おいでよ どうぶつの森
おいでよ どうぶつの森 (JUGEMレビュー »)

22世紀を目指し、カレンダーの最終日までタイムスリップしたりと相変わらず楽しんでます。
2100年のどうぶつ村は如何に?笑
紹介記事【2019.06.19】
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こちらも「アーサー王宮廷のヤンキー」同様「トウェイン完訳コレクション」の一冊、子供の頃に読んだ童話絵本をイメージしたら大違いです。
古き良きアメリカの牧歌的なジュブナイルに見せ掛けた辛辣な社会批判は、巻末あとがきのナイスフォローを先に読む方が好いかも?
紹介記事【2019.05.22】
Ben Folds & Nick Hornby - Lonely Avenue
Ben Folds & Nick Hornby - Lonely Avenue (JUGEMレビュー »)
Ben Folds & Nick Hornby
「ハイ・フィデリティ」作者×ベン・フォールズ・ファイブ元リーダー(?)のコラボ作。
SOSとはまた異なるバカラック的ドリーミーさ+初期B.ジョエル的な吟遊ピアノ感、ヴィンテージ系シンセ&ストリングスのあしらいも絶妙。
紹介記事【2019.06.27】

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最近読んだ本
クリストファー・プリースト(著)、古沢嘉通(訳)「奇術師」

初版'04年のハヤカワ文庫で、原著は'95年に発表された「THE PRESTIGE」…このプレスティッジという単語は元来、現代のような華々しさとは真逆の意味合いを持っていたのだそうで。
小説研究者の若島正なる人物は、第一義の“幻惑、奇術、詐術、偽物”が第二義の“名声、威光”へと転じた時期を「オックスフォード英語辞典」の記載から“一九世紀前半から世紀末にかけて起こったようだ”と巻末の解説に記しています…本書の大部分が19世紀末を舞台にしている点や、著者の作品履歴を表題に絡めて解説していく手腕もまたプレスティッジ感あふれる鮮やかさで面白いです。

それは魅惑的という意味であって、胡散臭いとかフェイクの類いと揶揄している訳ではありません…本編の独創性も同様で、二人の奇術師が競い合うマジックと著者が仕掛ける惑わしに僕は読者として易々と引き込まれてしまったのでした。
そもそも目新しいSFを読みたくてAmazonのオススメを追い掛ける内に出会った本書、どこまで読んでもSFらしくならないのです…むしろゴシック・ホラーでも始まりそうな雰囲気だし、ニコラ・テスラが登場して(やっとSF展開か?)と思いきや際どくかわされ。
僕には珍しく若干ネタ割れしたのは残念でしたが、久々にのめり込みましたよ。

“もし奇術師がなにもないところから、なにかを取りだすことが不可能であることを最初にほのめかしたりせずに、いきなり花瓶を取りだして見せたら、それは手品にはとうてい見えないだろう。だれも拍手喝采などすまい”
奇術師が舞台上で観客との間に“魔法の黙認契約”を結ぶように、読者もまた作中人物の仄めかしを通じて著者と暗黙の了解を交わしているのです…ストーリーテリングに用いられる「不誠実な語り手」という主観によるミスリードと似て非なる、惑わしを生業とする者が双方向から照射する意図的な「逸らし」に読者は翻弄される事になります。

世紀の大マジック、瞬間移動…それは正にSFの古典的ガジェットですが、スチームパンクにうってつけな100年前の英国ロンドンから米国西部コロラドを経由して更にSFの片親とも言えそうなゴシックホラーへと先祖返りしてしまうとは思いもよらなかったな!
正直言って、読み終えた瞬間は(は?何これ)という釈然としない気がしました。
だけど思い返すと後からジワジワ分かってくるんです、この丁寧に設計された構成は奇術師の洗練された指先の動きを模しているのだと…これが過大評価だとしても、そのように違和感なく深読みさせる訳出は並大抵の力量ではないですよ。

当時のイギリスで流行したという降霊会やワルデマール・アベグが旅した1900年のアメリカなど、相当の資料文献を読み込んだと思しき描写は簡潔ながら湿度を感じさせるほどです…そして何より、2人の奇術師が遺した手記をそれぞれの子孫の視点で挟み込んだ構成の紛らわしさに読みづらさを感じさせない著者の文筆力も見事。
これはSFというより謎解き要素を含んだ歴史サスペンスではないでしょうか、確かに非現実的ではありますが予測不能な結末ではありませんし…実際のところ、SF嫌いかSFを読まない人に本書を薦めて感想を訊いてみたくなりますね。


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    | books | 2017.09.23 Saturday | comments(0) | trackbacks(0) |









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