おいでよ どうぶつの森
おいでよ どうぶつの森 (JUGEMレビュー »)

22世紀を目指し、カレンダーの最終日までタイムスリップしたりと相変わらず楽しんでます。
2100年のどうぶつ村は如何に?笑
紹介記事【2019.06.19】
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こちらも「アーサー王宮廷のヤンキー」同様「トウェイン完訳コレクション」の一冊、子供の頃に読んだ童話絵本をイメージしたら大違いです。
古き良きアメリカの牧歌的なジュブナイルに見せ掛けた辛辣な社会批判は、巻末あとがきのナイスフォローを先に読む方が好いかも?
紹介記事【2019.05.22】
Ben Folds & Nick Hornby - Lonely Avenue
Ben Folds & Nick Hornby - Lonely Avenue (JUGEMレビュー »)
Ben Folds & Nick Hornby
「ハイ・フィデリティ」作者×ベン・フォールズ・ファイブ元リーダー(?)のコラボ作。
SOSとはまた異なるバカラック的ドリーミーさ+初期B.ジョエル的な吟遊ピアノ感、ヴィンテージ系シンセ&ストリングスのあしらいも絶妙。
紹介記事【2019.06.27】

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最近読んだ本
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア(著)、浅倉久志(訳)「すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた」

原題「Tales of the Quintana Roo」をこのような邦題に変えたのは海外SFの紹介者としても知られる訳者の手腕でしょうか、ミステリアスながら本書に収録された3編の奇譚を端的に表したタイトルですねぇ。
そもそもキンタナ・ローという言葉は、カンクンに行った事のある日本人でも知らない方が多いのでは?
むしろ国内で知名度のあるカンクンなり、舞台となるコスメルの名を敢えてタイトルに含めなかった訳者の慧眼は称賛に値しますね。

本書に登場するカンクンやコスメルやトゥルムといった地名はメキシコのユカタン半島にありますが、そこはユカタン州ではなくキンタナ・ロー準州なのです。
世界幻想文学大賞なるものを受賞したという本書、コスメル島と近辺でのスキューバやスノーケリングといった題材ではありますが…そうした目的で彼の地を訪れるリゾート・ラバーが手にしたところで「訳わかんね」と言い出すのが関の山、したり顔で一丁前の批評をされる位なら読まれない方がマシってもんです。笑

アンドレス・キンタナ・ローは独立戦争の英雄で、その戦いは'35年に休戦という形で終わったそうです。
序文「キンタナ・ローのマヤ族に関するノート」には、メキシコ相手に独立を求めて蜂起したマヤ族は北部インディオのような被征服者ではないと書かれています…故にメキシコを援助して派兵したアメリカの人間である主人公はマヤ寄りの心情を持っていてもグリンゴと見なされ、マヤ族を援助したイギリス側の工作員を思わせる人物が登場して意味深な会話をしたりします。


巻末の訳者あとがき、ではなく越川芳明なる人物による解説を読んで驚いたのは2つ…著者が実際は女性である事、そしてペンタゴン勤務を経て'52年のCIA創設時からスタッフとして3年ほど関与していた事。
'44年のグアテマラ民主化を援助しながら、アイゼンハワー政権とCIA高官が己の利権を確保するためクーデターで'96年まで続いた内戦状態を引き起こした…'61年のキューバ侵攻でもダーティ・ワークに手を染めたCIAは「ボーン」シリーズみたいですが、そういった(裏庭)への哀惜と悔悛の念が本作の下地に横たわっているのでしょう。

ちなみに、もう1つ驚いた事がありまして…それは著者が「愛はさだめ、さだめは死」「たったひとつの冴えたやりかた」などの有名なSFをも執筆していた事です、後者は特にタイトル自体がJPOPやラノベに引用される事が多いのでも有名かと思いますが。

これまでも興味はありながら未読だったので、本作をご縁として一段と読んでみたくなりましたよ。

“キンタナ・ローの海岸には、いま(一九八四年現在)でも、休戦協定による権利を盾に、同化や近代化を拒んでいる村がいくつも存在する。招待者でないと、村にはいることは許されない。わたしの友人だった前提督は、それらの村を儀礼訪問する場合、かならず単身で、しかも最後の二十キロは徒歩で、古いサクベの道を使うことにしていた(サクベは古代マヤの道路網だが、現在ではジャングルのなかを抜ける石灰岩のうねとなり、なかにはどこへ通じているのか、だれも知らない道もある)。”

'96年、カンクン〜プラジャ・デル・カルメン間のメキシコ軍による検問と長い一本道の両側に拡がる深く平たい森が脳裏に浮かびました…トゥルムの遺跡外に続いた道、コスメルのスパニッシュな夜中の港町や船上で見た鮮やかな夕景も。


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    | books | 2013.05.12 Sunday | comments(0) | trackbacks(0) |









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