最近みたDVD
「グラン・プリ」(←リンク先はTSUTAYA作品情報)
原題も「Grand Prix」、MGMの3時間近いシネラマ大作です…'66年だけに本作も先ずは止め絵の“OVERTURE”が約4分半、これは近年の予告編タイムに相当するのかもしれませんね?
それにしても「チキ・チキ・バン・バン」冒頭のカーレースから約半世紀と思うと、改めて前世紀の技術的な進展には驚かされます。
旧ル第1話を思い出させる葉巻型のF1マシンながら、まだ当時はテール・ウィングがなかったのね…車載カメラの映像は約半世紀後の現代でも迫力満点、公開時の観客はドライバーだけが知る高速の視界を初めて目撃した訳ですからさぞや度肝を抜かれた事でしょう。
本作では実際のワールド・チャンピオンシップ映像を使用していると思われますが、それと本当にマシンを駈る役者たちの生々しい緊迫と集中力とが違和感なく融合しています…現実には単調にならざるを得ないレース映像が、車載カメラだけでなくコース上からも様々な角度から撮っていて一瞬たりと目が離せません。
しかも画面分割や二重映しを多用する手法で情報量が上がっていおり、観ているだけでレーサー気分の緊張感を味わう事になります。
とにかくモンテカルロ市街を走る序盤のモナコGPといい、フランスを挟んでベルギーはスパの雨を片手で拭いながら走るのも凄い!
例によって100分を過ぎて約1分半の休憩タイム、ドイツは開幕シーンのみでオランダ戦へ…N.Y.とメキシコも省略されてUK戦、そして最終戦はイタリア。
でも本作はドキュメンタリーじゃなく、各地を転戦するライバル同士の物語なんです…友情と恋とか言ってしまうとベタですけど、3時間の長丁場をダレずに魅せるジョン・フランケンハイマー監督の手腕は見事!
音楽はジャン・ミッシェル・ジャールの父モーリス・ジャールが担当、ビジュアル・コンサルタントとモンタージュ及びタイトルがソール・バスだったとはね?
彼のユーモラスな風味でなく、スタイリッシュです。
(続きは下段にて、ネタバレあり)
関連ありそうな記事:
【最近みたDVD】「モンテカルロ・ラリー」| 2020.03.25
→〈三船敏郎〉関連記事
→〈MGM/ユナイト〉関連記事
原題も「Grand Prix」、MGMの3時間近いシネラマ大作です…'66年だけに本作も先ずは止め絵の“OVERTURE”が約4分半、これは近年の予告編タイムに相当するのかもしれませんね?
それにしても「チキ・チキ・バン・バン」冒頭のカーレースから約半世紀と思うと、改めて前世紀の技術的な進展には驚かされます。
旧ル第1話を思い出させる葉巻型のF1マシンながら、まだ当時はテール・ウィングがなかったのね…車載カメラの映像は約半世紀後の現代でも迫力満点、公開時の観客はドライバーだけが知る高速の視界を初めて目撃した訳ですからさぞや度肝を抜かれた事でしょう。
本作では実際のワールド・チャンピオンシップ映像を使用していると思われますが、それと本当にマシンを駈る役者たちの生々しい緊迫と集中力とが違和感なく融合しています…現実には単調にならざるを得ないレース映像が、車載カメラだけでなくコース上からも様々な角度から撮っていて一瞬たりと目が離せません。
しかも画面分割や二重映しを多用する手法で情報量が上がっていおり、観ているだけでレーサー気分の緊張感を味わう事になります。
とにかくモンテカルロ市街を走る序盤のモナコGPといい、フランスを挟んでベルギーはスパの雨を片手で拭いながら走るのも凄い!
例によって100分を過ぎて約1分半の休憩タイム、ドイツは開幕シーンのみでオランダ戦へ…N.Y.とメキシコも省略されてUK戦、そして最終戦はイタリア。
でも本作はドキュメンタリーじゃなく、各地を転戦するライバル同士の物語なんです…友情と恋とか言ってしまうとベタですけど、3時間の長丁場をダレずに魅せるジョン・フランケンハイマー監督の手腕は見事!
音楽はジャン・ミッシェル・ジャールの父モーリス・ジャールが担当、ビジュアル・コンサルタントとモンタージュ及びタイトルがソール・バスだったとはね?
彼のユーモラスな風味でなく、スタイリッシュです。
(続きは下段にて、ネタバレあり)
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ブレーキの故障から後続車に接触したピート・アロン(ジェームズ・カーナー)は、同じ英国チームBRMのスコット・ストダード(ブライアン・ベッドフォード)に大怪我を負わせた事で解雇されインタビュアーに…モナコを制したベテランのジャン=ピエール・サルティ(イヴ・モンタン)はアメリカの女性記者(エヴァ・マリー・セイント)を口説き落としてイイ感じ、彼と同じフェラーリのニノ・バリーニ(アントニオ・サバト)は二輪から転向した若く陽気なシチリアン。
閑職ピートはスコットの元妻(ジェシカ・ウォルター)と急接近、スコットとの因縁も美女には無効かよ?笑
ここでハリウッド初登場の三船敏郎、彼は日本チームのオーナーとしてピートを迎え入れ…雨のベルギーで一躍トップに返り咲いたピート、ジャンはタイヤの破損から沿道に出ていた少年2人を死なせて密かにレースへの恐怖を募らせます。
その一方で顔が藤原ヒロシ似のスコットは、ピートへの怒りと事故死した兄への憧れをバネにオランダ戦から戦線に復帰…とはいえ無理が祟ったかUK戦では不調によりリタイア、2位ピートは炎上フィニッシュでニノが初のトップを獲得。
これで最終レース前の累計得点は、ニノが28点でジャンとスコットは27点…そしてピートは26点、果たして総合優勝は誰になるやら?
レースの後はレーサー同士の飲み会で和気藹々、しかし事故を面白がる野次馬に嫌気が差したジャンは記者ルイーズに弱音を吐露…そして棄権した元夫を見舞った元妻パットは復縁、スコットはピートを許します。
イタリアのモンツァは公道と最速スピードウェイとの混合コース、ここから怒涛の40分!…予選前にオーナーから老いぼれ扱いで引退勧告を受けるジャン、更に社長令嬢の本妻モニク(ジュヌヴィエーヴ・パージュ)の脅しで弱り目に祟り目!
日本チームのキモノ・ガールに浮かれるニノは彼女のリサ(フランソワーズ・アルディ)を放ったらかし、本選直前にフラれます。笑
スタート時のマシントラブルで大きく出遅れたジャン、まさかオーナーに仕組まれた?…しかし執念のスリップ・ストリームで順位を上げて急追、時速290キロで突っ込むオーバル区間のバンクを45周とは正に地獄のハイウェイ状態ですが。
ジャンの死にオーナーは黒旗を決断、チームのリタイアでニノも退場という大波乱…死のバンクはスコットとピートの抜きつ抜かれつ、白熱勝負の末に日本チームが初の栄冠を手にしますがピートはスコットを表彰台に招き遂に和解します。
同時にジャンの訃報を知ったピート、嵐が去った後のような無人のレース場にて物思いに浸る姿で幕切れ。
序盤で多用した画面分割や二重映しを、最終レースでは回想シーンとして使うのは上手い演出でした…それと最初は冷酷に思えたレーサー達が、実は決して心を乱すまいとする一種の職業病だと分からせる演出も。
あとは記者ルイーズにモデルの元妻パットとニノの彼女リザという三者三様の美女も、個人的にはニクい配役だなと思いました…ちょっと年増だけどチャーミングなルイーズに惹かれつつ、薄情なようで情の深いパットもエキセントリックでカリスマ性を秘めたリザもそれぞれ素的なんだよね!
あと出番は少ないけど、ジャン夫人モニクのシャープな美しさもまた魅力的。笑
深読みかもしれませんが、救急車に同乗するモニクもまた本心ではジャンを愛するが故にレーサーを辞めさせたかったのでは?…それが出走トラブルの裏事情だとしたら、取り乱すルイーズと対照的な無言の顔面蒼白も辻褄が合うような。
因みにF1ファンにはマクラーレン創業者のブルース・マクラーレン(ダグラス・マクレンドン役)やデイモン・ヒルの父で世界三大レースの覇者グラハム・ヒル(ボブ・ターナー役)、ル・マン24耐でも活躍したフィル・ヒル(ティム・ランドルフ役)の姿も貴重かと…僕はF1自体に興味はなかったのですが、そういう方々にもオススメです。
| cinema | 2019.12.21 Saturday | comments(0) | - |