Voyage of Prayer―祈りの旅
Voyage of Prayer―祈りの旅 (JUGEMレビュー »)
今西 勇人
祈りの姿勢は、手を合わせ目を閉じる形だけではありません…人が祈る姿は千差万別なのに、祈るという行為やその思いには共通性が感じられるのです。
宗教の奥にある、世界じゅう一人ひとりの心の静けさに。
紹介記事【2016.09.06】
チャンス [DVD]
チャンス [DVD] (JUGEMレビュー »)

「人生とは心の姿なり」
シャーリー・マクレーンは、本作の撮影中にピーター・セラーズが前世について話した事を著書「アウト・オン・ア・リム」で書いていました。
それを意識したせいでスピリチュアルな印象を受けましたけど、むしろ本作の笑いはそうした見方にあるような。
無知な老人チャンスが教養人を翻弄するシュールな寓話、ですが予想外に可笑しいのです。
紹介記事【2016.10.08】
逮捕しちゃうぞ [DVD]
逮捕しちゃうぞ [DVD] (JUGEMレビュー »)

藤島康介が原作の、婦警コンビが活躍するOVAです。
図々しいまでに快活な夏実と大人しそうで冴えたドラテクの美幸、という動と静のバランスは同じ原作者の「パラダイスレジデンス」を思わせますが。
この後に続く同名のTVシリーズにはない凝った実車ディテールや派手なカー・アクション、まだ昭和の気配が色濃い東京の風景は90年代のトレンディ・ドラマっぽいけど…ま、肩の凝らないノリが好い案配なのです。
紹介記事【2016.08.21】
となり町戦争 (集英社文庫)
となり町戦争 (集英社文庫) (JUGEMレビュー »)
三崎 亜記
2016年に読んだ小説から一冊を挙げるのは本当に悩みましたが、本書は外すことが出来ません。
デビュー作でこれって、凄すぎない?
ちょっとシュールでフワフワとした空気の中、自治体行政の地域活性化という名目で遂行されているらしき戦争…“僕”が聞く唯一の銃声は終戦を告げる号砲で、これは「地獄の黙示録」で引用されていた詩の一節“これが世界の終わりのすがただ/ドンともいわないで、すすりなきのひと声で”を連想させます。
文庫の表紙カバーに惹かれたのですけど、これが衝撃的な場面とリンクしてたとは…戦争とは銃器や死体ではなく、本質は経済の真の顔なのだと実感しました。
紹介記事【2016.11.13】
Yesterday,Yes a day (フラワーコミックス)
Yesterday,Yes a day (フラワーコミックス) (JUGEMレビュー »)
岩本 ナオ
話の舞台が共通する「雨無村役場産業課兼観光課」も好かったけれど、個人的には先に読んだ本作の方が好みかも。
地方暮らしの女子高生とか恋愛未満のリアリティが新鮮、この年頃だって恋愛が日常の中心にある訳じゃないんだよねっていう。
紹介記事【2016.03.30】
Eagle Has Landed: Live
Eagle Has Landed: Live (JUGEMレビュー »)
Saxon
どう見てもビジュアルが「スパイナル・タップ」そのものですが、当時の僕にとってはAC/DCの「BACK IN BLACK」とマイケル・シェンカー・グループの「MSG」と並ぶHR/HM愛聴盤でもありました。
でも他のメンバーはあんまりメタルっぽい出で立ちじゃなくて、ストラト遣いのポールは野球帽かぶってたし…ぶっちゃけボーカルのビフ以外はギブソンSG遣いのグラハムも当時は滅多に見かけなかったプレベ弾きのスティーブも見た目がオッサン臭くて、そういうビジュアル無視な姿勢が僕には却ってシブく思えたのです。
意外にロックンロールしてるベースラインや無駄に手数はないけどツーバス並みに速いドラムスやメタルにしては珍しいワウペダルを使ったギターソロなど今でも充分カッコイイ!
リフ中心とはいえメロディアスなフレーズも織り込み、改めて聴くと楽曲構成も隙がないなと感じました。
紹介記事【2016.02.27】
アイアン・スカイ [DVD]
アイアン・スカイ [DVD] (JUGEMレビュー »)

2018年、月からナチスが攻めてくる?!
パルプSFテイストにシニカルなユーモアを絡めた、おバカ路線のB級映画。
フィンランド人がサウナで酔っ払いながらアイディアを出し合い、製作費のうち約1億円をカンパで集めたというフィンランド・ドイツ・オーストラリア合作。
ほぼ全編ブルーバック撮影というレトロ活劇「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」と併せてオススメします、もちろん両作品とも特撮だけの映画じゃあありませんよ?
紹介記事【2016.04.16】
忘れられた日本人 (岩波文庫)
忘れられた日本人 (岩波文庫) (JUGEMレビュー »)
宮本 常一
本書は主に、対馬や周防大島や伊予といった西日本の村落で聞き取った話から構成されています…本業の傍ら、農家に泊めてもらうので米を持参で戦時中も日本各地を歩いて回ったそう。
正直、読み始めは部外者が首を突っ込んでいるような取っ付きにくさを感じたのですが…間をおいて開いたら、妙にスラスラ入ってきました。
何だか不思議です、本書自体が村の古老のようで…この深い根っこに繋がるような安心感、古臭く陳腐な表現ですが「元気が出る」のです。
紹介記事【2016.06.21】
幻想水滸伝III
幻想水滸伝III (JUGEMレビュー »)

明代中国の伝奇歴史小説「水滸伝」をベースにしたRPGシリーズの1つで、本作の特徴は同じ物語を複数の主人公を通じて体験するという趣向です。
今回は商業国家の騎士団長、名門貴族のクリスでプレイ…以前にプレイした平原部族の少年ヒューゴや大国の傭兵を率いるゲド隊長と違ってしがらみだらけの気丈な女性。
商業国家と平原部族の対立に乗じて領土拡大を画策する大国と、裏で暗躍する一味…シリーズの他作品は知りませんが、異世界クライム・サスペンスといった感じ?
絶対悪など存在しない、なんて分かってはいても相互理解は難しいというね。
小説や漫画などとは異なる、RPGという形式ならではの物語を味わえます。
紹介記事【2016.06.29】
イノセンス スタンダード版 [DVD]
イノセンス スタンダード版 [DVD] (JUGEMレビュー »)

前作「ゴースト・イン・ザ・シェル」から引き続き押井守監督が描くは、攻殻機動隊のバトーとトグサが挑む「暴走ガイノイド連続殺人事件」の顛末。
そして、ネット上の全一となった少佐こと草薙素子を、もはや見つめる事も触れる事も叶わないバトーの愛の物語でもあります。
重厚なCGアニメで表現される電脳社会の、二重の意味で人工的な儚さ…「私」や「貴方」の定義とは何か、肉体は自由の枷なのか。
前作のラストで少佐が言っていた“2501…それいつか、再会する時の合言葉にしましょ”という台詞を覚えていると、ちょっと感動的かもしれません。
紹介記事【2016.11.27】
二週間の休暇 (MouRa)
二週間の休暇 (MouRa) (JUGEMレビュー »)
フジモト マサル
まるで村上春樹ワールドの絵物語、といったら失礼でしょうか…あの読後感を簡易化して視覚的にまとめたような一冊、安直すぎるオチも却って心地よく感じられました。
うぐいす色と黒の二色刷り、計算されたコマ割りとアングル…奥付けページの縁に這わせたカマキリに至るまで、ちょっと手元に置いておきたくなります。
紹介記事【2016.02.04】
パートナーズ・イン・クライム
パートナーズ・イン・クライム (JUGEMレビュー »)
ルパート・ホームズ
1曲目「Escape (the pina colada song)」は、ケイト・ブッシュの「Babooshka」と対になるようなシチュエーションを歌っていながらライトで喜劇的な展開…また「Answering machine」ELOの名曲「Telephone line」と対になるような、どこか惚けた味わいのある留守番電話の歌なのです。
フェイズ・ギターに'79年リリースという時代を感じます、今でこそ好きな音ですけど十代の頃は中途半端なエフェクト感が気持ち悪かったので一概にオススメとは言い難いのですが。
紹介記事【2016.01.23】
クン・パオ! 燃えよ鉄拳〈特別編〉 [DVD]
クン・パオ! 燃えよ鉄拳〈特別編〉 [DVD] (JUGEMレビュー »)

本当にね、どんだけ買って観てんだ僕は!
70年代のB級カンフー映画を元にデジタル処理で大胆に改変、正直この笑いは人を選ぶと思います。
実際、ちょっとオススメしにくいコメディです…特にCGパートなんて、全然オススメ出来ませんけども。
音声バリエーションの豊富さで、何度でもどこかツボにくるのです僕は。
紹介記事【2016.06.19】
図説 国旗の世界史 (ふくろうの本)
図説 国旗の世界史 (ふくろうの本) (JUGEMレビュー »)
辻原 康夫
いつもながら面白い、河出書房新社の図説シリーズ「ふくろうの本」の一冊です。
紋章学の見地に基づいて、色遣いや図柄で世界各国の国旗を分類すると…割と知ってる国旗の雑学レベルから歴史的な成り立ちが見えてくる、この切り口が実に面白い!
本来は支配者の紋章であり権力への服従を意味していた「旗印」が、フランス革命から民衆の団結や社会の理想を表明するように…赤青白で構成された国旗を“民主主義国家の旗印にふさわしい配色という固定観念”と断言し、9・11後の「SHOW THE FLAG」を“恫喝的スローガン”とブッタ斬る著者は本書自体も“疑問の解明に寄与するとは到底思えない”と切り捨てますが。笑
「世界史を読みたくなる」歴史ネタの雑学本、として辻原康夫(編)「読みたくなる世界史」と併せてオススメします。
紹介記事【2016.11.24】

<< 本日の脳内BGM | main | 本日の脳内BGM >>
最近読んだ本
辻原康夫(編)「読みたくなる世界史」

初版'05年のナツメ社「図解雑学」シリーズ、世界史といっても大まかに時系列で並んでいる程度の雑学本です…テーマ分けされたQ&A形式の6章に3択形式で1章、正直(あ、雑学ね)と完全にナメてましたが。
もう1ページ毎に栞を挟んでく位、完敗でしたよ…主文は既知のウンチクでも、どこかしらに目からウロコの歴史ネタが書かれてて。
少しは世界史を分かった気になっていましたが、とんでもない思い上がりでした…例えばヘンリー8世が離婚するためカトリックを捨て英国国教会を作ったとは知ってたけれど、それが娘のメアリ1世をブラッディ・マリーにしたなんてね!

そんな感じの本書は、むしろ「世界史を読みたくなる」歴史ネタの雑学本です。
実際よくある世界史の本って地域毎に時系列で追っていくので、横の繋がりが見えにくい気がするんですよね…範図を西方に拡大する唐と中央アジアを手中に治めていたアッバース朝イスラム帝国との衝突や東欧まで食い込んだのもたらしたユーラシア東西の交流って、ヨーロッパやアラブ地域で区切ってしまうと相互の影響が実感できない訳。
もっと色んな切り口があっても好いと思うんですよ、きっと授業の現場では先生方も工夫されているのでしょうがね…まぁ歴史という発想自体、西欧的だし?笑

個人的には旧プロイセン辺りから東欧地域中央アジアや朝鮮半島などが特に穴だらけなので今後のチェック項目かな…時間が縦軸で地理という空間が横軸とするなら、歴史という時空間を立体的に理解できるようなメディアがあると把握しやすいんだけどなぁ〜?笑


関連ありそうな記事:
【最近読んだ本】インターナショナルワークス「知っているつもりで知らない世界地図」| 2008.01.01
【最近読んだ本】高橋伸夫「この一冊で世界の地理がわかる!」| 2008.04.18
【最近読んだ本】石川純一「宗教世界地図」| 2011.09.20
【最近読んだ本】弓削匡純「国のうた」| 2012.06.28
【最近読んだ本】荒俣宏(著)、大村次郷(写真)「獅子 ―王権と魔除けのシンボル」| 2012.09.20
【最近読んだ本】小野寺敦「日本人のための世界史入門」| 2013.07.23
【最近読んだ本】「NHKスペシャル ローマ帝国 超大国の興亡〜皇帝たちの光と影」| 2013.12.14
【最近読んだ本】清水謙太郎「こんな仕事絶対イヤだ!」| 2014.01.31
【最近読んだ本】有楽企画・編「よその国ではどーやってるの?」| 2014.02.06
【最近読んだ本】紅山雪夫「ヨーロッパものしり紀行 《神話・キリスト教》編」| 2014.06.25
【最近読んだ本】山井教雄「まんが 現代史」| 2014.09.26
【最近読んだ本】栗生沢猛夫「図説|ロシアの歴史」| 2015.05.10
【最近読んだ本】森野たくみ、松代守弘「古代遺跡」| 2016.06.15
【最近読んだ本】辻原康夫「図説|国旗の世界史」| 2016.11.24

〈略奪婚〉関連記事:
【最近みたDVD】「ボラット」| 2011.12.28
【最近みたDVD】「GENGHIS KHAN」| 2013.11.30
【最近みたDVD】「ボラット」(再視聴)| 2015.01.04
【最近読んだ本】林典子「キルギスの誘拐結婚」| 2015.04.20


以下は個人的メモ。
メソポタミア地方で農耕が始まるより早く発明された土器(ポット)により、ポタージュなど煮炊きでの調理が可能となった。

紀元前13世紀頃から栄えた世界最初の帝国では光や日の出を意味するアッスが国名アッシリアの元になりシリアに名残りを留め、古代ギリシャでは東方→アッス地方→アジアとなった…一方で闇や日没を意味するエレブは古代ギリシャ語として西方一帯を指すエウロペとなり、ヨーロッパの語源となった。

紀元前13世紀頃にエーゲ海文明を築いた海洋民の総称である「海の民」は、アルファベットの原型を作った遊牧民カナン人が定住した沿岸にも植民地を築いた…総じてフェニキア人として知られた両者は地中海各地にレバノン杉を調達すると共にフェニキア文字を伝え、やがてギリシャ文字からローマ字へと進化した。
またフェニキア語で足を意味するサルディニアは島の名前に残り、その近海で獲れるイワシもサーディンと呼ばれるようになった。

地中海東岸の港町ビブロスはパピルスの群生地として知られ、聖書(バイブル)の語源になった。

地中海のメノルカ島の港町マオンに寄港した船乗りや18世紀半ばに占領したフランス軍が同地の調味ソースを「マオネーズ」として広めた。

古代ラテン語で塩を指すサールはソルトの語源であり、更にサラダやサラミなど多くの言葉が派生したがサラリーもローマ兵士の塩を買う手当金に由来する。

ネクタイの起源は古代ローマ兵士のフォーカルで、暑い時は濡らして首回りを冷やし寒い時はマフラー代わりにする実用的な装備だった…それがクロアチア男性の正装に名残りを留め、ルイ14世が真似るやクラヴァットとして流行し19世紀後半から現在のようなスタイルが広がった。

古代ギリシャやローマでは泥酔防止のためワインを3倍の冷水で希釈して飲むのが常識で、割らずに飲むのは無教養で野蛮とされた。
ワインを「神の血」と考えた起源はシュメール人、ジャンヌ・ダルクで有名な英仏百年戦争の遠因もボルドーワインにある…カトリック圏とワイン文化圏は重なりあい、ブドウ栽培に適さなかった地域は英国などウイスキー文化圏とドイツを中心とするビール文化圏に大別できる。

古代ギリシャにおける最上級の「男の友情」は同性愛、それが本来のプラトニック・ラブ…プラトンの師であるソクラテスもまた若い恋人を巡る三角関係から告発され死刑となったが、そのアルキビアデスはペロポネソス戦争で敵国スパルタにアテネの情報を洩らすなど数々の戦争で自国を売った国賊として知られた。

サトウキビの原産地はニューギニアだが紀元前20世紀にはインドに伝わり、同325年のアレクサンドロス大王の東征でオリエント世界へ…16世界半ばにアラブ商人がヨーロッパにもたらした砂糖は、新大陸の発見後はプランテーションの原動力となり奴隷貿易へと繋がっていった。

古代ゲルマン人は略奪形式の婚姻が一般的で、花嫁の家族が捜索する1ヶ月近くを隠れて暮らす間に新郎新婦が蜂蜜の強精酒を飲むしきたりからハネムーンと言う…ゲルマン民族は4世紀にフン族の襲来を逃れてライン川以南へと拡散したが、フン族が騎馬民族の匈奴だとすれば中央アジア各地に残る略奪婚の風習とハネムーンの起源は同根である可能性があるのでは?

イエス・キリストの生誕日を12月25日とするのはカトリック・とプロテスタント(西方教会)で、ギリシャ正教など東方教会では1月6日である…西暦が欧米の全域に定着したのは18世紀後半(西方教会は10世紀末)で、日本が太陰暦から改歴する約1世紀前だった。

サンタクロースにトナカイとクリスマス前夜を結び付けた詩はアメリカの神学者が19世紀に発表した、それまではトルコの司祭だった聖ニコラスの命日12月6日に祝われていて外見も長身で痩せた人物だった。

宦官は中国だけでなく世界各地に存在した習慣だが、最も古い記録は紀元前14世紀の殷(商)代に遡る…下層階級の立身出世の道として親が我が子を去勢する一方、製紙法を発明した蔡倫や「史記」を著した司馬遷や明船のアフリカ航路を率いたイスラム教徒の鄭和など優秀な官吏も多かった。
殷は地名で商は民族名であり国家の正式名称、滅亡後に南へ逃れた人々が交易を生業にした事が商人の由来とも…日本語の(あきんど)は、秋に収穫した作物を売り歩いた事に由来するとも。
4世紀以降に黄河流域から南下して広東省や福建省の山岳地帯に塞楼を構えた客家(はっか)は「よそ者」を意味し言語も北京語に近く、アヘン戦争後に多くの客家が積極的に海外へ移住したが厳密には国籍を中国に残しているのが華僑で海外国籍を取得し定住した場合は華人と区別される…このように、国を失った民族が商売で成功する例はユダヤ人やアルメニア人など世界的に見られる傾向という。

秦代に人柱を含め100万人が命を落として完成した万里の長城も、当時は騎馬民族に難なく乗り越えられてしまう無用の長物だった。
蔡倫が後漢の皇帝に献上した門外不出の製紙法だが、751年に現在のキルギス北部で唐軍がアッバース朝に敗退して紙漉き職人が捕虜となった…6年後にサマルカンド城内で西方世界初の製紙工場が稼働、13世紀にはヨーロッパへ伝わる。

チンギス・ハンは中央アジアからイラン全土を支配したホラズム帝国へ送った250余人の交易使節団を殺された上、その責任を問うため派遣した人々もヒゲを剃り落とされた屈辱に大激怒…そこに狩猟の獲物を逸した罪はムチ打ちか死刑という民族性も重なり、モンゴルの西征軍はサマルカンドなどの都市を徹底的に破壊し抵抗する者を虐殺した。

国土の7割が山岳地帯のスイスでは昔から出稼ぎの傭兵が特産品で、16世紀にドイツを中心とした国家連合に過ぎなかった神聖ローマ帝国のカール5世が権威付けにローマ略奪を画策した折は職務に殉じて法王を救った事からバチカン衛兵はスイス人と定められた。
19世紀には更なる外貨収入を目的に次々と銀行が創立されるも、隣接する大国ドイツを支持してユダヤ人難民を受け入れず未だにナチスが接収したユダヤ人の資産や個人の休眠口座の返還に応じない一面もある。
スイスで女性の参政権が成立したのは'71年で男女平等を憲法したのは'81年、世界で初めて女性の参政権を導入したニュージーランドよりも百年近く遅い。

アメリカの伝統ともいえるレディーファーストが騎士道精神に基づく、というのは建前…開拓時代の男女比は東部こそほぼ同率だったが、ミシシッピ川以西では2対1という有様だった。
ファストフードの伝統は開拓時代のライフスタイルに育まれ、合理主義の発想が調理と食事の時間も手間も省いた結果の産物である。

歴代クレオパトラの内、一般的に「絶世の美女」として知られているのは7世。

統計では過去5500年間に約14,500回の戦争があり、最も死者が多かったのは第二次世界大戦の5500万人と推定…うち約3千万人が、旧ソ連領で記録されている。

ロシアの女帝エカテリーナ2世の総勢300人といわれた愛人たちは、候補者の選抜から侍女による試乗までシステム化されていた。

16歳で1コ下のマリー・アントワネットと結婚したルイ16世、勃起時に痛みを伴う真性だった…8年後に包茎手術を行うまで情事を避け、第一子を懐妊したマリーは公開出産をした。

マリーが言ったとされるパンと菓子の逸話はルソー著「告白録」の一節で「コロンブスの卵」や「ワシントンの桜の木」、「ガリレオの斜塔の実験」も「ニュートンのリンゴ」も誤伝。

ギロチンやサンドイッチの他、ボイコットやリンチやシルエットも人名に由来する。

フランス料理が洗練されたのは16世紀のアンリ2世にイタリアのメディチ家から嫁いだカトリーヌのおかげ、18世紀末のフランス革命で宮廷料理人が野に下り街に一流店が建ち並ぶも庶民の口に入るまでは更に1世紀ほど経ってから。

ルイ14世が好んだ醤油はオランダの貿易商を通じて17世紀後半にヨーロッパへと伝わり、樽詰のほか伊万里焼や波佐見焼の陶磁器(ポルトガル語で「買い手」という意味のコンプラ瓶)で輸出されていた…原料である大豆が伝わったのは約1世紀後、その英名ソイも醤油に由来している。

ヨーロッパでは聖書に出てこない故に不浄とされ、また植物の根を野菜と見なさなかったため家畜の餌でしかなかったジャガイモが18世紀半ばに各地で相次いだ食料危機から食卓に上るようになった。

フランス政府が莫大な懸賞金をかけて公募した食料保存方法で菓子職人が加熱殺菌によるビン詰めを考案、同時期に英国海軍が採用した缶詰めもまた戦争の産物である…ただし缶切りが開発されたのは半世紀以上も後のアメリカで、やはり南北戦争が切っ掛けだった。

18世紀の産業革命は、蒸気機関の発明以前に「大航海時代からの植民地収入(=カネ)」や「16世紀からの囲い込みという権力者による自由地の占有化(=奴隷)」「17世紀の清教徒による王政打倒(=自由)」といった下地が整っていた英国から興った…当時の英国では幼児就労が常態化して「勤務時間は3:00から22:00以降まで、5分の遅刻で賃金25%カット」という虐待レベル、1833年に制定された工場法でようやく「18歳未満の労働時間は1日12時間まで、11歳未満9時間まで、9歳未満の雇用禁止」と規制された。

世界大戦の契機となったクリミア戦争では看護学と共に、カーディガン伯爵の愛用した服も着脱だけでなく負傷時に処置しやすいため一気に普及した…他にも従軍特派員や天気予報を生み出し、紙巻きタバコがパイプを席巻して広まった。

インドで牛を食べない習慣は紀元前2〜3世紀には浸透しており、ヒンズー教の戒律として定着したのは5世紀頃…ただし元を正せば紀元前15世紀頃に中央アジアの遊牧生活で牛を生け贄に捧げ食してもいたアーリア人が先住民ドラヴィダ族を征服し、定住して農耕生活へ移行するや生かして利用する方針に転換した事に由来するという。
英国支配からの独立運動に火をつけたセポイの反乱は、セポイ(インド人の傭兵)が銃に装填する火薬包を噛み切る際に牛脂が使用されていた事が遠因となった。
インドのカースト制度でよく知られている4階層はヴァルナ(色)と呼ばれ、元はアーリア人が被支配階級のドラヴィダ系を区別するための概念から発展した…更に素性や職業などで約2800種に細分化されたジャーティ(生まれ)という序列集団があり、15世紀末にポルトガル人がその2つの身分制度をカスタ(血族、人種)と総称した事に由来する。

ヨーロッパの食事は古代ローマ時代から手づかみ、ただし薬指と小指は使わないのがマナーだった…ビザンツ帝国で考案されたフォークは11世紀にイタリアへと持ち込まれたが18世紀頃まで普及せず、テーブルマナーが確立されたのも19世紀という。
といっても日本の代表的な料理だって200年前後の歴史しかないし、朝鮮半島の激辛料理も同程度である…唐辛子は先ず16世紀にポルトガル人宣教師が苗ごと九州に持ち込み、一説では豊臣秀吉の朝鮮出兵で半島に初めて持ち込んだ当時「倭人が朝鮮民族を毒殺するために蒔いた植物」と噂されていたとも。
カレーの語源は一説によるとインド南部のタミル語で煮汁を意味する「カリ」とされるが、既に現地でも死語と化しているらしい…世界初のカレー粉は英国のクロス・アンド・ブラックウェル(C&B)社が調合、ちなみに日本最初のカレーのレシピ(明治5年)には赤蛙が材料に含まれている。

茶葉の原産地はミャンマー北部〜中国の雲南省で、先ず14世紀からのシルクロード経由で広まった地域はその起点となった広東地方の発音「チャ」が定着…17世紀に英国が海上貿易で輸出を独占してから広まった地域は、海路の出発地となった福建地方の発音「テ」で知られるようになった。
中国の山西省辺りがルーツとされる麺の製法が西に広まった契機も、製紙法と同様に751年の「タラス川の戦い」だったとする説によればイタリアのパスタは中近東を経由して伝わった可能性も…いずれにせよマルコ・ポーロが麺大使というのは間違いで、1279年にジェノヴァの公証人が残した財産目録からマカロニの記録が見つかっている。

ヨーロッパ史の転換点ともいえる、1683年の第二次ウィーン包囲…撤退したトルコ軍が置き去りにした大量のコーヒー豆をタダ同然に入手したコルシツキーなる人物、豆の滓を濾して砂糖やミルクやホイップクリームを加えるなど工夫を重ねて全欧コーヒーブームの創始者となった。
パリのカフェはフランス革命の裏舞台となり、ロンドンのコーヒーハウスでは金融業者と船主が保険業を考え出した。
第二次ウィーン包囲でトルコ軍撤退の大手柄を立てたのは1軒のパン屋だった、その店にはトルコ軍旗に描かれた三日月を模したパンを焼く権利が与えられウィーンで大流行…この三日月パンはフランス語でクロワッサンと言い、マリー・アントワネットの輿入れと共に伝わったとされる。
彼女は14歳にして嫁いだのだが、国境を越える際「すべてを捨てて行く」と示すため全裸になったそう…またハンカチを正方形と定めたのもマリーだとか。

16世紀末に酒が専売制となった英国で認可を受けた酒屋や宿屋がパブの始まりで、駅馬車の発着地や地域の集会所といった役割も担っていた…しかし19世紀の産業革命で市民が階層化すると店内は労働階級が立ち飲みするパブリックバーと中流階級のラウンジバーとに分けられ、出入口も違えば同じ酒の値段まで違っていた。

17世紀初頭に誕生したハイヒールは糞便と死骸にまみれたパリを歩く時にドレスの裾を汚さないためのアイデアとして有名だが、ロンドン紳士の外套と帽子も実は建物の上階から往来へとぶちまけられる汚物から身を守るのが本来の目的だった…そもそも紳士の心得として女性に歩道側を歩かせるのも、なるべく女性が汚物を被らないようにという配慮だった。

カツラの歴史は紀元前30世紀のエジプトにまで遡るが、ヨーロッパでの普及は16世紀以降…薄毛を苦にしたルイ13世の着用から流行して息子の14世を辟易とさせるも自分も薄くなるや愛好家に転じ、15世の時代にはサロンの正装にまでなってハイドンに至るや幼少時から着用していたがフランス革命以降は宮廷趣味の象徴とむしろ毛嫌いされて一気に終息した。

ローマ人のジュリアス・シーザーの家名カエサルとは古エトルリア語源で「頭髪の豊かな」という意味、元は彼のあだ名だったのが家名に転じたと考えられているそう…ただしローマ時代の家名や氏族名などはキリスト教が浸透した3世紀末からローマ帝国が滅亡する5世紀末までに廃れてしまって長く「洗礼名=個人名」だけの時代が続いたが、特権階級に限られていた姓を全国民に義務付けたナポレオン法典の真の狙いは現代の総背番号制度と同じく徴税や徴兵などを管理するためだった。

1900年のパリで開かれた第2回近代オリンピックは「魚釣り」や「凧上げ」といった幻の競技が目白押しで、他にも馬に乗って踊る「乗馬フィギュア」や「綱引き」もオリンピック競技として採用された事がある。

徳川家康が通商を始めたカンボジア王国にはプノンペンなどに日本人町が形成され、在留邦人がアンコールワット詣でをしていたとか…1632年には肥前藩士が参詣に赴き仏像4体を奉納した旨の落書きを残しているが、その3年後には幕府が鎖国に転じて海外渡航の禁止と帰国邦人への極刑を定めた。

イスラム教を信奉するアラブ諸国の成人男性がヒゲを生やしているのはムハンマド(マホメット)が「あごひげを伸ばせ」と語り自らも豊かなヒゲをたくわえていたから…長じて一人前の男の象徴であり宦官や同性愛者でない証明でもあったが逆に言えば青二才が伸ばすと物笑いの種になるらしい、またイスラムの教えは「腋毛や陰毛は剃る」など体毛の処理に細かいとか。

アメリカ大統領のリンカーンは、演説を聞いた11歳の少女から「ヒゲを伸ばした方が貫禄が出ていい」と手紙をもらって伸ばし始めた…彼の有名なゲティスバーグ演説の「人民の人民による〜」は、セオドア・パーカーなる説教者の引用。

初めてヤンキーと呼ばれたのは入植初期のオランダ移民で、彼らのチーズ好きを揶揄したイギリス系移民が「ジョンのチーズ野郎(Jan Kees)」と呼んだのが由来という説が有力…その他、ヴァージニア入植者と戦ったチェロキー族が彼らの言葉で腰抜け(eankke)と呼んだとする説などもある。
更に1775年から始まった独立戦争ではイギリス軍がアメリカ側の軍隊を「ヤンキー」と呼んだともいわれ、1861年から4年にわたった南北戦争では南部の人々が北部の人間を指して使うようになったという。

ラテンアメリカの地名に「サン」の冠名が多いのは、神が千年王国を建設するための土地として発見者のスペイン人たちが国王に捧げた事に由来する…故にサンタフェ(聖なる信仰)、サルバドル(救世主)といった信仰用語も多用されている。
古代ギリシャのプラトンが記述した「海神ポセイドンが建国したアトランティス」以降、ヨーロッパでは西方洋上に理想郷があると長く信じられてきた…幸福諸島や聖ブランダン諸島にアンティリア島、国名になったブラジル島もその一つ。

ロシア革命に至る地下活動の間に150もの偽名を使用したというレーニン、その名もまた「レナ川の人」を意味する偽名だった…その彼の後継者もまた「鋼鉄の人」を意味する通称スターリンを用いており、同じ政治家としてはベトナムの革命家グエン・タト・タインもホー・チ・ミンという偽名で通した。

世界で最も多い姓は「李」で華僑も含めて約1億3千万人、中国だけで9600万人。
姓を持つ習慣は世界的には比較的新しく、今も無姓の民族が少なくない…アメリカ先住民やアラブ人、チベット人にモンゴル人、ミャンマー人やインド南部のドラヴィダ系にマレー・インドネシア系、アフリカのスーダン・ニグロの大半やアイスランド人など。
特にアイスランド人の場合、ヨーロッパに姓が普及する10世紀以前に移住してから長く諸国との交流が絶えていたためだという…彼らは自分たちを一つの大家族と見なす傾向が強く、姓を持ちたいという要望はほとんどないそう。
東アジアでは儒教思想の影響で「家」への帰属意識から姓が重んじられ(姓・名)、逆にヨーロッパではキリスト教の影響で洗礼名が優先される(名・姓)という価値観の違いが姓名の構成順に現れているという。
また西アジア〜ヨーロッパのインド・ヨーロッパ語圏では、古代オリエント発祥の父称という慣習が広く根付いた…これは男性名を継承する遊牧民の家父長制から生じた「〜の息子」を意味する姓であり、アラブ系の場合は父系の名前を連結するビンやイブンといった接辞が区切り呼称として用いられている。
例えばビン・ラディンの本名「オサマ・ビン・ムハンマド・ビン・アワド・ビン・ラディン」は「ラディン一族のアワドの息子のムハンマドの息子のオサマ」という意味である。
以下は、よく知られている父称の一部と凡例。
「〜ソン」英国系/ジョンソン
「アップ〜」ウェールズ系/アップダイク
「マク〜」スコットランド・アイルランド系/マクドナルド
「オ〜」アイルランド系/オブライエン
「〜セン」北欧系/ハンセン
「〜ネン」フィンランド系/ハッキネン
「〜ヴィッチ」西スラブ系/マルコヴィッチ
「〜オフ」ロシア系/イワノフ、ナボコフ
「〜ヤン」アルメニア系/カラヤン
「〜イッツ」ドイツ系/シュピッツ
「〜エス」スペイン系/フェルナンデス、ゴンザレス
0
    | books | 2016.08.24 Wednesday | comments(0) | trackbacks(0) |









    http://mot.lanikeha.gonna.jp/trackback/1007512




    ↑ top