最近読んだ本
マイケル・ムーア(著)、黒原敏行 戸根由紀恵 遠藤靖子(訳)「マイケル・ムーアへ ――戦場から届いた107通の手紙」
僕は著者の監督した映画「華氏911」を観ていないけれども、それがブッシュ政権とイラク派兵の問題点を明らかにした作品であるらしい事は知っています。
本書の第1刷は'04年、映画が公開された後に書かれた…米軍兵士たちから著者のアドレスに届いたメールによって構成された、いわば件の映画の続編というか番外編のような内容です。
原題「WILL THEY EVER TRUST US AGAIN?」、僕らをアメリカと読み替えられそうなタイトルでもあります。
正直、日本人には対岸の火事ですよね…そこに巻き込まれた日本人はいませんでした、という訳です。
それが311であっても、身内や知り合いがいなければ…本音というのが現実世界のラスボスだと、つくづく思いましたよ。
ともあれ「ファイナルファンタジーX」のアーロンではありませんが、本書は人生という物語を感じさせてくれました。
この反骨の狼煙は結局、同年のブッシュ再選を阻止できませんでしたけれど。
アメリカがベトナムから学んだのは「志願制にしておいて困窮者をエサで釣り、20年は絶対有効」という悪夢のような契約だったのか…アメリカが誇りにしてきた建国以来の理想は、あとどれだけ残ってるかな?
本書の多くはハタチそこそこの若者が、盲信していた信条を砕かれた義憤から真反対へと転向してる感じも…誘拐された後に思想犯となったパトリシア・ハーストを、つい連想してしまって。
メールを送ってから10年近くが経過した各人の、今の心情を知りたいですね。
そして日本の基地に駐留している、何かと問題になっている海兵隊たちの本音も訊いてみたくなりました。
アメリカ優越主義なのかストレスからなのか、それとも軍から除隊されたくて罪を犯すのかを。
“チキン・ホーク”とは「従軍経験のないタカ派」つまり「戦場を知らないくせに好戦的な政治家」への蔑称ですが、本来は“家禽を襲う各種のタカ”を意味する言葉であり、ブッシュ政権以前は“少年や少女をあさる変質者”を指す俗語だったのだそうです。
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以下、個人的メモ。
僕は著者の監督した映画「華氏911」を観ていないけれども、それがブッシュ政権とイラク派兵の問題点を明らかにした作品であるらしい事は知っています。
本書の第1刷は'04年、映画が公開された後に書かれた…米軍兵士たちから著者のアドレスに届いたメールによって構成された、いわば件の映画の続編というか番外編のような内容です。
原題「WILL THEY EVER TRUST US AGAIN?」、僕らをアメリカと読み替えられそうなタイトルでもあります。
正直、日本人には対岸の火事ですよね…そこに巻き込まれた日本人はいませんでした、という訳です。
それが311であっても、身内や知り合いがいなければ…本音というのが現実世界のラスボスだと、つくづく思いましたよ。
ともあれ「ファイナルファンタジーX」のアーロンではありませんが、本書は人生という物語を感じさせてくれました。
この反骨の狼煙は結局、同年のブッシュ再選を阻止できませんでしたけれど。
アメリカがベトナムから学んだのは「志願制にしておいて困窮者をエサで釣り、20年は絶対有効」という悪夢のような契約だったのか…アメリカが誇りにしてきた建国以来の理想は、あとどれだけ残ってるかな?
本書の多くはハタチそこそこの若者が、盲信していた信条を砕かれた義憤から真反対へと転向してる感じも…誘拐された後に思想犯となったパトリシア・ハーストを、つい連想してしまって。
メールを送ってから10年近くが経過した各人の、今の心情を知りたいですね。
そして日本の基地に駐留している、何かと問題になっている海兵隊たちの本音も訊いてみたくなりました。
アメリカ優越主義なのかストレスからなのか、それとも軍から除隊されたくて罪を犯すのかを。
“チキン・ホーク”とは「従軍経験のないタカ派」つまり「戦場を知らないくせに好戦的な政治家」への蔑称ですが、本来は“家禽を襲う各種のタカ”を意味する言葉であり、ブッシュ政権以前は“少年や少女をあさる変質者”を指す俗語だったのだそうです。
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以下、個人的メモ。
“ほとんどの人は、多くの兵士がブッシュのしていることを支持していないことを知らなかった”
“政治家は誰ひとりとして法の上に立つ者ではなく、法に従うべき存在なのだ”
“テロリストの大半は、多国籍軍に刃向かうためイラクに流れ込んだ外国人です”
“マーシャル・プランは、アメリカが第二次世界大戦でドイツと日本に対して、ここイラクでは想像もできないほどの破壊の限りを尽くし、そのあとで両国を元通りにしてやろうとしたときに効果をあげた立派な計画です。だから今の政権だってここで上手くやる力はあるはずなんです”
“納税者とイラク人がべらぼうな金を巻きあげられてるのは確かだ(中略)おれもこのインチキに加担しているからさ”(←ケロッグ・ブラウン&ルート社のイラク従業員)
“「平和」に向けた計画が立案されていなかったことが、今日のイラクが政情不安である直接的な原因となっています(中略)なぜイラク復興で、都市部の人間の雇用を最優先にしなかったのでしょうか?(中略)ベクテル社などのこうした業者は、修理復興のために同じ地域で活動している国際的なNGO(中略)に手を引くように指導し、(中略)お抱え業者が契約した下請け業者は(中略)都市部を離れた田舎のほうに人材を求め(中略)、都市部では多くのイラク人が職もなく不満を募らせていく。(中略)非都市部のイラク人はじつはこんな仕事をもらわなくても規制のない物々交換経済となっているのです”
“アメリカがこんなやりかたをしているなら、路肩に爆弾を仕掛けられたってしかたがない”
“「テロリスト」の定義はこうだ。「人心に不安をかきたてるために組織だった方法で暴力を行使し、特定の政治目的を達成しようとする者」。なんだか、あんたにピッタリじゃないか”
“あのドキュメンタリーに嘘はありません。あなたの発言のひとつひとつに証拠(厳密な意味での)があるからです”
“アメリカの軍事予算は、二位以下の十カ国の合計より多いというのに、ぼくの隊は、兵士が必要とする訓練や装備を与えられていません(中略)予算はいったいどこへ行ってしまうんだろう?”
“今アメリカ兵を殺しているのは、ただ外国の侵略者から国を守ろうと考えているだけの人たちだ(中略)これはヴェトナム戦争と同じじゃないか”
“どうぞあなたの会う人みんなに、どんなに今いる場所から出たくて、世界を見たくても、両親から逃げ出したくても、愛国的なことをしたくても、絶対に軍隊には入らないように言ってください。政府のやりくちを受け入れられず、イラク戦争に同意できないとしても、それについて行動をおこす手段として軍隊に入るのはやめてください”
“私はブッシュ大統領を非難しません。なぜなら、ただ一人の人間にすべての責任があるなんてあり得ないのだから。われわれ全員が非難されるべきなんです(中略)私は、ある場所を去る者は、そこを来たときよりも良い場所にしていくべきだと信じています……でも、私は失敗しました”
“ぼくが貧しいから。家族を養う必要があるからです。ぼくの犠牲なんて、国全体から見たらほとんど意味のないものだとわかっていますが、ぼくの妻と子どもにとっては、家、食べ物、医療保障が与えられることを意味するのです”
“同僚兵士の大多数は若者で、「実人生」の何かから逃げてきていたのです。中年の人たちは、ぼくが思うに、軍隊で食べていく以外になんの経験もないために、怖くてほかのことができなくてここにいたのでしょう(中略)終業ベルが決して鳴らず、生徒が家に帰れない高校、といった感じでした”
“九月十一日の前、愛国者はどこにいたんだろう? 煙がすっかり晴れたとき、みんなまだそこにいるんだろうか? こういうことすべてについて、息子の教科書には何と書かれるのだろう? みんなは相変わらず軍人の給与はよすぎると文句を言うのだろうか?”
“ブッシュがすべての交渉を打ち切り、国際法を破って主権国家に侵攻したとき、イラクには四百人以上の国連査察官がいて、大統領の宮殿を含め、どこにでも行くことを許されていた”
“わが国の国防は極貧の人々によって担われていること、その人々は、これから何世代にもわたり、兵卒を補充するのに都合がいいように、そのままの状況に置かれつづけるだろう、という事実”
“志願兵の軍は信頼を基礎とする。われわれ兵士のほうでは、四軍の長が、彼ら自身がしようと思わないこと、または過去にしたことがないことを、われわれに求めないだろうと信じている(中略)今起きていることは一時的なことにちがいない。ものごとは互恵的に働く”
“イラク戦争ののち、世界は現在でも未来においても、前に比べて安全な場所にはならないでしょう。十中八九、われわれはもっとたくさんのオサマ・ビン・ラディンを作り出してしまい、ブッシュ政権を忘れる努力をしはじめてからだいぶ経ったあとでも、彼らと戦い続けているはずです(中略)世界貿易センタービルに突っこんだ飛行機のどちらにも、イラク人は乗っていなかったはずです。サウジアラビア人が多かったと記憶しています”
“たしかに、彼は自分で選びました。でも、ハイスクール生活をのんきに送って、卒業後すぐ大学に入れるような成績をとっていない生徒が、十八歳になって、自分で何とかしなくちゃならなくなったとき、ほかにどんな道が選べるというんでしょう?(中略)除隊したら学校の先生になって、自分と同じような若者たちに、軍隊に入って二十一歳で死んだりしないためにも、勉強は大切だと教えたいと、いつも言っていました”
“息子は二十一です。週末勤務の予備兵に志願しました。将来は警察官になるのが夢です。ここには時給五ドルの仕事しかありませんし、予備兵になれば無料で訓練も受けられると考えたのです”
“身内の者が戦地にいない人は戦争を抽象的に語ります。でも、大切な人が戦地にいる人は、戦争のことを考えるとへとへとに消耗するのです。それが毎日続く。起きているあいだずっと続く”
“長女は海兵隊員で、もうすぐイラクに送られます(中略)私がシングルマザーで、あの子を大学にやれないからでした(中略)あの子は、自分は「戦争」で細かく挽かれる新鮮な肉にすぎないと言いました”
| books | 2013.03.19 Tuesday | comments(0) | - |