【中古】嘘解きレトリック <全10巻セット> / 都戸利津(コミックセット)
【中古】嘘解きレトリック <全10巻セット> / 都戸利津(コミックセット) (JUGEMレビュー »)
「ウソを聞き分ける」が故に孤独だった少女が貧乏探偵の助手に、というレトロモダン路地裏探偵活劇…お世辞や方便に欺瞞を感じる、そんな読者少女を分かってますなぁ。
およそ100年前という地続きな設定、現代とは異なる感覚の豆知識も興味深いです…本格推理ファンには物足りないでしょうけど、見せ方から筋運びまで完璧!と感じる漫画家ですよ。
紹介記事【2023.02.01】
【中古】 ルーマニア賛歌 Europe of Europe /みやこうせい(著者) 【中古】afb
【中古】 ルーマニア賛歌 Europe of Europe /みやこうせい(著者) 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
地理的にはウクライナの南、ブルガリアの北で西側はハンガリーとセルビアに接するルーマニア…つい東欧と一括りに捉えがちですが、カトリックと東方正教が混じり合った歴史を感じさせる万華鏡のような風土と文化のモザイクは旅心をくすぐられます。
紹介記事【2023.01.02】
フェーム 特別版 [ アイリーン・キャラ ]
フェーム 特別版 [ アイリーン・キャラ ] (JUGEMレビュー »)
ミュージカル映画かと思ってたんですが群舞シーンは意外と少なめ、ストーリーを追うより時代の空気を味わう映画かも…各エピソードにオチも後日談もなく、ドキュメンタリーのようにシンプルな構成でしたが最後はグッと来ましたよ。
紹介記事【2023.05.26】
ルックバック (ジャンプコミックス) [ 藤本 タツキ ]
ルックバック (ジャンプコミックス) [ 藤本 タツキ ] (JUGEMレビュー »)
(薄いなー)という第一印象を覆す、先入観なしに読んでほしい一冊です…尺は短めでも完成されてる、低予算ながら良質の自主制作映画を思わせます。
山形を舞台に描かれる、十代の少女2人の漫画愛&成長譚…ところが中盤の転換点から怒涛の勢いで感情を振り回され、喪失の痛みを知る人ほど「作り話の存在証明」を思い知らされるのでは。
紹介記事【2023.06.15】
COYOTE SPECIAL ISSUE 安西水丸 おもしろ美術一年生 Coyote MOOK / 安西水丸 【ムック】
COYOTE SPECIAL ISSUE 安西水丸 おもしろ美術一年生 Coyote MOOK / 安西水丸 【ムック】 (JUGEMレビュー »)
僕にとって安西は小説家であり、70年代の映画みたいな乾いた文章と裏腹な湿り気が印象的で…どこかで彼に嫉妬していたのかも、そう気付かされた本書で自分の絵心を取り戻せそうです。
紹介記事【2023.02.07】
ああ爆弾 [DVD]
ああ爆弾 [DVD] (JUGEMレビュー »)
舞台美術を融合させた和製ミュージカル、小気味好いカットインでテンポよく繋いでゆく独特な映画です…大筋は任侠コメディでもコミカルなシークエンスに関連性を与えているに過ぎず、目の前の滑稽に食い付いて心をスッキリ空っぽにする映画かと。
紹介記事【2023.04.20】
STYLE 男のファッションはボクが描いてきた [ 綿谷 寛 ]
STYLE 男のファッションはボクが描いてきた [ 綿谷 寛 ] (JUGEMレビュー »)
どこかノスタルジックなロックウェル調の画風、本番アメリカでも絶えてしまったファッション・イラスト…バイヤー並みの製品知識と造詣が描き出す「写真と非なる情報量」は、安西水丸の認識と真っ向から対立するようで興味深く感じられたりも。
紹介記事【2023.03.13】
ヒヤマケンタロウの妊娠 (BE LOVE KC) [ 坂井恵理 ]
ヒヤマケンタロウの妊娠 (BE LOVE KC) [ 坂井恵理 ] (JUGEMレビュー »)
男が妊娠・出産するようになり、10年が経過した世界…色々と自分のバイアスを揺さぶられました、現実の世間の根っこを「男の妊娠」一点で掘り返してます。
決して「弱者に」的な描き方ではなく、でも少子化対策の先送り感が浮き彫りに…一時しのぎじゃ逃げられないと腹を括る男たち、そういう腰が重さがリアル。笑
紹介記事【2023.06.03】
里見八犬伝 [ 薬師丸ひろ子 ]
里見八犬伝 [ 薬師丸ひろ子 ] (JUGEMレビュー »)
かつてガッカリした方こそ芝居感覚で観てほしい、長大な原作を2時間強でまとめた冒険活劇としては当時なりに高水準だったと認識を改めました…筋運びを追う映画じゃなく見せ場を繋ぐ芝居の手法で、和合メタファのご来光やハリボテ大ムカデも笑い所だったのでは?
紹介記事【2023.03.11】
太田裕美 / こけていっしゅ [CD]
太田裕美 / こけていっしゅ [CD] (JUGEMレビュー »)
LPのジャケに改めて絵画のような価値と、差し向かいで聴く音楽の魅力を実感…久々に通しで何度も聴いちゃいました、こんな時間が今では日常の贅沢なんですな。
一聴して分かる特徴的な抜け感と透明感、この声質を引き立てる楽曲群…80年代シティ・ポップ前夜の、シャレオツとは言い難いからこそ魅力的な一枚です。
紹介記事【2023.05.12】
今夜すきやきだよ (バンチコミックス) [ 谷口 菜津子 ]
今夜すきやきだよ (バンチコミックス) [ 谷口 菜津子 ] (JUGEMレビュー »)
凸凹アラサー女子の協同生活、共感する要素は皆無な2人ですが何故か身に詰まされ…「人並み」の世間に属する異端な感覚、それは割と普遍的かつ根源的なのかも。
所詮は自分も誰かの「人並み」だし、共存の間合いという発想は大局的に地球をシェアするカギかとも…隣人と共存する一歩は、思想を語るより有意義そうです。
紹介記事【2023.01.08】
ハイツひなげし [ 古川誠 ]
ハイツひなげし [ 古川誠 ] (JUGEMレビュー »)
最初は(吉本ばななっぽい題名だな−)と思ったら掴まれました、料理とかスポーツとかの「簡単そうに見せる上手さ」みたいな?…面白味の薄そうな日常を退屈させずに描ける奥深さ、読んでる内に素になっちゃうような。
紹介記事【2023.05.04】
【中古】 9・11 N.Y.同時多発テロ衝撃の真実/(ドキュメンタリー) 【中古】afb
【中古】 9・11 N.Y.同時多発テロ衝撃の真実/(ドキュメンタリー) 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
“衝撃の真実”かはともかく、ドキュメンタリーの撮影中に遭遇した視点そのものの衝撃…フィクションのようにしか感じられない自分への罪悪感、理不尽な災害への行き場のない気持ち…人の持つ気高さと、本質的な善意が胸に沁みます。
紹介記事【2023.02.05】
関連記事「9.11オフィシャル・レポート」【2023.01.20】
【中古】[PS2]Zill O'll 〜infinite〜(ジルオール インフィニット) 通常版(20050623)
【中古】[PS2]Zill O'll 〜infinite〜(ジルオール インフィニット) 通常版(20050623) (JUGEMレビュー »)
遂にPS2本体も三代目、全エンディング達成後は初見イベント探しに夢中です…どの出来事にも裏があり、全体像を知るにつれ各キャラの印象も大きく変わる仕込みの多さには驚かされます。
紹介記事【2023.01.04】

最近みたDVD
「マイ・インターン」

思わず背表紙のタイトルを「マン・イーター」と見間違い、表パッケージで仲良く並んだアン・ハサウェイロバート・デ・ニーロを食い物にするのかと…しかし表のタイトルには「恋に仕事に頑張るあなたに捧ぐ」とか付け足されていて、思わず二度見して観るのを躊躇(ためら)っちゃいましたよ。笑
ロバート演ずるは妻に先立たれた初老の男性、前向きに過ごしてはいるが物足りない…そこで応募資格が65歳以上のシニア・インターンに応募、慣れないPR動画をYouTubeにアップして無事に採用されたものの。
職場は急成長中のレディース通販会社、しかもアン演ずる女性社長の直属に!という。

親と不仲で高齢者は苦手な社長、ましてやシニア・インターンなんて…多忙過ぎて手が回らないアンはロバート放置、そこで自ら年の功を活かした若手社員お悩み相談を開始。
仲良くなった社員たちと社長のピンチに一役買った事でアンも先入観を改め、酒席とはいえ「今時の若い男は」云々と説教+口調までオッサン化して泥酔の挙句ロバートに介抱される始末…アンと心通わせたロバートが別れ際に「サヨナラ」と言うのも、日本語の奥深さを考えさせられて印象深いです。
一方、レネ・ルッソ演じる社内マッサージ師とロバートのロマンスも始まり…因みにインターンシップは大抵タダ働きで社員登用確定じゃないって、もう何ガチャだよ!笑

主婦ブログから会社を立ち上げて1年半、気を張り続けていたアン社長の脆さも次第に垣間見えてきて…投資家たちの(外部からCEOを迎えては?)との提案に動揺し、ママ友の視線に「2015年なのに働くママ批判?」と自分の妄想を自分で現実化していたり。
会社の急成長と業務の複雑化が危険水域に達しており、彼女の頑張りと有能さも空回り気味…仕事に夢中で家庭崩壊の予兆もチラリ、しかし細部まで手を抜かない社長の熱意に心打たれたロバートは押し付けがましくならず公私共にアンをサポート。
冒頭の年寄り苦手アピールから世代間ギャップや無意識のマイクロアグレッションと、多様なポリティカル・コレクトネスの切り口も嫌味なく感心しました。

後半、アンのシスコ出張に同行してベッドで○○の悩みを打ち明けられ…TVOAされてる「雨に唄えば」は有名な雨の中で踊るシーンじゃなく、映画セットを背景にジーン・ケリー&デビー・レイノルズが心通わせる場面で。
観ながら寝入ってしまうアンと静かに涙を拭うロバートの対比、そして急な葬儀デートの帰り道でレネに告った(死語?)ロバートは冒頭で得られなかった何かを見出します、それを「人生は仕事か家庭かの二択ではない」と思えば教訓めいてしまいますが。
まぁ納得いかない観客もいたでしょうが、観るタイミングで感じ方も変わるのでは…女性目線ではアンの夫にキレそうだけど、男目線では上手い描き方に思えました。

夫もまた失いそうだからこそ何かに掴まらずにはいられなかったし、アンが願ったほどタフではない自分の脆さを分かってなかったんですよ…彼にも支えは必要で、それこそ「人生は仕事か家庭かの二択ではない」のでしょう。
ブルックリンの社長宅に「サタデー・ナイト・フィーバー」を連想し、70年代のリトル・イタリーから飛び出した青年が憧れた場所は半世紀を経た今も成功者の世界なのかと…それと「正しい事は迷わずやれ」は名言ですね、ただ“多分マーク・トウェインも言ってる”って言わないよ直球過ぎて!笑
音楽はセオドア・シャピロ、'15年のワーナー映画で約2時間。

追記:ホテル・マネージャー役にドレーナ・デ・ニーロ、 フォーリー(お手製の効果音)アーティストにゴロー・ヨコヤマのクレジットが・・・製作監督脚本はナンシー・マイヤーズ、特典映像は約5分の「年の差から生まれるもの(LEARNING FROM EXPERIENCE)」。
それと序盤のオフィスで流れてた、アイズレー「That lady」をサンプリングしたラップはケンドリック・ラマーの「I」と判明。


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*以下の動画は、携帯からでは視聴できないかもしれません。

『You Were Meant For Me』(本作に引用されていた「雨に唄えば」のシーンで、コチラのサイトによると“映画の中でプロットにそった最初の歌”でサイレント時代には幾つもの映画で使用されていたとか)
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    | cinema | 2024.03.10 Sunday | comments(0) | - |
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    「超高速!参勤交代」

    '14年公開の時代劇コメディ映画です、この頃こういうの多かったですよね…でも今まで普通の「真面目な時代劇」しか観てなかったので、割と新鮮に楽しめました。
    ナレーションの台詞回しに(もしや?)と思えば、農民役で神戸浩が!…これで最初から期待値が高まりましたよ、だけど最後の最後に90年代風JPOPのアニメチックなエンディング曲じゃあ爽やかな幕切れが台無しだわ。
    せめて曲調とか歌詞とか考えてからブッ込めよ、これだから製作委員会は…まぁ太いスポンサーなんて今時なかなか見付からないとはいえ、出来栄えの良し悪しじゃなく手前らの懐勘定で首を突っ込む下衆に集られちゃあ映画も斜陽になるわな?

    そうは言っても本編の出来は好かったです、特に中盤過ぎの街道で見せる殿様(佐々木蔵之介)の居合抜刀は思わずリピート再生しちゃう位シビレました…しかも手練れの公儀隠密衆に人質とされた田舎宿場の女郎お咲(深田恭子)が貧乏浪人と思っていた殿様の素性を知る胸熱展開ね、お咲の蓮っ葉さが本気でスレてない田舎女郎で丁度好かったのも好感。
    殿様の領地で見付かった金山の利権に目が眩み、最短8日の参勤を「5日で来なきゃ取り潰し」と命じた老中(陣内孝則)が実に憎々しいんですが…まぁギャフンと言わせただけなのは仕方ないにしても、ちょっと続編への布石っぽく感じられたのが残念でした。
    因みに“死して屍”云々って、単に「大江戸捜査網」の隠密同心心得パロディなのか。笑

    そもそも諸藩の財政を削るべく課された大名行列で金蔵(かねぐら)を空にしている小藩が、本来10日を要する60里の道中を5日で踏破するなど出来ぬ筈もなく…お取り潰しを免れるため、知恵者の国家老(西村雅彦)&道先案内に雇った雲隠段蔵(伊原剛志)を筆頭に僅かな手勢で山越えの最短ルートを駆け抜けます。
    しかし老中の放った刺客や予期せぬ波乱で山場に次ぐ山場、約2時間の折り返しでも牛久宿で家来とはぐれるわ人相書きが出回るわ窮地から更なる窮地へ…殿様の人徳で切腹を思い留まった家来たちは褌一丁で江戸屋敷に到着するも、刻限の暮れ六つに江戸入りを果たした殿様一行が大手門までの3〜4里を下馬して間に合うかねぇ?

    暮れ六つとは日暮れの鐘が6つ鳴り終える時、それが実際に千住の大橋で鳴ってたら完全アウトとか言っちゃあ野暮ですな…大橋の長さだって渡り切る間に鐘が撞き終わっちゃう位でしたけど、そこは本来のイメージと違うからこそ面白かった点でもあり。
    でも逆に、狭い裏路地で忍者軍団に取り囲まれるのは解せませんでしたがね…江戸屋敷に向かうにしろ直行するにしろ、あんな横丁に入り込む筈ないし?
    ともあれ金山の詮議は予想どおり、むしろ老中首座(石橋蓮司)も吉宗公(市川猿之助)も老中の不正を疑っていたと…ですが里への下り道中も江戸屋敷の蓄えでは足らず、まるで「ザブングル」のラストみたいに「みんな走れ!」で一件落着。笑

    やっぱ正義むき出しエンディングより、ほのぼのした終わり方なのは余韻も気持ち好いです…義に殉じた家来が生きてたのも、晴れやかに里帰りする姿が微笑ましいですし。
    個人的には序盤の細やかなディテールと、江戸で一気にTVドラマの書き割りっぽくなるアンバランス感が好かったです…ロケパートでは人物の滑稽さで見せて、書き割りパートは時代劇の定石を破るようなアングルでの無茶苦茶なバトルと見せ方に凝ってますね。
    特典映像は30秒の「特報」&約1分の「予告篇」、約4分の「討ち入り!完成披露会見」はメインキャストが和装してても役とは別人に見えたのが印象的でした…単に(髪型が現代風だから)ってだけじゃなく、表情も所作も(素の役者さん)だからだよなと。


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      | cinema | 2024.02.23 Friday | comments(0) | - |
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      「燃えよドラゴン」

      本編は先日観ましたが、2枚組の“162分にも及ぶ怒涛の特典映像”とやらも観ておこうかと…先ずはディスク2に収録された4本のオリジナル劇場予告編集&7種類のTVスポット集、そして約87分の'93年にワーナーが製作したドキュメンタリー「ドラゴンと呼ばれた男 (Curse of the Dragon)」を視聴。
      '73年7月21日に香港で行われたブルース・リーの盛大な葬儀、一躍世界的スターになったと思ったら本編公開時には亡くなってたのか!…シアトルでも葬儀が行われた際にはスティーブ・マックィーンやジェームズ・コバーンらが参列しており、彼らがロスの道場でリーからカンフーを学んでいたとはビックリ。

      その32歳という早すぎる死の謎を息子ブランドンの早世に関連付ける俗説は知ってたけど、だからって“マレーシアの一部族は彼の不死身を信ずる”とは流石に大袈裟だな。
      10代のリーはケンカに負けてイップ・マンから武道の手解きを受けるもケンカに明け暮れ、上流階級の俳優だった父親は私闘が禁じられていた香港で家名に傷が付くのを恐れ長男をシアトルに…すると門外不出とした中国人以外の人種にもカンフーを教えたり、伝統的な中国武術を批判したりで次々と挑戦者が道場破りに来るも返り討ち。
      しかしハリウッド進出の夢は人種の壁に阻まれ、一度は香港に戻って人気を得るもアメリカの流儀を貫き強者として振舞った彼は孤独になり再渡米。

      アクションスターとしてのリーは最初から強者としてスクリーンに登場し、誰もが一目瞭然な彼の強さに憧れた筈…逆に後発のジャッキー・チェンは愛想よく振る舞い、何者でもない若者が努力と根性で強くなる物語を提示した点は興味深いですね。
      アメリカでも友人を失っていった彼が「成功と共に傲慢さを増した」と、関係者は率直に語ります…しかし香港ローカルだった「死亡遊戯」を観たワーナーはゴールデンハーベストと現地交渉し、遂にリーは世界配給される本編での主演が決定。
      ところが撮影現場の香港で「足を鳴らす挑戦の合図を決して無視しなかった」リーは、次々と現地エキストラから挑まる度に屈服させて誰がリーダーかを思い知らせていたそう。

      頂点に立つ孤独と心労からハッシュの鎮静効果に期待したリーは、意識不明に陥りながらも薬物への過敏症を自覚していなかったため愛人宅で急死…その20年後にウォーク・オブ・フェームにリーの星が刻まれ、併せてドキュメンタリーが作られたようです。
      エグゼクティブ・プロデューサーはオハラ役のボブ・ウォール、グラフィック・デザインにクレジットされてたポール・ニューマンは同名の別人でしょう。
      お次はディスク1の映像特典で、先ず'03年ワーナー製作のメイキング「Blood of Steel」(約30分)…コバーンや製作者ヘラーらの映像にドキュメンタリーからの引用が多いものの、ジョン・サクソンのコメントや新たなエピソードも語られています。

      ゴールデンハーベストとの交渉でレイモンド・チョウが渋り、製作の指揮権を要求した際にはリーがチョウを説得したそう…ワーナー側はリーを主役としながらも米国で知名度があったジョン・サクソン+全米カラテ王者ジム・ケリーに打診し、脚本家は主役級3人に国際色を盛り込んだ初稿を3週間で書き上げました。
      予告編でも「007ドクター・ノオの島」を引き合いに出してたけど、孤島の要塞に潜入し悪者の組織を壊滅させる大筋は確かに…但し秘密兵器なしの徒手空拳で挑むという縛りが加えられ、いわば肉体派ジェームズ・ボンドですな?
      プリプロのセットは、中国を舞台にしたアメコミ「テリーと海賊」を下敷きにしたとか。
      (下段に続きます)
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        | cinema | 2024.02.05 Monday | comments(0) | - |
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        「酔拳」

        再視聴、いや再々視聴か…パケ裏に“ジャッキー・チェン出世作にして最高傑作‼”とあるように、ブルース・リーが築き上げたカンフー映画のスタイルを一新した革命的な作品だと改めて思ったり。
        単に(マーシャルアーツのジークンドーと中国拳法との違い)かもしれませんが、本作では動きの節々に笑わせモーションが織り混ぜられているんですよ…トーキー喜劇が得意とした(ドジや下手くそな弱さ)と(強いんだけどバカっぽい所作)を、主人公の強さや賢さと比例させて殺陣の組み立てに配置した感じ。
        序盤から終盤に向けてコミカルさを減らす、肉体言語のディテール演出が細かいなと。

        本作の素早い殺陣をスロー再生や静止画像で観ると、先日の「燃えよドラゴン」と比較して(予備動作なく最短距離で打突するカンフー)とは明らかに違います…拳法は体全体の動きが激しく消耗が早そうに見えるのですが、実はリアリティよりも映画として大袈裟で可笑しな見映えを意図しているのかも。
        拳法の腕前が未熟であるが故の間抜けさから敵を油断させる技になり、更に実力差をアピールし侮辱するための間抜けさへ…というコミカルさの使い分けによって、ジャッキーの強さが増してゆく演出になってるんですね。
        って、実際どうかは武術の嗜みがないので知りませんが。

        ヘビメタで言えばブルース・リーは速弾きキングで、ただ後追いしたって所詮は亜流か二番煎じ止まりですからね…そこで速さと精確さの一本押しじゃなく、見せ場の緩急を肉体に語らせる手法を編み出したのかな?と。
        ラスボス戦でウォン・チェンリーに型を見切られ、窮地のジャッキーは酔八仙を融合し新たな酔仙の型で翻弄します…それが成せたのはユエン・シャオティエンが教えた肉体特訓+受け身の修得を為し遂げていたから、即ち基礎が完璧であるが故の応用力という伏線。
        もちろん(どちらにダメージが入っているか)で優劣は視覚化されているものの、ダメージ描写がなくても挙動の辻褄で語っているのです。

        以前しっかり観たコメンタリーで「本作は伝統的な武侠演目の大胆なアレンジ」と言われていたし、飽くまで想像に過ぎないんですけれど…師弟が酒を酌み交わす場面や酔八仙の由来などは、原典のフェイフォン伝説から発展させたパロディなのかも。
        少なくとも漢詩は王維の「少年行」が元ネタみたいだし、殺し屋の言う“手は戸を探り 足は戸を破る”も由来がありそう…因みに酔八仙の「呂洞賓・酒壺を指だけで持ちあげる/鉄拐李・右脚だけながら驚異の蹴り/漢鐘離・酔うと大力 酒瓶を抱えて歩く/藍采和・突如として敵の下腹部を襲う/張果老・高速の連続蹴り/曹国舅・強力な手で敵の喉を突く/韓湘子・笛の名手で鉄の手首/何仙姑・色仕掛けで男を誘う」も、何かあったり?

        個人的には酒家での爆食いシーンを観ていて「カリ城」のジェット機食いを連想し、そういえば赤ジャケ最終話「天空の城ラピュタ」ラムダの笑拳ポーズもあったなと…宮崎駿監督って、実はジャッキー映画が好きなんじゃない?
        そして「燃えよドラゴン」でも本作でも小道具に用いられていた鳥籠ですが、ひょっとして70年代の香港では小鳥を籠で飼うのが流行ってたのかな…思えば70年代邦画でも、室内シーンでケージ飼いのインコとかを見掛けた気もするけど。
        いや正直なところ「燃えよ〜」のついでに借りたんですが、この勢いで「笑拳」も観直したくなりました…酔えば酔うほど強くなる、じゃなく観れば観るほど面白いです。
        drunken master (1)(←クリックで拡大表示されます→)drunken master (2)


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          | cinema | 2024.01.18 Thursday | comments(0) | - |
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          「燃えよドラゴン」

          ちょっとご無沙汰だった近所の図書館で、まさかの本作+ジャッキー・チェンの「酔拳」が目に留まって思わず借りちゃいました…図書館にカンフー映画が置かれるとは、'73年から半世紀を経てマスターピースの評価を確立したのですな?
          パケ裏にも“これはもはや伝説だ!ブルース・リーの最高傑作!”とある通り、87分のドキュメンタリーを含む2枚組の'01年リニューアル版です…しかし音声言語は英日西葡の4か国語のみ、広東語がないのは意外でした。
          英語音声/日本語字幕で視聴しましたが、役者の口の動きは実際に英語で発音してたようです…英国統治下の香港映画ですし、むしろワーナー作品だと考えれば当然なのかも。

          思えばブルース・リーの出演作って、ちゃんと観たの初めてかも…冒頭の練習試合で早くも精悍な肉体美×俊敏なアクションにビビりました、予備動作なしかよ!
          修道僧長から「門下生ハン(シー・キエン)が少林寺の名を辱しめた」と聞かされ、更に当局者からはハンの人身売買&アヘン密造の証拠を掴んで欲しいと要請されたリー…個人所有の要塞島で開催される武道大会に出場し、消息を絶った潜入諜報員メイ・リン(べティ・チュン)捜索と併せて調査に向かいます。
          ヴィクトリア湾の沖に浮かぶ孤島での大活劇!ではあるんですが、思ってた程リーの独壇場でもなくサスペンス要素もあり…普通に映画してて、好い意味で裏切られましたよ。

          もちろん主役はリーですし、ハンの右腕オハラ(ボブ・ウォール)との因縁も効いてるんですけど…他にも何やら思惑あり気な複数の人物を絡ませて、ブルース・リーと並記されてたジョン・サクソン演じる面白白人ローパーの役どころは予想外でした。
          ラストにクレジットされていた黒人空手家ウィリアムズ役ジム・ケリーとで、これは三銃士展開か?と思いきや…007を思わせるスリリングなテーマ曲をアレンジしたBGMで静かにお膳立てが整えられてゆく前半は、回想シーンの妹スー・リン(アンジェラ・マオ・イン)と下っ端たちの大立ち回りが見所です。
          そして島での昼は武術戦、夜は三者三様のミッションで徐々にハンの裏の顔が。

          美女を率いる差配美女タニア(アーニャ・カプリ)とヨロシクやってるローパー、満更でもない様子のウィリアムズは夜中も修練…一方、メイ・リンから「女性たちはハンに呼ばれた夜に姿を消す」と情報を得たリーは怪盗のように夜警を掻い潜り施設を調査。
          翌朝の試合でリーは妹の敵を討ち、オハラに替わって新たな強敵ボーロー(ヤン・スエ)が登場…ウィリアムズは夜警襲撃犯と誤解され、ローパーはアメリカ進出の代理人として懐柔されてリーは孤立無援のまま秘密の地下工場で大暴れ。
          無線室で当局へ打電し任務達成、そこから怒涛の多対一バトルに…拳に棍棒にヌンチャクとたっぷりの見せ場ですが、敢え無く捕らえられ処刑係のローパーと対決に?

          ここからローパー反逆で対ボーロー戦、その隙を見てメイ・リンが地下牢に囚われていた人々を解放し大乱闘…ラスト10分はアイアンクローを装着したハンvs.リーのデスマッチ、ミラールームの決闘は正に名場面です。
          優勢を保っていたリーが窮地に追い込まれ、観客もまたハンの不意討ちに怯えてしまいますよ…しかしここで師の言葉が勝機をもたらし、淡白な決着なのもまた印象深いです。
          個人的には古い香港の映像だけでも観た甲斐がありましたし、エキゾチックな宴やハンの書斎など各所に配された鳥籠が妙に印象的でした…それとラストでローパーがタニアの死に気落ちする場面ね、脇役のドラマに目配せされてるのが映画として楽しめた理由かも。
          enter the dragon (1)(←クリックで拡大表示されます→)enter the dragon (2)

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            | cinema | 2023.12.25 Monday | comments(0) | - |
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            「冗談じゃないよ」「Double Role」

            先日と同じく「第15回 日本映像グランプリ2023」一般公開審査上映会の作品で、今回は約90分の日下玉巳監督「冗談じゃないよ」と43分の川西薫監督「Double Role」という2本立てでした。
            自分の目当ては、こないだ読んだ全聾者の漫画「僕らには僕らの言葉がある」でチラッと紹介されてたコーダに関心を抱いたタイミングというのもあって後者でした…コーダ(CODA)とはChildren Of Deaf Adults即ち「聾者の親を持つ聴者」の略語で、バイモーダル特性についても何か分かるかな?と思ってたんですが。
            その点は全然でしたね、まだ3歳ぐらいだったし。笑

            といってもカメラが追っていたのはコーダではなく、コーダの娘を持つカーリング選手の方だったので…彼女とダブルスを組む実兄も現役選手である父親も聾者、聾者の旦那さんも両親が聾者という環境で育ち生活する彼女は内心(娘も聾者であってほしい)と思っていたそう。
            もし「僕らには〜」を読んでいなかったら、この言葉の受け止め方は違っていたかも…聾者の中で育ち生活を送る彼女には、想像するのも難しい聴者側の認識する世界は勝手が分からないんですよね。
            関わる聴者の普通さに共感し、母校や寮の方々の視野に感心し…やはり指文字ぐらいは覚えようかな、ツールとしては英語より身近なんだし?と。

            「Double Role」が一人二役的な意味だとして、だけど(パラアスリートと家庭人)的な解釈ではなさそうに思えて…無音あるいは音が意味をなさない世界と聴者にとって当たり前の世界という、重なり合っていながら認識が異なる二つの環境における立ち回り方を仄めかしているように捉えるのは穿ち過ぎかな?
            先に観た「冗談じゃないよ」はドキュメンタリーじゃないので比較の仕様がありませんけど、審査上映会という「どちらかに投票する」趣向なので(ドキュメンタリーの出来映えって?)と考えさせられました…情報としては価値があったし基本に忠実だと思うし、むしろ基本から外れたドキュメンタリーは半ばフェイクと感じるものの。

            悩んだ結果、今回は「冗談じゃないよ」に一票かな…こちらは青春あるある王道ストーリーなんですが、無性に掴まれて泣けちゃったのです。
            単に年で涙もろくなっただけでなく、自分の道を生きてると結構(だよな!)なんですよ…妄想パートに「未来世紀ブラジル」を連想し、ドキドキさせられましたし結局オチなし感はありましたが。
            そりゃあオチなんか死ぬまである訳なくて、端役まで妙にオーラあって自分まで役者志望の気分になってました…インディーズかと思ってたけど作りに粗がなくて、クラウドファンディングだけど竹下景子とか出てたり。

            いやまぁクラファンは「Double Role」もだったし、そのようにして邦画が底上げされてくとしたら今後が期待出来ますよ…去年の作品には(尺と資金の都合かな)的インディーズ感がありましたけど、たった1年で有料視聴レベルのクオリティになってきた気がしますし。
            話を戻して「冗談じゃ〜」の、妄想世界でブチ切れて大人になれた主人公…旧友と再会して隠された真名を明かす場面が効いてますね、そして最後もブチ切れ決して丸くなってないのが凄く好いのです。
            「ドラゴンランドで自分の歌を歌い続ける」という言葉を久々に思い出し、青臭い主人公の「パワー・フール」さ加減に胸が熱くなりましたよ。


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              | cinema | 2023.12.05 Tuesday | comments(0) | - |
              最近みた映画
              「歯車」「八百比丘尼の恋」 (←リンク先は当該上映会の告知ページ)

              前にも行った、北千住のブルースタジオという映画館(?)で開催されていた「第15回 日本映像グランプリ2023」の一般公開審査上映会の作品です…なので映画会社の配給作品ではありませんし、DVD上映なのですけども。
              この(近場にある名画座)っぽさ、というか前回の(映画サークルが大学の学祭で上映会やってる感じ)が面白くて。
              たまたま思い出してネットで見たら、ちょうど上映会の初日だったという偶然…そして八百比丘尼という不老不死をモチーフにした作品の上映回に(ギリ間に合うじゃん!)ってコトで、導かれるようにして再訪した次第です。

              今回は二本立てで、芥川龍之介の原作を現代に置き換えた、加藤大貴監督の「歯車」が約50分…そして三浦賢太郎監督作「八百比丘尼の恋」は約58分、ぶっちゃけ前者は訳が分からず舟漕いでました。
              古典とか純文学とかは読むのも苦手なので、そういった趣味の方であれば楽しめたのかもしれません…ストーリーの意味不明さ以上に映像の色味がチグハグだったり、意図的になのか音響に違和感あったりで全体が散漫でしたね「歯車」の方は。
              まぁ本当に個人的な好みの問題ですが、原作者をよく知らないから龍之介に感情移入が出来ず…友人その他の役どころが判然としないわ、妻と姉と愛人は区別も付かないわで。

              だけど何気に期待していた「八百比丘尼の恋」は、むしろ思ってたより好かったです…不老不死者の生を現代日本に落とし込む、という点で宮部みゆき「蜆塚」のイメージが先にあったんですけど。
              モキュメンタリー手法で先ず400年超えの八百比丘尼の撮影から入り、彼女がツイッターで繋がった200年超え&100年未満の八百比丘尼も登場…それぞれの生き様は予想の範疇ながら、やはりドラマとしては映像表現ならではのリアルさが。
              更にツイッター繋がりで人魚の肉を求める男性も現れ、三池監督モチーフなのか撮影者の下世話なヤンチャ感が露骨に出て来て(お?)と。

              ちょっとネタバレかもしれませんが、観てないけど終盤は「カメラを止めるな」オマージュっぽい主客転倒に…この展開は自分の不老不死観と相容れないな−、でも昨今の異世界モノで氾濫してる安易さに対するカウンターとしてはアリかも。
              エロ小物が醸す撮影者側のAV臭と、アングラ社会で生きるしかない八百比丘尼の呉越同舟感…八百比丘尼を人魚の肉と同一視する倒錯が伏線だったり、八百比丘尼たちの微妙に浮世離れした日常に忍ばせた可笑しさが効いてます。
              小さな笑いに気が緩み、それがシュールな薄ら寒さへと変容する怖さ…孤独に永遠を生き延びてきた人外の生存戦略は、ある意味「蜆塚」以上かも。

              もうちょい語っちゃいますと、彼女たちが食べたのは本当に人魚の肉だったのか?…最高齢の八百比丘尼が語るエピソードは信用に足るのか、その肉は一口でも効果が永続するものなのか。
              人魚の肉を欲した男の妻が家庭を捨て、容姿や体調が変化したのは何故か…妻に捨てられた男は無事なのか、最も若い八百比丘尼が囚われたのは撮影者を引き寄せるためなのか?
              この分からなさ、想像の余地ありまくりのクライマックスは実に怪談してます…昨今のJホラーとか知りませんけど説明過多じゃあ興醒めしますからね、一見(くわばらくわばら)オチですが尺と予算でスプラッタ展開を避けたようにも思えたり。


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                | cinema | 2023.11.17 Friday | comments(0) | - |
                最近みたDVD
                「キャロル・キングの3匹の熊&ジェフ・ゴールドブラムの3匹の子豚」(←リンク先はTSUTAYA作品情報)

                キャロル・キングはSSWとして有名ですが、役者もやってたりしたのか?と興味を抱き借りてみた次第…本作は童話を下敷きにしたオムニバス形式のTVドラマ「フェアリーテール・シアター」の2編で、Wikipedia情報によれば「3びきのくま」が9話目でジェフ・ゴールドブラム主演の「三匹の子豚」が16話目だったようです。
                音声は日本語吹替や吹替用字幕もありますが、英語音声+日本語字幕にて視聴…先ず「キャロル・キングの3匹の熊」から、といっても彼女は出番も台詞も最少の端役でした。
                むしろ主演が「がんばれ!ベアーズ」から「リトル・ダーリング」の間という、全盛期のテータム・オニールなのに何故?…そこまで日本じゃ知名度が低のか、テータムって。

                始まりは着ぐるみ状態の熊さん一家が暮らす小屋からで、どことなく「ウィロー」「オズの魔法使い」を連想させる映像です…要は子供向けなので、今時の視聴者が金と時間を費やしてまで観るような代物ではありません。
                だけど妙に楽しいんです、なかなかオーセンティックなアメリカンジョークといい…言うなれば土曜の昼間に観てた「午後のロードショー」、あのダラ〜ンとした感じかも。
                テータム演じるゴルディロックスはブロンド自慢の少女、両親(ジョン・リスゴー&キャロル・キング)や森林警備員ジョンソン(ホイト・アクストン)を手玉に取るわ熊さん一家の小屋を荒らすわ…テータムだから可愛げはあるんだけど、とんだお転婆娘です。

                挙句は熊さん一家の蜂蜜で儲けようとしたり一家をサーカス団に入れようとするなど、悪行三昧はエスカレート…(天罰オチだな)と思ってたら、最終的には「自己保身の嘘が相手を傷付ける」と気付いて謝罪し“Happily everafter”…しかし“MY LIFE IS TAPESTRY”クロスステッチで出オチとは、思いっ切り(あの人は今)枠じゃんねキャロキン?
                OAされた'84年は、いわば彼女の全盛期と復興期の狭間…明らかにネタとしてのキャスティングですが、余興と割り切って楽しく演じてる感じが好ましいです。
                「ジェフ・ゴールドブラムの3匹の子豚」でも製作総指揮のシェリー・デュバルはイントロの語りを兼任、音楽はヴァン・ダイク・パークスからロブ・ミューラーに。

                「3匹の子豚」の大筋は有名なので省略、こちらは'85年のOAで実質的な主役の末っ子豚はビリー・クリスタル…うーん、個人的にはジェフよりビリーの知名度が上な気がするんですけども。
                とはいえ、狼バック・ウルフ役のジェフは確かに格上でしたね…全体として、ほのぼの路線だった熊さん一家よりピリッとしたジョークが効いてました。
                人間の屋敷で働く母豚(ドリス・ロバーツ)は子別れを切り出し、トンズラした父豚が地面に埋めた財産を息子たちに分与…金儲けに目がないピーター(スティーヴン・ファースト)は藁の家を、色気豚ポール(フレッド・ウィラード)は小枝の家を建てます。

                最後は芸術家肌の末っ子ラリーが建てたレンガの家でバックに逆襲を仕掛けるという展開、威厳たっぷりに次々と安普請の家を吹き飛ばすウルフの恐妻家っぷり…それにポールがメロメロの“極上の豚トロ”高慢娘ティナ(ヴァレリー・ペリン)や、トボケたジャンク屋バート・マン(ラリー・ハンキン)といった脇役もハンナ・バーベラ系アニメ風味。
                兄たちに「フォークトリオを結成しないか」と切り出すラリー、PPMならぬピーター,ポール&ラリーっていう子豚にしてはオッサン臭いネタに思わず笑っちゃいました…町の酒場がルート・ビアだとか、演出次第で話が如何に膨らむかを実感させられます。
                (急転直下のホラーオチか?)と思えば、タンコブ一つの懲り懲りエンドにホッ。笑

                追記:ジェフ演ずる狼のキャラクターは非常に類型的なんですが妙に安心感があって、そういえば「名探偵ホームズ」のモリアーティ教授だわ!と・・・但し「名探偵〜」の製作は'82年なので、役の原型は更に古いんでしょうけど見事に似てました。
                キャロル・キングの3匹の熊(←クリックで拡大表示されます→)ジェフ・ゴールドブラムの3匹の子豚
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                  | cinema | 2023.11.03 Friday | comments(0) | - |
                  最近みたドラマ
                  「探偵物語 第01話 聖女が街にやって来た」(←リンク先はYouTube当該ページ)

                  「プロハンター」初回に続いて、YouTubeの東映公式チャンネルで「探偵物語」の初回も視聴しました…本作は小学生の時にクラスで人気があって、途中の何話かは観た気はするけれど地方に引っ越しちゃって機を逸していたのでありました。
                  この頃のコミカルな探偵ドラマでも、松田優作が死んでから本作だけ異様に持ち上げられる風潮が厭でね…「ルパン三世」もそうですが、リアルタイムで生まれてもいないだろっていう連中が熱く語ってたりすると複雑な気持ちになったりも。
                  それはさておき、初回は「女生徒が盗んだバッグを持ち主に返却してほしい」というシスターの依頼で幕が開きます…因みに女生徒役は熊谷美由紀、後の奥さんじゃんか!

                  持ち主が殺害され容疑者として成田三樹夫に追われつつ、マフィアの佐藤蛾次郎からも「ブツを返せ」と付け狙われ…シスター役の緑魔子と女生徒を探し、夜の街を珍道中。
                  この「ディスコ・トレイン」とか歌ってるBGMは「ルパン三世」でも流用されてましたが、音楽はOP&ED曲だけじゃなく劇伴もSHOGUNだったのね…Wikipedia情報によると、劇伴はSHOGUNメンバーで「プロハンター」も手掛けた大谷和夫だそう。
                  ルパンといえば冒頭で子供に「ルパン三世のオジサン」と言われてましたし、もしや痩身スーツ姿などモチーフにされてたのか?…スペース・インベーダーにも'79年の空気を感じます、関西弁の情報屋は「プロ〜」でも存在感を見せた庄司三郎

                  工藤探偵事務所って、てっきり横浜にあるのかと思ってました…でもパトカーに追い回される盛り場は渋谷区宇田川柳町で、彼は「3年も住んでる」との事。
                  シスターとの逃避行を「まるでボニー&クライド」と言われ、すかさず「Mama, do you remember」と「人間の証明のテーマ」を口ずさんで帽子を投げる工藤はアドリブかな?…レイトショーの映画館で女生徒を確保し、彼女がガメた洋モクの缶に隠された偽ドル札の製版フィルムが騒動の発端と判明。
                  BFが車を預けた大黒町のGSまで、まさかタクシー移動?…ここからシスターがハンドルを握るカーチェイスで夜が明けます、マフィアも警察も何故かエンストしまくりです。笑

                  逃げ切ったかと思いきや袋のネズミ、ところが間抜けマフィアvs.はっちゃけシスター&女生徒で形勢逆転?…容疑も晴れて事件も解決、とはいえ終盤ゴチャゴチャだったな。
                  前半は緑魔子のコメディエンヌっぷりが、後半は素で楽しんでるような熊谷美由紀のハツラツさが見所です…残念だったのはナンシー・チェニー&竹田かほりがチョイ役止まりだった事ですね、だけど他のコミカル探偵ドラマにないスラップスティックさは確かに独特というか異色で面白いです。
                  それと「コーヒー命」っていう言い回しが既に使われていたのは意外でした、もしかすると任侠物に由来するのかも…監督は村川透、脚本は「処刑遊戯」の丸山昇一でした。


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                  *以下の動画は、携帯からでは視聴できないかもしれません。

                  『探偵物語 第01話[公式]』
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                    | cinema | 2023.09.06 Wednesday | comments(0) | - |
                    最近みたドラマ
                    「プロハンター 第01話 危険な二人」(←リンク先はYouTube当該ページ)

                    なんとYouTubeに東映の公式チャンネルが開設されてたんですね、思わず前に借りて観た「プロハンター」初回を観ちゃいましたよ…公開目前の映画フィルムを盗んだ犯人は50万ドルを要求、内偵捜査に乗り出す貧乏探偵の活躍や如何に?
                    ル・マンのオートレースをロケしたパートは撮り直しが利かず、それを知っているのはラッシュを鑑賞した人物だと絞り込み…更に現像所への侵入手口からスタントマンが怪しいと、探偵2人でジャパン・スタント・クラブに新米として潜入。
                    アクション撮影の劇中劇、剣戟に擬斗にカースタントと初回だけに力が入ってますな!

                    もちろんドンパチ撃ち合いもありで、どこまでがドラマ撮影でどこからがドラマの現実だが…その現実も40年前のリアリティですから尚更に入れ子感覚アップ、そういえば'81年の当時から「ナウい」って言ってたのね。
                    編集長の礼子が見せる可愛げといい、水原のキザさといいキャラが立ってるよな…カベチョロ五島といい、本来の主役らしき竜崎よりインパクト強いし。笑
                    小道具も見処の本作、初回も「影の忍者服部半蔵」ポスターとゼンマイ玩具に時代を感じます…「汚れた英雄」公開前に映像を流用しちゃってるのも、東映が費用負担したとはいえ大胆ですよね。

                    「竜二」の金子正次も初回に出てたのか、と思ったら若き片桐竜次でした…ショーケン顔の佐藤慶といい、個性的って程じゃないんだけど画になる役者の顔付きにも個人的には時代を感じたり。
                    ロケ地も当時は(ありふれた風景)だったのかな、昭和を知らない世代には異国情緒すら感じられそうです。
                    今回はスタントマンを悪役に描いてますが、強面でも微妙に抜けた間の取り方から逆に彼らへのリスペクトを感じました…大真面目な時代劇コントとか走りながらポンコツ化する車とかいった、コメディ調スタントも今や時代遅れなのかなぁ?


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                    *以下の動画は、携帯からでは視聴できないかもしれません。

                    『プロハンター 第01話[公式]』
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                      | cinema | 2023.08.29 Tuesday | comments(0) | - |




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