錯覚の科学 (文春文庫) [ クリストファー・チャブリス ]
錯覚の科学 (文春文庫) [ クリストファー・チャブリス ] (JUGEMレビュー »)
ここ数年で断トツのインパクトでした、誰もが犯す悪意なき嘘について。
それは克服可能な「個人の資質の問題」ではなく、だから盗用は必ずしも悪意ではないし医療ミスだってプロ失格じゃない訳です。
「たった一つの真実」なんて詭弁だし、所詮は見たい物を見て信じたい事を信じてるのよ。
己の記憶力を根拠に持論を曲げない友人には、是非とも本書を読んで柔軟さを学んでほしいな!
紹介記事【2020.03.16】
【中古】 バランサンド /ミルトン・バナナ・トリオ 【中古】afb
【中古】 バランサンド /ミルトン・バナナ・トリオ 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
ミルトン・バナナは「ゲッツ/ジルベルト」にも参加したボサノバ・レジェンドだったようで、ヴィオランのバチーダ奏法を応用した軽やかなビートがチャーミングなインスト物です。
東芝EMIの旧盤は別トリオの音源が混在したイカサマCDながら、ボッサ・トレスとのカップリングと思えば悪くないかも。笑
紹介記事【2020.02.22】
ACCA13区監察課 Blu-ray BOX 1【Blu-ray】 [ 下野紘 ]
ACCA13区監察課 Blu-ray BOX 1【Blu-ray】 [ 下野紘 ] (JUGEMレビュー »)
オノ・ナツメが原作でマッドハウス制作と、期待に違わぬスリリングかつユーモラスな展開が絶妙!
曲も映像も洒落てるOPは毎回飛ばさず観ちゃう位、大人のほうが楽しめる心理描写はハードボイルド風味のファンタジーという感じ。
紹介記事【2020.02.19】
セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー! [DVD]
セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー! [DVD] (JUGEMレビュー »)
宇宙で冷戦終結を迎え置き去り状態の「最後のソビエト連邦国民」と無線が趣味のハバナ大学教授に、ソビエトを憎む老CIAや反米官僚が絡む異色コメディ。
なので旧ソビエトとキューバの関係や、キューバがアメリカから経済封鎖を受けていた位は把握しときましょう。
古い喜劇の味わいを思わせる友情物語で、トボケたラストに繋がる枠物語の構成も見事。
紹介記事【2020.06.18】
探しに行こうよ
探しに行こうよ (JUGEMレビュー »)
終盤で詰んで積みゲー化していましたが、攻略本を入手したので再開しクリア達成!
PS2初期のタイトルで粗は色々ありますが、それを補う楽しさがありますね。
冒険ごっこの通過儀礼を、町の大人たちも密かに懐かしく思っているのでしょうな・・・バトル少な目のパズル進行と世界観のバランスがマッチして、ラストで温かい気持ちになりました。
紹介記事【2020.01.29】
愛しのインチキガチャガチャ大全ーコスモスのすべてー【電子書籍】[ ワッキー貝山 ]
愛しのインチキガチャガチャ大全ーコスモスのすべてー【電子書籍】[ ワッキー貝山 ] (JUGEMレビュー »)
(注・サムネは【電子書籍】です)
創業するやスーパーカー・ブームに乗り、ガチャガチャ界に名を馳せたコスモス。
「ハズレ」という画期的な概念を持ち込むなど大人気ない阿漕さに、読めば呆れる伝説の数々!
10万点を越えるコレクターにより陽の目を見た驚きと苦笑いの裏側、時代のユルさに悪乗り出来た時代の仇花か?
紹介記事【2020.01.24】
送料無料【中古】私たちの幸せな時間 (Bunch Comics Extra) [Comic] 佐原 ミズ; 孔 枝泳 and 蓮池 薫
送料無料【中古】私たちの幸せな時間 (Bunch Comics Extra) [Comic] 佐原 ミズ; 孔 枝泳 and 蓮池 薫 (JUGEMレビュー »)
粗筋だけなら一昔前のケータイ小説にありそうですけど、これは「泣ける漫画」として「泣いてスッキリ」じゃ詰まらないな。
彼は私かもしれない、そう感じた事を「ない」と即答してしまう人こそ僕には恐ろしく思えます。
僅かに心を詰まらせる、この幕切れの匙加減も見事だな…所詮は自分の時間を生きるしかないが故にこそ惜しむべき死も最大限の糧に変えてゆく、キリスト教的なカタルシスではありますが。
紹介記事【2020.03.03】
劇場版 天上人とアクト人最後の戦い【中古】【アニメ】中古DVD
劇場版 天上人とアクト人最後の戦い【中古】【アニメ】中古DVD (JUGEMレビュー »)
決して悪口ではなく、単に(ゆるふわ系)が好みじゃないので京都アニメーション作品って基本的に観ないのですが。
本編後に連続再生された特典映像で事件前の京アニ第一スタジオを観て、お亡くなりになった木上監督らの姿に胸が苦しくなりました。
失われた才能と未来を思い、死は画面越しの出来事ではないと改めて痛感しました。R.I.P.
紹介記事【2020.04.21】
ザ・タイガー!!! [ プータリット・プロムバンダル ]
ザ・タイガー!!! [ プータリット・プロムバンダル ] (JUGEMレビュー »)
タイの伝説に基づいた、人食い虎の魔物と戦うファンタジック・サスペンス・SFXアクション!
タイ語にクメール語に中国語とオーストラリア英語が辺境のジャングルで入り乱れる発想が面白いですね、それと食った人に化ける妖虎はゾンビ的で西洋ホラーの影響も思わせたりと好い意味でエキゾチック。
観ないジャンルであれば尚更オススメです、個人的には。
紹介記事【2020.06.13】
シンデレラはウンザウンザを踊る / バックドロップシンデレラ
シンデレラはウンザウンザを踊る / バックドロップシンデレラ (JUGEMレビュー »)
まるでN.Y.パンクを笠置シヅ子が乗っ取ったような?って両方とも詳しくない個人の感想ですが、今時こんな万人受けしそうにない音楽が商業ベースに乗れてる自主自立スタンスは本物。
ウンザウンザなる独自の「ええじゃないかポルカ」的な音楽スタイルを追究するカッコ好さ!
紹介記事【2020.02.04】
暴力戦士 [ 田中健 ]
暴力戦士 [ 田中健 ] (JUGEMレビュー »)
六甲の野外フェスで抗争勃発、東京側のリーダーが神戸リーダーの妹と呉越同舟の70年代クヨクヨ邦画版「手錠のままの脱獄」。
まぁ70年代とはいっても'79年の公開ですし全然クヨクヨじゃない石井輝男監督作です、ワルな田中健&ワルな岡田奈々+ホンワカした劇伴音楽のミスマッチぶりが逆に微妙さ加減を演出してる気も。
紹介記事【2020.02.18】
【中古】 ロリータの詩集(1) 花とゆめC1469/山中音和(著者) 【中古】afb
【中古】 ロリータの詩集(1) 花とゆめC1469/山中音和(著者) 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
ロリといっても訳アリ少女が徐々に「言葉」を取り戻していく高校生群像劇で、この大人になってから黒歴史化しそうな青臭いクールさが気恥ずかしくもあります。
上條淳士っぽい仏頂面に微妙な起伏を見せ、十代の粗い鋭さを感じさせます。
コミュニケーションって相手を通じて自分を見てるのね、その双方向の情報整理が年頃的に紛らわしく感じられたんだなーなんて。
紹介記事【2020.02.23】
HAIM / Days Are Gone 【CD】
HAIM / Days Are Gone 【CD】 (JUGEMレビュー »)
(注・サムネは前作です)
露出過多なセクシー路線に走りがちな女性シンガーとは一線を画すビジュアルといい、個人的に注目の若手3姉妹です。
父の影響で幼少時から学んだビートのセンス、民族音楽を専攻した長女はベースもフレーズがユニーク。
リズミカルな節回しの歌い方からはケイト・ブッシュを連想しました、楽曲のポップさと裏腹な何かしらハッとさせられる音のフックは前作が偶然の産物ではなかった証拠です。
紹介記事【2020.04.12】
◆◆日本昭和トンデモ児童書大全 オールカラー版 / 中柳豪文/著 / 辰巳出版
◆◆日本昭和トンデモ児童書大全 オールカラー版 / 中柳豪文/著 / 辰巳出版 (JUGEMレビュー »)
高度成長期を経て政治紛争も落ち着き、子供相手の経済が回り始めた時代の怪しい児童書から91冊を厳選。
夢と科学の分岐点、情報社会の一歩手前で他愛ない悪夢を盛り上げていた陰の功労者たちの人物伝も短いながら奥行きが増します。
こういったサブカル昭和臭は電子書籍じゃ嗅げないよなぁ?笑
紹介記事【2020.02.09】
空色のメロディ 1【電子書籍】[ 水沢めぐみ ]
空色のメロディ 1【電子書籍】[ 水沢めぐみ ] (JUGEMレビュー »)
(注・サムネは【電子書籍】です)
昔の「りぼん」とか「なかよし」っぽさと「少女コミック」っぽさとの中間といった印象で、洋風カントリーに王子様テイストは鉄板ですな。笑
番外編までバッチリ取りこぼしのない構成&画力で飽きさせませんよ、今じゃ出来ない牧歌的な少女漫画のエッセンスを堪能しました。
紹介記事【2020.04.02】
もののあはれ (ハヤカワ文庫SF ケン・リュウ短篇傑作集 0) [ ケン・リュウ ]
もののあはれ (ハヤカワ文庫SF ケン・リュウ短篇傑作集 0) [ ケン・リュウ ] (JUGEMレビュー »)
中国SFへの興味で手にした短編集ですが、原題も「Mono no Aware」と日本的な精神性の翻訳感に気恥ずかしさと碁の大局観や利他の解釈を絡めた表題作に感嘆させられ。
分かったように持ち上げてる訳ではなく、他にも70年代ハチャハチャ風味に本領発揮のシンギュラリティSFと清代末のファンタジー〜香港スチームパンクなどサービス精神も旺盛。
一神教的世界観からの落とし処もまた東洋的といいますか、僕は心地好かったな。
紹介記事【2020.05.28】
ハピネット Happinet DOPE/ドープ!! 【DVD】
ハピネット Happinet DOPE/ドープ!! 【DVD】 (JUGEMレビュー »)
制作にファレル・ウィリアムスが噛んでるだけあって、90年代ラップ愛と直球加減のハズし方が独特です。
正に「違法な薬物」+「まぬけ」=「素晴らしい」ドープさ、ハーレムでド底辺スクールカーストでマイノリティな3人組がどんでん返しを繰り返しつつ見事な着地を決めてくれました。
ラストショットの射抜くような眼差しは、ユルく観せつつ「スーパーフライ」の哀しみをアップデートしてるね。
紹介記事【2020.04.07】
【中古】SIMPLE2000シリーズ アルティメット Vol.2 エディット・レーシング
【中古】SIMPLE2000シリーズ アルティメット Vol.2 エディット・レーシング (JUGEMレビュー »)
噛めば噛むほどハマる、所謂スルメゲーなのです。
ディスクやゲームソフトやらでのコース生成もユニークですが、何より本編に再び絶賛ドハマり中です。
攻略サイトも本もないので、相性やレベルの効果にメール総数の増減など手探りで検証。
もしかして逆走バグを発見したのって僕ぐらいじゃない?笑
紹介記事【2020.02.26】
【中古】 おあとがよろしいようで コミックエッセイ /オカヤイヅミ(著者) 【中古】afb
【中古】 おあとがよろしいようで コミックエッセイ /オカヤイヅミ(著者) 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
いや落語の漫画じゃなく、食と死を問うエッセイ漫画です。
15名の作家たちとの会食インタビューを、益田ミリが筆書したようなタッチで描いてます。
“死ぬ前に食べたいものってなに?”という「話に詰まった酒席の定番」みたいな企画で一席設けるとは、みんなオイシイ発想ですな!笑
死は誰もが体験しうる一番遠い未来、実は「おあとがよろしいようで」=「次の準備が整いました」って深いな。
紹介記事【2020.01.18】
planetarian ちいさなほしのゆめ+星の人 Webアニメ版全5話+劇場版コンボパック ブルーレイ+DVDセット【Blu-ray】
planetarian ちいさなほしのゆめ+星の人 Webアニメ版全5話+劇場版コンボパック ブルーレイ+DVDセット【Blu-ray】 (JUGEMレビュー »)
原作が美少女PCゲーながら、天然ロボのウザさにも理由があり違和感なく引き込まれました。
荒廃した現在(遠未来)と既視感を覚える過去(近未来)の断絶と実利主義にならざるを得ない世知辛さから、叶わない夢に希望を見るほろ苦さは思いがけなく深く沁みました。
紹介記事【2020.01.25】
外国人ヒットマン [ 一橋 文哉 ]
外国人ヒットマン [ 一橋 文哉 ] (JUGEMレビュー »)
なんか国内の犯罪絡みって引いちゃうんですが、未だ未解決の様々な凶悪事件とアジア裏社会の巧妙さに何故か興味が湧きまして。
来日した足でサクッと済ませて即帰国という日帰り殺人旅行、偽造パスポートだから追跡調査も難しいし近隣諸国とは犯人引き渡し条約を締結してない点が利用されてる節もあり震撼モノ。
紹介記事【2020.03.29】
【中古】 妖精のネジ(文庫版) ソノラマC文庫/奈知未佐子(著者) 【中古】afb
【中古】 妖精のネジ(文庫版) ソノラマC文庫/奈知未佐子(著者) 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
25本のショートファンタジーを収録、心がキュッとしてほぐれます。
最初は地味な印象でしたが、デッサン力の高いデフォルメと時代に左右されない画風は只者じゃないですな。
僅かな紙数で過不足なく見せるクオリティでサラリと読ませる、甘く切ないストーリーの巧みさも見事。
紹介記事【2020.04.06】
ブレイク・ビーターズ [ ゴードン・ケメラー ]
ブレイク・ビーターズ [ ゴードン・ケメラー ] (JUGEMレビュー »)
旧東独、といっても今じゃ通じなさそうですが…80年代の社会主義国でヒップホップに目覚めちゃった若者と、彼らの活動を体制翼賛に取り込もうとする当局との丁々発止を描く青春コメディ。
飼い慣らそうとする権力側と調子を合わせつつ苦悩する主人公たち、ベルリンの壁が崩壊して彼らを待ち受けるラストのほろ苦さとタフさに男泣きです。
自分でいる事を描いている点で、英国のサルサ映画「カムバック!」と併せてオススメ。
紹介記事【2019.11.02】
ポルノ☆スターへの道 [ ニック・スウォードソン ]
ポルノ☆スターへの道 [ ニック・スウォードソン ] (JUGEMレビュー »)
ラジー賞を独占した下ネタ満載ムービー、とりあえず下品ですけど線引きはキッチリしてますね…笑わせる内容は、少なくとも男性なら他人事じゃないというか。
女性同士の巨乳幻想みたいなね、目の付け処が上手いなぁと。
まぁ万人向けではないにせよ、僕は感心しつつ大笑いしました。
紹介記事【2019.10.17】
あきれたあきれた大作戦 [ ピーター・フォーク ]
あきれたあきれた大作戦 [ ピーター・フォーク ] (JUGEMレビュー »)
笑いって鮮度があると思ってました、本作を観るまでは。
先が読めずに引き込まれましたが、確かに繰り返し観たくなるかも…計算されたシナリオが効いた笑いと、映像的な古さもまた味わい深いです。
スタンダードでバカバカしくて無駄のない、意外な傑作。
紹介記事【2019.12.10】
月曜日の友達(1-2巻 全巻) 全巻セット
月曜日の友達(1-2巻 全巻) 全巻セット (JUGEMレビュー »)
中学生になったばかりの頃の、世界の拡がりに戸惑う姿は性別や世代を超えて響きますね。
作画力もストーリーテリングも卓越してます、些細な一瞬を捉える巧さが。
忘れていた何か、忘れたくなかった何か…最後のコマに、胸が苦しくなりました。
紹介記事【2019.11.11】
【中古】 山本耳かき店 ビッグCスペシャル/安倍夜郎(著者) 【中古】afb
【中古】 山本耳かき店 ビッグCスペシャル/安倍夜郎(著者) 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
耳かき店ブームの火付け役、なんて書いては申し訳ないのですけども…決してブームに便乗した後追いではない、と。
穏やかな時間の流れる小さな町で、耳かき屋さんを訪れる客の脳内イメージが秀逸です。
こんな表現があったのか、こんな漫画があったのかと目からウロコ耳から(略)。
紹介記事【2019.12.23】
【中古】 マンガでわかる 戦後ニッポン /手塚治虫(著者),水木しげる(著者),つげ義春(著者),はるき悦巳(著者),ちばてつや(著者) 【中古】afb
【中古】 マンガでわかる 戦後ニッポン /手塚治虫(著者),水木しげる(著者),つげ義春(著者),はるき悦巳(著者),ちばてつや(著者) 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
現代に至る国内の移ろいを漫画に語らせる好企画アンソロジーです。
漫画にしか出来ない表現は、例えば三輪自動車が走る風景でありリンチされる米軍の操縦士であり…基本的に主観視点であるが故の、俯瞰の効く文学表現よりも接地した仮想体験なのかも。
いわば漫画こそが伝え得た戦後の一片、切り口を変えて続けてもらいたいですね。
紹介記事【2019.12.12】
絵はがきにされた少年 [ 藤原章生 ]
絵はがきにされた少年 [ 藤原章生 ] (JUGEMレビュー »)
アフリカに対する先入観や固定観念が、ことごとく覆されます…偏見を持たないように心掛けていたつもりでも、日本にいて伝わってくる情報自体にバイアスが入っている訳ですが。
西欧支配の呪縛に歪められた各地の民族性や搾取の構造など、日本では見えにくい暗部が著者の目を通して見えてくるようで。
アフリカの話であり、同時に現代の実像でもあるのでは?と。
紹介記事【2019.09.1】

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最近読んだ本
江成常夫「まぼろし国・満州」

初版'95年、新潮社刊。
満州とは清から旧ロシアが租借していた中国東北部を、日露戦争によって日本が委譲された際に名付けた名称です…ラスト・エンペラーとして知られる愛新覚羅薄儀を皇帝に据え、実質的には旧日本関東軍の傀儡政治によって統治された14年弱の短命国家でした。
現在の中国地図に重ね合わせると、黒龍江省・吉林省・遼寧省の全域と内モンゴル自治区の約半分に河北省の一部を含む広大さは想像以上です…前に「射(鳥周)英雄伝」を読んだ時の地図では、主人公が敵対する金国を興した女真(満州)族の出身地は北の外れの一角にしか見えませんでしたが。
清国もまた女真族によって建国された国であり、イギリスとの紅茶貿易から阿片戦争を仕掛けられて列強に租借地として国土を割譲されてしまったんですよね…で、帝政ロシアの南下政策に抵抗した日本が租借権を取得し満州国として独立。

でも、そこからが分からないのです…見方次第で「日本の侵略」とも「本土防衛の橋頭堡」とも言われるし、日本の敗戦と共に幕を下ろした満州国の内部資料が少ないせいでしょうけど。
日露講和条約に基づいて遼東半島の租借権を得たのが明治38(1905)年、翌39(1906)年に早くも半官半民の国策会社として設立された満州鉄道(満鉄)…そして鉄道警備を主な任務として発足した独立守備隊が、後の“皇軍をもって任じた”関東軍だそうで。
当時の満鉄といえば未来を嘱望されたような花形職業であり、内地で採用された日本人はエリート意識も高かったようです。
やがて満鉄は鉄道事業から港湾や製鉄など経営範囲を拡大、更に鉄道付属地の教育や行政までも掌握した“企業というより国家に近い”巨大コンツェルンへと発展…帝政ロシア時代に都市の基盤が築かれた大連やハルピンの他、首都に制定された新京(現・長春)など各地には満州国時代の建築物が今も使用され続けているのです。

この見映えや手入れに無頓着な不潔さも含めて、往時のままの日本にタイムスリップしたかのよう…ほとんどの写真が無人なので、満州滅亡時から人知れず風化しつつある遺跡のようでもあり。
だけど作者が撮影した'90年前後まで使用され続けているという事は、漢族によって建国された新中国の経済発展の恩恵に浴していないという事でもありますね…町の寒々しさは単に気候のせいだけでなく、他民族に分け前を回さない漢族の本音を見る思いです。
しかし当時の日本人もまた満州国の総人口からすれば3%に過ぎなかったのに、それ故にか住居も教育も優遇されて明確に他民族を区分けしていたのは事実でしょう。
“日本人が入植した開拓地は現地住民の所有地だった”
“日本人は満蒙開拓に反抗する現地民すべてを“匪賊”と決めつけ、排斥したが、そのほとんどは土地を守ろうとして抵抗した農民たちだった”
そして昭和3(1928)年に張作霖爆殺事件が発生し、昭和6(1931)年には柳条湖での鉄道爆破事件が引き金となって満州事変に突入…翌1932年に建国を宣言するも5年後には盧溝橋事件で日中戦争が勃発と。

“20年間に100万戸、500万人を入植させる満州移民計画が、日本の政府閣議で決まるのは1936(昭・11)年8月。東満、北満一帯に日本人を大量に投入し、開拓の増強と対ソ戦略の前線基地を強化することが目的だった”
“政府拓務省が奨励した満州移民の募集には、全国から多数の希望者が集まった。ほとんどが寒村辺地の二男三男たち。貧しさに重ね、国威高揚と皇国教育を受けた日本人に、土地を追われる現地民の心は読めなかった”
昭和14(1939)年には満州とモンゴルとの国境でノモンハン事件が発生、その2年後に日ソで中立条約を調印して太平洋戦争を開戦…昭和19(1944)年には米軍の爆撃機による空襲が満州本土にも及び、翌年の終戦直前にはソ連が条約を破棄し北満と朝鮮そして北方四島へ進攻。
昭和天皇の玉音放送から3日後に退位を宣言した満州国皇帝の薄儀は、日本への亡命を図るも奉天飛行場でソ連軍に逮捕され満州国も滅亡しました。

未だ関東軍の実態は秘密のベールに包まれているような、憶測と独断が先行している印象が強いですね…731部隊の研究実験はホロコーストに匹敵する人道上の犯罪ですし、民間でも鉱山労働者の万人坑は非道極まりない。
ソ連進攻から終戦後に逮捕・拘束された日本人はシベリアへと送られ、過酷な抑留生活の後に戦犯として旧満州の管理所へと収監された982人は昭和25(1950)年から15年近く中国侵略の反省と改造教育を受けていたのだそうです。
高級官僚や関東軍関係者は、自らの過ちと償いを果たしたのでしょう。
“開拓移民に限らず一般の日本人が満州に求めたものは、民族協和や楽土の建設といった高邁な理想ではなく、貧しさからの脱出であり、金のなる木への憧憬だった。そのことが国策の植民地化、あるいは侵略につながり、結果として母体の日本をも滅びの道へ導いたところに、満州国と、そこに思いを寄せた日本人の悲劇がある”という言葉は僕に、満州だけでなく大東亜共栄圏全域に対する責任の所在を明らかにしているように感じられます。
大きな力を動かす時は末端に行くほど制御が効かない事を軽んじていると、結局は末端の冒した不始末によって反動が生じるのですな。

どの写真も陰影が強く、重苦しい…作者の年齢を思えば(写真かくあるべし)という事大主義的な固定観念も、全編に響き渡る自虐史観も止むを得ないにしても。
出来る限りフラットな思想で、重厚長大なあざとさを捨ててカラーで撮った方が作品として魅力的だったろうと僕は思うのです…何度も足を運んだ力作ですしキャプションにも資料的な価値はありますが、ファインダー越しに滲み出ている作者の罪悪感じみた念には賛同しかねます。


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