錯覚の科学 (文春文庫) [ クリストファー・チャブリス ]
錯覚の科学 (文春文庫) [ クリストファー・チャブリス ] (JUGEMレビュー »)
ここ数年で断トツのインパクトでした、誰もが犯す悪意なき嘘について。
それは克服可能な「個人の資質の問題」ではなく、だから盗用は必ずしも悪意ではないし医療ミスだってプロ失格じゃない訳です。
「たった一つの真実」なんて詭弁だし、所詮は見たい物を見て信じたい事を信じてるのよ。
己の記憶力を根拠に持論を曲げない友人には、是非とも本書を読んで柔軟さを学んでほしいな!
紹介記事【2020.03.16】
【中古】 バランサンド /ミルトン・バナナ・トリオ 【中古】afb
【中古】 バランサンド /ミルトン・バナナ・トリオ 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
ミルトン・バナナは「ゲッツ/ジルベルト」にも参加したボサノバ・レジェンドだったようで、ヴィオランのバチーダ奏法を応用した軽やかなビートがチャーミングなインスト物です。
東芝EMIの旧盤は別トリオの音源が混在したイカサマCDながら、ボッサ・トレスとのカップリングと思えば悪くないかも。笑
紹介記事【2020.02.22】
ACCA13区監察課 Blu-ray BOX 1【Blu-ray】 [ 下野紘 ]
ACCA13区監察課 Blu-ray BOX 1【Blu-ray】 [ 下野紘 ] (JUGEMレビュー »)
オノ・ナツメが原作でマッドハウス制作と、期待に違わぬスリリングかつユーモラスな展開が絶妙!
曲も映像も洒落てるOPは毎回飛ばさず観ちゃう位、大人のほうが楽しめる心理描写はハードボイルド風味のファンタジーという感じ。
紹介記事【2020.02.19】
セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー! [DVD]
セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー! [DVD] (JUGEMレビュー »)
宇宙で冷戦終結を迎え置き去り状態の「最後のソビエト連邦国民」と無線が趣味のハバナ大学教授に、ソビエトを憎む老CIAや反米官僚が絡む異色コメディ。
なので旧ソビエトとキューバの関係や、キューバがアメリカから経済封鎖を受けていた位は把握しときましょう。
古い喜劇の味わいを思わせる友情物語で、トボケたラストに繋がる枠物語の構成も見事。
紹介記事【2020.06.18】
探しに行こうよ
探しに行こうよ (JUGEMレビュー »)
終盤で詰んで積みゲー化していましたが、攻略本を入手したので再開しクリア達成!
PS2初期のタイトルで粗は色々ありますが、それを補う楽しさがありますね。
冒険ごっこの通過儀礼を、町の大人たちも密かに懐かしく思っているのでしょうな・・・バトル少な目のパズル進行と世界観のバランスがマッチして、ラストで温かい気持ちになりました。
紹介記事【2020.01.29】
愛しのインチキガチャガチャ大全ーコスモスのすべてー【電子書籍】[ ワッキー貝山 ]
愛しのインチキガチャガチャ大全ーコスモスのすべてー【電子書籍】[ ワッキー貝山 ] (JUGEMレビュー »)
(注・サムネは【電子書籍】です)
創業するやスーパーカー・ブームに乗り、ガチャガチャ界に名を馳せたコスモス。
「ハズレ」という画期的な概念を持ち込むなど大人気ない阿漕さに、読めば呆れる伝説の数々!
10万点を越えるコレクターにより陽の目を見た驚きと苦笑いの裏側、時代のユルさに悪乗り出来た時代の仇花か?
紹介記事【2020.01.24】
送料無料【中古】私たちの幸せな時間 (Bunch Comics Extra) [Comic] 佐原 ミズ; 孔 枝泳 and 蓮池 薫
送料無料【中古】私たちの幸せな時間 (Bunch Comics Extra) [Comic] 佐原 ミズ; 孔 枝泳 and 蓮池 薫 (JUGEMレビュー »)
粗筋だけなら一昔前のケータイ小説にありそうですけど、これは「泣ける漫画」として「泣いてスッキリ」じゃ詰まらないな。
彼は私かもしれない、そう感じた事を「ない」と即答してしまう人こそ僕には恐ろしく思えます。
僅かに心を詰まらせる、この幕切れの匙加減も見事だな…所詮は自分の時間を生きるしかないが故にこそ惜しむべき死も最大限の糧に変えてゆく、キリスト教的なカタルシスではありますが。
紹介記事【2020.03.03】
劇場版 天上人とアクト人最後の戦い【中古】【アニメ】中古DVD
劇場版 天上人とアクト人最後の戦い【中古】【アニメ】中古DVD (JUGEMレビュー »)
決して悪口ではなく、単に(ゆるふわ系)が好みじゃないので京都アニメーション作品って基本的に観ないのですが。
本編後に連続再生された特典映像で事件前の京アニ第一スタジオを観て、お亡くなりになった木上監督らの姿に胸が苦しくなりました。
失われた才能と未来を思い、死は画面越しの出来事ではないと改めて痛感しました。R.I.P.
紹介記事【2020.04.21】
ザ・タイガー!!! [ プータリット・プロムバンダル ]
ザ・タイガー!!! [ プータリット・プロムバンダル ] (JUGEMレビュー »)
タイの伝説に基づいた、人食い虎の魔物と戦うファンタジック・サスペンス・SFXアクション!
タイ語にクメール語に中国語とオーストラリア英語が辺境のジャングルで入り乱れる発想が面白いですね、それと食った人に化ける妖虎はゾンビ的で西洋ホラーの影響も思わせたりと好い意味でエキゾチック。
観ないジャンルであれば尚更オススメです、個人的には。
紹介記事【2020.06.13】
シンデレラはウンザウンザを踊る / バックドロップシンデレラ
シンデレラはウンザウンザを踊る / バックドロップシンデレラ (JUGEMレビュー »)
まるでN.Y.パンクを笠置シヅ子が乗っ取ったような?って両方とも詳しくない個人の感想ですが、今時こんな万人受けしそうにない音楽が商業ベースに乗れてる自主自立スタンスは本物。
ウンザウンザなる独自の「ええじゃないかポルカ」的な音楽スタイルを追究するカッコ好さ!
紹介記事【2020.02.04】
暴力戦士 [ 田中健 ]
暴力戦士 [ 田中健 ] (JUGEMレビュー »)
六甲の野外フェスで抗争勃発、東京側のリーダーが神戸リーダーの妹と呉越同舟の70年代クヨクヨ邦画版「手錠のままの脱獄」。
まぁ70年代とはいっても'79年の公開ですし全然クヨクヨじゃない石井輝男監督作です、ワルな田中健&ワルな岡田奈々+ホンワカした劇伴音楽のミスマッチぶりが逆に微妙さ加減を演出してる気も。
紹介記事【2020.02.18】
【中古】 ロリータの詩集(1) 花とゆめC1469/山中音和(著者) 【中古】afb
【中古】 ロリータの詩集(1) 花とゆめC1469/山中音和(著者) 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
ロリといっても訳アリ少女が徐々に「言葉」を取り戻していく高校生群像劇で、この大人になってから黒歴史化しそうな青臭いクールさが気恥ずかしくもあります。
上條淳士っぽい仏頂面に微妙な起伏を見せ、十代の粗い鋭さを感じさせます。
コミュニケーションって相手を通じて自分を見てるのね、その双方向の情報整理が年頃的に紛らわしく感じられたんだなーなんて。
紹介記事【2020.02.23】
HAIM / Days Are Gone 【CD】
HAIM / Days Are Gone 【CD】 (JUGEMレビュー »)
(注・サムネは前作です)
露出過多なセクシー路線に走りがちな女性シンガーとは一線を画すビジュアルといい、個人的に注目の若手3姉妹です。
父の影響で幼少時から学んだビートのセンス、民族音楽を専攻した長女はベースもフレーズがユニーク。
リズミカルな節回しの歌い方からはケイト・ブッシュを連想しました、楽曲のポップさと裏腹な何かしらハッとさせられる音のフックは前作が偶然の産物ではなかった証拠です。
紹介記事【2020.04.12】
◆◆日本昭和トンデモ児童書大全 オールカラー版 / 中柳豪文/著 / 辰巳出版
◆◆日本昭和トンデモ児童書大全 オールカラー版 / 中柳豪文/著 / 辰巳出版 (JUGEMレビュー »)
高度成長期を経て政治紛争も落ち着き、子供相手の経済が回り始めた時代の怪しい児童書から91冊を厳選。
夢と科学の分岐点、情報社会の一歩手前で他愛ない悪夢を盛り上げていた陰の功労者たちの人物伝も短いながら奥行きが増します。
こういったサブカル昭和臭は電子書籍じゃ嗅げないよなぁ?笑
紹介記事【2020.02.09】
空色のメロディ 1【電子書籍】[ 水沢めぐみ ]
空色のメロディ 1【電子書籍】[ 水沢めぐみ ] (JUGEMレビュー »)
(注・サムネは【電子書籍】です)
昔の「りぼん」とか「なかよし」っぽさと「少女コミック」っぽさとの中間といった印象で、洋風カントリーに王子様テイストは鉄板ですな。笑
番外編までバッチリ取りこぼしのない構成&画力で飽きさせませんよ、今じゃ出来ない牧歌的な少女漫画のエッセンスを堪能しました。
紹介記事【2020.04.02】
もののあはれ (ハヤカワ文庫SF ケン・リュウ短篇傑作集 0) [ ケン・リュウ ]
もののあはれ (ハヤカワ文庫SF ケン・リュウ短篇傑作集 0) [ ケン・リュウ ] (JUGEMレビュー »)
中国SFへの興味で手にした短編集ですが、原題も「Mono no Aware」と日本的な精神性の翻訳感に気恥ずかしさと碁の大局観や利他の解釈を絡めた表題作に感嘆させられ。
分かったように持ち上げてる訳ではなく、他にも70年代ハチャハチャ風味に本領発揮のシンギュラリティSFと清代末のファンタジー〜香港スチームパンクなどサービス精神も旺盛。
一神教的世界観からの落とし処もまた東洋的といいますか、僕は心地好かったな。
紹介記事【2020.05.28】
ハピネット Happinet DOPE/ドープ!! 【DVD】
ハピネット Happinet DOPE/ドープ!! 【DVD】 (JUGEMレビュー »)
制作にファレル・ウィリアムスが噛んでるだけあって、90年代ラップ愛と直球加減のハズし方が独特です。
正に「違法な薬物」+「まぬけ」=「素晴らしい」ドープさ、ハーレムでド底辺スクールカーストでマイノリティな3人組がどんでん返しを繰り返しつつ見事な着地を決めてくれました。
ラストショットの射抜くような眼差しは、ユルく観せつつ「スーパーフライ」の哀しみをアップデートしてるね。
紹介記事【2020.04.07】
【中古】SIMPLE2000シリーズ アルティメット Vol.2 エディット・レーシング
【中古】SIMPLE2000シリーズ アルティメット Vol.2 エディット・レーシング (JUGEMレビュー »)
噛めば噛むほどハマる、所謂スルメゲーなのです。
ディスクやゲームソフトやらでのコース生成もユニークですが、何より本編に再び絶賛ドハマり中です。
攻略サイトも本もないので、相性やレベルの効果にメール総数の増減など手探りで検証。
もしかして逆走バグを発見したのって僕ぐらいじゃない?笑
紹介記事【2020.02.26】
【中古】 おあとがよろしいようで コミックエッセイ /オカヤイヅミ(著者) 【中古】afb
【中古】 おあとがよろしいようで コミックエッセイ /オカヤイヅミ(著者) 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
いや落語の漫画じゃなく、食と死を問うエッセイ漫画です。
15名の作家たちとの会食インタビューを、益田ミリが筆書したようなタッチで描いてます。
“死ぬ前に食べたいものってなに?”という「話に詰まった酒席の定番」みたいな企画で一席設けるとは、みんなオイシイ発想ですな!笑
死は誰もが体験しうる一番遠い未来、実は「おあとがよろしいようで」=「次の準備が整いました」って深いな。
紹介記事【2020.01.18】
planetarian ちいさなほしのゆめ+星の人 Webアニメ版全5話+劇場版コンボパック ブルーレイ+DVDセット【Blu-ray】
planetarian ちいさなほしのゆめ+星の人 Webアニメ版全5話+劇場版コンボパック ブルーレイ+DVDセット【Blu-ray】 (JUGEMレビュー »)
原作が美少女PCゲーながら、天然ロボのウザさにも理由があり違和感なく引き込まれました。
荒廃した現在(遠未来)と既視感を覚える過去(近未来)の断絶と実利主義にならざるを得ない世知辛さから、叶わない夢に希望を見るほろ苦さは思いがけなく深く沁みました。
紹介記事【2020.01.25】
外国人ヒットマン [ 一橋 文哉 ]
外国人ヒットマン [ 一橋 文哉 ] (JUGEMレビュー »)
なんか国内の犯罪絡みって引いちゃうんですが、未だ未解決の様々な凶悪事件とアジア裏社会の巧妙さに何故か興味が湧きまして。
来日した足でサクッと済ませて即帰国という日帰り殺人旅行、偽造パスポートだから追跡調査も難しいし近隣諸国とは犯人引き渡し条約を締結してない点が利用されてる節もあり震撼モノ。
紹介記事【2020.03.29】
【中古】 妖精のネジ(文庫版) ソノラマC文庫/奈知未佐子(著者) 【中古】afb
【中古】 妖精のネジ(文庫版) ソノラマC文庫/奈知未佐子(著者) 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
25本のショートファンタジーを収録、心がキュッとしてほぐれます。
最初は地味な印象でしたが、デッサン力の高いデフォルメと時代に左右されない画風は只者じゃないですな。
僅かな紙数で過不足なく見せるクオリティでサラリと読ませる、甘く切ないストーリーの巧みさも見事。
紹介記事【2020.04.06】
ブレイク・ビーターズ [ ゴードン・ケメラー ]
ブレイク・ビーターズ [ ゴードン・ケメラー ] (JUGEMレビュー »)
旧東独、といっても今じゃ通じなさそうですが…80年代の社会主義国でヒップホップに目覚めちゃった若者と、彼らの活動を体制翼賛に取り込もうとする当局との丁々発止を描く青春コメディ。
飼い慣らそうとする権力側と調子を合わせつつ苦悩する主人公たち、ベルリンの壁が崩壊して彼らを待ち受けるラストのほろ苦さとタフさに男泣きです。
自分でいる事を描いている点で、英国のサルサ映画「カムバック!」と併せてオススメ。
紹介記事【2019.11.02】
ポルノ☆スターへの道 [ ニック・スウォードソン ]
ポルノ☆スターへの道 [ ニック・スウォードソン ] (JUGEMレビュー »)
ラジー賞を独占した下ネタ満載ムービー、とりあえず下品ですけど線引きはキッチリしてますね…笑わせる内容は、少なくとも男性なら他人事じゃないというか。
女性同士の巨乳幻想みたいなね、目の付け処が上手いなぁと。
まぁ万人向けではないにせよ、僕は感心しつつ大笑いしました。
紹介記事【2019.10.17】
あきれたあきれた大作戦 [ ピーター・フォーク ]
あきれたあきれた大作戦 [ ピーター・フォーク ] (JUGEMレビュー »)
笑いって鮮度があると思ってました、本作を観るまでは。
先が読めずに引き込まれましたが、確かに繰り返し観たくなるかも…計算されたシナリオが効いた笑いと、映像的な古さもまた味わい深いです。
スタンダードでバカバカしくて無駄のない、意外な傑作。
紹介記事【2019.12.10】
月曜日の友達(1-2巻 全巻) 全巻セット
月曜日の友達(1-2巻 全巻) 全巻セット (JUGEMレビュー »)
中学生になったばかりの頃の、世界の拡がりに戸惑う姿は性別や世代を超えて響きますね。
作画力もストーリーテリングも卓越してます、些細な一瞬を捉える巧さが。
忘れていた何か、忘れたくなかった何か…最後のコマに、胸が苦しくなりました。
紹介記事【2019.11.11】
【中古】 山本耳かき店 ビッグCスペシャル/安倍夜郎(著者) 【中古】afb
【中古】 山本耳かき店 ビッグCスペシャル/安倍夜郎(著者) 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
耳かき店ブームの火付け役、なんて書いては申し訳ないのですけども…決してブームに便乗した後追いではない、と。
穏やかな時間の流れる小さな町で、耳かき屋さんを訪れる客の脳内イメージが秀逸です。
こんな表現があったのか、こんな漫画があったのかと目からウロコ耳から(略)。
紹介記事【2019.12.23】
【中古】 マンガでわかる 戦後ニッポン /手塚治虫(著者),水木しげる(著者),つげ義春(著者),はるき悦巳(著者),ちばてつや(著者) 【中古】afb
【中古】 マンガでわかる 戦後ニッポン /手塚治虫(著者),水木しげる(著者),つげ義春(著者),はるき悦巳(著者),ちばてつや(著者) 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
現代に至る国内の移ろいを漫画に語らせる好企画アンソロジーです。
漫画にしか出来ない表現は、例えば三輪自動車が走る風景でありリンチされる米軍の操縦士であり…基本的に主観視点であるが故の、俯瞰の効く文学表現よりも接地した仮想体験なのかも。
いわば漫画こそが伝え得た戦後の一片、切り口を変えて続けてもらいたいですね。
紹介記事【2019.12.12】
絵はがきにされた少年 [ 藤原章生 ]
絵はがきにされた少年 [ 藤原章生 ] (JUGEMレビュー »)
アフリカに対する先入観や固定観念が、ことごとく覆されます…偏見を持たないように心掛けていたつもりでも、日本にいて伝わってくる情報自体にバイアスが入っている訳ですが。
西欧支配の呪縛に歪められた各地の民族性や搾取の構造など、日本では見えにくい暗部が著者の目を通して見えてくるようで。
アフリカの話であり、同時に現代の実像でもあるのでは?と。
紹介記事【2019.09.1】

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最近読んだ本
紅山雪夫「ヨーロッパものしり紀行 《神話・キリスト教》編」

古本屋で見つけてパラ読みしてみて、買ってきて読んだらやっぱり面白かった!
旅行ガイドを長年務めてきた著者ならではの、ギリシャ・ローマ神話とキリスト教文化の豆知識本です。
欧州ツアーで名所史跡や美術館を案内する際、観光客によく訊かれる質問や教えると喜ばれる文化的な背景や宗教画の決め事などを手際よくまとめてあります。
著者は昭和一桁世代で、豊富な語彙で平易な文章を書くのが非常に上手いです。
名文家とは、こういう人の事を指すのでしょうなぁ。

“ギリシア人の先祖は、遠い昔にバルカン半島の奥地から何波にも分かれて南下し、現在のギリシア本土、エーゲ海の島々から小アジアの海岸までを征服し、定住した。当然、その土地土地には昔からの土着の神々があり、原住民の信仰を集めていた。また高度に文明の進んでいたオリエントと接した結果、いろいろとオリエント系の神々の信仰も入ってきた”
こうした外来の神々を排除せずに主神ゼウスの神話体系へ吸収する気質、類似性が指摘される日本神話でも大和と出雲の二大勢力の統合を図って“天照大神とスサノオノ尊が姉妹だ”とされた事を思うと尚更です。

そしてギリシャ人の後にローマ人が南下してゲルマン人も南下して、歴史が北から塗り替えられる不思議…ゲルマン民族の大移動は「黒海周辺の氷河が溶けて草原地帯が広範囲に水没したせいだ」と聞きましたが、遠く離れたアフリカのルワンダでも先住ピグミーを駆逐したツチ族といい後から来て彼らを圧倒したフツ族といい北から来てるのを思うとやっぱり不思議です。
因みに前半は「神話と伝説」で、後半は「キリスト教と祭日」という二部構成。

様々なバージョンがある日本語訳の聖書ですが、文語訳のカトリックと口語訳のプロテスタントを統一した新共同訳が出たのは'87年と最近だったんですね!
19世紀以前の絵画は神話や宗教説話を主題としながら、スポンサーの意向で彼らの肖像を紛れ込ませたり妻のヌードを女神に見立てたそうで…彼らの要求に従って顔が正面を向いているせいで作品としては不自然になっても、そこは商業画家として割り切らないとレンブラントのように生活もままならなかった訳です。

キリストは空白の青年期に幾多の宗教を学びチベットまで至ったとする説がありますが、旧約の一節にも一切是空の思想があるんですね…旧約の源泉はシュメール人の伝承にまで遡ると実証されているという事なので、非常に興味深いです。
ユダヤ教が一神教となったのは出エジプトの時期にアトン信仰を取り込んでからで、元は遊牧民だった彼らがパレスチナに定住した事が現在に至る火種になったような?笑

新訳では紀元50年頃に成立したマルコ伝が最も古く簡潔で、それから約20年後のマタイ伝とルカ伝で追加された受胎告知ネタは双方で違っているそう…同胞ユダヤ人にキリストの正統性を説きながら処女懐胎を謳うマタイ伝の矛盾、聖路加病院の由来となった非ユダヤ人医師でヘレニズム世界に教えを広めた教養人のルカなど使徒の人柄が感じられます。
キリストが実はローマ人の暴行で身籠った子供だとか、黙示録は迫害をかわすために一種の暗号で意味を隠したという説も面白いな。

ローマではギリシャの神々以外にもエジプトのイシス信仰やシリア起源のミトラ教も同化されましたが、キリスト教はローマの神々や皇帝への礼拝を拒んだから迫害されたんですね…しかしパックス・ロマーナという最大勢力期だったので言葉の面でも交通の面でも布教には好都合、プトレマイオス王国のアレキサンドリアにセレウコス王国のアンティオキアにローマとコンスタンチノープルそしてエルサレムがキリスト教の五大中心地となったそうで。
7世紀にコンスタンチノープル以東は信仰に寛容なイスラム圏に入り、西ローマとは異なる正教として東欧ロシアへと伝播します。

正教には立体的な偶像は厳禁で聖画も写実的ではダメと、原始キリスト教の色合いが強いけど皆イコンは大好き…礼拝時の振り香炉もカトリックの比ではなく、国毎に発展したため地域性もカトリックより豊か。
仏教で菩薩像に水瓶を持たせるように「丸十の光背はキリスト」といった約束事があって、ユダも含めた使徒全員と各自を表す専用アイテムのエピソードはアニメの裏設定っぽいなぁ!笑
西欧の偶像崇拝は民衆の聖人・聖遺物崇拝にエスカレートして腐敗の温床となり宗教改革に至るのですが、それはキリスト教文化の原動力でもあったのですね。

カテドラルとは司教が在任する教会で各司教区に1つだけ、チャペルとは教会内を区切って有力者が占有していた礼拝スペースの事で宮殿や学校内に設けられているのは関係者専用。
“ゲルマン民族大移動と西ローマ帝国滅亡の混乱に伴い、地方の軍事・行政組織がまったく壊滅してしまった(中略)地域住民のための差し迫った問題をどうするかということで、教会が大いに頼りにされた”
こうして司教は、地元の名家という背景もあって地域の全権を掌握してたのね。

まるで国レベルの大きな歴史を動かしてきた民衆のうねりを早回しで見ているような、情報量が詰まっていて想像力をフル稼働させる位に密度のある読書体験でしたよ…過去に得た知識の隙間が水路に変わっていく、あちこちで最後の1ピースがはまってゆく心地好いスリルを味わいました。


再読【2019.11.29】

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以下、個人的メモ。
ローマ神話のヴィーナスはギリシャ神話のアフロディテ、その起源は古代オリエント文明のアシュタルテ。
ギリシャ語でアフロは泡を意味する事からアフロディテの誕生説話がこじつけられた、と考えられている。
アフロディテの息子エロースはローマ神話でクピードーと呼ばれ、アポロンとは弓で被る…医術の神アスキレピオスもアポロンの守備範囲と被っていたので、いっそ親子扱いにして分担の統合が図られたのだとか。

天空神ウラノスと大地母神ガイアの末子クロノスが最初の地上神となり、クロノスとレアーの末子ゼウスはギガントマキア(巨人戦)を経て神々の時代に天地の支配神となった…これは古代の慣習であり、長子たちが一人前になる頃は父も働き盛りなので資産を分け与えて自らの引退期に独り立ちする末子には家督を譲る末子相続制の反映である。

ゼウスの起源は非常に古く、その起源はインド神話のディヤウスに共通する印欧語族の天空神といわれる。
ギリシャには水量の豊かな河川が少ないため農業用水は雨水頼りだが夏は極端に降雨が少ない、なので雷に象徴されるゼウスが重視された…逆に太陽を神格化したヘリオスや同一視されがちなアポロンは、強い日差しが農耕には有害でもあったから精彩を欠くとも。
北欧神話のトールとして知られるゲルマン人の天空神ドナールも雷と風雨の神で、ゲルマン人がローマ文明の七曜神を採用した際に「ユピテルの日=ドナールの日」とされて木曜日という英語の起源になった。

アポロンやアテナも、ギリシャ文明の前に栄えたとされるミケーネ文化(前1600〜1100頃)の土着神だそうで…小アジアが起源と考えられているので、彼らもオリエント文明のアシュタルテ(アフロディテ)系列か?
アポロンと双子のアルテミスはローマ神話のディアーナと同一視される月と狩猟の女神だが、これまた小アジアの地母神に由来する。
狩りと同時に狩られる動物の守護神でもあり、共に付き添う泉の精ニンフはローマ時代に発見された「乙女の泉」の由来でも有名。
この水源から紀元前19年にアグリッパが築かせた「乙女の水道」は、今もトレヴィの泉などローマ市内を潤し続けている。

オリンポス山から、おそらくは領土の東端だったろうフェニキア(レバノン)の海岸を眺めたゼウスは「お花摘み」している美少女エウロペーを見初めると白い牡牛に姿を変えクレタ島へ連れ込んだ…これも地名説話と考えられていて、クレタ王家の祖先ミノス王にゼウスの箔付けを施した例。

ローマ神話のメルクリウスと同一視されるヘルメスは本来“ギリシア各地にあったヘルマという石の像”に由来し、それは驚くほど日本の道祖神と共通性が高い…境界の標識であり結界であり豊穣祈願の男根であり、そこから旅商人と通信一般の守護神へと昇格。
ヘルメスはアトラスの娘マイアとゼウスの子だそうで、アトラスが天を支えている場所はペロポネソス半島の西北に連なる山…だった筈がローマ詩人の“地中海の西の果て”という一節で、北アフリカのアトラス山脈&彼方の海にアトランティックが命名されたとか。

ライオンを身にまとったヘラクレスは“仏教と共に日本まで伝わった唯一の西洋の神様”で中国名は執金剛神、獅子殺しは英雄の証
彼の為した「12の功業」には“ティリンスのお家騒動”が背景にあり、更に辿れば名前の由来でもあるヘラのジェラシーがある。
彼の逸話やトロヤ戦争などに登場するアマゾネスは、東方から略奪を繰り返した遊牧民の伝承とエキゾチックな空想との産物らしい…後にスペイン人がインカ帝国を征服した際、アンデス山脈を越えた平原で交戦したインディオの勇敢な女性たちに因んでアマゾン川が名付けられたのだそうだ。
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    | books | 2014.06.25 Wednesday | comments(0) | trackbacks(0) |









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