最近みたDVD
「もののけ姫」
宮崎駿のジブリ作品では、本作こそが最高傑作です。
しかし世間では本作の評価が低いんですよね、トッブが「千と千尋の神隠し」って了見が狭くない?…あれは本作で力を出し切った後で、次の世代のために送ったエールなのにね。
悪くはないけれど、飽くまで本作あっての「千と〜」じゃん…本作の凄さが分からない奴は千尋の親と一緒ですよ、と今まで溜め込んでた毒を吐かせて戴きましたが。
「カリ城」公開直後に、彼はアニメ雑誌で「戦国活劇みたいな物をやりたい」的な抱負を語っておりました…それが「ナウシカ」を経て十余年、こうした形に結実したという訳です。多分。
監督を退く覚悟で挑んだ本作に込められた、宮崎の半端ない熱が感じられませんかね…長年暖めてきた構想に劇場アニメ公開後も連載されていた漫画版「ナウシカ」のエッセンスが加味され、こうした大人向けのアニメとして完成した事が認められないのは悲しいよ!
序盤でアシタカが村を発ち野を駆ける場面には観る度に必ず泣かされます、かつてあった畏怖すべき世界との精神的な絆へのノスタルジーだけでなく…遥か昔に在った美しいものすべてへの感謝と、喪ったものへの哀しみが込み上げてきて。
自然を畏れ敬う営みを棄て、八百万と心通わす術を忘れた人間の末裔として。
鎮西の乙事主の“このままでは わしらはただの肉として 人間に狩られるようになるだろう”という言葉は、いつか読んだインディアンの説話を僕に思い出させます…人間の裏切りに対して、自らの肉に呪いをかけた動物たちの物語を。
“みんな 小さくバカになりつつある”猪たちを、今や狩りもせず流れ作業で食らっている現実…古の理から発したその命懸けの呪いも、現代という異境に至った我々には通じなくなっているやもしれぬ憐れさを。
もはや獣や草木と共有する世界は断ち切られている、それは双方にとって不幸ではあるが覆水は盆に返らないし拒絶も否定もまた出来ない。
タタリ神に染まった鬼神の腕は癒されなかったけれど、ディダラボッチは何者にも祟らなかった…そしてサンとアシタカは別れゆく、この結末に賛否両論ある事は容易に想像がつきます。
本作から20年も経ってしまったんだな…三原橋の下の映画館も今はなく、一緒に観た人との縁も切れて。
しかし僕は今でも考えるのです、他にどんなエンディングがあり得たのかを…初めて観ていた時も(これをどうやってまとめるのか?)と思ったし(こうするしか終われないんだよなぁ)とも思った、それでも僕は別のオチを思い巡らせます。
救いのない結末は現在に繋がっている、だからこそ。
本作を評価しない人は(エンターテイメントなのに最後がモヤモヤさせられた)から不満なのでしょうか、答えが与えられて当然と思っているのか…望んだ対価が得られないから評価しないか、そもそもここに描かれた世界や結末を理解する気すらないんじゃないの?
タタラ場が明国渡りの火縄銃で武装している理由とか史実との整合性とか、製鉄利権の争奪戦とか社会的弱者を集めるエボシの胸中とか?そんなの説明して欲しいのかね…自分の頭で考えろ、他人の褌にすがるなって事ぐらいは観たら分かりそうなもんだが。
現代日本社会への根源的な、かつ渾身の問いに僕は未だ答えられずにいます。
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悪くはないけれど、飽くまで本作あっての「千と〜」じゃん…本作の凄さが分からない奴は千尋の親と一緒ですよ、と今まで溜め込んでた毒を吐かせて戴きましたが。
「カリ城」公開直後に、彼はアニメ雑誌で「戦国活劇みたいな物をやりたい」的な抱負を語っておりました…それが「ナウシカ」を経て十余年、こうした形に結実したという訳です。多分。
監督を退く覚悟で挑んだ本作に込められた、宮崎の半端ない熱が感じられませんかね…長年暖めてきた構想に劇場アニメ公開後も連載されていた漫画版「ナウシカ」のエッセンスが加味され、こうした大人向けのアニメとして完成した事が認められないのは悲しいよ!
序盤でアシタカが村を発ち野を駆ける場面には観る度に必ず泣かされます、かつてあった畏怖すべき世界との精神的な絆へのノスタルジーだけでなく…遥か昔に在った美しいものすべてへの感謝と、喪ったものへの哀しみが込み上げてきて。
自然を畏れ敬う営みを棄て、八百万と心通わす術を忘れた人間の末裔として。
鎮西の乙事主の“このままでは わしらはただの肉として 人間に狩られるようになるだろう”という言葉は、いつか読んだインディアンの説話を僕に思い出させます…人間の裏切りに対して、自らの肉に呪いをかけた動物たちの物語を。
“みんな 小さくバカになりつつある”猪たちを、今や狩りもせず流れ作業で食らっている現実…古の理から発したその命懸けの呪いも、現代という異境に至った我々には通じなくなっているやもしれぬ憐れさを。
もはや獣や草木と共有する世界は断ち切られている、それは双方にとって不幸ではあるが覆水は盆に返らないし拒絶も否定もまた出来ない。
タタリ神に染まった鬼神の腕は癒されなかったけれど、ディダラボッチは何者にも祟らなかった…そしてサンとアシタカは別れゆく、この結末に賛否両論ある事は容易に想像がつきます。
本作から20年も経ってしまったんだな…三原橋の下の映画館も今はなく、一緒に観た人との縁も切れて。
しかし僕は今でも考えるのです、他にどんなエンディングがあり得たのかを…初めて観ていた時も(これをどうやってまとめるのか?)と思ったし(こうするしか終われないんだよなぁ)とも思った、それでも僕は別のオチを思い巡らせます。
救いのない結末は現在に繋がっている、だからこそ。
本作を評価しない人は(エンターテイメントなのに最後がモヤモヤさせられた)から不満なのでしょうか、答えが与えられて当然と思っているのか…望んだ対価が得られないから評価しないか、そもそもここに描かれた世界や結末を理解する気すらないんじゃないの?
タタラ場が明国渡りの火縄銃で武装している理由とか史実との整合性とか、製鉄利権の争奪戦とか社会的弱者を集めるエボシの胸中とか?そんなの説明して欲しいのかね…自分の頭で考えろ、他人の褌にすがるなって事ぐらいは観たら分かりそうなもんだが。
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| animation | 2017.04.29 Saturday | comments(0) | - |