時の僕にとってはAC/DCの「BACK IN BLACK」とマイケル・シェンカー・グループの「MSG」と並ぶHR/HM愛聴盤でもありました。
でも他のメンバーはあんまりメタルっぽい出で立ちじゃなくて、ストラト遣いのポールは野球帽かぶってたし…ぶっちゃけボーカルのビフ以外はギブソンSG遣いのグラハムも当時は滅多に見かけなかったプレベ弾きのスティーブも見た目がオッサン臭くて、そういうビジュアル無視な姿勢が僕には却ってシブく思えたのです。
意外にロックンロールしてるベースラインや無駄に手数はないけどツーバス並みに速いドラムスやメタルにしては珍しいワウペダルを使ったギターソロなど今でも充分カッコイイ!
リフ中心とはいえメロディアスなフレーズも織り込み、改めて聴くと楽曲構成も隙がないなと感じました。
紹介記事【2016.02.27】
アイアン・スカイ [DVD]
アイアン・スカイ [DVD] (JUGEMレビュー »)

2018年、月からナチスが攻めてくる?!
パルプSFテイストにシニカルなユーモアを絡めた、おバカ路線のB級映画。
フィンランド人がサウナで酔っ払いながらアイディアを出し合い、製作費のうち約1億円をカンパで集めたというフィンランド・ドイツ・オーストラリア合作。
ほぼ全編ブルーバック撮影というレトロ活劇「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」と併せてオススメします、もちろん両作品とも特撮だけの映画じゃあありませんよ?
紹介記事【2016.04.16】
忘れられた日本人 (岩波文庫)
忘れられた日本人 (岩波文庫) (JUGEMレビュー »)
宮本 常一
本書は主に、対馬や周防大島や伊予といった西日本の村落で聞き取った話から構成されています…本業の傍ら、農家に泊めてもらうので米を持参で戦時中も日本各地を歩いて回ったそう。
正直、読み始めは部外者が首を突っ込んでいるような取っ付きにくさを感じたのですが…間をおいて開いたら、妙にスラスラ入ってきました。
何だか不思議です、本書自体が村の古老のようで…この深い根っこに繋がるような安心感、古臭く陳腐な表現ですが「元気が出る」のです。
紹介記事【2016.06.21】
幻想水滸伝III
幻想水滸伝III (JUGEMレビュー »)

明代中国の伝奇歴史小説「水滸伝」をベースにしたRPGシリーズの1つで、本作の特徴は同じ物語を複数の主人公を通じて体験するという趣向です。
今回は商業国家の騎士団長、名門貴族のクリスでプレイ…以前にプレイした平原部族の少年ヒューゴや大国の傭兵を率いるゲド隊長と違ってしがらみだらけの気丈な女性。
商業国家と平原部族の対立に乗じて領土拡大を画策する大国と、裏で暗躍する一味…シリーズの他作品は知りませんが、異世界クライム・サスペンスといった感じ?
絶対悪など存在しない、なんて分かってはいても相互理解は難しいというね。
小説や漫画などとは異なる、RPGという形式ならではの物語を味わえます。
紹介記事【2016.06.29】
イノセンス スタンダード版 [DVD]
イノセンス スタンダード版 [DVD] (JUGEMレビュー »)

前作「ゴースト・イン・ザ・シェル」から引き続き押井守監督が描くは、攻殻機動隊のバトーとトグサが挑む「暴走ガイノイド連続殺人事件」の顛末。
そして、ネット上の全一となった少佐こと草薙素子を、もはや見つめる事も触れる事も叶わないバトーの愛の物語でもあります。
重厚なCGアニメで表現される電脳社会の、二重の意味で人工的な儚さ…「私」や「貴方」の定義とは何か、肉体は自由の枷なのか。
前作のラストで少佐が言っていた“2501…それいつか、再会する時の合言葉にしましょ”という台詞を覚えていると、ちょっと感動的かもしれません。
紹介記事【2016.11.27】
二週間の休暇 (MouRa)
二週間の休暇 (MouRa) (JUGEMレビュー »)
フジモト マサル
まるで村上春樹ワールドの絵物語、といったら失礼でしょうか…あの読後感を簡易化して視覚的にまとめたような一冊、安直すぎるオチも却って心地よく感じられました。
うぐいす色と黒の二色刷り、計算されたコマ割りとアングル…奥付けページの縁に這わせたカマキリに至るまで、ちょっと手元に置いておきたくなります。
紹介記事【2016.02.04】
パートナーズ・イン・クライム
パートナーズ・イン・クライム (JUGEMレビュー »)
ルパート・ホームズ
1曲目「Escape (the pina colada song)」は、ケイト・ブッシュの「Babooshka」と対になるようなシチュエーションを歌っていながらライトで喜劇的な展開…また「Answering machine」ELOの名曲「Telephone line」と対になるような、どこか惚けた味わいのある留守番電話の歌なのです。
フェイズ・ギターに'79年リリースという時代を感じます、今でこそ好きな音ですけど十代の頃は中途半端なエフェクト感が気持ち悪かったので一概にオススメとは言い難いのですが。
紹介記事【2016.01.23】
クン・パオ! 燃えよ鉄拳〈特別編〉 [DVD]
クン・パオ! 燃えよ鉄拳〈特別編〉 [DVD] (JUGEMレビュー »)

本当にね、どんだけ買って観てんだ僕は!
70年代のB級カンフー映画を元にデジタル処理で大胆に改変、正直この笑いは人を選ぶと思います。
実際、ちょっとオススメしにくいコメディです…特にCGパートなんて、全然オススメ出来ませんけども。
音声バリエーションの豊富さで、何度でもどこかツボにくるのです僕は。
紹介記事【2016.06.19】
図説 国旗の世界史 (ふくろうの本)
図説 国旗の世界史 (ふくろうの本) (JUGEMレビュー »)
辻原 康夫
いつもながら面白い、河出書房新社の図説シリーズ「ふくろうの本」の一冊です。
紋章学の見地に基づいて、色遣いや図柄で世界各国の国旗を分類すると…割と知ってる国旗の雑学レベルから歴史的な成り立ちが見えてくる、この切り口が実に面白い!
本来は支配者の紋章であり権力への服従を意味していた「旗印」が、フランス革命から民衆の団結や社会の理想を表明するように…赤青白で構成された国旗を“民主主義国家の旗印にふさわしい配色という固定観念”と断言し、9・11後の「SHOW THE FLAG」を“恫喝的スローガン”とブッタ斬る著者は本書自体も“疑問の解明に寄与するとは到底思えない”と切り捨てますが。笑
「世界史を読みたくなる」歴史ネタの雑学本、として辻原康夫(編)「読みたくなる世界史」と併せてオススメします。
紹介記事【2016.11.24】

最近聴いたCD
THE TIME「WHAT TIME IS IT?」(←リンク先はTSUTAYA作品情報)

'82年リリースの本作、当時ミネアポリス・ファンクと称されていたプリンス一派のザ・タイムによるセカンド・アルバムですが…ノンクレジットながら実質上の作詞作曲と演奏は、プロデュースを務めたプリンスが一人で作っていたとか?
彼らは(プリンスの弟分)などと言われていましたが、弟にしては厚待遇だったのかどうか…後に脱退して80年代のR&Bを席巻するプロデューサー・コンビとなるジミー・ジャムとテリー・ルイスを思えば、決して実力不足だった訳ではなく単にオーバー・プロデュースだった気はしますね。
モリス&ジェロームも、日本でパクられまくったし?

ザ・チェッカーズに岡村靖幸に大沢誉志幸、それとシャ乱Qなどなど…プリンス映画「パープル・レイン」で観られるザ・タイムのコミカルなステージ・アクトは、プリンスのクラウドギター風ギターと共に多くの日本人“アーティスト”がパクっていましたっけ!笑
それはともかく、リアルタイムで僕が聴いたのは次作「アイスクリーム・キャッスル」とモリス・デイのソロ「カラー・オブ・サクセス」でした…本当に聴きたかったのは本作だったんだけど近所のレコード屋にはなかったんで仕方なくね、そういう時代だったので。
で本作、6曲入りで大半が5分超のエレ・ファンク。

最大の目玉は2曲目「777-9311」です、細かいハイハットの刻みが特徴のドラム・パターンが実は打ち込みだったとは…実際に叩くのも難しそうですが、当時のリズムマシンでこのグルーヴとは流石プリンスだわ!
ベースのリフもカッコ好くて、個人的には「パープル・レイン」劇中歌の「The bird」や「Jungle love」以上に彼らを代表するナンバーではないかと…正直これだけ聴ければ満足だったんです、TSUTAYA宅配レンタルがなきゃ聴く機会はないままだった気もします。
3曲目の「Onedayimgonnabesomebody」は歌声も曲調もプリンスの「戦慄の貴公子」B面曲っぽいですね。

プリンスの作風で言えば、シンセサイザーを全面に押し出した「1999」よりも前の「戦慄の〜」に近い印象だな…ザ・タイムの「アイスクリーム〜」やモリスのソロ作は「1999」並みにシンセ臭が強く、その点が僕はイマイチだったので。
彼らにしてはクドさ控えめなバラード「Gigolos get lonely too」やプリンス初期のポップさを感じさせるラストの「I don't wanna leave you」も聴きやすい気がします…まぁ一般的な聴きやすさか、といえば万人向けではありませんが。
そして、繰り返し聴いていると(歌も全曲プリンス?)という疑念が…モリスの声、という確信が持てない!笑

元々プリンスは多作家として知られていますが、止めどない創作意欲の賜物をすべて自分名義でリリースせず本作のようにプロデューサーとして別アーティスト名義で発表しておりました…特に「パープル・レイン」頃まではヴァニティ6(アポロニア6)など、彼自身がコントロールする直系グループを抱えてまでも。
そこには意欲と才能だけでなく、強烈な野心や承認欲求があったのだろうと今になって思わされました…モリス・デイもジェローム・ベントンもユニークなキャラクターだったのに、若く激しいプリンスの個性に打ち消されてしまったように思えてバンドとしても惜しかったなぁと思うのです。
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    | music | 2018.02.17 Saturday | comments(0) | trackbacks(0) |
    最近聴いたCD
    THIRD WORLD「96º IN THE SHADE」

    '77年にリリースされたセカンド・アルバムで、邦題もズバリ「華氏96度」…って別にブラッドベリマイケル・ムーアとは関係なく、文字通り「日陰で35.6℃」という“木陰でも汗の出るうだる暑さの中、非情な首吊りの刑に処せられた”実在の人物を歌っているのだそうで。
    イギリス支配に反旗を翻したジャマイカの英雄、ポール・ポーグル…不勉強なもので存じ上げませんが、ひたすらJAH(神)への愛と帰依を歌っている印象の彼らサード・ワールドも根っこは政治や民族主義にコミットしたレゲエ・バンドなのね?
    因みに楽曲タイトルは「1865 (96 Degrees in the shade)」。

    本作は、ボブ・マーリィの「EXODUS」と同年に発表されたそうで…ジャマイカ国内の、時代的な高まりとも連動していたのかもしれませんね。
    解説書によるとサード・ワールドの結成は'73年ですから、僕が彼らを知ったスティーヴィー・ワンダーとのコラボ作「YOU'VE GOT THE POWER (邦題ラヴ・アイランド)」の10年前ですか…インナー・サークルを脱退したキャット・クーアー(g)とイボ・ワーパー(key)を中心とする6人編成で、'75年にボブ・マーリィ&ザ・ウェイラーズのUK公演で前座を務めた事がアイランド・レコードに認められて翌年にデビュー。

    本作は“サード・ワールドが最もルーツっぽかった時期の吹き込み”だそうなので、歌詞にプロテスト・ソングの色合いが濃いだけでなくサウンド的にも「ラヴ・アイランド」収録曲のキャッチーさは望むべくもないですね…とはいえロックステディ的な泥臭さよりは、同時代アメリカのR&Bコーラス・グループを思わせるハーモニーやアイズレーっぽいギターの音色などに彼ららしさを感じます。
    ただレゲエに限らずブルースとかラップにも言えるのですが、聴き続けてると飽きてくるんですよ僕は…そんな中で件の「ラヴ〜」は例外といえる一枚で、本作も割に聴きやすい気が。


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    *以下の動画は、携帯からでは視聴できないかもしれません。

    『Third World - 1865 (96 Degrees In The Shade)(1977)』(Sound Only)


    『third world -rhythm of life』(Sound Only)
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      | music | 2018.01.28 Sunday | comments(0) | trackbacks(0) |
      最近聴いたCD
      PYRAMID「The Best」

      ピラミッドはカシオペア3rdのドラマー神保彰とギタリストでベースの打ち込みも担当している鳥山雄司、元スクエアのピアニスト和泉宏隆によるフュージョン・トリオです…以前聴いた「TELEPATH」は2枚目で、本作はセルフ・タイトルのデビュー盤からサード・アルバムまでを網羅しバランスよく選曲した'15年リリースのベスト盤です。
      新曲にしては音が微妙に安っぽい「Excavation」と、デイブ・グルーシンをカバーしたボーナストラック「Captain Caribe」を含め13トラックを収録…また既発11曲のリマスタリングに加え、5曲を新たにミキシングし直したとの事。

      ファーストからはアース・ウィンド&ファイアのモーリス・ホワイトが作曲したラムゼイ・ルイスの代表曲「Sun goddess」、セカンドからはクルセイダーズのジョー・サンプルが作曲したボーカルナンバー「Street life」を…そしてサードからはアジムス「Fly over the horizon」葉加瀬太郎をゲストにガーシュウィンの「Rhapsody in blue」、それにボートラを併せて5曲のカバーが聴きどころですな。
      オリジナル曲も捨て難いにしろ、やっぱカバーって分かりやすいじゃん?
      いや上手い下手って意味じゃなく、センスがね…そのチョイスとアレンジで、何となく方向性みたいのが。

      ざっくりフュージョンといっても色々ですからね、でもガーシュウィン曲の大胆アレンジは絶妙だと思いました…あれ以上は崩し過ぎて野暮ったくなりそうだし、変に上品ぶったプレイで大人しくなってないのも。
      ただアジムス曲は元が完璧すぎるせいか面白くなってないな、な〜んて素人耳が偉そうに語ってますけど。
      本作に収録されたオリジナル曲では、神保の書いた「Goblem」が個人的な心地好さでは一番かな…次が「Tornado」、って前に聴いたセカンドが耳に馴染んでるだけだったりするかも?笑


      *以下の動画は、携帯からでは視聴できないかもしれません。

      『pyramid - [telepath] 09 Goblem』(Sound Only)


      『【LIVE】鳥山雄司×和泉宏隆×神保彰(PYRAMID) - Feel Like Makin'Love〜Tornado』
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        | music | 2018.01.13 Saturday | comments(0) | trackbacks(0) |
        最近聴いたCD
        THE KEANE BROTHERS「TAKING OFF」

        ずいぶん前に、キーンの名を騙るショボいバンドのCDを聴いちゃった事がありましたが…なんと本家本元の音源がCD化されていただけでなく、近所の図書館に置いてあったとはね!
        って、いや確かに本作はブラザーズ名義のセカンド&ラスト・アルバムですけども…この2年後の'81年に彼らは再びメジャーへと返り咲き、4人編成のKEAN名義でリリースした「ドライヴィング・サタディ・ナイト(原題:Tryin' to kill a saturday night)」が日本でヒットしてTDKのCMにも出演する訳で。
        といった経緯は、本盤解説の金澤寿和(としかず)なる人物の受け売りですが。笑

        この金澤氏、なんと10年がかりで'11年にCD化を実現させた功労者でもあるようで…しかし個人的に興味深かったのは原盤権の交渉で“リサーチ能力に長けた韓国のリイシュー・スタッフに投げたところ”トントン拍子に話が進んだ点です、前に聴いた「ジョー&ビング」をCD化したのも韓国のリイシュー・レーベルだったのが不思議でね。
        廃盤で需要が高騰している音源を発掘し、原盤所有者と交渉して再販する専門レーベルは日本が出遅れてるだけかもね…それなりのセールスが見込めてレコーディング費用が要らないのだから、商売として旨味たっぷりな気がするのになぁ?

        それはさておき本作ジャケ写、白いピアノの前でダサいポーズ取ってるのが兄のトムで'79年のリリース時は若冠15歳…そして手前のドラムセットでエアー・スティック構えてるのが弟のジョンで当時14歳、こんなジャケ写じゃ彼らだって復刻したくないだろうさ。笑
        2年前のデビュー作を手掛けた時に新米だったデヴィッド・フォスターは本作でTOTOのデヴィッド・ペイチと組んで2曲のみプロデュース、他8曲の担当はモータウン専属の作曲チームとしてヒット連発した一員ラモン・ドジャー…パーカッションにバウリーニョ・ダ・コスタ、ギターに変名でデヴィッド・T・ウォーカーが参加しています。

        CD化にあたり特にリマスタリング的な事はしなかったようで、当時のカセットデッキでダビングしたテープを聴いてるようなモコモコした音質に懐かしみを感じますね…確かに15歳の少年が作曲したとは思えない楽曲なのですが、突出した印象のないブルーアイド・ソウル風ポップスです。
        聴きどころは、やっぱり特徴的なデヴィッド・T・ウォーカーらしいフレーズですかね…全体が余りに手堅くまとまっていて面白味はありませんが、一本調子な訳でもないし楽曲の完成度も高いので名盤級の出来かと。
        因みに「Dancing in the moonlight」は布袋寅泰のカバーとは別物、と思う。笑


        補足:「Dancing in the moonlight」は、King Harvestというバンドのカバー曲みたいです。で、布袋の同名曲は彼のオリジナルでした。
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          | music | 2018.01.06 Saturday | comments(0) | trackbacks(0) |
          最近聴いたCD
          「《オセアニア》南太平洋の音楽〜最後の楽園」

          盤面のタイトルは「Island Music of the South Pacific」で、ノンサッチ・レーベルからリリースされた「エクスプローラー・シリーズ」の一環らしいです。
          ミクロネシア、メラネシアそしてポリネシアのトライネシアにて'78〜79年に採録された民族音楽で、CD('05年)のタグ情報では「50 クック・トンガ・フィジー・ソロモン・キリバス・サモア 南太平洋音楽」というタイトルになっております…ざっくり“南太平洋”と一拘りにしてますが、相互間は大陸の端から端ぐらいの隔たりがある訳で。
          それでも正直、どこも違いが分からないレベルなのは考えてみれば不思議です。

          1分弱から3分ちょっとの27トラック、約54分。
          日本でのリリースは'83年、大島渚がクック群島のラロトンガを映画「戦場のメリー・クリスマス」のロケ地に選んだ事が解説で触れられている辺りに時代が感じられますな…おそらく当時、波の音だけが録音されたアルバムと間違えて本作を買っちゃった人が少なからずいたのではないかと。
          ようやく庶民にもグアムやハワイイ旅行が身近になってきた時代ですから、南太平洋というエキゾチックな響きに釣られて本作を買った人は実にストイックかつアカデミックな音源に肩透かしを食らったでしょう。
          率直に言って、退屈です。

          解説書によると、タヒチ語のヒメネやクック語のイメネとはHymn(讃美歌)から生じた言葉でありながら歌の総称として一般名詞と化しているとか…18世紀末から訪れるようになった宣教師が“島民の音楽(楽器を含む)を低次元の未発達芸術と見倣して”本来のスタイルが失われたり“今日の太平洋島民の音楽に無視できぬほどの讃美歌的旋律やハーモニー、影響が跡をひいている”のだそうです。
          皮肉な事に、そうした教化が強く表れているトラックほど素人耳には(聴ける)のですな…西洋音楽的な分かりやすさが弱いと、単調な反復に終始しているだけにしか感じられないのです。

          まぁ確かにファイアー・ダンスっぽい太鼓も聴けますけど、時々アメリカ・インディアンの鼓笛やアフリカの連唱歌を連想してしまいました…その地球各地のプリミティブな営みに通じ合う響きに、最初の人類が浮かび上がってくるような根っこで繋がっているような何とも言えない安心感を覚えるまで聴き込まないと損した気分になるでしょう。
          そのように耳が慣れてしまうと、ゴスペルのような西洋的ハモりとか叙情性に却って違和感を覚えたりするのも面白かったのですが。
          集中して聴くにしても、あるいは瞑想っぽく聴き流すにしても「一対一で向き合うべき音」な気がします。


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            | music | 2017.12.26 Tuesday | comments(0) | trackbacks(0) |
            最近聴いたCD
            BILL LAURANCE「AFTER SUN」

            みんな、気を付けてくれ…このビル・ローレンスは、あのビル・ローレンスじゃあないんだからねッ!
            って、ナニ言ってんの?とお思いの方に説明しよう。
            ビル・ローレンスといえば日本に存在したエレキギターのブランドであり、Wikipedia情報によれば実在したピックアップ開発者の名前でもあるのだそうで…まぁ少なくとも日本で「ビル・ローレンス」といえば、あの釣り針みたいなヘッドのギターを連想する訳よ。
            でも本作は、そのギターともブランド名の由来となった人物とも一切関係ないんだ…なんて事は、'16年にリリースされている時点で分かりそうなものだけど。

            でも(もしかしたら)なんて思って聴いたなら、少なからず肩透かし感を味わう筈…そもそもギタリストじゃないんだわ、こっちのビル・ローレンスという人物。
            よく知らないけどイギリス人らしい鍵盤奏者で、テキサスで結成されたスナーキー・パピーなるトリオの一員だとか…で、バンドを離れたソロ・アルバムかといえばメンバー構成は一緒。
            で、鳴ってる音はといえば所謂クラブ系ジャズなのね…E.S.T.ほどの新味は感じず、けれどもエレクトロ・デラックスみたいな華やかさはないし「SLOW DRAG」よりアンビエント的な訳でもないという。
            ピアノって、その音色だけで得してる気がするなぁ。

            ピアノの音が主体だと、バックの音は割とどうでもよく聴こえるっていうか…これをギターで鳴らしても様にならないんだろうって、例えばボイシングの展開とか真似できない部分でね。
            いや何となく思った事なんで、専門家じゃないからさ…ただ、ジャズっぽく弾いてシーケンサー走らせたら雰囲気バッチリ!な世界。
            すんなり聴けて別に悪くもないのよ、ラウンジーだし…単に既視感つか既聴感?ありまくりで、何で今更?と思わなくもないのがね。
            もうさ、こういう音楽も様式美というよりパターン化してそう…多分それっぽいインプロ弾けてDTMソフトがあれば、誰でも手軽にエレクトロジャズれそう。


            *以下の動画は、携帯からでは視聴できないかもしれません。

            『Bill Laurance - Aftersun (Official Trailer)』(Sound Only)
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              | music | 2017.12.19 Tuesday | comments(0) | trackbacks(0) |
              最近みたDVD
              「ELVIS COMPLETE STORY」

              「コンプリート・ストーリー」のタイトル通り、ドキュメンタリーではなく伝記映画ですね…要はAmazonビデオで視聴するのを止めたAC/DCやS.R.V.の映画みたいな感じだけど、関係者インタビューだけじゃなくエルヴィス本人の歌や芝居も断片的ながら楽しめます。
              こういうのって劇場公開ではなくTV特番として制作されてるのかな、それと'97年にもなってエルヴィスは今更すぎる気がしますし…ひょっとしたら音楽版「ヒストリー・チャンネル」的な専門番組があって、こうした中途半端な「スパイナル・タップ」風なのを大真面目に作ってるのかな?
              伝記っつか、まとめ映画?

              生い立ちから世紀のスターへ、そして'77年の死まで…メンフィスの貧しくも敬虔な家庭環境と、ストリートの黒人ミュージシャンから音楽を学んだ白人青年の生涯が94分で分かります。
              だけど死因は語らず終幕、ディスコグラフィではなくフィルモグラフィに沿った内容など本当に中途半端。
              とはいえ、エルヴィス・プレスリーについて何も知らなかった僕にとっては新鮮味がありました…例えば彼は黒髪は地毛色ではなく染めていたとか、徴兵を別にしてアメリカ国外に出た事は一度もなかったとか。
              とまれ、本作で強調されているのは自らを大佐と呼ばせた興行師の功罪ですな。

              メンフィスで売り出し中だったエルヴィスを見出だし、当時にしては過激な要素を時と場所で調節する手腕で“ホワイトニガー”と評された彼を育て上げたのは功であり…エルヴィスのプライベートにまで干渉し、最初の契約から収益の半分以上を懐に入れるなど金儲けを優先させたマネジメントぶりは罪といえるかも。
              エド・サリヴァン・ショーのプロデューサーは、視聴者から顰蹙を買わないようにエルヴィスの上半身だけを映すよう指示したそうで…要するに公衆の面前で卑猥に腰を振る行為の方が、白人が黒人音楽を真似る事以上に問題視されていたという印象を受けました。

              その大佐がエルヴィスの海外進出を阻んだ理由は、不法入国者ゆえにパスポートが持てなかったせいだとは…彼を自分の監視下に置けない状況では、兵役に服したドイツで後の妻プリシラと恋に落ちたような出来事も避けられないからなぁ。
              自分を敬愛するビートルズの人気に嫉妬し、キング牧師が自分の故郷で暗殺された事に不安を覚え…逸早くスピリチュアルに傾倒し、浴びる光に反比例かのように深まりゆく孤独の闇。
              ジミヘンを筆頭にジム・モリソンやジャニス・ジョプリンがドラッグで若死にしても、自分のは合法だからと違法ドラッグ追放キャンペーンに手を貸したとは。

              生まれなかった双子の兄と過剰な愛情を注いでくれた母親だけが信じられる相手だったエルヴィス、母親から繰り返し聞かされた「神様の仕事をするために生まれた」という言葉は彼を支えたり苛んだりしたようで…一方で彼は「たかが音楽」とか「ロックンロールが過ぎ去っても俳優ならば生き残れる」などと発言しており、音楽史に足跡を残した人物も決して特殊ではないと感じさせられました。
              とはいえ、彼の肉声ではなくエルヴィス役の他人が喋った台本の台詞なので信憑性はありませんけどね!笑
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                | music | 2017.12.09 Saturday | comments(0) | trackbacks(0) |
                最近聴いたCD
                CHRIS REA「ON THE BEACH」

                再聴です。
                1曲目のタイトル・ナンバーは有名ですね、後は本作未収録ですがクリスマス時期になると街に流れる「Driving home for Christmas」ぐらいでしょうか…まぁ僕も実際、アルバムで聴いたのは本作だけなのですけど。
                個人的には2曲目の「Little blonde plaits」も好きなのですが、多分その辺も以前の記事で書いた気がしますし改めて付記するような事は特にありません…クリス・レアといえばハスキーな渋い声が印象強いと思いますが、ギタリストとしても独特なトーンやバッキングに燻し銀のセンスを感じます。
                ボビー・ウーマックと並ぶ、隠れたギターの名手かと。
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                  | music | 2017.11.16 Thursday | comments(0) | trackbacks(0) |
                  最近聴いたCD
                  V.A.「Musicians Of Sicily」

                  邦題は「シチリアへ」、再聴です…ふと思い出したら妙に気になってしまいましてね、特に心に残る曲などはなかったけれどジャケ写の風景と全体的な楽曲の醸す雰囲気が印象深くて。
                  まぁ曲調はRPGゲームの酒場で流れてそうな感じだったり、穏やかな室内管弦楽といった感じだったりで一概には言えませんけど。
                  全17曲、シチリア島をメインに活動する6アーティストを収録…古くから親しまれている感じのアンプラグドな楽曲ばかりなので、コンピレーション盤ながら個性のぶつかり合いはなく統一性が保たれています。
                  あ、因みに歌モノは1曲もありませんでしたね。

                  どの曲を聴いていても、思い浮かぶのはNHKの「名曲アルバム」的な映像です…あんまり観た事はないのに、シチリアの街路や生活風景を想像してる不思議。
                  勝手に人々の笑顔や地中海の風をイメージしてしまうのは、見知らぬ土地を都合よく美化してしまう危険も孕んでいる気はするのですよ…でもまぁ、おそらく自分にとっては無縁の島だから憧れの理想郷として仕立て上げても構わないかと。
                  完全に架空の場所よりもリアリティを持たせられて、気軽には行けない距離感ね…だからといって遠すぎてもボヤけてしまうので、例えばマダガスカルとかではピンと来ないのですよ僕にとっては。

                  何もしない休日の、寛いだ時間に華を添えるような…だからこそ、非日常感を保つためにも真剣に聴き込みたくはない一枚なのです。
                  Musicians Of Sicily
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                    | music | 2017.11.07 Tuesday | comments(0) | trackbacks(0) |
                    最近聴いたCD
                    MARLENA SHAW「WHO IS THIS BITCH, ANYWAY?」

                    ソフト・フォーカスなのか印画紙の質なのか、ボンヤリとしたモノクロの画面から凛々しい眼差しを投げ掛けるアフロの女性…しかも自称“メス犬”っすか?と思わずたじろいでしまいましたけど、実は“ビッチ”って悪態極まって真逆の意味にもなるのだそうで。
                    つまり“超イカしたオンナ”的なね、でもサノバビッチが誉め言葉になるとは聞いた事ないので要注意?笑
                    実は本作、かなり前にチェックしてたんだけど理由は忘れちゃったんだよな…でもショーグンの1stを無性に聴きたくなった勢いで、合計が“¥2,000以上なら送料無料”マジックに乗っかって併せ買いしてしまった次第。

                    因みに本作は¥897でショーグンは¥849、あと一緒にかったDVD「フレンズ シーズン6・vol.1」と「同・vol.2」が各3枚組で¥383と¥354…それはともかくマリーナ・ショウ、本作には僕好みな曲がいくつか収録されている筈でしたが。
                    実際に聴いてみたら、なんと1曲も知らないじゃないですか!…なんなんだよ、この記憶の書き換え!?笑
                    全10曲、40分弱…ぶっちゃけ普通というか、そんなに好いって程でもないと思ってたんだけど聴いてる内に心地好くなってきます。
                    これは'75年リリースのコンテンポラリーなサウンドが、僕の音楽的原体験にフィットしてるせいですな?

                    フェンダーローズの特徴的な音色と、デヴィッド・T・ウォーカーのギターだけでも70年代グルーヴ満点…いきなり酒場の男女スキットで始まる1曲目のファンキーなベースラインはチャック・レイニーハーヴィー・メイソンのテクニカルなドラミングもgood。
                    もう一人のドラマーはデレク&ザ・ドミノスを結成しクラプトンと「Layla」を共作したりビーチ・ボーイズの「ペット・サウンズ」に参加していたジム・ゴードンなる人物で、ピアノのビル・メイズはブルーノートらしくジャズ系だそう。
                    「Feel like makin' love」の洒落たカバーは、原曲と好みが分かれそうだな。

                    それにしても本作がブルーノートって意外な感じでしたが、どうやら当時のジャズ・ファンクという流行りに乗ったらしく…で、そこら辺が後にレアグルーヴとして再評価される事になったようで本作もまた名盤として絶賛されてる模様。
                    まぁ確かに通好みな渋さはありますね、楽器やってた人とかが好きそうな感じ。
                    マリーナ自身の作詞作曲は5曲目と7曲目、1曲目は共作…因みに9曲目はラスト曲へのシンフォニックな導入部で、1曲目アタマのスキット部分より短いし実質的には全9曲ですね。
                    個人的にはA.W.B.T.O.P.をR&B濃いめにした印象、自分的には買う程じゃなかったかも?笑


                    *以下の動画は、携帯からでは視聴できないかもしれません。

                    『Marlena Shaw - Feel Like Makin' Love』(Sound Only)



                    以下、トラック・リスト。
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                      | music | 2017.10.21 Saturday | comments(0) | trackbacks(0) |




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