最近読んだ本
中柳豪文「日本昭和トンデモ児童書大全」
先日の「インチキガチャガチャ大全」に続き、コチラは辰巳出版「日本懐かし大全」シリーズの一冊です。
5年違いの初版'18年ながら、もしかしたらシリーズとしては同時期に企画されたのかも…ひょっとして、これらは「昭和の終わりに十代だった少年が20年を経てノスタルジックになっちゃった」的な共同幻想の産物だったのでしょうか?
そして案外、こういった類いもスマホやタブレットで読めちゃんですかね…でもサブカルという昭和臭は電子書籍じゃ嗅げないよなぁ、と僕は思うのですけど。
胡散臭い噂と伝聞を真顔で聞かされるような、あのアナログなワクワク感はね!
本書はガチャガチャ・ブーム(?)に先駆けて日本中の子供を虜にした、なんか怪しいオカルト本の類いを蒐集する著者が主観で厳選した91冊を紹介してます。
70年代、ユリ・ゲラーの超能力やらノストラダムスの大予言が流行ったあの頃…アダムスキー型UFOとかネッシーとかファラオの呪いとか、世界は不思議と驚異に満ちていたのです。
高度成長期を経て政治紛争も落ち着き、子供相手の経済が回り始めた時期でもありました…そして80年代を前に登場したヤマトやスターウォーズは、本書に紹介されてるようなトンデモ感とは異なるSFへと子供らを誘なっていくのです。
もっともらしいディテールを備えた空想科学ではなく、飽くまでも詳細不明な現象を語る似非学術書…本書では紹介されていませんが、個人的には最も印象深い「謎の四次元」は正に(科学では説明が付かない事実)のオンパレードでした。
本書では“トンデモ児童書3大レーベル”と称した「ドラゴンブックス」「ジュニアチャンピオンコース」「ジャガーバックス」、また“記憶に残る人気レーベル”として「なぜなに学習図鑑シリーズ」「ユニコンブックス」「世界怪奇シリーズ」「ひばり書房初期ハードカバー」「フタミのなんでも大博士」「大百科シリーズ」を中心に紹介。
各書には判型やページ数、初版年や定価といった詳細も記載しているのも著書自身がコレクター故か…また“図書館の2大定番シリーズ”として「学研まんが ひみつシリーズ」や「少年探偵団シリーズ」なんてのも、って実は児童書全般を集めてるのでしょうか?笑
あとがきによると当時のオカルト児童書は現存数も少なく、今では思いがけない高値が付く場合もあるとか…恐怖のあまり子供が池に捨てたり土に埋めたり、というのも今となっては牧歌的な時代だった感じです。
あの頃に夢中で「ムー」を読めたのも、今から思えば多くが解明されていなかったからなのでしょうなぁ。
夢と科学の分岐点、情報社会の一歩手前で見た他愛ない悪夢…それらを盛り上げていた、陰の功労者たち。
断言文体でオカルトブームを牽引した“トンデモ界のマルチ天才クリエイター”中岡俊哉の他、前衛科学評論家を名乗り水木しげるにも影響を与えたという齋藤守弘や「ジュニア〜」の2作で家を建てたという佐藤有文に元「SFマガジン」編集長で考察に強い南山宏…またポルノ雑誌の耽美な挿絵も手掛けた石原豪人(林月光)に柳柊二、南村喬之(桐丘裕之)らの怪奇画やメカ系では後にボックスアートの巨匠と呼ばれる小松崎茂といった人物伝も短いながら奥行きが増します。
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そして案外、こういった類いもスマホやタブレットで読めちゃんですかね…でもサブカルという昭和臭は電子書籍じゃ嗅げないよなぁ、と僕は思うのですけど。
胡散臭い噂と伝聞を真顔で聞かされるような、あのアナログなワクワク感はね!
本書はガチャガチャ・ブーム(?)に先駆けて日本中の子供を虜にした、なんか怪しいオカルト本の類いを蒐集する著者が主観で厳選した91冊を紹介してます。
70年代、ユリ・ゲラーの超能力やらノストラダムスの大予言が流行ったあの頃…アダムスキー型UFOとかネッシーとかファラオの呪いとか、世界は不思議と驚異に満ちていたのです。
高度成長期を経て政治紛争も落ち着き、子供相手の経済が回り始めた時期でもありました…そして80年代を前に登場したヤマトやスターウォーズは、本書に紹介されてるようなトンデモ感とは異なるSFへと子供らを誘なっていくのです。
もっともらしいディテールを備えた空想科学ではなく、飽くまでも詳細不明な現象を語る似非学術書…本書では紹介されていませんが、個人的には最も印象深い「謎の四次元」は正に(科学では説明が付かない事実)のオンパレードでした。
本書では“トンデモ児童書3大レーベル”と称した「ドラゴンブックス」「ジュニアチャンピオンコース」「ジャガーバックス」、また“記憶に残る人気レーベル”として「なぜなに学習図鑑シリーズ」「ユニコンブックス」「世界怪奇シリーズ」「ひばり書房初期ハードカバー」「フタミのなんでも大博士」「大百科シリーズ」を中心に紹介。
各書には判型やページ数、初版年や定価といった詳細も記載しているのも著書自身がコレクター故か…また“図書館の2大定番シリーズ”として「学研まんが ひみつシリーズ」や「少年探偵団シリーズ」なんてのも、って実は児童書全般を集めてるのでしょうか?笑
あとがきによると当時のオカルト児童書は現存数も少なく、今では思いがけない高値が付く場合もあるとか…恐怖のあまり子供が池に捨てたり土に埋めたり、というのも今となっては牧歌的な時代だった感じです。
あの頃に夢中で「ムー」を読めたのも、今から思えば多くが解明されていなかったからなのでしょうなぁ。
夢と科学の分岐点、情報社会の一歩手前で見た他愛ない悪夢…それらを盛り上げていた、陰の功労者たち。
断言文体でオカルトブームを牽引した“トンデモ界のマルチ天才クリエイター”中岡俊哉の他、前衛科学評論家を名乗り水木しげるにも影響を与えたという齋藤守弘や「ジュニア〜」の2作で家を建てたという佐藤有文に元「SFマガジン」編集長で考察に強い南山宏…またポルノ雑誌の耽美な挿絵も手掛けた石原豪人(林月光)に柳柊二、南村喬之(桐丘裕之)らの怪奇画やメカ系では後にボックスアートの巨匠と呼ばれる小松崎茂といった人物伝も短いながら奥行きが増します。
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| books | 2020.02.09 Sunday | comments(0) | - |