スキャナー・ダークリー [Blu-ray]
スキャナー・ダークリー [Blu-ray] (JUGEMレビュー »)
俳優の仕草や表情をアニメとして再構築する、非常に手間の掛かった映像が生理的に苦手な人もいるでしょうね。
しかしながら出演者も(誰々が出てるから)という理由で観て欲しくはないでしょう、自伝的要素の強い原作を尊重した結果としてのスキャニメーションは実に効果的です。
意義を見出せない業務に延々と従事させられる主人公、彼の破滅を前提とした麻薬撲滅作戦…小さな政府がもたらした民間委託の陥穽、委託された組織間のマッチポンプは緩いディストピアですが。
どこまでが虚構でSFなのか、エンディングには賛否が分かれそう。
紹介記事【2019.07.27】
ブレイク・ビーターズ [ ゴードン・ケメラー ]
ブレイク・ビーターズ [ ゴードン・ケメラー ] (JUGEMレビュー »)
旧東独、といっても今じゃ通じなさそうですが…80年代の社会主義国でヒップホップに目覚めちゃった若者と、彼らの活動を体制翼賛に取り込もうとする当局との丁々発止を描く青春コメディ。
飼い慣らそうとする権力側と調子を合わせつつ苦悩する主人公たち、ベルリンの壁が崩壊して彼らを待ち受けるラストのほろ苦さとタフさに男泣きです。
自分でいる事を描いている点で、英国のサルサ映画「カムバック!」と併せてオススメ。
紹介記事【2019.11.02】
ダーリン・イン・ザ・フランキス 1《完全生産限定版》 (初回限定) 【Blu-ray】
ダーリン・イン・ザ・フランキス 1《完全生産限定版》 (初回限定) 【Blu-ray】 (JUGEMレビュー »)
荒廃した世界で生き残りを賭けて地底人と戦う少年少女、その謎が明らかになるにつれ絶望の色は増すばかりですが…絵空事に潜む「茶色の朝」の未来、大人目線で子供たちの希望を切に願ってしまいました。
次の世代のために何が出来るだろう、この気持ちを失わずにいたいです。
紹介記事【2019.08.28】
月曜日の友達(1-2巻 全巻) 全巻セット
月曜日の友達(1-2巻 全巻) 全巻セット (JUGEMレビュー »)
中学生になったばかりの頃の、世界の拡がりに戸惑う姿は性別や世代を超えて響きますね。
作画力もストーリーテリングも卓越してます、些細な一瞬を捉える巧さが。
忘れていた何か、忘れたくなかった何か…最後のコマに、胸が苦しくなりました。
紹介記事【2019.11.11】
TVアニメ『プラネット・ウィズ』オリジナルサウンドトラック [ 田中公平 ]
TVアニメ『プラネット・ウィズ』オリジナルサウンドトラック [ 田中公平 ] (JUGEMレビュー »)
(↑※サムネイルのリンクはサントラにしています)
所謂スピリチュアルなストーリーでありながら、どこか70年代アニメっぽいお約束とフォーマットをごちゃ混ぜにして力技で着地させたような奇想天外さが独特。
戦隊ヒーローに学園モノ、ジャンプ的な熱血インフレ勝負など…ネタの重ね掛けでも訳分からなくならない見事な構成、思いがけずラストに泣かされました。
正義のあるところに悪がある、よって正義は愛ではない…ならば善とはなんなのか? 先ずはご覧あれ。
紹介記事【2019.09.10】
ポルノ☆スターへの道 [ ニック・スウォードソン ]
ポルノ☆スターへの道 [ ニック・スウォードソン ] (JUGEMレビュー »)
ラジー賞を独占した下ネタ満載ムービー、とりあえず下品ですけど線引きはキッチリしてますね…笑わせる内容は、少なくとも男性なら他人事じゃないというか。
女性同士の巨乳幻想みたいなね、目の付け処が上手いなぁと。
まぁ万人向けではないにせよ、僕は感心しつつ大笑いしました。
紹介記事【2019.10.17】
夜長姫と耳男 (岩波現代文庫) [ 近藤ようこ ]
夜長姫と耳男 (岩波現代文庫) [ 近藤ようこ ] (JUGEMレビュー »)
原作者の作品は知らないので、本作は衝撃的でした…こんな物語が書かれていたのかと、まるで伝承の聞き書きか夢を書き起こしたような浮遊感!
印象としては南伸坊が中国の怪異譚を漫画にした「仙人の壺」に近い、無闇に説明しようとしない描線のアッサリ感が素晴らしいです。
空白の多さに、却って想像力を掻き立てられました。
紹介記事【2019.11.25】
さよならの朝に約束の花をかざろう 通常版 [Blu-ray]
さよならの朝に約束の花をかざろう 通常版 [Blu-ray] (JUGEMレビュー »)
不老不死というか不死者の物語にハマっているとはいえ、ファンタジー世界が舞台だとなぁ…と思ってましたが、不死者の(一般的な寿命の人間社会で生きる哀しみ)というツボを丁寧に描いていて好感が持てました。
寓話的なラストが作品世界と相まって、爽やかに切ないです。
紹介記事【2019.09.23】
おとなのけんか [ ジョディ・フォスター ]
おとなのけんか [ ジョディ・フォスター ] (JUGEMレビュー »)
血生臭い原題の割に、ほぼダイニング一間で完結している会話劇です。
子供の喧嘩に親が出て、大人同士で和やかに話し合って解決する目論見が破綻してエスカレート。
隣人を愛せれば戦争なんて起きない訳で、そんな皮肉な原題と裏腹に子供同士は親心を知らず…淡々としてますが大いに笑わせてくれます、個人的にはオススメ。
紹介記事【2019.10.22】
【中古】 山本耳かき店 ビッグCスペシャル/安倍夜郎(著者) 【中古】afb
【中古】 山本耳かき店 ビッグCスペシャル/安倍夜郎(著者) 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
耳かき店ブームの火付け役、なんて書いては申し訳ないのですけども…決してブームに便乗した後追いではない、と。
穏やかな時間の流れる小さな町で、耳かき屋さんを訪れる客の脳内イメージが秀逸です。
こんな表現があったのか、こんな漫画があったのかと目からウロコ耳から(略)。
紹介記事【2019.12.23】
グラン・プリ [Blu-ray]
グラン・プリ [Blu-ray] (JUGEMレビュー »)
最初はソール・バスの映像分割がスタイリッシュというより情報過多に感じましたが、それが後から効いて来るんですね…世界各地を転戦するF1レーサーと彼らを取り巻く人間模様が主軸ながら、走行シーンも見甲斐があります。
クールなドラマと60年代のムードが、ダンディな三船敏郎も含めて現代とは別世界のようです。
紹介記事【2019.12.21】
絵はがきにされた少年 [ 藤原章生 ]
絵はがきにされた少年 [ 藤原章生 ] (JUGEMレビュー »)
アフリカに対する先入観や固定観念が、ことごとく覆されます…偏見を持たないように心掛けていたつもりでも、日本にいて伝わってくる情報自体にバイアスが入っている訳ですが。
西欧支配の呪縛に歪められた各地の民族性や搾取の構造など、日本では見えにくい暗部が著者の目を通して見えてくるようで。
アフリカの話であり、同時に現代の実像でもあるのでは?と。
紹介記事【2019.09.1】
【中古】 マンガでわかる 戦後ニッポン /手塚治虫(著者),水木しげる(著者),つげ義春(著者),はるき悦巳(著者),ちばてつや(著者) 【中古】afb
【中古】 マンガでわかる 戦後ニッポン /手塚治虫(著者),水木しげる(著者),つげ義春(著者),はるき悦巳(著者),ちばてつや(著者) 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
現代に至る国内の移ろいを漫画に語らせる好企画アンソロジーです。
漫画にしか出来ない表現は、例えば三輪自動車が走る風景でありリンチされる米軍の操縦士であり…基本的に主観視点であるが故の、俯瞰の効く文学表現よりも接地した仮想体験なのかも。
いわば漫画こそが伝え得た戦後の一片、切り口を変えて続けてもらいたいですね。
紹介記事【2019.12.12】
あきれたあきれた大作戦 [ ピーター・フォーク ]
あきれたあきれた大作戦 [ ピーター・フォーク ] (JUGEMレビュー »)
笑いって鮮度があると思ってました、本作を観るまでは。
先が読めずに引き込まれましたが、確かに繰り返し観たくなるかも…計算されたシナリオが効いた笑いと、映像的な古さもまた味わい深いです。
スタンダードでバカバカしくて無駄のない、意外な傑作。
紹介記事【2019.12.10】
人気マンガ・アニメのトラウマ最終回 極限編 [ 鉄人社編集部 ]
人気マンガ・アニメのトラウマ最終回 極限編 [ 鉄人社編集部 ] (JUGEMレビュー »)
面白可笑しい切り口で紹介されてるので、ファンの方にしてみれば物申したい点も多々ありそうですが。
様々な事情から意外な最終回を迎えていた、有名な作品の数々に先ずビックリ…知って何かの役に立つ訳ではありませんけど、やはり切り口が面白いのですよ。
紹介記事【2019.09.24】
【国内盤CD】【ネコポス送料無料】ファウンテインズ・オブ・ウェイン / トラフィック・アンド・ウェザー
【国内盤CD】【ネコポス送料無料】ファウンテインズ・オブ・ウェイン / トラフィック・アンド・ウェザー (JUGEMレビュー »)
「Stacy's mom」の青春パンクをイメージしてたら好い意味で裏切られました。
どこかSDP「スチャダラ外伝」に通じる旅アルバム、共通する根っこは世代なのかグローバル環境なのか…しかしELOっぽさを連想させるサウンドも厭味なく無理して頑張ってない感じだし、三人称のスキットみたいに様々な切り口で綴られる旅の寸描が詩的。
パッキング上手で飽きさせない仕上がりかと。
紹介記事【2019.07.08】
【中古】[PS2]ローグギャラクシー ディレクターズカット(Rogue Galaxy Director's Cut)(20070321)
【中古】[PS2]ローグギャラクシー ディレクターズカット(Rogue Galaxy Director's Cut)(20070321) (JUGEMレビュー »)
無印版も僕は楽しめましたが、ダレ要素を改善して全体的にボリューム・アップしておりオススメです。
難を言えば、このDC版では攻略本が出てない事ですね…特に武器の合成レシピが違っているし、追加武器はノーヒントで試行錯誤の連続に。
水の惑星にある3連宝箱は、多分エリアボスに乗って飛び移らなきゃ取れないと思うので、これからプレイする方は気を付けてね!笑
紹介記事【2018.07.19】
【中古】PS2 スターオーシャン3 Till the End of Time
【中古】PS2 スターオーシャン3 Till the End of Time (JUGEMレビュー »)
ディレクターズ・カット版が出てるようなので、そちらをオススメします。
僕も終盤でメニュー画面を開こうとしてブラックアウトや異音と共に「ディスクからデータを読み込み中です」と表示されたままフリーズでプレイ断念中です。笑
リアルタイム・バトルの忙しさは好みの問題として、城下町などの雰囲気が最高!
中世レベルの惑星に来た主人公がハイテク宇宙人側、という立ち位置はユニークで楽しめました。
紹介記事【2018.07.25】

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最近読んだ本
ルシャッド・フィールド(著)、山川絋矢+山川亜希子(訳)「ラスト・バリア ―スーフィーの教え―」

初版'97年の角川書店刊、ですが原著は'76年だそう…図書館で借りて読んだ当時はいわゆるニューエイジやスピリチュアルの隆盛に乗った関連本かと思っていたけれども、むしろ本書がそういったブームよりずっと前に書かれていたとは!
本書以前に、僕はスーフィーやダルウィーシュについて何も知りませんでした…白装束と細長い帽子で旋回舞踏する姿は、何かの写真で目にしてはいましたが。
いつか再び読み直そうと思いながら、その後は図書館でも見かけなくなって長らく機を逸しておりました…そして、たまたま¥656(送料込み)でAmazonに出品されていたのを発見し再読を果たした次第で。

かつて読んだ頃はイスタンブールもアナトリア高原もイメージが湧かず、問答じみた会話にも付いていけなかったものの…「アルケミスト」という寓話的な話のキーワードである「マクトゥーブ」が、本書によって理解できた気がしました。
そしてまた「好い物語は何度でも読む度に新たな意味を持つ」という話は、単に腑に落ちただけでなく以後の僕に新たな理解をもたらしてもくれたのでした。
しかし、当時と同じ感覚を期待して読み始めた僕は肩透かしを食らわされます…それは本書を読んだ僕の心に生じた様々なアンテナを通じて、この20年近い歳月で数多くの情報を得てきたからでもあったのです。

再び本書を読みながら、僕はモスクの足臭さも「マクトゥーブ」も忘れていました…今の僕にはイスラム教や「アルケミスト」が焦点ではないんですね、それに生き方で悩んだり何か求めたりしてる訳でもないと。
トルコでキレまくる師ハミッド、すべての過去を精算すると誓いながらも密かにリスクヘッジしていたり何度も失敗しかける著者…異国で味わう旅の奇跡といい、どれもが絵空事のようで妙に生々しく感じました。
自分が親しんでいた常識とは異なった場所で、異なる価値観へと適応していく際に生じる非現実的な感覚…本書は架空の物語ではなく、著者の実体験だった?!

既にロンドンで骨董商として成功し、ヒーラーとしても講演やワークショップを催していた著者が生き方を変える決意をしたのが'69年…ハミッドに出会ったのはその前年であると気付き、ふと僕は(1968年=分岐点説)を思い出しました。
そして以前は題名の意味が分からなかったのですが、まさに「最後の障壁」を指していたのね…そういえば“あなたが求めているものは、あなたを見ているものである”というアシジの聖フランシスコの引用でデニス・バンクスの“わたしたちが花を見る時/花もまた/わたしたちを見ている”という言葉を連想し、先日プレイした「クロノ・クロス」でも“おまえが炎をみつめるとき、炎もまた、おまえをみつめている”とあった事が思い出されました。
そしてバラの比喩を読むたびルドルフ・シュタイナーの言葉が過ぎり、不思議な感じがしました。


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以下、個人的メモ。

「今、人類はバラの香りを必要としている。いつの日にか、人類はそれさえも必要としなくなるだろう」(p.38)

「シャイフが特別に大切なことを示すために、どのように物語を利用するかわかれば簡単です。でも、私が何かを“説明”しているわけではないということを忘れないで下さい」(p.41)

「あなたが自分の内に育てたいと求めている理解を得るためには、“大いなる魂”と一体化するために、あなた個人の魂という考えは死ぬ必要があります」(p.41)

「ほとんど世界中の人々は眠っているが、彼らはそれを知らない。お前は眠っている、と書いてある本を読んでも、目覚めることはできない。教師にお前は眠っている、と言われても、目覚めることはできない。自分で目覚めたいと思った時にしか、目覚めることはできないのだ(中略)目覚めとは、何かの超常的体験の問題ではない(中略)こうした勘違いしている人々は、何らかの“ガイド”に出会いさえすれば、自分自身をみがくことを免除されると思っている。彼らはもう一組の余計な錯覚によって、自らの痛みをおおい隠しているにすぎない」(p.88)

「神の一部、唯一の真実の一つひとつの側面を追求しようとすると、その部分に捕らわれてしまい、全体性を見失ってしまう(中略)自分の目標や動機を常に十分に注意して見守りなさい。自分が何をしているか、また、なぜそうしているのか、よく見なさい。自分の自我ではなく、自分の真の本質を絶えず探し求めるのだ」(p.89)

「自我(その存在を当人は本当には知らない)を発達させようとすると、錯覚を発達させてしまう」(p.89)

「バラの繁みは正しい剪定によって、初めて完全な花を咲かすことができる。剪定は一時的に植物を傷つけるかもしれない。しかし、もしその植物が剪定の必要性を理解できれば、庭師がハサミを持ってやってくるたびに、それは喜びに満たされることだろう」(p.91)

「もし、誰かが心の耳で聞く準備さえできていれば、彼が何を言うかは、実のところ、大切ではなかった(中略)彼がコーランやスーフィーのマスターたちの書物の一節について話すと、聞いている人々は、それぞれ、自分にちょうどわかることだけを吸収していた。時々、彼はある一つの文章について、長々と議論し続けることがあった。その様な時には、きちんと理解して話を聞いている特定の一人に向かって、彼のエネルギーのすべてが向けられていることに、私は気づくのだった」(p.128)

「この道を行くには二本の足が必要だ。一本は君の生まれつきの質、すなわち、君の中に隠れている可能性という足であり、もう一本は忍耐という足だ。他の一方を伴わなければ、どちらも役に立たない」(p.129)

「平均的な人間は、自分が何かの原因であり、従って、あらゆることはエゴの中心から始まって、それが外側の人生というスクリーンに写し出されると考えている。このエゴ中心の空間に住んでいる限り、見かけの変化はあり得ても、真の変化は起こり得ない(中略)それは意識の拡大の問題ではなく、むしろ、意識を打ちこわすことなのだ(中略)これは自分が何者であるかということに関するあらゆる概念、考え、思いを脱ぎ捨てることである」(p.130)
←この部分は「ソフィーの世界」でいう、影絵(映画館?)の喩えを思わせる

「彼は私に「空間を逆にする」演習を教えてくれた。これは、じっと静かにすわって、胸の中心に意識を集中し、少しずつ、次のことに身をゆだね、気づいてゆくという練習だった。見るかわりに、見られているということ、聞くかわりに聞かれているということ、触れるかわりに、触れられているということ、味わうかわりに、自分は神のだめの食物であり、味わわれていること。「だから、自分をおいしくしなさい」と彼は言った。「最後に自分が呼吸されることを許しなさい。信頼と、神、すなわちすべての源の前では、自分は無力であるという悟りに、完全に君自身をゆだねなさい」(p.131)

「答えを追い求めて、かえって答えを遠ざけてしまうのではなく、問いかけると同時に、答えはすでに問いの中に含まれていることを信じて、じっと耳をすまさなければいけないのだ」(p.131)

「どのモスクにもマリアのためのお祈りの場所があるのを知っているかね? しかし、我々は宗教の形式とは関係がない。すべての宗教の中に物言わず存在し、明らかにされるのを待っている真理に、関心があるのだ。一度それを知ると、神に対する愛によって、神のメッセンジャーすべてに敬意を表するのだ。人々に知られているメッセンジャーもいれば、決して人々に知られることのないメッセンジャーもいる」(p.140)

「愛の唯一の目的は美だ。生きるということは愛の行為であるべきだ。君のまわりのすべての人々を、その自由な精神で満たしなさい。情熱によって支配されてはならないが、情熱を持って生きるのだ。なぜなら、完全に愛するようになるまでは、決して愛を知ることはできないからだ」(p.152)
←この最初の言葉は「宇宙はグリーンドラゴン」の一節とも共通している

「君の思い込みが消えると同時に、君の習慣パターンも消え失せて、あらゆるものが否定的に見える時期がやってきたのだ。心配することはない。もし君がそうした体験をしなかったら、それは、君が頭で一番大切にしているものを、まだ諦めていないということだ(中略)幻想を手放すと、必ず喪失感があるものだ。しかし、それは一時的な現象で、いつかすぎてしまう」(p.155)

「君の仕事は新しい言葉を創り出すことなのだ(中略)しかし、覚えておきなさい。我々はそれぞれに、自分のやり方で理解しているのであって、それは必ずしも、君が伝えようとした形と同じものではないのだ」(p.153)

「サリクとは、自分自身を発見した者のことだ。そして、人は自分自身を知った時、真理を知り、なすべきことを知る」(p.155)
←この部分は「アルケミスト」を思わせる

「人々は狂ったように、西洋式の宗教、政治、経済体制を何とかして支えようとしている(中略)そして君たち霊性を追い求める人々は、世界中をわたり歩いて自分の苦痛や混乱に答えを見つけようとしている。インドのグルやスワミ、占星術師や精神分析者のところへ行っては、その人々のやり方をしばらくの間試してみる(中略)みんな、質問に対する答えを見つけようとしているが、自分がどんなに独善的で自説に固執しているか、気にもしない。彼らには変化に直面する勇気がないので、何一つ、起こり得ないのだ。自分のひとりよがりを満足させる方法や、現象を説明する計測可能なものが欲しいのだ。つまり、真の変化以外のものがね」(p.155)

「私が探し求めていたものは、私を見ているものだった!」(p.167)

「もし、自分のために、何か情報だけを追い求めていたのであれば、あなたは我々には決して出会わなかっただろう(中略)知恵は与えられるものであって、獲得されるものではない(中略)ダルウィーシュは誇り高い人々であり、その集会は御存知のように、この国では禁じられている。あなたがここにいるのを許されたのは、ひとえに、あなたの動機の誠実さゆえなのだ(中略)もし、説明しようとすれば、理屈をつけねばならず、しかもその答えは理屈とは何も関係がないからだ(中略)始まりの中にすべてがあるのだ。しかもあなたが今、ここに見るものは真実の世界ではなく、私があなたに言っていることも、もし、あなたが言葉の形で聞いているならば真実ではない。一方、風のため息を聞いている時、あなたは真実のメッセージを聞くだろう。あなたが風に乗せてメッセージを送るならば、いつかは、誰か注意深い人がそれに気がつくだろう。誰がそのメッセージを聞くか、あなたは知ることができないかもしれない。でも、在るのは神だけだ。だから、そのメッセージを聞くのは神自身であり、それを送るのも、神御自身なのだ。
さあ風の音を聞きなさい」(p.174)

「御存知のように、我々は物語の形で話をする(中略)なぜかというと、一つには、物語は何回も聞くことができるからだ。それぞれの時はみな異なっており、したがって、二度と同じ瞬間がくり返されることはない。それゆえに、物語はあなたがそれを学ぶたびに、何か違うことを意味している。それはあなたの気分や、物語を見る視点や、一日のうちのいつかなど、多くのことによって違ってくる。だから、私が話す物語には、一切説明はつけない。あなたはその物語を聞き、学び、そしてある日、わかるようになるだろう」(p.177)

「物語とは、真実の幻影である。」(p.179)

「私たちは神を知るために修行するのではなく、まず、神の全体性を受け入れます。すると、すべてはそこから起こってくるのです」(p.213)

「ほとんどの人は、一番表面的なレベルで理解するだけだ(中略)コーランの中の戦いに関する物語を読んで、その話はただの戦いの話だと思うかもしれません。しかし、戦いは単なる過去の歴史的事実ではありません。それは今現在のことなのです(中略)つまり、外側の形は、真実を聞きたくない人々、あるいは、真実が意味するものをまだ受け入れる準備ができていない人々のためのものなのです(中略)彼が物語る時しばしばそれがいかに簡単なものであれ、寓話としてだけでなく、宇宙の偉大なる法則の一つを物語っているのです(中略)そして、最も深いレベルの理解とは(中略)直接体験することなのです」(p.213)

「庭に行って、とげを踏んだ時、ありがとうと言うのを決して忘れないように。とげは痛いかもしれない。しかし、それはあなたがバラ水を与えられたのと同じように、あなたに与えられたものなのです(中略)バラの木が刈り込まれるだけ刈り込まれた時、初めてバラの真髄が解き放たれ、バラのつぼみが開きます。つぼみから花になる一瞬を知っている者は、バラの花になった人だけだと」(p.223)

「神に人生を捧げる時、最初は常に苦痛と混乱がある(中略)しかしこの苦痛は決して神が意図されたものではない。神は決して、我々が苦しむのを望んではあられないのだ(中略)苦痛を引き起こすのは、自分の傲慢さとプライドなのだ。自分が何かできると思えば思うほど、自分が完全に神に依存しているということがわからなくなって、苦痛がますます増してゆくのだ」(p.234)
←思うに、神というのは一神教的な概念であり、つまりはゾロアスター教から派生したユダヤ教の流れを汲むキリスト教やイスラム教における「全一」という気がしてくる

「この意識された苦しみは、苦痛とは同じではない。また苦痛を楽しむこととか、苦しみは痛みを伴うから自分のためになると信じるのとも違う。意識された苦しみとは、この惑星を守るために何が必要かという知識に基づいて生ずるのだ」(p.235)

「唯一の真の喜びは、神に仕える者となることなのだ(中略)眠っていたのでは、我々は決して、自分に何が要求されているか、わかりはしない。それに奉仕が何を意味するのか、あらかじめ知ることはできない(中略)自分が奉仕したい時にだけ奉仕することができるなどとは、考えてはいけない。一瞬一瞬の要求に、常に目覚めていなければならないのだ。それも、君自身の必要にではなく、神の必要とされることに対してなのだ」(p.258)

「この新しい世界が実現するまでには、二つの対決があると言われている。第一の対決は、知る者と知りたくない者の対立であり、第二の対立は知る者と、これから知らねばならない者の間の対立である(中略)自分の内を見なさい。この二つの対決はどちらも自分の中で起こるのではないのかね?(中略)君の外側にあるように見えるものは、本当は君の内側にあるのだ。外側にあるものは何もない(中略)君が知らなければならないことは私たちは合一という形でキリストと出会うということなのだ(中略)もはや、どんな形の宗教も必要なくなるだろう。そのすべてがなくならなければならないのだ(中略)それは目的を果たしたからこそ、何か新しいものが生まれてくることができるのだ」(p.239)

「今、おまえは見た。そして見られたからには、今まで知らなかったやすらぎを感じることだろう」(p.261)

「すべてがそこにあった。始まりも終わりもなかった。創造主と創造された者は一つだった。すべては一瞬の中にあった。すべてが彼だった。そして、それが運命の秘密だった。何一つ起こってはいなかった。なぜならば、すべてはすでにそこにあるのだから」(p.261)
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