おいでよ どうぶつの森
おいでよ どうぶつの森 (JUGEMレビュー »)

22世紀を目指し、カレンダーの最終日までタイムスリップしたりと相変わらず楽しんでます。
2100年のどうぶつ村は如何に?笑
紹介記事【2019.06.19】
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こちらも「アーサー王宮廷のヤンキー」同様「トウェイン完訳コレクション」の一冊、子供の頃に読んだ童話絵本をイメージしたら大違いです。
古き良きアメリカの牧歌的なジュブナイルに見せ掛けた辛辣な社会批判は、巻末あとがきのナイスフォローを先に読む方が好いかも?
紹介記事【2019.05.22】
Ben Folds & Nick Hornby - Lonely Avenue
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Ben Folds & Nick Hornby
「ハイ・フィデリティ」作者×ベン・フォールズ・ファイブ元リーダー(?)のコラボ作。
SOSとはまた異なるバカラック的ドリーミーさ+初期B.ジョエル的な吟遊ピアノ感、ヴィンテージ系シンセ&ストリングスのあしらいも絶妙。
紹介記事【2019.06.27】

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最近読んだ本
ダーリング・ブルース、ダーリング・常田益代「図説|ウィリアム・モリス」

初版'08年「ふくろうの本」シリーズ、洋書を訳したのかと思ってましたが夫婦共著のようですな…略歴から察するにミシガン大のラッカム大学院でか北海道大学で知り合われた様子、って事はどうでもいいけど。
副題に「ヴィクトリア朝を越えた巨人」とあります。
図書館でウィリアム・モリスに関する本が2冊あって、パラパラ見た感じモリスの全体像を扱っていそうな本書を選んだ次第です…もう1冊は壁紙やテキスタイルで有名なモリス、といった扱いだったものでね。

以前ガレとかナンシー派に関する本を読むまでは、僕も(モリス=植物模様)でしかありませんでしたが…職人や芸術家である以前に自身の理想とする社会の実現を目指した傑物である事に興味を抱き、先日読んだヴィクトリア時代という英国黄金期との関わりからも彼を知りたくなったのです。
同時代人のソローのような思想家としての一面とダヴィンチを思わせる多彩な芸術家としての一面を併せ持ち、現代で例えれば気性の激しさと現場主義という点で宮崎駿にも似ている気がします…って、却って(どんなだよ!)という感じですよね?笑

子供時代から友達と遊び回るより森や草原に親しんでいた点はグレイ・アウルと通じるものがありますが、読書好きで中世への憧れから教会建築に魅せられるなど後に開花する才能は既に用意されていたようで…更にオックスフォード時代に生涯の相棒となるバーン=ジョーンズやモリス商会にも関わってくる仲間と出会い、信仰心の篤さを失わずに聖職から芸術の道へと人生航路の舵を切りました。
若くして多額の遺産を相続したモリスは幼少時から気性が激しく、彼の使用に耐えられる頑丈さが家具の製作にも反映されたとか。笑

“家の中に役に立つかどうかわからない物と美しいと思えない物は置かないこと”、そう著した「生活の美」という本の題名に柳宗悦の提唱した「用の美」を連想するのは安易でしょうか…全面的な定義が一致するのではありませんしモリスは収集ではなく実践の人でしたが、懐古趣味や復古主義でなく効率優先の工業品に失われた調度品の美しさを中世の工芸に見出して庶民の暮らしの質を豊かにしたいと願った製作の姿勢には共通性を感じるのです。

最大の功績であり特徴である植物をモチーフとした反復するデザインはステンドグラスに始まり、タイルや刺繍を経て壁紙やテキスタイル全般へと拡がります。
家具やガラス食器などはモリスが建築家の見習い時代に兄弟子だったフィリップ・ウェッブが手腕を発揮し、本人もタイルの焼成や布染めの研究に没頭しながら経営と工房の指揮を執り詩作に出版事業にと商会のエンジンであり続けました。

しかしモリスの生涯は必ずしも順風満帆でなく、若き日は聖職者や建築家を目指しては挫折を繰り返しています…軌道に乗ったかに見えた事業でも苦汁を舐め、家庭生活さえも辛い思いをしていたとは意外でした。
社会主義者としてのモリスは理論にも権力にも無縁の理想主義者であり、環境汚染に反対する団体や古い建築物の保護活動を積極的に支援した事と同一線上にあったのですね…産業革命と大国化した負の側面を正そうとした行動は、今や英国最大の民間慈善組織ナショナル・トラストや存続している様々な協会の設立に影響を与えたのだそうです。

モリス最晩年の出版事業ではフォントの開発から装幀に至るまでを自身が手掛け、大学時代にジョーンズと出会った頃からの夢を叶えるのでした…イエーツが絶賛したその一冊は“十九世紀末の本のデザインの新しい基準となった”そうで、死の4か月前に“完成したチョーサーの本を手にした父の目は寂しそうでした。おそらくこれが最後の大仕事だとわかっていたのでしょう”と娘が書き残した様子が目に浮かぶようです。
彼の情熱をもってしても英国社会を変える事は出来なかったけれども、その人生に僕は美しさを感じます。


〈ふくろうの本〉関連記事:
石井正己「図説|遠野物語の世界」| 2008.03.04
西尾哲夫「図説|アラビアンナイト」| 2009.10.21
岩田託子、川端有子「図説|英国レディの世界」| 2013.09.24
栗生沢猛夫「図説|ロシアの歴史」| 2015.05.10
辻原康夫「図説|国旗の世界史」| 2016.11.24


以下、個人的メモ。
“いかなるときも、その材料が最高に活かされるように使いなさい。もし、その材料が制作しているものの助けになっているのではなく、妨げになっていると感じるなら、あなたはまだ仕事を習得していないのです。ちょうど、未熟な詩人がリズムと韻で書くことに制約を感じ、不平を言うようなものです。(中略)それゆえ、デザイナーは、制作にかかわる特定の手づくりの工程を完全に理解しなければならないのです。そうしないと、結果はたんなる巧みな技になってしまいます”

“誰もが、する価値があり、それをすることが喜びであるような労働をすべきである、ということは正当で必要なことだ”
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    | books | 2013.11.05 Tuesday | comments(0) | trackbacks(0) |









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