【中古】嘘解きレトリック <全10巻セット> / 都戸利津(コミックセット)
【中古】嘘解きレトリック <全10巻セット> / 都戸利津(コミックセット) (JUGEMレビュー »)
「ウソを聞き分ける」が故に孤独だった少女が貧乏探偵の助手に、というレトロモダン路地裏探偵活劇…お世辞や方便に欺瞞を感じる、そんな読者少女を分かってますなぁ。
およそ100年前という地続きな設定、現代とは異なる感覚の豆知識も興味深いです…本格推理ファンには物足りないでしょうけど、見せ方から筋運びまで完璧!と感じる漫画家ですよ。
紹介記事【2023.02.01】
【中古】 ルーマニア賛歌 Europe of Europe /みやこうせい(著者) 【中古】afb
【中古】 ルーマニア賛歌 Europe of Europe /みやこうせい(著者) 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
地理的にはウクライナの南、ブルガリアの北で西側はハンガリーとセルビアに接するルーマニア…つい東欧と一括りに捉えがちですが、カトリックと東方正教が混じり合った歴史を感じさせる万華鏡のような風土と文化のモザイクは旅心をくすぐられます。
紹介記事【2023.01.02】
フェーム 特別版 [ アイリーン・キャラ ]
フェーム 特別版 [ アイリーン・キャラ ] (JUGEMレビュー »)
ミュージカル映画かと思ってたんですが群舞シーンは意外と少なめ、ストーリーを追うより時代の空気を味わう映画かも…各エピソードにオチも後日談もなく、ドキュメンタリーのようにシンプルな構成でしたが最後はグッと来ましたよ。
紹介記事【2023.05.26】
ルックバック (ジャンプコミックス) [ 藤本 タツキ ]
ルックバック (ジャンプコミックス) [ 藤本 タツキ ] (JUGEMレビュー »)
(薄いなー)という第一印象を覆す、先入観なしに読んでほしい一冊です…尺は短めでも完成されてる、低予算ながら良質の自主制作映画を思わせます。
山形を舞台に描かれる、十代の少女2人の漫画愛&成長譚…ところが中盤の転換点から怒涛の勢いで感情を振り回され、喪失の痛みを知る人ほど「作り話の存在証明」を思い知らされるのでは。
紹介記事【2023.06.15】
COYOTE SPECIAL ISSUE 安西水丸 おもしろ美術一年生 Coyote MOOK / 安西水丸 【ムック】
COYOTE SPECIAL ISSUE 安西水丸 おもしろ美術一年生 Coyote MOOK / 安西水丸 【ムック】 (JUGEMレビュー »)
僕にとって安西は小説家であり、70年代の映画みたいな乾いた文章と裏腹な湿り気が印象的で…どこかで彼に嫉妬していたのかも、そう気付かされた本書で自分の絵心を取り戻せそうです。
紹介記事【2023.02.07】
ああ爆弾 [DVD]
ああ爆弾 [DVD] (JUGEMレビュー »)
舞台美術を融合させた和製ミュージカル、小気味好いカットインでテンポよく繋いでゆく独特な映画です…大筋は任侠コメディでもコミカルなシークエンスに関連性を与えているに過ぎず、目の前の滑稽に食い付いて心をスッキリ空っぽにする映画かと。
紹介記事【2023.04.20】
STYLE 男のファッションはボクが描いてきた [ 綿谷 寛 ]
STYLE 男のファッションはボクが描いてきた [ 綿谷 寛 ] (JUGEMレビュー »)
どこかノスタルジックなロックウェル調の画風、本番アメリカでも絶えてしまったファッション・イラスト…バイヤー並みの製品知識と造詣が描き出す「写真と非なる情報量」は、安西水丸の認識と真っ向から対立するようで興味深く感じられたりも。
紹介記事【2023.03.13】
ヒヤマケンタロウの妊娠 (BE LOVE KC) [ 坂井恵理 ]
ヒヤマケンタロウの妊娠 (BE LOVE KC) [ 坂井恵理 ] (JUGEMレビュー »)
男が妊娠・出産するようになり、10年が経過した世界…色々と自分のバイアスを揺さぶられました、現実の世間の根っこを「男の妊娠」一点で掘り返してます。
決して「弱者に」的な描き方ではなく、でも少子化対策の先送り感が浮き彫りに…一時しのぎじゃ逃げられないと腹を括る男たち、そういう腰が重さがリアル。笑
紹介記事【2023.06.03】
里見八犬伝 [ 薬師丸ひろ子 ]
里見八犬伝 [ 薬師丸ひろ子 ] (JUGEMレビュー »)
かつてガッカリした方こそ芝居感覚で観てほしい、長大な原作を2時間強でまとめた冒険活劇としては当時なりに高水準だったと認識を改めました…筋運びを追う映画じゃなく見せ場を繋ぐ芝居の手法で、和合メタファのご来光やハリボテ大ムカデも笑い所だったのでは?
紹介記事【2023.03.11】
太田裕美 / こけていっしゅ [CD]
太田裕美 / こけていっしゅ [CD] (JUGEMレビュー »)
LPのジャケに改めて絵画のような価値と、差し向かいで聴く音楽の魅力を実感…久々に通しで何度も聴いちゃいました、こんな時間が今では日常の贅沢なんですな。
一聴して分かる特徴的な抜け感と透明感、この声質を引き立てる楽曲群…80年代シティ・ポップ前夜の、シャレオツとは言い難いからこそ魅力的な一枚です。
紹介記事【2023.05.12】
今夜すきやきだよ (バンチコミックス) [ 谷口 菜津子 ]
今夜すきやきだよ (バンチコミックス) [ 谷口 菜津子 ] (JUGEMレビュー »)
凸凹アラサー女子の協同生活、共感する要素は皆無な2人ですが何故か身に詰まされ…「人並み」の世間に属する異端な感覚、それは割と普遍的かつ根源的なのかも。
所詮は自分も誰かの「人並み」だし、共存の間合いという発想は大局的に地球をシェアするカギかとも…隣人と共存する一歩は、思想を語るより有意義そうです。
紹介記事【2023.01.08】
ハイツひなげし [ 古川誠 ]
ハイツひなげし [ 古川誠 ] (JUGEMレビュー »)
最初は(吉本ばななっぽい題名だな−)と思ったら掴まれました、料理とかスポーツとかの「簡単そうに見せる上手さ」みたいな?…面白味の薄そうな日常を退屈させずに描ける奥深さ、読んでる内に素になっちゃうような。
紹介記事【2023.05.04】
【中古】 9・11 N.Y.同時多発テロ衝撃の真実/(ドキュメンタリー) 【中古】afb
【中古】 9・11 N.Y.同時多発テロ衝撃の真実/(ドキュメンタリー) 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
“衝撃の真実”かはともかく、ドキュメンタリーの撮影中に遭遇した視点そのものの衝撃…フィクションのようにしか感じられない自分への罪悪感、理不尽な災害への行き場のない気持ち…人の持つ気高さと、本質的な善意が胸に沁みます。
紹介記事【2023.02.05】
関連記事「9.11オフィシャル・レポート」【2023.01.20】
【中古】[PS2]Zill O'll 〜infinite〜(ジルオール インフィニット) 通常版(20050623)
【中古】[PS2]Zill O'll 〜infinite〜(ジルオール インフィニット) 通常版(20050623) (JUGEMレビュー »)
遂にPS2本体も三代目、全エンディング達成後は初見イベント探しに夢中です…どの出来事にも裏があり、全体像を知るにつれ各キャラの印象も大きく変わる仕込みの多さには驚かされます。
紹介記事【2023.01.04】

最近みたDVD
「風を見た少年 The Boy Who Saw The Wind」(←リンク先はTSUTAYA作品情報)

C・W・ニコルの原作をアニメ化した劇場作品だそうで、文科省が推薦してそうなタイトルですが…まぁ実際、内容的にもそんな感じの1時間37分。
筋立ては非常にベーシックで新味はありませんが、幼い子供にとっては逆に新鮮かもしれません…それに大人が観ても市街やガジェットの造形は心惹かれますし、90年代以前のアニメを観てるような安心感は気が楽ですね。
車や飛行船など戦前の欧州っぽい架空メカは「王立宇宙軍」や先日の「銀河鉄道の夜」に通じる魅力があり、エンディングに流れる「神様と仲なおり」は'00年に10年古いTR-808サウンドの懐かしさ×土橋のレベッカ節アップデート感が好い按配。

但し悪役ブラニックCVの内藤剛志は賛否が割れそうな滑舌ですし、個人的にはキャラデザ全般が苦手でした…別に美男美女である必要はなくても、この丸鼻頬線タッチは微妙。
大筋は風の民の末裔アモンの特殊能力を狙う独裁者との攻防なんですが、帝国の兵器開発に携わった父親の存在が「俗悪な現代人に滅ぼされた善良な民の血統」という設定に抵触してるのがモヤッとしました…父親が末裔ではなかったのなら、実は風の民の血を引いている女性と結婚したのも研究に利用するためだったのでは?とか。
総監督を務めた大森一樹は本作が初アニメだったのかな、というか実質的にはアニメーション監督の篠原俊哉が仕切って名義貸しだった訳ではないですよね?

映像特典の原作者インタビューが本編に関係ない僅か約1分の短いコメントで、別件からの切り抜き臭いのが気になりました…'00年のアフレコ時に収録した声優インタビューも、ルチアCVの戸田恵子やモニカCVの夏木マリが何か奥歯に挟まってるようで。
製作会社も初アニメみたいだし、もしかしたら舞台裏は不手際の連続だったんじゃ…などと勝手に邪推してしまいましたよ、内藤は「先に画面が出来てたので声を当てるのが難しかった」と言ってましたがメイキングには未完成パートのアテレコも映ってたし。
アモンCVの安達祐実って意外と美人なのね、地声はベチャベチャしてたけど…そこまで美人じゃないにせよ、マリアCVの前田亜季は素顔っぽいのと初々しさが可愛かった!笑

そういえば原作でも鷲と蛇を善悪の象徴としてたんですかね、金蛇隊のモチーフは明らかにナチスドイツですがナチスのシンボルって鷲じゃん…もしかしたらアモンを導いた金鷲こそが、なんて深読みをするような話とも思えないんですけど。
軍事侵攻とレジスタンスの描写は第二次大戦の欧州戦線をイメージさせますが、むしろ鷲と蛇の対立にはヨーロッパの長い歴史が暗示されているようで…キリスト教が悪の象徴とした蛇はローマ・カトリック以前の時代に叡智の象徴でもあり、土着の信仰から改宗させるため古き神々を悪魔と決め付けた権力者の旗印が双頭の鷲だった的なね。
蛇が錬金術を意味し、オカルトの語源が「光へ導かれるもの」である事も関係あるかな?

映像特典は5分の「ミュージッククリップ『神様と仲なおり』REBECCA」、「予告編 集」は1分の「劇場版予告編」1分半弱の「未公開パイロット版予告映像」15秒「TVスポット」の3本立て…「メッセージ&インタビュー」も3本立てで、約1分の「C.W.ニコル(原作)インタビュー」に約3分の「監督インタビュー」と5分半の「声優インタビュー」。
4分半の「メイキング映像」は「アフレコ風景」が1分半、「アニメーション制作風景」が約1分…最後は約2分の「オーケストラ収録風景」で、プラハ芸術の家/ドヴォルザーク・ホールのチェコフィルハーモニー室内管弦楽団による合奏シーン…「キャラクター紹介」は画像&テキスト、紹介キャラは以下のとおり。

アモン(CV・安達祐実)
マリア(CV・前田亜季)
ブラニック(CV・内藤剛志)
ルチア(CV・戸田恵子)
モニカ(CV・夏木マリ)
フリッツ博士(CV・あおい輝彦)
マーゴ(CV・原日出子)
タバル(CV・原田大二郎)
レーニック(CV・つのだ☆ひろ)
サリシュミ(CV・有川博)
ウルス(CV・山谷初男)
金鷲(CV・石田太郎)
ミリュー(CV・?)
ピーナ(CV・?)


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    | animation | 2023.10.20 Friday | comments(0) | - |
    最近みたDVD
    「宮沢賢治 銀河鉄道の夜 NOKTO DE LA GALAKSIA FERVOJO」

    '85年の劇場アニメで、当時ますむらひろしが漫画化してたバージョンが原作と思われます…いや宮沢賢治なんですけどね、大元の原作自体にも幾つかのバリエーションが存在してたように記憶していますし?
    といってもミヤケンはよく知らないんです、何故かまったく興味が湧かず…、まぁ結論から言ってしまうと、僕は「銀河鉄道999」が上手く翻案されていた事に感心しました。
    原作準拠とはいえ本作の方が「999」より後発であり、残念ながら感動的な「カムパネルラ〜!」が「メーテル〜!」のオマージュに感じられてしまい…死の物語を成長譚へと変容させた辺りにも、松本零士の原作愛に気付かされましたよ。

    いや「999」はともかく本作ね、ストーリーも大元の原作に忠実なのか名場面ダイジェストだからツギハギっぽいのか…しかも暗号文めいたスピリチュアル要素といい、今時の子供には却って薦めにくい印象が。
    でも、ビジュアル散文詩とも言えそうな映像の叙情性は深く心に残ります…どことなく「オネアミスの翼」を思わせるガジェットの存在感、絵本のようなタッチで描かれた「フラクタル」っぽい町並みは「天空のビバンドム」みたく堅牢なリアリティが。
    別に連想したから何って話じゃなく、自分的に(どういった雰囲気の好ましさか)でね…そして最初から漂い続ける哀しい予感は、最後に「星の人」のラストと重なりました。

    以降ネタバレです。
    気弱そうな貧しい青猫ジョバンニ、学校では帰らぬ父を噂され家では病気の母親にも甘えられず孤独を募らせる日々…行き場なく丘の上で夜空を見上げていると目の前に機関車が、知らぬ間に乗り込んだ客車には唯一の友人で育ちの好い赤猫カムパネルラが。
    「みんなは走ったけど遅れてしまった」と意味深なカムパネルラの肩に水滴のような光、彼の「母さんは許してくれるだろうか」という呟きに水底の幻想…一般的な作劇の(謎解きで物語を牽引する)という作法を逆手に取って、幻想旅行の始まりから不穏な兆しで観る者に結末を暗示しながら死のメタファを重ねてゆきます。

    以前のようにカムパネルラと仲良く話せて嬉しいジョバンニ、そんな彼の安らぎとは裏腹に不安を掻き立てる出来事ばかり…友人と一緒に旅を続けたいと願うジョバンニに、ふと(僕もまた親愛なる友人や家族たちと死出の旅路を辿っているのだ)と思い出し。
    誰かが天に召されようとしている、自分だけがカムパネルラと違う「本当の天上にさえ行ける切符」なのは何故?…相席を求めた鳥捕りと燈台守の登場で55分の折り返し、後半は夜の海原に沈んだ豪華客船の幻影とサザンクロスの十字架が。
    2人きりになった車内で涙を浮かべるカムパネルラ、ジョバンニに見えない「本当の天上」を指し…夢から目覚めたジョバンニは友人の訃報と、父の帰りを知らされます。

    死にゆくカムパネルラの純粋な寂しさが、孤独に疲れたジョバンニに共振したのか…喪失の痛みと再会の希望を胸に、夜の町の石畳を駆けるジョバンニが切ないです。
    エンドクレジットに流れるナレーションの、訥々とした言葉が胸に響き続けます…幸せに至るまでの悲しみもまた思し召しなのだ、青い照明という現象の。
    こんなに沁みる物語だったとは、ミヤケンとか言っててゴメン!…でも活字で読んでたら印象は変わりそうだな、この映像と音楽で体験したのが好かったような気も。
    監督は杉井ギサブローで脚本は別役実、音楽の細野晴臣は確か祖父がタイタニック号の乗客だったんですよね…アニメーション制作はグループ・タック、特典映像は劇場予告編。


    ジョバンニ(CV・田中真弓)
    カムパネルラ(CV・坂本千夏)
    ザネリ(CV・堀絢子)
    マルソ(CV・一城みゆ希)
    ジョバンニの母(CV・島村佳江)
    カムパネルラの父(CV・納谷悟朗)
    燈台守(CV・常田富士男)
    先生・学者(CV・金田龍之介)
    鳥捕り(CV・大塚周夫)
    ただし(CV・渕崎ゆり子)
    かおる(CV・中原香織)
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      | animation | 2023.10.04 Wednesday | comments(0) | - |
      最近みたDVD
      「ユニコ UNICO」

      オリジナルは'81年の劇場アニメで、'05年リリースのDVDではなく'08年のHDリマスター盤です…といっても内容は一緒なんですけどね、小学生の頃にアニメ雑誌で見掛けて気になってたのです。
      いや、予告編を観た気がするので別の映画を観に行った時か…ともかく、当時は(ロードショーされた映画は新聞の封切り案内に載るもの)と思っていたので上映された事に気付かなかったというね。
      あの頃に住んでた町にもサンリオのショップが出来て、よく妹をダシにして行ってたんですよ…書店や文具店は見てるだけでも楽しくて、でもいちご新聞は僕も欲しかった!笑

      ところで本作、サンリオのアニメながら原作は手塚治虫だったんですね…Wikipedia情報によると、原作はサンリオの漫画雑誌に連載されていたそうで。
      実際に観てて思った通り、原作エピソードを繋いだ分かりやすい構成です…しかし「ユニコ 魔法の島へ」という続編が作られてたとは、特典の「サンリオ映画紹介」という予告編集(約4分)で知りました。
      人を幸せにする不思議な力を持って生まれたユニコ、彼のおかげで人々は争いを止めて平和に暮らすように…ところが天界の神々は人々が労せずして平和の恩恵に浴する有様を見て「営業妨害じゃ!」と激怒、西風に命じてユニコを忘却の丘の果てに追放します。

      しかし西風の情けで地の果てに隠されたユニコ、そこで出会った孤独の悪魔2世のドSな歓待を受けますが…荒海に流されたユニコを命懸けで救った幼い悪魔の友情が不思議パワーを目覚めさせ、2人は大の仲良しに。
      亡き父の教えが「悪魔は約束を守れ」とか、悪魔は塩水が苦手とか細かい設定がくすぐります…死に掛けて「地獄で会おう」も(オマエが言うな)的な可笑しさ、ですが地の果てが幸せになったのを見て西風の裏切りを知った神々は新たな刺客の夜風を放ちます。
      西風はユニコを守るべく彼を連れ去り、愛の証にユニコと同じ角を得た悪魔くんはユニコ奪回を決意…ここまでが序盤の30分、お次の舞台は森の中。

      川流しの黒猫チャオも、世間知らずなズレっぷりが微笑ましいです…キティちゃんカメオ出演で「魔女の弟子になる」と妄想炸裂させ、ユニコは「絵本の見過ぎ」と呆れますが。
      「魔法がダメなら人間の女の子にしてもらう」という彼女の願いを叶えてあげて、森の老婆と平穏に暮らすかと思いきや…チャオの歌声に惹かれたゴースト男爵が現れ、メロメロのチャオは屋敷の宴に招かれて中盤2/3が経過。
      ユニコは魔の森に阻まれるも次々と不思議パワーを開花させ角ドリルでチャオ救出、丁々発止で男爵のサーベルを折るも魔物パワーに力負け…誰かが愛してくれれば助ける力を出せるのに、泥酔チャオは男爵に奪い返されてしまいました。

      そこでユニコの祈りを聞いた西風が、悪魔を連れて駆け付けます…ところが夜風に追い付かれて朝日に救われ間一髪、夜が来る前にユニコを逃がさなければ!
      上手いですね、制限時間付きラストバトルじゃん…しかも男爵の正体は大悪魔で角を折られたユニコ絶体絶命、だけどチャオの涙×悪魔が返した角パワーで愛のユニコーン化し大逆転で大悪魔を滅ぼします。
      森の老婆は「幸せにした人の側にはいられない」とユニコーンの言い伝えを語り、西風に抱かれて別れを告げるユニコの流離は続く…第一章・完、でも続編は無関係みたい。笑
      嬉しいユニコの尻尾フリフリだけでも観飽きません、動きと間合いも完成されてます。


      原作・監修:手塚治虫
      脚本:辻真先
      作画監督:杉野昭夫
      美術:男鹿和雄

      制作協力:マッド・ハウス
      音楽:佐藤允彦(まさひこ)
      挿入歌:イルカ
      テーマ曲:BUZZ&島澄江

      ユニコ(CV・三輪勝恵)
      悪魔くん(CV・堀絢子)
      西風(CV・倍賞千恵子)
      チャオ(CV・杉山佳寿子)
      ゴースト男爵(CV・井上真樹夫)
      語り(CV・イルカ)
      神様たち(CV・永井一郎、矢田耕司、田の中勇、八奈見乗児)


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        | animation | 2023.09.20 Wednesday | comments(0) | - |
        最近みたDVD
        「空挺ドラゴンズ 1」(←リンク先はTSUTAYA作品情報)

        漫画をアニメ化したらしい、'20年のポリゴン・ピクチュアズ作品です…先ずメニュー画面が1分半もの長尺動画仕様で感心しました、しかもムクムクの白い雲とファンタジー感満点の飛行船は本編を観る前から(大当たり確定!)とニンマリさせてくれました。
        しかし実は、まぁ長閑な町や村の遥か上空を飛ぶ龍を狩る空挺乗りの話ではあるのですが…同時に丁寧な調理描写&龍肉料理の「ダンジョン飯」的な異世界グルメ系でもあり、これは何とも不思議な気持ちになりますね。
        まるで南條竹則の小説に登場した、妙に美味そうだけど見当も付かない謎料理の映像バージョンみたいな。笑

        Flight.1「クィン・ザザ号」は、いきなり時代遅れの捕龍船でのオロチ捕り…って、ここは不思議惑星キン・ザ・ザか?
        どうやら独断専行のミカ(CV・前野智昭)&新人タキタ(CV・雨宮天)が主役キャラっぽいな、町の近くに着陸するや獲物の解体+蒸気機関の整備、町民たちが龍油に肉に胆にと群がる一方で「捕龍船を停めた町には龍が落ちる」と恐れられ宿も取れないと邪魔者扱い。
        龍の被害を未然に防ぐ気負いに満ちた船員たちも「協会未登録のモグリ船」と言われちゃあ返す言葉なし、しかし隣町の真上にデカい龍が!と聞くや気を入れ直す姿に惚れ々々。
        子を食われて船に食らい付く母龍の敵討ち、想定外の近接戦闘にドキドキハラハラです。

        (きっと鯨捕りもこんな感じだったのでは)と思ったりして、ありそうでなかった異世界ファンタジーの幕開けに引き込まれましたよ…因みに初回はメシ(龍肉料理)にこだわるミカの「龍の尾身ステーキ」、如何にもDTMなOP曲ですがシンベかフレットレスか分からないベースの音は好みだし気になります。
        Flight.2「賞金と極小龍の悪魔風」はタイトルどおりの龍肉料理、船内に潜り込んだチビ龍に借金帳消し一攫千金を目論むタキタの捕獲劇は空の密室大騒動に…探索中の船内描写はスローで観返したくなりました、船内での搾油作業や「龍は宝の山だが捕龍船のコストも金食い虫」など解説の入れ方も上手いな。

        Flight.3「光る龍と」は前話で触れていたジロー(CV・斉藤壮馬)の乗船理由絡みで、オロチ捕りだった父親から聞いた(嵐の中を導く龍)の話を仲間に笑われながらも疑わない彼の健気さと生真面目さが光るエピソードでした…今回は「塩漬け肉の燻製」で、龍肉描写もですが嵐の空を飛ぶ緊迫感や美しい背景描写はジブリアニメを彷彿とさせますね。
        Flight.4「乗船理由と龍のテリーヌ」も、本日のメニューがタイトルに…酔いどれヴァナベル(CV・花澤香菜)の寝姿スケッチに盗み描き犯探し、同室のジロー&ヒーロに似顔絵を描かせた結果ガガ(CV・熊谷健太郎)と判明するも冤罪で。
        端々で船員キャラを立たせつつ、後半はヴァニーの悩みと乗船理由にシフトに焦点が。

        捕龍の腕は船内一かつ容姿端麗なヴァニーですが、地上に居場所がなく船に乗った彼女は虚しさに寝酒が増える一方なのでした…そして今回は経験豊富な船員たちも初遭遇のハリセン龍、まさかのディジュリドゥ共振音波攻撃に苦戦するも燃え上がる食欲ミカが今回も強引に仕留めます。
        命懸けに生の悦びを見出だしてそうだなミカ、しかしヤンチャな彼を意識しちゃう女子タキタとは別に興味を抱いた様子のヴァニー…萎んだ龍を試食したミカに「ずるい!」と膨れっ面のタキタ、そこを描いてるガガでほのぼのとシメ。
        EDのモンキーダンスに「キングゲイナー」OPを思い出したけど、サビのコード進行も似てる?いや気のせいか。


        「シリーズ物アニメ1巻借り企画」その83
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          | animation | 2023.05.14 Sunday | comments(0) | - |
          最近みたDVD
          「天晴爛漫!」第一巻(←リンク先はTSUTAYA作品情報)

          (タイムスリップ+カーレース?)と勘違いしてました、単に20世紀初頭のカーレースでタイムスリップ要素は皆無です…って紹介しちゃうと、メッチャ詰まんない印象になっちゃいますけども。笑
          ただ、そこに「天才発明家&サムライ」が文明開化の日本から参戦したら?…うん、ちょっとは面白くなりそうな気がしてきますね。
          実際、第一話「晴れ、ときどき小雨」アバンのアメリカ大陸横断レース開始シーンは(おぉっ!?)と思いましたもん、昔の破天荒アニメ路線を思わせるムチャクチャ感に何が起こるやらとワクワクしてたのですが。

          OP後は前日譚が始まって、幕藩体制からは移行したものの未だ封建的な日本から飛び出した2人がロサンゼルスに到着するまで…そして第二話「in the dark」はレース開催を知った2人のレース参戦+ライバルたちの個別エピソード序章まで、この調子じゃ延々キャラ紹介で引っ張るつもりなんだろうな。
          原作準拠なのか知らんけど、レースの合間にエピソードを細かく挟んでけよ…というか最初だけ「チキチキマシン猛レース」を期待させといて、差別とか移民とか半端なリアリティ出されても(ブレてるなぁ)としか思えないんですよね。

          サムライ気質が抜けない剣術師範の小雨(CV・山下誠一郎)が語り手で、ドライな天晴(CV・花江夏樹)に振り回されるまま天晴の自作蒸気船で強制出国&漂流…都合よくアメリカの客船に救助されて以降は都合よく言葉が通じたりマイル(ヤード・ポンド法)とリッター(メートル法)を理解してエンジン解析したり、かと思えばカンフー遣いのレーサー志願少女ジン・シャーレン(CV・雨宮天)やら復讐の旅を続けるインディアン少年で社会の裏側を描いてみたり。
          やはり今時のアニメで昔のノリにはなりきれないんだな、この中途半端さが痛々しいわ。

          とはいえレース以外の実車やファッションに関しては、アメリカの古いレース映画なんかを思い出させてくれて気になるんだよな…でも天晴が絵に描いたような天才!じゃなく妙に理屈を捏ねてて技術者っぽいのは「Drストーン」みたいだし、それでいて外見は海外セールスを意識したような歌舞伎テイスト入ってたりして好感が持てないのが残念過ぎ。
          OP曲も量産型アイドルDTM+付け焼き刃に特有の歌い回し、ラルクみたいな縦移動ベースもゲップだわ…これが'20年のアニメとは残念、アニメーション制作はP.A.WORKSで製作は天晴製作委員会。


          「シリーズ物アニメ1巻借り企画」その82

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            最近みたDVD
            「大魔法峠 1」(←リンク先はTSUTAYA作品情報)

            異世界×プロレス×ケモナーという異種混合アニメ「旗揚! けものみち」も、出だしは惹き込まれたんだけどダレてきちゃったな…と思ってたら魔女っ娘×格闘らしき本作を発見しまして、どんなもんかと借りてみた次第。
            しかし2話収録で30分足らず、というコトは昔の「ど根性ガエル」的な1話10分構成か…でもまぁ面白けりゃ好いかと観てみたら、本当に設定そのまんまというか何のヒネリもなくてガッカリでした。
            魔法の国から修行のため転校してきた次期王女ぷにえ(CV・佐藤利奈)、しかして真の実力は“肉体言語”にあり…萌えのフリした殺伐系、とでも言いますか。

            第1話「ミラクルロッドで学園祭は大パニック☆⁉魔法のプリンセスぷにえちゃん登場!!の巻」は転校早々ブリッコ(死語だな)魔法で男子に媚びて、姉御(CV・川澄綾子)率いる世紀末的なスケバン(死語だ)軍団に睨まれます…先ずは軽く魔法で大地の恵みがタコ殴り、しかし懲りないスケバン軍団は魔法を封じるアイテムでリベンジに。
            するとどうでしょう、やにわに目付きも険しく“サブミッションこそ王者の技!”と肉体言語で関節を決められ…ギブアップしてるにも関わらず関節損壊+意識消失、観てるだけでも物理的に痛々しい!笑
            格闘モーションは「旗揚!〜」程リアルじゃないけど、手加減一切なしなのがキツいな。

            第2話「お茶目でキュートなマスコット☆パヤたん登場の巻」に至っては、早くも回想回にして魔法そっちのけで一段と痛覚を刺激するサブミッションの応酬に…鉄ヲタ娘の国鉄子(CV・下屋則子)に助けられ、手弁当の釜めしで愛らしさを取り戻したパヤたん(CV・斎藤千和中田譲治)はぷにえのマスコット?
            使い魔は地上の修行に付いて来てはならない掟を破って主人を探していたパヤたん、ですが殺伐とした血の盟約を反古にすべく隙あらば盟主ぷにえの命(タマ)を獲ろうと付け狙っていたりもする間柄と判明…この(見た目ゆるキャラ中身ハードボイルド)って、銀魂とかケロロのオマージュとかなんでしょうかね?

            そもそも大佛次郎→中里介山の「大菩薩峠」をネタにしたタイトルって、他にも「大電気菩薩峠」とかあったけど元ネタどんだけ関係あるのかね?…元を読んでないので比較しようもないけど、田中ぷにえだって名前だけ田中邦衛に被せてるだけでしょ?
            なんというか、掴みで滑ってるのは原作の大和田秀樹テイストなのかも…映像特典の「ぷにえニュース」はインタビュアー佐藤利奈と水島努監督の、本編完成目前の15分トーク。
            コメンタリー収録直後だそうで、OAもしてない完パケ作業中にDVD特典を撮影してるアニメ業界の皮算用を思うと楽しめました。

            といっても、監督はトーク素人なので話は冗長…1話相当の尺が異様に長く感じたり、やっぱ異性の魅力って声の要素も大きいなと再確認させられたり。笑
            折角なのでコメンタリーでも再視聴、これまた佐藤×水島コンビでした…コメンタリー初挑戦という佐藤ですが、特に違和感もなく流石は声のプロです。
            畑のモブ野菜でアフレコ半日がかりだったとか、以降も魔法が設定だけになっていくとか言ってましたが。
            2話で魔法を使わなかったのは演出的な仕様じゃないんだ、マジで魔法少女はガワだけの学園×格闘トーナメント展開かも…アニメーション制作はスタジオバルセロナ、製作は「大魔法峠」製作委員会。


            「シリーズ物アニメ1巻借り企画」その81
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              | animation | 2023.04.06 Thursday | comments(0) | - |
              最近みたDVD
              「灰と幻想のグリムガル 2」(←リンク先はTSUTAYA作品情報)

              先日の「旗揚! けものみち」とは毛色が異なるものの、やはり続きが気になっていた異世界アニメの一つです…なんとなくタイトルとかダルめな雰囲気から「灰羽連盟」を連想したりもして、生活感を重視した描写にも惹かれてたんですよ。
              前回は最弱ゴブリン殺害に動揺する苦い祝杯が印象的で、ダークファンタジーとは別の意味の暗さが他の異世界アニメとは一線を画していました…元の世界の記憶を失って転移し、適応性の高い連中から置いて行かれたような消極的パーティで見習い義勇兵としての生活を余儀なくされた少年少女たち6人。

              グリムガルに蔓延った魔物を防衛拠点から徐々に駆逐してゆく義勇兵団、その中で最初に討伐した1体がトラウマとなってジリ貧に陥るハルヒロたち…それでもゴブリンの根城と化した廃墟ダムロの、特に弱いゴブリンがたむろする旧市街で寝込みを襲ってトラウマを克服し戦いに慣れてゆくのでしたが。
              それぞれ新たなスキルを覚え、ようやく連係プレーも軌道に乗ったかに見えた頃…集団ゴブリンとの戦闘で、それまで6対1を常としていた常套手段が崩され敗走に転じます。
              更に仲間の撤退を優先したリーダー格のマナトが、自身の回復を後回しにした事で命取りに。

              まさかゴブリンがボウガンを使いこなすとは想定外にしても、やはりボウガン持ちに背を向けたのは迂闊ですよ…狩る側から狩られる側に、その教訓としては辛すぎる代償となってしまいました。
              でも前々から予感はしてたんですよね、ハルヒロのモノローグやマナトの描かれ方から…なんとなく最初からシビアな話っぽいとは思ってたんですけど、グリムガルという異世界での日常を丁寧に描いている事で「エガオノダイカ」よりも死の重みが伝わってきます。
              回復を担う神官職であり、仲間の気質と能力を把握したムードメーカーの死で再び暗さがパーティを覆います。

              「ノーライフキングの呪いにより丁重に葬らねば生ける屍と成り果てる」と神官ホーネン師(CV・中田譲治)に告げられ、その火葬にも金が要る…何とも世知辛い話ですが、灰になり風に撒かれたマナトが都合よく復活する可能性はなさそう。
              おそらく次回では新たな神官職をパーティに迎え、ハルヒロがリーダーとして仲間を率いてゆく流れになるのでしょうが…そもそもノーライフキングが仮にラスボスとして、それを倒して元々の世界に帰還してゆくストーリーなんでしょうかね?
              喪失した記憶、グリムガルの成り立ち…これらの主要な謎は、単純な「めでたしエンド」じゃ解消しない気が。

              追記:そういえば「アルカイック・シールド・ヒート」とかいう、灰から仲間を作るゲームがありましたな!笑
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                | animation | 2023.02.27 Monday | comments(0) | - |
                最近みたDVD
                「旗揚! けものみち 3」 (←リンク先はTSUTAYA作品情報)

                しばらく間が空いてしまいましたが、ふと思い出して続きが気になり…でも今回は2話とも今後の前フリに終始しちゃってて、まったく面白くなくて肩透かしを食らった気分。
                第5話の「ケモナーマスク×MAO」は声優のM・A・Oじゃなく、初回の異世界召喚時に対戦していたレスラーのMAO(CV・稲田徹)なんですが…ケモナーマスクこと源蔵を召喚したエドガルド王国に対抗して闇の王女イオアナに召喚されるのはオーラス、つまりバトル系アニメ&漫画あるある展開で。
                そこに至るまでが面白ければOKだけど、MAOのキモい執念をダラダラ描写されても!

                それと並行して描かれる、異世界で源蔵に復讐心を抱く獣人&手下のひろゆき(←子犬)誘拐作戦の顛末も今ひとつ…大食い娘リンダ改め花子&従者カーミラも不発気味で、遂にライバル召喚!と期待させて第6話「ポンコツ×ご主人様」もMAOは顔見せ程度。
                イオアナ姫からエドガルド王国を脱走した源蔵の手配書を見せられてケモナーマスク失踪の真相を知り、悲願達成に願ったり叶ったりのMAO…しかしイオアナって尻姫アルテナとの間に確執があるのかと思ってたら、何故か花子と張り合ってたという過去エピソード展開に持ってくんだ?

                そこら辺も今後の見せ方的な都合なんでしょうけど、MAOを召喚してアルテナじゃなく花子との回想が始まる繋がりは強引だわ…まぁ視聴者からすれば2人とも一方的なライバル視という共通項はあるものの、MAOの経緯を知ったからって召喚したイオアナの目論見と関係ないし牽強付会なご都合主義かと。
                そんな因縁の負けず嫌いエピソードといい、次も説明回が続くんだったら止めようかな…そこまで凝ったストーリーは求めてないんだよね、考えてみれば第5話で源蔵がケモナーマスク化して獣人に制裁する場面も以後のMAO絡みの伏線っぽいんだけども。

                もしかして、制裁をジャーマンで締めなかったのも伏線なの?…とはいえ中弛み回でお約束もナシって、このまま流れが変わりそうな予感がしてきました。
                最後に木陰から覗き見ていた謎の女といい、前フリを固めて置いただけなのか逆に今までが単なるツカミだったのか…それこそ「キン肉マン」とか「ドラゴンボール」とかもバトル漫画になって読むの止めたんで、トーナメント形態なら「リンかけ」で充分なのよね。
                異世界アニメの異色作として期待していただけに、この尻下がり感は見切り時なのか…でもなー、まだちょっと惜しい気も。


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                  | animation | 2023.02.17 Friday | comments(0) | - |
                  最近みた映画
                  「ファンタスティック・プラネット」

                  こないだ2本立てを観に行った北千住のブルースタジオなる名画座の上映スケジュールにあって、気になってたので観てきました。
                  その前にやってたテリー・ギリアム監督の作品も気にはなってたんですけども、あの場所で2時間はキツいかと…そこで72分の本作だけにしようと思いましてね、まぁ今時¥1,000で観られる映画館なんて都内じゃ他にはないでしょうから仕方ないとはいえ。
                  本当にムードも何もない無味乾燥さは、区役所跡という立地だけに公営なのかと勘繰ってしまいます…逆に考えれば、その割り切った感じが潔いのかも。

                  さて'72年のフランス産アニメという本作、個人的には80年代の「ヘビーメタル」と並ぶ(ずっと気になってはいるけど面白い気がしない)洋物アニメの双璧でした…そして実際に観た感想は(やっぱり)でしたね、その幻想的な世界観には惹き込まれますが他には何も面白味がないという。
                  切り絵アニメという手法のノスタルジックさは世界観にマッチしてはいたけど単調だし、特に一々甲高い音響は耳障りで不快でした。
                  確かに当時のアニメとしては、大野雄二山下毅雄も影響受けてそうな楽曲や「未来惑星ザルドス」とか「2300年未来への旅」辺りの実写SFテイストは斬新だったにしても。

                  などとメチャメチャ貶しといて、それでも一見の価値はあると言えますね…本作がカルトアニメとされるのも納得で、要するに「クセがスゴい」んですよ。
                  このヘンテコな世界と奇妙な哲学性は、仮に現代のCGや特撮技術でもこの浮遊感は出せない気がします…個々の発想はチープなのに全体では妙な奥深さを醸し出していて、下手すりゃ夢に出そう。笑
                  個人的には「RIVEN」の緻密な異世界を連想しましたけど、そこまで突き詰めたとも思えない場当たり的な世界構築でありながら別種の原理が働いているようにも思えます…ひょっとして、時代的にもサイケデリック研究を参考にしたとか?

                  妙な哲学性というのは、惑星の新たな支配者たちの「一見ロジカルな社会」が暗喩めいているなと…瞑想により野性を切り離した彼らは「野蛮で繁殖力が強い人類」をおぞましいものと見なしていて、そこが白人優位な西欧文明に対する自己批判とも取れるので。
                  彼ら巨人のペットとして同等の知識を身に付けた語り手の人物を通じて、人類は侵略者たちの聖地を破壊して降参させますが…和平するメリットのない人類は、何故か彼らと平等の立場となってメデタシメデタシなのね?
                  所々で話が飛んでるような粗っぽい編集でしたが、大した筋じゃないのでドンマイ。笑
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                    | animation | 2022.12.20 Tuesday | comments(0) | - |
                    最近みたDVD
                    「死者の書」

                    音声解説による再視聴ですが、先ずは14分の“「死者の書」の序章としての実写の記録映画”「ひさかたの天二上(あめふたかみ)」を視聴…'06年に製作されたようですけど、平城京遷都1300年を迎えるのは'10年だったとか。
                    こちらは実写で語りは寺田農、製作は本編と同様に桜映画社で企画は川本喜八郎新作人形アニメーション製作実行委員会…平城京に遷都した西暦710年から約70年が奈良時代で、古事記&日本書紀が相次いで完成し東大寺大仏&正倉院の建立や鑑真の来日と怒涛の仏教化が進んだ時代だったんですな。
                    ちなみに大伴家持は万葉集を編纂したとされてるそうで、それが今から約1,250年前と。

                    古来、山は「死者の魂が天へと上る場所」であり都の西方に連なる二上山から葛城の山々は聖域だったとか…山々に囲まれた世界観ですな、そして二上山の麓にある当麻寺には中将姫が一夜にして織ったと伝わる当麻曼陀羅や写経文が現存するそう。
                    続いて'07年の製作で47分の映像特典「メイキング オブ『死者の書』」、川本の人形作りは文楽人形が原点と聞いて納得…ちゃんと文楽を観た訳ではなくても非常に日本的な印象だったのでね、だけど様々な頭部パーツでコマ撮りしてたから表情が豊かなんです。
                    ミクロマンみたく球体関節を仕込んだ体パーツに着せる衣装も、板鉛やヒューズが仕込まれて風に揺れる服の動きを演出したり自由に固定出来るんですね。

                    これを1秒間につき24カット、微妙にアングルや照明を変えて少しずつ人形を動かしていく訳です…手間は掛かるけれど完全に画面を作れる、それは仄かな空気の揺れや瞬きまでも画面上の一切を計算したコンテに基づく気の抜けない作業です。
                    人形に合わせた小さな小道具を作る、そのための小さな製作機から自作…時代考証も例えば現存する鎌倉期に再建された大仏ではなく、絵巻を参考に創建当時である天平時代の仏像様式を再現するなど憶測は可能な限り排除する徹底ぶり。
                    川本いわく「メインキャストすべてが何らかの執心を抱いている」その先には仏教的に言えば解脱しかない、その中で中将姫をモデルとした郎女が解脱の境地に至るのだと。

                    原作自体が難解であるらしく、本作は飽くまでも川本なりの解釈であるそうです…そんな「俺の考えた死者の書」製作への執心が、ワークショップとして多摩美を巻き込み逸早くクラウド・ファンディングで製作資金を集め本作に結実した訳ですな。
                    そして大伴家持だけは“自分には執心が足りないのだと言って反省する”と語っていて、個人的には本作の要とも思える台詞なんですが監督とは真逆に捉えてるのかも…解脱によって写し身のまま霊界へ行く郎女というのも、これはキリスト教的に受け止めればアセンションですし個人的には「第12の予言」を連想しましたけど。
                    怨霊に魅入られて生じた恋心が御仏への愛に昇華され、それすらも手放した的な話か?

                    とまれ、これらから得た予備知識を踏まえて「死者の書」本編を再視聴してみると…つい先日は難解に感じた格調高い日本語が聞き取れて、言葉とは音と意味とが結び付く事で機能するのだと強く実感しましたよ。
                    処刑宣告を受け一切の執心を捨てた大津皇子は最期に見た耳面刀自が執心となり亡霊と化し、その50年前の物語を聞かせた媼もまた最良の聞き手である郎女に執心…大伴家持の密かな郎女への執心を看破し「彼女は既に神の物と」諌める恵美押勝は道鏡と覇を競う権勢に執心、しかし郎女の執心だけは御仏への発願と献身から清められ解脱へと導かれた?
                    執心と解脱の物語としてしまうと今一つですが、観返す毎に解釈が深まるのかもね。
                    (下段に続きます)
                    死者の書 1(←クリックで拡大表示されます→)死者の書 2


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                      | animation | 2022.12.10 Saturday | comments(0) | - |




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