ReLIFE 完結編(完全生産限定版) [DVD]
ReLIFE 完結編(完全生産限定版) [DVD] (JUGEMレビュー »)

ブラック企業で心を折られた27歳ニートが、渡りに舟と食い付いたのは人生リセット人体実験?
アニメが描く夢の世界も、時代を表しているのですなぁ。
うっかり大人目線で色々やらかすネタに笑いつつ、いつしか心を掴まれてしまいました。
紹介記事【2018.05.16】
おいでよ どうぶつの森
おいでよ どうぶつの森 (JUGEMレビュー »)

22世紀を目指し、カレンダーの最終日までタイムスリップしたりと相変わらず楽しんでます。
2100年のどうぶつ村は如何に?笑
紹介記事【2019.06.19】
エクソダスギルティー (通常版)
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異なる3つの時代の物語を切り替えながら進む、マルチタイム・ザッピングシステムのアドベンチャー・ゲームです。
資料本「ワールドガイダンス」必携、正直クセが強く微妙ですが。笑
当時流行ったであろう「小説『聖書』」やガイア仮説のSFファンタジー&サスペンス、システム的には不便ですが僕は楽しめました。
紹介記事【2018.11.05】

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最近読んだ本
フランツ・キュモン(著)、小川英雄(訳)「ミトラの密儀」

初版'18年の筑摩書房ちくま学芸文庫、ですが駅ナカの書店でパラ見した印象で(新書っぽい文庫か)と思ったら大間違いでした…むしろ「文庫サイズの専門学術書」じゃあないですか、しかも1世紀以上も昔の!
原書の初版は1899年で、大幅に増補改訂された1923年の第三版を底本として1993年に邦訳された平凡社版は第一巻の第二部「結論」のみ…本書はそこから更に図版を減らしてたのではないかな、大して分厚いくもない割に訳註だけで約1/3位を占めるという濃縮ミトラ100%のプロ仕様。
いやいや、プロには物足りないのかな…しかし全然、素人向けではありません。

訳者は著者の直弟子に師事しているだけあって誤訳ゼロ!じゃないかな、よく知らんけど…僕は正直そこまでアカデミックにミトラ教を学びたいとか、その栄枯盛衰を深く掘り下げてみたいとは思ってないのです。
「キリスト教のクリスマスはミトラ教の儀式が由来」と以前どこかで読んだ事があり、その後「ミトラ教はゾロアスター教の分派である」とも何かで読んだんですね…そして主神ミトラス(ミスラ)はヒンドゥー教の神と同源だとか、そういった断片的な情報を整理してみたくなっただけでして。
まさか駅ナカで売ってる文庫本で、ここまで専門的な内容だとは予想外でした。

平凡社版には図版が多かったらしく、それを前提とした箇所は意味不明です…というか基本的に研究者向けの論文なので、基本知識が足りてない僕は儀式の様子や芸術的な装飾の特徴などは今一つピンときません。
ミトラ崇拝の起源は“ペルシア人の祖先たちがインド人の祖先たちとまだ一つであった遠い昔”だそうで、イランのアフラとヴェーダのヴァルナそれぞれに光の神としてミトラを見ていたらしいです…更に遡れば“隣接する民族”バビロニアのアッカド系やセム系の星辰信仰、また“ヒッタイト人の隣人であるミタンニ人によって前一四世紀頃崇拝されていた”のだとか。

正義と真実を象徴する太陽神ミトラの権威は、初期ゾロアスター教においては最高神アフラマズダーと並び立つ程でした…やがて神学体系が確立されるに従って軍神の性格を帯びていき、一方では魂の救済を担うようになり“古代ギリシアでよく知られていた唯一のイラン神”としてエーゲ海周辺まで浸透したのでした。
ペルシア帝国でマズダー教はカルデア人の神学と融合し、ミトラは太陽神シャマシュと同一視されます…アルメニアでは土着信仰やシリアのセム系と習合し、カッパドキアに至った共同体はキリスト教時代も後五世紀まで存続したのだそう。
長くなるので下段に続く。


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ギリシア文明が小アジア全域に拡がっていくと、マゴス(神官)はミトラ=シャマシュをヘリオスと結び付けるなど自らの宗教をギリシア思想へ同化させていきます…こうした柔軟な折衷主義を示しながらもマズダー/ミトラ教の核心部は失われずに、先史時代の名残りと思しき動物への仮装を伴う密儀や“洞窟”を奉納する習慣が“高度な神学や非常に高貴な道徳と並んで存続した”点は最大の特徴かも。
神々を擬人化したのはギリシアの芸術家だったのですね、そしてギリシアを圧倒したローマ帝国の時代には台頭著しいキリスト教が改宗の手段としてミトラ教の思想体系を剽窃しています。

ギリシアからローマへとミトラ教が浸透していった背景には、現地徴用された小アジアの兵士が勝利を祈願したミトラ神と彼らの信仰を裏切らない強力な軍隊の一致が大きかったようですね…なので衰退に向かうローマ帝国が外敵からの侵攻を抑え切れなくなってくると、神頼みとしての信奉者に見限られてしまいます。
その時期がキリスト教との勢力逆転と重なっているように読めるのは、なかなか興味深く思えてきますね。
雑多な諸集団として帝国を弱体化させていったケルト人やガリア人やフランク人の側は国でも軍隊でもなく、恐らく植民も人材登用も考えなかったのでしょう。

あるいは中東由来の“敗れざる太陽”という勝者の宗教は、汎ヨーロッパ的な価値体系とは相容れなかったのかも…かつて“黒海沿岸からスコットランド山地やサハラ砂漠の縁に至るまで、古代ローマのすべての辺境地帯に沿って、ミトラ教の遺物が満ち溢れている”ほど広まり、また“最も多くのミトラ神殿を出土した”ゲルマニアでさえも寛大な宗教が廃れてしまった事は不思議にすら思えますが。
他教への寛容さだけでなく、各地の教団は相互扶助コミュニティとしても機能していましたし…本来は多神教であったマズダー教から、四世紀にはミトラの一神教へと統一されたというし。

女性の役割が限定されていた点も含めて、ローマ帝国で覇を競ったキリスト教とは多くの類似点があったのね…“両者ともオリエント起源で”主に下層階級からの改宗者で信徒数を拡大した構図や流布の時期など、とはいえ範囲がバッティングしなかったので長らく直接対決に至らなかったと。
気になったのは“キリスト教の初期の征服活動は(中略)ユダヤ人入植民が住みついた地域に広まった”という部分(p.168)ね、ユダヤ人を改宗してたって事?
因みにモーセが十戒を授かっている間に民衆が牛を神に捧げた件で、ミトラ教の牛殺しを連想してしまうのですけれどどうなのかな。

孫悟空よろしく岩から生まれたミトラ神、太陽を服従させた後ユピテルが最初に創造した生き物と戦い殺すという神話なのですが…そりゃあ狩猟/遊牧民の神ですからね、しかも“瀕死の犠牲獣の体から効能あるあらゆる薬草や植物が生まれ出て、大地を緑で覆った”という死体仮生型の非一神教的な創世神話なのです。
それと大洪水の神話は旧約の話そっくりなので、やはりユダヤ教ってゾロアスター教の影響が強いのかも。
また“オリエントでは非常に広く行われていたミトラカナの祝賀は(中略)冬至から増大し始める太陽神の再生”って、つまりキリスト教がパクったアレの由来か?

そもそも創始者キリストの死に様は期せずしてミトラの犠牲獣と同等かそれ以上の効果を発揮した訳ですし、しかも“かなり早くから発展したミトラ教の彫刻は、キリスト教の初期大理石彫刻家たちに採用され(中略)その新しい信仰が禁じたはずの天や風というような宇宙神の像を模倣し(中略)ミトラの聖なる祠を飾っていた立派な作品によって与えられた影響のしるしが見出だされる(p.172)”…とまぁパクりまくりで、ミトラ教が衰退を始めた四世紀にローマ帝国へ広まったマニ教も初期の段階で創設者がペルシアでマゴスと接触してミトラ教の密儀との類似性を深めていたのでした。

エルンスト・ルナンなる研究家が1885年に著した「マルクス・アウレリウスの古典世界の終焉」なる書物には“もしキリスト教がなんらかの致命的疾患によってその成長を止めていたとすれば、世界はミスラ教に屈していたにちがいない”とあるそうで、この問題意識はヨーロッパにおいて自らの歴史や思想遍歴を研究する者に共通する認識だったのかもしれません…何故ならミトラ教とはキリスト教圏における最大のifでしょうからね、そして一神教になり損ねたゾロアスター教の一派からヨーロッパ文明が何を受け継いだのかを明らかにしたいと考えるのは当然だったのでしょう。
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    | books | 2019.07.04 Thursday | comments(0) | trackbacks(0) |









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