最近みたDVD
「PATLABOR 2 THE MOVIE」
TVアニメ「機動警察パトレイバー」の、押井守が監督した劇場アニメ第2作目です…1作目も設定の枠だけ借りて押井色に染め抜いておりましたが、本作もまた独立した押井作としてハードボイルド・タッチに成立しています。
簡単に言えば、肝心の警察ロボット(レイバー)も主役キャラも出番少なめで話が進んでっちゃうという…本当にもう、元の設定だけで自分の物語をやっちゃうから評価も割れる訳ですが。
僕は元の漫画もTVアニメも知らないし、押井監督作品が好きなのでOKです。
本作も過去に何度か観てますが、この時機に改めて。
1作目で描かれた、大規模ハッキングによるサイバー・テロが現実味を帯びてきた現在…姿なきテロリストに自衛隊と警察が翻弄され、東京が戒厳令下に置かれる本作もまた今こそ観直すに値するのではないかと。
冒頭の、他国への平和維持活動に派遣された日本の部隊が上層部の「交戦は許可できない」の一点張りでゲリラに壊滅させられる場面…有事の「かけつけ警護」なんてのが条件付きで可決されたようですが、こんな“状況”が現地で起きたら当事者たちは何を考える?
ベイブリッジが爆破されるのは織田裕二ドラマにパクられましたよねー、本作の公開は'93年でしたから。
'97年の「もののけ姫」が宮崎駿の問いかけであるように、押井守も観客に問うているのだと思います…他人の褌にすがるな、自分の頭で考えているのかと。
それにしても銃器フェチの監督らしく、DVDには2パターンの音声が収録されていてビックリです…「Dolby Surround」のオリジナル・バージョンと「Dolby Digital Sound」の'98年リニューアル・バージョン、途中で音声をスイッチしてみたけど火器の射撃音やら爆発音の違いだけでは?笑
ところで1作目との関連性に今頃気が付きましたよ、どちらにも旧約のバベル説話が絡んでいた事は意味深な手掛かりに思えます。
全滅したPKO部隊を率いて帰国後に行方を眩ました柘植、彼との不倫騒動から特車二課へ左遷されたらしい南雲警部…同じく二課の後藤警部補に「東京ウォーズ」の真相究明を要請しつつ、柘植が南雲に接触するのを待つ陸自幕僚の荒川。
偽装映像の爆撃機に架空の三沢機出撃、陸自OBと警察OBによる隠蔽と政治策謀…戒厳令下の東京を孤立させる交通網およひ通信&地下インフラの遮断、この非常事態の鎮静化という大義名分を得て日本を管理下に治めるべく即応する米軍と“状況”は柘植と荒川の綱引き合戦と化します。
“この国のこの町の平和とは一体なんだ?”
“その成果だけはしっかりと受け取っていながら、モニターの向こうに戦争を押し込め、ここが戦線の単なる後方に過ぎない事を忘れる”
“居ながらにしてその眼で見、その手で触れる事の出来ぬあらゆる現実を知り、何一つしない”
荒川の狂言回しめいた言葉は、姿なき元同志・柘植の思いを代弁するかのよう。
河川の上を塞ぐ高速道路を走る荒川の車、都市に埋没したような河川を船で行く柘植…雪降る街を見上げる夜船という、古典芸能の趣き漂う南雲と柘植の逢瀬。
ハードボイルドな展開に織り込まれた大人の恋路、本当によく練られた話です。
荒川の声を演じたのは竹中直人、本作は彼の演技で成立していると言える程です…そして陰の主役である柘植の声を演じたのが、奇しくも先日お亡くなりになったばかりの根津甚八だったとは気付きませんでした。
本作はかゆうきまさみの原作漫画からTVアニメ化されたのだとばかり思ってましたが、Wikipedia情報によると原作はヘッドギアという制作チームだったそうで…出渕裕に河森正治そしてカトキハジメと豪華なメカニックデザイナー陣が名を連ねていたのね、そして更にメカデザ協力として藤島康介も携わっていたとは!
制作会社のI.GタツノコもプロダクションI.Gとタツノコプロが合弁した訳ではなく、プロダクションI.Gの前身がI.Gタツノコだったのだとは知りませんでした。
音楽は1作目に続いて川井憲次、静かな場面の音楽が耳に残りました。
しかしこれは、やはり1作目と併せて観た方がよかったかもなぁ〜?
→〈川井憲次〉関連記事
*以下の動画は、携帯からでは閲覧できないかもしれません。
『『機動警察パトレイバー2 the Movie 4DX』予告編』
『機動警察パトレイバー2 the Movie 南雲と柘植』(前作といい、失われゆく東京の光景を見事に活かしてますなぁ)
TVアニメ「機動警察パトレイバー」の、押井守が監督した劇場アニメ第2作目です…1作目も設定の枠だけ借りて押井色に染め抜いておりましたが、本作もまた独立した押井作としてハードボイルド・タッチに成立しています。
簡単に言えば、肝心の警察ロボット(レイバー)も主役キャラも出番少なめで話が進んでっちゃうという…本当にもう、元の設定だけで自分の物語をやっちゃうから評価も割れる訳ですが。
僕は元の漫画もTVアニメも知らないし、押井監督作品が好きなのでOKです。
本作も過去に何度か観てますが、この時機に改めて。
1作目で描かれた、大規模ハッキングによるサイバー・テロが現実味を帯びてきた現在…姿なきテロリストに自衛隊と警察が翻弄され、東京が戒厳令下に置かれる本作もまた今こそ観直すに値するのではないかと。
冒頭の、他国への平和維持活動に派遣された日本の部隊が上層部の「交戦は許可できない」の一点張りでゲリラに壊滅させられる場面…有事の「かけつけ警護」なんてのが条件付きで可決されたようですが、こんな“状況”が現地で起きたら当事者たちは何を考える?
ベイブリッジが爆破されるのは織田裕二ドラマにパクられましたよねー、本作の公開は'93年でしたから。
'97年の「もののけ姫」が宮崎駿の問いかけであるように、押井守も観客に問うているのだと思います…他人の褌にすがるな、自分の頭で考えているのかと。
それにしても銃器フェチの監督らしく、DVDには2パターンの音声が収録されていてビックリです…「Dolby Surround」のオリジナル・バージョンと「Dolby Digital Sound」の'98年リニューアル・バージョン、途中で音声をスイッチしてみたけど火器の射撃音やら爆発音の違いだけでは?笑
ところで1作目との関連性に今頃気が付きましたよ、どちらにも旧約のバベル説話が絡んでいた事は意味深な手掛かりに思えます。
全滅したPKO部隊を率いて帰国後に行方を眩ました柘植、彼との不倫騒動から特車二課へ左遷されたらしい南雲警部…同じく二課の後藤警部補に「東京ウォーズ」の真相究明を要請しつつ、柘植が南雲に接触するのを待つ陸自幕僚の荒川。
偽装映像の爆撃機に架空の三沢機出撃、陸自OBと警察OBによる隠蔽と政治策謀…戒厳令下の東京を孤立させる交通網およひ通信&地下インフラの遮断、この非常事態の鎮静化という大義名分を得て日本を管理下に治めるべく即応する米軍と“状況”は柘植と荒川の綱引き合戦と化します。
“この国のこの町の平和とは一体なんだ?”
“その成果だけはしっかりと受け取っていながら、モニターの向こうに戦争を押し込め、ここが戦線の単なる後方に過ぎない事を忘れる”
“居ながらにしてその眼で見、その手で触れる事の出来ぬあらゆる現実を知り、何一つしない”
荒川の狂言回しめいた言葉は、姿なき元同志・柘植の思いを代弁するかのよう。
河川の上を塞ぐ高速道路を走る荒川の車、都市に埋没したような河川を船で行く柘植…雪降る街を見上げる夜船という、古典芸能の趣き漂う南雲と柘植の逢瀬。
ハードボイルドな展開に織り込まれた大人の恋路、本当によく練られた話です。
荒川の声を演じたのは竹中直人、本作は彼の演技で成立していると言える程です…そして陰の主役である柘植の声を演じたのが、奇しくも先日お亡くなりになったばかりの根津甚八だったとは気付きませんでした。
本作はかゆうきまさみの原作漫画からTVアニメ化されたのだとばかり思ってましたが、Wikipedia情報によると原作はヘッドギアという制作チームだったそうで…出渕裕に河森正治そしてカトキハジメと豪華なメカニックデザイナー陣が名を連ねていたのね、そして更にメカデザ協力として藤島康介も携わっていたとは!
制作会社のI.GタツノコもプロダクションI.Gとタツノコプロが合弁した訳ではなく、プロダクションI.Gの前身がI.Gタツノコだったのだとは知りませんでした。
音楽は1作目に続いて川井憲次、静かな場面の音楽が耳に残りました。
しかしこれは、やはり1作目と併せて観た方がよかったかもなぁ〜?
→〈川井憲次〉関連記事
*以下の動画は、携帯からでは閲覧できないかもしれません。
『『機動警察パトレイバー2 the Movie 4DX』予告編』
『機動警察パトレイバー2 the Movie 南雲と柘植』(前作といい、失われゆく東京の光景を見事に活かしてますなぁ)
| animation | 2017.04.30 Sunday | comments(0) | - |