ReLIFE 完結編(完全生産限定版) [DVD]
ReLIFE 完結編(完全生産限定版) [DVD] (JUGEMレビュー »)

ブラック企業で心を折られた27歳ニートが、渡りに舟と食い付いたのは人生リセット人体実験?
アニメが描く夢の世界も、時代を表しているのですなぁ。
うっかり大人目線で色々やらかすネタに笑いつつ、いつしか心を掴まれてしまいました。
紹介記事【2018.05.16】
おいでよ どうぶつの森
おいでよ どうぶつの森 (JUGEMレビュー »)

22世紀を目指し、カレンダーの最終日までタイムスリップしたりと相変わらず楽しんでます。
2100年のどうぶつ村は如何に?笑
紹介記事【2019.06.19】
エクソダスギルティー (通常版)
エクソダスギルティー (通常版) (JUGEMレビュー »)

異なる3つの時代の物語を切り替えながら進む、マルチタイム・ザッピングシステムのアドベンチャー・ゲームです。
資料本「ワールドガイダンス」必携、正直クセが強く微妙ですが。笑
当時流行ったであろう「小説『聖書』」やガイア仮説のSFファンタジー&サスペンス、システム的には不便ですが僕は楽しめました。
紹介記事【2018.11.05】

<< 本日の脳内BGM | main | 本日の脳内BGM >>
最近読んだ本
三崎亜記「となり町戦争」

たまたま古本屋で見かけて、表紙カバーが好くて買っちゃってから気付いたのですけどね…著者の名前、どっかで見覚えあるなぁと。
そういえば、筒井康隆が前に「注目する作家」的なニュアンスで挙げていた内の一人だったのでした…(思い違いでした)本書の題名も(なんか昔の筒井康隆っぽいなー)とは思ったんですよ、でも中身はイメージと違ってシニカルなドタバタ劇ではありません。
'05年に小説すばる新人賞を受賞した本編と、翌年の文庫化にあたって書き下ろされた「別章」を収録…先日の「白いへび眠る島」もそうでしたが、文庫に書き下ろしを付録させる手法って流行ってるんですかね?

主人公の“僕”こと北原修路は、町内の広報紙で“となり町との戦争がはじまる”事を知らされました…それは9月1日から3月31日までを予定していて、開戦から1か月が過ぎた頃に「戦時特別偵察業務従事者」の任命通知が届くのでした。
それは対外的には“半年間の町政モニター”とされているものの、不服申し立ての申請なき場合は最終的に強制出頭となる一方的な徴兵です…よく分からないながらも“僕”は業務を受諾し、香西さんという「総務課となり町戦争係」の担当者と半年間を過ごします。
地域活性化という曖昧な名目の、いわば戦火なき戦争に関わっていく物語です。

読んでいて、かなり最初の方から思ってたのだけど…香西さんて「銀河鉄道999」のメーテルですな、もちろん権威に反旗をひるがえす訳ではありませんが。
それと「この戦争が終わったら結婚するんだ」って、アニメあるある的には死亡フラグですけど何故に?笑
あと倒木問題ね、誰も知らない山奥で老木が倒れた音は…という哲学問答を持ち出された時に、何かすり替えられたような違和感が。
そしてもう一つ…読み終えてから“これが世界の終わりのすがただ/ドンともいわないで、すすりなきのひと声で”という、映画「地獄の黙示録」で引用される詩の一節を連想しました。

この詩については立花隆の「解読『地獄の黙示録』」に書かれてあったので、確認のためパラパラめくっていたら別の箇所が目に留まりました…それは“戦争の本質は人を殺すことである。戦争で勝つために最も重要なことは、人を殺すことをためらわないことである。カーツ大佐の一見特異な性格は、この本質をつきつめて行動するところからきている”という文章で、これって主任の事じゃん!?
“僕”が聞く唯一の銃声は、終戦を告げる号砲でした…まるで壮大な仕掛けの茶番に踊らされた男の間抜けな話にも思える反面、現実の僕らもまた茶番に踊らされている気もしてきます。


追記:
作中で、2人の青年が曖昧な戦死を遂げている。
主人公からは、彼らの死は間接的であり具体性に欠けてはいるが。
もしかしたら彼らの死を通じて、この戦争の副次的な側面が描かれていたのではないか?
彼らの一人は確固たる政治的意識を持っており、反体制的な活動に走る可能性が高い人物である…もう一人は逆に体制側に対し冷笑的で、体制が画策する啓蒙活動および市民の合意を弱体化させる糸口となり得る。
彼らは体制が推進する「町づくり」の方向性に対して、将来的に障害となり得る不確定因子と考えられる。

そして体制は不安定材料である彼らを、この戦争によって穏便に粛清したのだ。
単なる偶然ではなく、著者は意図して彼らの死を描いたのだ…また一方で、作戦任務の遂行を優先して殉死した佐々木さんという存在も描かれている。
しかし話を追うだけでは、佐々木さんの死に比べて青年2人の死は意味が薄い。
もちろん「香西さんの弟」という説得力は必要であったにしても、体制の掲げる「戦争を通じた町づくり」が一時的な起爆剤ではなく長期的な支配力を維持し得る暴力装置でもあったのだと思うと凄味が増してくるのだ。

特に「香西さんの弟」ではない青年は従軍しなかった筈だが、主人公の逃走ルートを逆行してきて先に難所を通過している…これは深読みに過ぎないのかもしれないが、体制側は敵対勢力と取り引きをしたのだと読めなくもない。
戦死者が数字でしかないのであれば、そして戦争の目的が戦争そのものであるなら取り引きは成立し得る。
体制はこの戦争で切るべきカードを巧妙に動かし、適切な機会でカードを入れ替えた…敵対勢力にしてみれば、それが何者だろうと数字さえ減らなければ問題はないのだし体制側に貸しを作っておく好機でもあったのだから。

まったくの脇役だった死者は、一見風変わりに見えたこの戦争が実は「本質的に真っ当な戦争」である事を気付かせる重要な役柄だったのではないだろうか?


関連記事:【最近読んだ本】三崎亜記「バスジャック」| 2016.12.27


以下、個人的メモ。
“戦争というものを、あなたの持つイメージだけで限定してしまうのは非常に危険なことです。戦争というものは、様々な形で私たちの生活の中な入り込んできます。あなたは確実に今、戦争に手を貸し、戦争に参加しているのです。どうぞその自覚をなくされないようにお願いいたします”

“私たち行政の仕事は、事前に組まれた予算の範囲内で、事業を成り立たせていかなければなりません。それは、戦争という予測が非常に困難な事業を行う場合も同様です。そんな中で、私が考えなければならないのは、効率的な予算の運用であり、弾力的な予算の流用であり、一般会計からの繰入れを得るための効果的な資料の作成なのです”

“僕たちの世代というのは、戦争というものの実体験もないまま、自己の中に戦争に対する明確な主義主張を確立する必然性もないまま、教わるままに戦争=絶対悪として、思考停止に陥りがちだ”

“あのころは、ぼくは人の生とか死とかってよくわからなかった。人は自然にそこに現れて、自然に消えていくものなんだっておもっていたよ”

“僕の影は、香西さんの影と重なっていた。だが、二人の影が重なっても、影の濃さはかわらなかった。重なった部分は、僕の影であり、また香西さんの影でありながら、「二人の影」ではなかった”

“僕たちは、自覚のないままに、まわりまわって誰かの血の上に安住し、誰かの死の上に地歩を築いているのだ(中略)たとえどんなに眼を見開いても、見えないもの。それは「なかったこと」なのだ。それは現実逃避とも、責任転嫁とも違う。僕を中心とした僕の世界の中においては、戦争は始まってもいなければ、終わってもいないのだ”

“システムは学べるが、そのシステムを維持してゆくためのエネルギーである、「モチベーション」は学べない”

“企業は自社の存続と発展を前提としてしか、環境への取り組みなどできませんからね(中略)根本の、コンビニという業態自体が必要か、という議論には決して至らない。この小さな都市ですら十軒以上のコンビニエンスストアが二十四時間客を待ち続けている(中略)いつでもどこでも開いているという利便性は失いたくはないが、環境保護に貢献しているという充足感は持ちたい。生活習慣を根本から変える気もない我々消費者を少しだけいい気分にさせて、その実、成熟した市場に新たな『必要』を生じさせる『企業戦略』としての環境への取り組み。消費者と企業の思惑とが見事に合致し、そこに新しい市場が生まれる(中略)開発や企業間の競争は、徒に環境に負荷を与える悪として見なされがちですが、反面、企業間の競争によって画期的な環境技術が生まれ、我々の意識も一進一退ながらも少しずつではありますが変わっていることを忘れてはなりません。それらは後ろ向きの『作らない・使わない』という考え方からは決して生じ得ないものですから(中略)ない所に『必要』を無理矢理でも作り出していかなければ、この国の社会経済は維持できない”

“たとえその企業が戦争に直接関わっていないとしても、戦争によって直接、間接に生じた利潤は、この国の経済の隅々まで還流している”

“戦争と日常とを切り離して考えてしまうのは、とても危険なことだと僕は思う。今の自分のこの一歩が、果たしてどちらに向かっているのかを自覚しないまま生きることになるから”

“戦争は、日常と切り離された対極にあるのではなく、日常の延長線上にある”
0
    | books | 2016.11.13 Sunday | comments(0) | trackbacks(0) |









    トラックバック機能は終了しました。




    ↑ top