最近聴いたLP
THE BEACH BOYS「BREAK AWAY」
(レコード・プレーヤーは使わずにいるとターンテーブルを回すゴムベルトの劣化が早まるんじゃないか?)という疑念から、もう少しレコードを聴くようにしようと思いまして…折角ですから、手元に残してるアナログ盤の中でも再生回数が最も少ない本作を聴き直していました。
といっても(そんなアルバム出てないだろ!)と思われた方もいるでしょう、本作は「THE BEACH BOYS CAPITOL YEARS (邦題:ビーチ・ボーイズ・ボックス −カリフォルニアより愛をこめて−)」(←リンク先はamazonのCDセット)と題された7枚組セットの6枚目なのです…何故1枚目から聴かないのかというと、それは再生回数が関係しておりまして。
キャピトル・レコードに在籍した黄金期'62〜69年の楽曲をコンパイルした7枚は、最初の数枚にヒット曲が集中しているため特に1〜3枚目は割と聴いてたんですよ…といっても子供時代の宝物だったから、本当に数える程ではありましたが。
小学6年生の誕生日プレゼントとして、親に頼み込んで¥12,600もの大枚叩かせたのでね…当時のLPが1枚¥2,800だったのを思えば格安とはいえ、自分の小遣いで買ったレコードとは別格の扱いをしていたのです。
最初に買った洋楽シングルも、彼らの「I get around」でした…「ボーイズ ボーイズ」から西海岸に憧れていた僕には、彼らの音楽が特別だったのです。
大事にしてた割に外装は黄ばんでるしジャケもシミだらけ、プレーヤーもA面の途中まで回転ムラがあったりと聴き手の僕も含めてポンコツ感タップリでしたが…おそらく最初の一度ぐらいしか針を落としてないであろう6枚目は、時系列に沿ってコンパイルされた中でサーフ/ホットロッドから最も遠い「PET SOUNDS」後の楽曲群です。
といってもA面1曲目の「恋のリバイバル」は'68年のヒット曲ですし、ラストを飾るタイトル・ナンバーはウケ狙いシングルであれど個人的にはビーチ・ボーイズのエッセンスが詰まった名曲ですね…A面2曲目のジャジーなコード感やセルジオ・メンデス風味の3曲目、スキャットのみの4曲目とか3拍子の8曲目はソフトロックの趣きがあります。
B面2曲目はブライアン・ウィルソン名義となっているものの、Wikipedia情報ではチャールズ・マンソンとの関わりが示唆されていて意外というかビックリ…3曲目はカントリー調で4曲目はロジャー・ニコルズを思わせるコード進行が心地好く、若干サイケな香り漂う5曲目やアルバム初収録という6曲目の「輝く星座〜アクエリアス」っぽさは新たな方向性を模索していたかのようでもあり。
L.A.のガレージ・バンドからインスト主体だったサーフロックにフォア・フレッシュメン的なハーモニーを持ち込んだ初期、フィル・スペクターとの交流が顕著に現れる中期を経て結束が失われていったキャピトル末期からの選曲ですが僕は新鮮に感じられました。
長らく楽曲製作を主導したブライアンが、ビートルズをライバル視したという「PET〜」前後のアートロック志向…そこで培われた技巧的な音響とアレンジは、ポップスへと回帰した楽曲に洗練された味わいをもたらしたのではないでしょうか。
とはいうものの、まぁ音質は団子ですね…キャピトルの録音設備は60年代中盤からステレオ録音が可能だったにも関わらず、モノラル録音の比率が高い事も無縁ではなさそう。
CD化によって4枚組となった際には、もしかするとリマスタリングが施されているのかもしれませんけども…因みに7枚目はブライアンが手掛けた番外編とでもいうべき作品集で、CD化では除外されておりますが前に聴いたコンピの方が充実してますね。
追記:モノラル比率の高さは、Wikipedia情報によりますとブライアンの難聴が関係してるようです、本作の解説書では有能なマネージャーと評されてる父親からの暴力が原因と読んだ覚えがあるんですけども。
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以下はトラックリスト。
(レコード・プレーヤーは使わずにいるとターンテーブルを回すゴムベルトの劣化が早まるんじゃないか?)という疑念から、もう少しレコードを聴くようにしようと思いまして…折角ですから、手元に残してるアナログ盤の中でも再生回数が最も少ない本作を聴き直していました。
といっても(そんなアルバム出てないだろ!)と思われた方もいるでしょう、本作は「THE BEACH BOYS CAPITOL YEARS (邦題:ビーチ・ボーイズ・ボックス −カリフォルニアより愛をこめて−)」(←リンク先はamazonのCDセット)と題された7枚組セットの6枚目なのです…何故1枚目から聴かないのかというと、それは再生回数が関係しておりまして。
キャピトル・レコードに在籍した黄金期'62〜69年の楽曲をコンパイルした7枚は、最初の数枚にヒット曲が集中しているため特に1〜3枚目は割と聴いてたんですよ…といっても子供時代の宝物だったから、本当に数える程ではありましたが。
小学6年生の誕生日プレゼントとして、親に頼み込んで¥12,600もの大枚叩かせたのでね…当時のLPが1枚¥2,800だったのを思えば格安とはいえ、自分の小遣いで買ったレコードとは別格の扱いをしていたのです。
最初に買った洋楽シングルも、彼らの「I get around」でした…「ボーイズ ボーイズ」から西海岸に憧れていた僕には、彼らの音楽が特別だったのです。
大事にしてた割に外装は黄ばんでるしジャケもシミだらけ、プレーヤーもA面の途中まで回転ムラがあったりと聴き手の僕も含めてポンコツ感タップリでしたが…おそらく最初の一度ぐらいしか針を落としてないであろう6枚目は、時系列に沿ってコンパイルされた中でサーフ/ホットロッドから最も遠い「PET SOUNDS」後の楽曲群です。
といってもA面1曲目の「恋のリバイバル」は'68年のヒット曲ですし、ラストを飾るタイトル・ナンバーはウケ狙いシングルであれど個人的にはビーチ・ボーイズのエッセンスが詰まった名曲ですね…A面2曲目のジャジーなコード感やセルジオ・メンデス風味の3曲目、スキャットのみの4曲目とか3拍子の8曲目はソフトロックの趣きがあります。
B面2曲目はブライアン・ウィルソン名義となっているものの、Wikipedia情報ではチャールズ・マンソンとの関わりが示唆されていて意外というかビックリ…3曲目はカントリー調で4曲目はロジャー・ニコルズを思わせるコード進行が心地好く、若干サイケな香り漂う5曲目やアルバム初収録という6曲目の「輝く星座〜アクエリアス」っぽさは新たな方向性を模索していたかのようでもあり。
L.A.のガレージ・バンドからインスト主体だったサーフロックにフォア・フレッシュメン的なハーモニーを持ち込んだ初期、フィル・スペクターとの交流が顕著に現れる中期を経て結束が失われていったキャピトル末期からの選曲ですが僕は新鮮に感じられました。
長らく楽曲製作を主導したブライアンが、ビートルズをライバル視したという「PET〜」前後のアートロック志向…そこで培われた技巧的な音響とアレンジは、ポップスへと回帰した楽曲に洗練された味わいをもたらしたのではないでしょうか。
とはいうものの、まぁ音質は団子ですね…キャピトルの録音設備は60年代中盤からステレオ録音が可能だったにも関わらず、モノラル録音の比率が高い事も無縁ではなさそう。
CD化によって4枚組となった際には、もしかするとリマスタリングが施されているのかもしれませんけども…因みに7枚目はブライアンが手掛けた番外編とでもいうべき作品集で、CD化では除外されておりますが前に聴いたコンピの方が充実してますね。
追記:モノラル比率の高さは、Wikipedia情報によりますとブライアンの難聴が関係してるようです、本作の解説書では有能なマネージャーと評されてる父親からの暴力が原因と読んだ覚えがあるんですけども。
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以下はトラックリスト。
| music | 2024.03.18 Monday | comments(0) | - |