おいでよ どうぶつの森
おいでよ どうぶつの森 (JUGEMレビュー »)

22世紀を目指し、カレンダーの最終日までタイムスリップしたりと相変わらず楽しんでます。
2100年のどうぶつ村は如何に?笑
紹介記事【2019.06.19】
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こちらも「アーサー王宮廷のヤンキー」同様「トウェイン完訳コレクション」の一冊、子供の頃に読んだ童話絵本をイメージしたら大違いです。
古き良きアメリカの牧歌的なジュブナイルに見せ掛けた辛辣な社会批判は、巻末あとがきのナイスフォローを先に読む方が好いかも?
紹介記事【2019.05.22】
Ben Folds & Nick Hornby - Lonely Avenue
Ben Folds & Nick Hornby - Lonely Avenue (JUGEMレビュー »)
Ben Folds & Nick Hornby
「ハイ・フィデリティ」作者×ベン・フォールズ・ファイブ元リーダー(?)のコラボ作。
SOSとはまた異なるバカラック的ドリーミーさ+初期B.ジョエル的な吟遊ピアノ感、ヴィンテージ系シンセ&ストリングスのあしらいも絶妙。
紹介記事【2019.06.27】

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最近みたDVD
「80日間世界一周」

今度はブライアン・シブレイなる人物による音声解説で、全編とおして再視聴。
冒頭で語られる通り“音楽と迫力の映像 恋と笑いもあるロードムービーで――スリルと興奮の珍道中が展開し――実録的な要素もある”本作、ホラー以外のエンターテイメントを盛り込んだ娯楽作品でありながら「世界一周」気分にも心配りがなされておりまして…半世紀前の製作当時を旅しているかのような風景描写や、1872年に設定された時代の文化風俗も完璧ではないにしろ思いがけず丁寧に考証されているのですよ。

案外これらは映画製作の素人だったトッドの詰め込み主義が奏功したのかもね、普通に作れば予算内で内容も絞り込むでしょうから。
しかし3時間という大作ながら飽きさせないのは、ただ詰め込むだけの映画だったら難しかった気もして。
ちなみにカメオ出演という用語もトッドのオリジナルだったそうで、よくもまぁコネもないのに大勢のスター俳優をキャスティング出来たもんだ…しかも当時最新のシネラマを改良した「トッドAO」なる新方式を開発と、とにかく画期的な作品に仕上げた訳でした。


関連記事:
【最近みたDVD】「80日間世界一周」(DISC ONE)| 2015.10.15
【最近みたDVD】「80日間世界一周」(DISC TWO)| 2015.10.22

〈トッドAO〉関連記事:
【最近みたDVD】「1941」| 2018.02.01

以下は個人的メモ。
まず冒頭で、同じベルヌ原作という理由から引用された「月世界旅行」…これは20世紀初頭に、独自の技法を駆使して映画表現の幅を拡げたメリエス監督作。
この部分のナレーションを務めたのは、マッカーシー議員の赤狩りに論戦を挑んでアメリカ国民から信頼されていたジャーナリスト。
この本編とは関係のないパートにも、観客への潜在的なアピールが仕込まれているという指摘は興味深いですね…どんぶり勘定で直情的に見えても、トッドは意外と戦略家だったようで。

パスパトゥとは万能鍵やパスポートを指し“どこでも通用する万能な男”という意味が込められており、原作のフランス人という設定からメキシコ人のカンティンフラスに変更した事で「ラテン男と英国紳士フォグの珍道中」という効果的な対比が生まれたそう…“アメリカの大手スタジオでも――彼を呼べなかった”という、チャップリンが「偉大な喜劇俳優」と評した超売れっ子を“南米の観客を裏切らない作品にする”と承諾させて正解でしたね。
サーカス一座のクラウンから闘牛士を経て映画界入り、晩年は人道支援活動に注力し'93年に肺癌で永眠。

ところでロンドン→パリは鉄路だったらしく、駅舎を写して省略されたせいで僕はイギリス国内から気球に乗ったのだとばかり思ってましたが…それでは流石に現実味がないもんな、パリからピレネー越え位だったら違和感ない範囲かもね?
だけど気球は原作に登場しないアイデアだそうですが、本作以降に出版された原作本には“気球をデザインした表紙が多い”とか。笑
社会改良クラブやトマス・クック旅行社は実在したそうで、特に後者はマーク・トウェインが“クックは世界中でチケットを売るだろう”と予測したとおりになり世界初のツアー旅行を提供した会社でもあります。

解説の大半はカメオ俳優たちの履歴なんですけど、旅行社のシャルル・ボワイエが「ガス燈」でイングリッド・バーグマンのお相手だったとか分かると親近感も湧いてくるものですね…フォグ役のデビッド・ニーブンも「ピンク・パンサー」と言われて納得(怪盗ファントム役)、スパニッシュ・タップダンスを披露してたのはホセ・グレコ。
闘牛の起源は中世イスラム期、ムーア人との戦いがない時に狩りを競い合う内“怒ると死ぬまで戦う”雄牛の手強さに魅了され…時代が下ると狩りが見せ物になり、闘牛の様式が確立されていったのだといいます。
しかしスペイン自体が映画独自のエピソードだそう。

スペインからマルセイユで船を乗り継ぎ、スエズ運河を越えてインドへ…ここら辺も省略されているので集中していないと気付かないです、トルコ帽とかね!
トッドAOはカメラ3台で撮影する従来のシネラマ方式の難点を克服しただけでなく、鮮やかで精密なカラー映像の記録にも貢献しました…しかしながら専用のワイドスクリーンを必要としたため、'58年に20世紀フォックスが採用するまで普及が進まなかったとか。
また香港のダチョウ車は実際にあったらしく、最高時速は60キロだったとも。

かつて鎌倉大仏は金箔で覆われ社殿に収められていたが、15世紀の津波で社殿が流されてから野晒しになったとは知りませんでした…横浜を中心とした日本での撮影は'55年の8月9日から12月20日、ですが10分程度の短い場面は大仏以外セット撮りと大差ない気が。

1872年のサンフランシスコはゴールドラッシュの荒くれ者の巣窟で、頻発した誘拐はシャンハイと呼ばれでいたそう…酒場の外でフォグ達にボコられるのはキャラダイン3兄弟の父親ジョンでしたか、当時は開通間もなかったデンバー・リオグランデ狭軌鉄道も本作の反響で客車運行を再開したそうですが現在は如何に?

「明日に向かって撃て!」でも使用された路線ですが解説時は一部区間のみながらデュランゴ・シルバートン狭軌鉄道として蒸気機関車を走らせていたそうで、気球や象の背中と並び実に旅行気分満点な場面です。
車掌役のバスター・キートン、サイレント映画「キートンの大列車追跡」へのオマージュ・シーンとはいえ喜劇王までカメオ扱い…つまりタダ働きとは、トッドの口八丁も超一級ですな!
崩壊する橋は実物だったそうで、大西洋横断の外輪船も実寸大に作らせるなど細部にこだわるうち300万の予算が倍に…債務超過を乗り切った強運といい、本作は彼の天命だったのかも?

設定年の前年に解体された終着駅のカーニー砦、将校役はグレゴリー・ペックをクビにして起用したティム・マッコイ…西部劇の主演歴だけでなく馬術に長けて先住民の言語や習慣にも詳しく、後に先住民のキャスティングや通訳に従事。
ヨット列車も原作では雪原を行くソリでしたが、本作の変更箇所はすべてファンタジックな効果を上げていて絶妙な映像センスです。
本作以外にカンティンフラスが出演した唯一のアメリカ映画「ペペ」は、資金難に陥った段階で本作を見放したコロンビア製作の二番煎じで見事にコケた様子。

ロンドンに戻ったフォグを拘置したフィクス刑事が謝罪する場面は、フォグの英国紳士ぶりが特に表れていますね…原作では無言で殴り倒すようですが、そこは映像的に紳士らしく冷静かつ辛辣な罵倒に留めます。
長旅とアウーダとの出逢いによって変わり者で頑固なフォグの微妙な変化を演じ切ったニーブン、100箇所もの撮影場所でバラバラに演技したとは思えません…失意のフォグを慰めるアウーダ、それを盗み聞きしていたパスパトゥが急に呼ばれて“Yes, darling... ye-ye-yes, master?”と慌てて言い直す場面も地味に可笑しくて印象的でした。

エンド・ロールのアニメーションをデザインしたソール・バスは、後にヒッチコック作品や「ウェスト・サイド物語」など多数の有名作を手掛けて50年代後半を彩りました…和田誠っぽくもあり、どこかで見た感じというのはそれだけ模倣されたスタイルという証。
最後にクレジットされるベルヌがトッドの頭上に書物を落とすのは“原作に手が加わったことへの仕返しだ”そうで、トッドは次回作にセルバンテスの「ドン・キホーテ」を予定していたようなのですが叶わず…成程「バロン」を連想する訳です、しかし墜落機の同乗者が妻ではなく彼の伝記を執筆中の作家というのは皮肉な話。
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    | cinema | 2015.10.29 Thursday | comments(0) | trackbacks(0) |









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