スキャナー・ダークリー [Blu-ray]
スキャナー・ダークリー [Blu-ray] (JUGEMレビュー »)
俳優の仕草や表情をアニメとして再構築する、非常に手間の掛かった映像が生理的に苦手な人もいるでしょうね。
しかしながら出演者も(誰々が出てるから)という理由で観て欲しくはないでしょう、自伝的要素の強い原作を尊重した結果としてのスキャニメーションは実に効果的です。
意義を見出せない業務に延々と従事させられる主人公、彼の破滅を前提とした麻薬撲滅作戦…小さな政府がもたらした民間委託の陥穽、委託された組織間のマッチポンプは緩いディストピアですが。
どこまでが虚構でSFなのか、エンディングには賛否が分かれそう。
紹介記事【2019.07.27】
ブレイク・ビーターズ [ ゴードン・ケメラー ]
ブレイク・ビーターズ [ ゴードン・ケメラー ] (JUGEMレビュー »)
旧東独、といっても今じゃ通じなさそうですが…80年代の社会主義国でヒップホップに目覚めちゃった若者と、彼らの活動を体制翼賛に取り込もうとする当局との丁々発止を描く青春コメディ。
飼い慣らそうとする権力側と調子を合わせつつ苦悩する主人公たち、ベルリンの壁が崩壊して彼らを待ち受けるラストのほろ苦さとタフさに男泣きです。
自分でいる事を描いている点で、英国のサルサ映画「カムバック!」と併せてオススメ。
紹介記事【2019.11.02】
ダーリン・イン・ザ・フランキス 1《完全生産限定版》 (初回限定) 【Blu-ray】
ダーリン・イン・ザ・フランキス 1《完全生産限定版》 (初回限定) 【Blu-ray】 (JUGEMレビュー »)
荒廃した世界で生き残りを賭けて地底人と戦う少年少女、その謎が明らかになるにつれ絶望の色は増すばかりですが…絵空事に潜む「茶色の朝」の未来、大人目線で子供たちの希望を切に願ってしまいました。
次の世代のために何が出来るだろう、この気持ちを失わずにいたいです。
紹介記事【2019.08.28】
月曜日の友達(1-2巻 全巻) 全巻セット
月曜日の友達(1-2巻 全巻) 全巻セット (JUGEMレビュー »)
中学生になったばかりの頃の、世界の拡がりに戸惑う姿は性別や世代を超えて響きますね。
作画力もストーリーテリングも卓越してます、些細な一瞬を捉える巧さが。
忘れていた何か、忘れたくなかった何か…最後のコマに、胸が苦しくなりました。
紹介記事【2019.11.11】
TVアニメ『プラネット・ウィズ』オリジナルサウンドトラック [ 田中公平 ]
TVアニメ『プラネット・ウィズ』オリジナルサウンドトラック [ 田中公平 ] (JUGEMレビュー »)
(↑※サムネイルのリンクはサントラにしています)
所謂スピリチュアルなストーリーでありながら、どこか70年代アニメっぽいお約束とフォーマットをごちゃ混ぜにして力技で着地させたような奇想天外さが独特。
戦隊ヒーローに学園モノ、ジャンプ的な熱血インフレ勝負など…ネタの重ね掛けでも訳分からなくならない見事な構成、思いがけずラストに泣かされました。
正義のあるところに悪がある、よって正義は愛ではない…ならば善とはなんなのか? 先ずはご覧あれ。
紹介記事【2019.09.10】
ポルノ☆スターへの道 [ ニック・スウォードソン ]
ポルノ☆スターへの道 [ ニック・スウォードソン ] (JUGEMレビュー »)
ラジー賞を独占した下ネタ満載ムービー、とりあえず下品ですけど線引きはキッチリしてますね…笑わせる内容は、少なくとも男性なら他人事じゃないというか。
女性同士の巨乳幻想みたいなね、目の付け処が上手いなぁと。
まぁ万人向けではないにせよ、僕は感心しつつ大笑いしました。
紹介記事【2019.10.17】
夜長姫と耳男 (岩波現代文庫) [ 近藤ようこ ]
夜長姫と耳男 (岩波現代文庫) [ 近藤ようこ ] (JUGEMレビュー »)
原作者の作品は知らないので、本作は衝撃的でした…こんな物語が書かれていたのかと、まるで伝承の聞き書きか夢を書き起こしたような浮遊感!
印象としては南伸坊が中国の怪異譚を漫画にした「仙人の壺」に近い、無闇に説明しようとしない描線のアッサリ感が素晴らしいです。
空白の多さに、却って想像力を掻き立てられました。
紹介記事【2019.11.25】
さよならの朝に約束の花をかざろう 通常版 [Blu-ray]
さよならの朝に約束の花をかざろう 通常版 [Blu-ray] (JUGEMレビュー »)
不老不死というか不死者の物語にハマっているとはいえ、ファンタジー世界が舞台だとなぁ…と思ってましたが、不死者の(一般的な寿命の人間社会で生きる哀しみ)というツボを丁寧に描いていて好感が持てました。
寓話的なラストが作品世界と相まって、爽やかに切ないです。
紹介記事【2019.09.23】
おとなのけんか [ ジョディ・フォスター ]
おとなのけんか [ ジョディ・フォスター ] (JUGEMレビュー »)
血生臭い原題の割に、ほぼダイニング一間で完結している会話劇です。
子供の喧嘩に親が出て、大人同士で和やかに話し合って解決する目論見が破綻してエスカレート。
隣人を愛せれば戦争なんて起きない訳で、そんな皮肉な原題と裏腹に子供同士は親心を知らず…淡々としてますが大いに笑わせてくれます、個人的にはオススメ。
紹介記事【2019.10.22】
【中古】 山本耳かき店 ビッグCスペシャル/安倍夜郎(著者) 【中古】afb
【中古】 山本耳かき店 ビッグCスペシャル/安倍夜郎(著者) 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
耳かき店ブームの火付け役、なんて書いては申し訳ないのですけども…決してブームに便乗した後追いではない、と。
穏やかな時間の流れる小さな町で、耳かき屋さんを訪れる客の脳内イメージが秀逸です。
こんな表現があったのか、こんな漫画があったのかと目からウロコ耳から(略)。
紹介記事【2019.12.23】
グラン・プリ [Blu-ray]
グラン・プリ [Blu-ray] (JUGEMレビュー »)
最初はソール・バスの映像分割がスタイリッシュというより情報過多に感じましたが、それが後から効いて来るんですね…世界各地を転戦するF1レーサーと彼らを取り巻く人間模様が主軸ながら、走行シーンも見甲斐があります。
クールなドラマと60年代のムードが、ダンディな三船敏郎も含めて現代とは別世界のようです。
紹介記事【2019.12.21】
絵はがきにされた少年 [ 藤原章生 ]
絵はがきにされた少年 [ 藤原章生 ] (JUGEMレビュー »)
アフリカに対する先入観や固定観念が、ことごとく覆されます…偏見を持たないように心掛けていたつもりでも、日本にいて伝わってくる情報自体にバイアスが入っている訳ですが。
西欧支配の呪縛に歪められた各地の民族性や搾取の構造など、日本では見えにくい暗部が著者の目を通して見えてくるようで。
アフリカの話であり、同時に現代の実像でもあるのでは?と。
紹介記事【2019.09.1】
【中古】 マンガでわかる 戦後ニッポン /手塚治虫(著者),水木しげる(著者),つげ義春(著者),はるき悦巳(著者),ちばてつや(著者) 【中古】afb
【中古】 マンガでわかる 戦後ニッポン /手塚治虫(著者),水木しげる(著者),つげ義春(著者),はるき悦巳(著者),ちばてつや(著者) 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
現代に至る国内の移ろいを漫画に語らせる好企画アンソロジーです。
漫画にしか出来ない表現は、例えば三輪自動車が走る風景でありリンチされる米軍の操縦士であり…基本的に主観視点であるが故の、俯瞰の効く文学表現よりも接地した仮想体験なのかも。
いわば漫画こそが伝え得た戦後の一片、切り口を変えて続けてもらいたいですね。
紹介記事【2019.12.12】
あきれたあきれた大作戦 [ ピーター・フォーク ]
あきれたあきれた大作戦 [ ピーター・フォーク ] (JUGEMレビュー »)
笑いって鮮度があると思ってました、本作を観るまでは。
先が読めずに引き込まれましたが、確かに繰り返し観たくなるかも…計算されたシナリオが効いた笑いと、映像的な古さもまた味わい深いです。
スタンダードでバカバカしくて無駄のない、意外な傑作。
紹介記事【2019.12.10】
人気マンガ・アニメのトラウマ最終回 極限編 [ 鉄人社編集部 ]
人気マンガ・アニメのトラウマ最終回 極限編 [ 鉄人社編集部 ] (JUGEMレビュー »)
面白可笑しい切り口で紹介されてるので、ファンの方にしてみれば物申したい点も多々ありそうですが。
様々な事情から意外な最終回を迎えていた、有名な作品の数々に先ずビックリ…知って何かの役に立つ訳ではありませんけど、やはり切り口が面白いのですよ。
紹介記事【2019.09.24】
【国内盤CD】【ネコポス送料無料】ファウンテインズ・オブ・ウェイン / トラフィック・アンド・ウェザー
【国内盤CD】【ネコポス送料無料】ファウンテインズ・オブ・ウェイン / トラフィック・アンド・ウェザー (JUGEMレビュー »)
「Stacy's mom」の青春パンクをイメージしてたら好い意味で裏切られました。
どこかSDP「スチャダラ外伝」に通じる旅アルバム、共通する根っこは世代なのかグローバル環境なのか…しかしELOっぽさを連想させるサウンドも厭味なく無理して頑張ってない感じだし、三人称のスキットみたいに様々な切り口で綴られる旅の寸描が詩的。
パッキング上手で飽きさせない仕上がりかと。
紹介記事【2019.07.08】
【中古】[PS2]ローグギャラクシー ディレクターズカット(Rogue Galaxy Director's Cut)(20070321)
【中古】[PS2]ローグギャラクシー ディレクターズカット(Rogue Galaxy Director's Cut)(20070321) (JUGEMレビュー »)
無印版も僕は楽しめましたが、ダレ要素を改善して全体的にボリューム・アップしておりオススメです。
難を言えば、このDC版では攻略本が出てない事ですね…特に武器の合成レシピが違っているし、追加武器はノーヒントで試行錯誤の連続に。
水の惑星にある3連宝箱は、多分エリアボスに乗って飛び移らなきゃ取れないと思うので、これからプレイする方は気を付けてね!笑
紹介記事【2018.07.19】
【中古】PS2 スターオーシャン3 Till the End of Time
【中古】PS2 スターオーシャン3 Till the End of Time (JUGEMレビュー »)
ディレクターズ・カット版が出てるようなので、そちらをオススメします。
僕も終盤でメニュー画面を開こうとしてブラックアウトや異音と共に「ディスクからデータを読み込み中です」と表示されたままフリーズでプレイ断念中です。笑
リアルタイム・バトルの忙しさは好みの問題として、城下町などの雰囲気が最高!
中世レベルの惑星に来た主人公がハイテク宇宙人側、という立ち位置はユニークで楽しめました。
紹介記事【2018.07.25】

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最近読んだ本
一橋文哉「外国人ヒットマン」

初版'19年、KADOKAWA刊。
図書館の新着本コーナーで目に止まって衝動借りしちゃいました、なんか国内の犯罪絡みって「週刊大衆」だか「週刊ポスト」だかみたいだと引いちゃうんですけどね…逆にCIAとか海外組織の話だと何故か興味が湧く事もあって、本書に関しては後者のノリです。
しかし恐ろしい話ですな、来日した足でサクッと済ませて即帰国という日帰り殺人旅行…偽造パスポートだから追跡調査も難しく、しかも近隣諸国とは犯人引き渡し条約を締結してない点が利用されてる節もあり。
読み終えた直後、依頼人から底辺下請けまで5人が芋づる逮捕されるニュースが!?

そのニュースは関係者全員が中国内にいたから、本書のような越境パターンとはまた事情が異なる訳ですが…いくら人口が多いからって、凄まじい数のヒットマンが営業してるのね中国。
台湾組織と連携する福建省マフィア、残留帰国二世が多数活躍する東北マフィアなど拠点毎に得意とするシノギがあるそうで…大陸マフィアの老舗で国外展開を早める香港系に急成長を遂げた韓国系、同盟国マレーシアを足場にする北朝鮮工作員など闇のビジネスも国際企業顔負けのグローバル化が進んでいるのですな?
例え主犯の目星が付いても実行犯が別にいて、繋がりの証明は出来っこないと。

著者は「グリコ・森永事件」や「宮崎勤事件」など様々な犯罪ノンフィクションを手掛け、本書に紹介されている裏社会絡みの凶悪な未解決事件を扱う著作も。
それらに比べると本書の内容が浅く広くなるのも已む無しで、そもそも解決してない事件ですからディープな情報も期待出来ません。
ほとんどがネット上の噂レベルで目新しさはありませんが、それらも本書のように裏とコンタクトが出来る情報源が出所ならば話半分が話八割ぐらいには思えてきそう…ライブドア/王将/世田谷/ナンペイといった事件の実行手口と仲介役、ヒットマン派遣組織の動向までを追える構成です。

ライブドア“懐刀”沖縄暗殺で二重三重に派遣されていたヒットマン達、世田谷一家惨殺犯の足取りと近況…王将社長射殺と金兄毒殺の関連性、フィリピン人の八王子スーパー強盗計画を乗っ取った中国人ヒットマン辺りは自分の行動範囲に近く通りすがりで巻き添えにされかねない恐怖感満点。
潜伏先の定番フィリピンに建つ最新鋭の演習施設やカンボジアに移住した元G組長とオウム残党の密着などは、台湾や韓国以上に今から行く気は起きなくなります…微妙に読みにくく感じるのは色々とボカシたいからなのか、というよりは自分に裏社会の基礎知識が足りないせいなのかもしれません。


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以下、個人的メモ

“中国外務省は同制度を五十年間適用することを定めた一九八四年の中英共同声明について、早々に「既に現実的な意義はなくなった」と述べ、事実上反故にしようとしている”(p.24)

“二〇一七年に香港島の中心地・中環(セントラル)で契約されたオフィス面積の五二パーセントは中国企業が借り主だった(中略)中環のオフィス賃料は瞬く間に高騰し、ロンドンなど大都市の一・五倍に達した”(p.27)

“二〇一七年上半期の新規株式公開(IPO)による資金調達額、香港証券取引所が六十九億ドルで、上海証券取引所の百十億ドルや深セン証券取引所の七十一億ドルという中国勢にも抜かれ、世界四位に転落した(中略)香港証券取引所で上場株の時価総額に占める中国企業の比率は何と六三パーセントに達しており、地元香港企業の三〇パーセントを大きく上回っている(中略)やがて上海市場があらゆる取引がおこなえるようになり、十年以内には上海市場で出来ない金融取引はなくなるに違いない”(p.27)

“中国政府による二十年間にわたる事実上の統治を経て、香港市民の生活水準はかなり低下し、貧富の格差が広がっている”(p.34)

“宮崎さん一家の周辺には、言葉の発達が遅れ気味の長男の教育問題に絡んで親しく交流している「金田秀道」(仮名)氏という宗教団体に関係する在日韓国人の男性がいて、金田氏との間で金銭賃借をめぐりいろいろとトラブルがあったことが、世田谷一家惨殺事件の起きる要因となっている”(p.100)

“宮崎さん宅も二〇〇〇年三月に立ち退き交渉がまとまり、都は既に土地売却料と物件移転補償費の一部を支払っており(中略)総額一億数千万円余に上るカネを狙っての犯行だったのではないか”(p.107)

“宮崎さん宅から都立祖師谷公園に向かう逃走経路の延長線上に、金田氏が所属する団体の関連施設、つまり隠れ家があった(中略)金田氏によって米国の訓練センターに送り込まれ、優秀な殺人兵器として育てられた李は十分に実行犯となり得た(中略)金田氏が所属する宗教団体はコリアンマフィアなどの殺し屋候補生を入信させて洗脳した後、韓国と米国の退役軍人らが創設した銃撃と格闘技、特殊技能などの専門学校に二年間留学させ、一流のヒットマンに育成するという(中略)闇の整形業者たちはヒットマンたちの顔形はもちろん、歯並びから指紋まで変える”(p.108)

“我が国で「チャイニーズマフィア」といえば、まず最初に思い出されるのは台湾か香港の(中略)二大組織は日本の暴力団とも交流を持ち、麻薬や拳銃の密売を行ってきた(中略)台湾マフィアに代わって上海マフィアが台頭し、そこに福建、広東省のマフィアが加わった(中略)密航者の輸送と世話、仕事の斡旋などで大いに潤った「蛇頭」を支配してきた福建省マフィアが一大勢力として君臨した(中略)「蛇頭」はもともと、日本に不法入国した不良中国人のグループが結成した組織が始まりで(中略)新たに大々的に偽装結婚ビジネスを担ったのが中国東北部を拠点とし台頭著しい東北マフィアであった(中略)「怒羅権」グループは中国からの帰省者、いわゆる中国残留日本人孤児の少年たちが結成した暴走族がマフィア化した犯罪集団で、日本の暴力団と手を組んで共存共栄を図ってきた”(p.118)

“広東省だけでも四川省や重慶市出身の農民工が三千万人近くも流入しているというから、いくら探しても仕事や住居は見つからない(中略)仮に職を得て都市に定住しても、都市戸籍は得られず、二級市民として差別されたまま(中略)そうした連中が、来日するチャイニーズマフィアの兵士たちになる(中略)中国より日本の方が量刑が軽いなどという風評が広がり、犯罪者や貧困者の日本への流入が止まらない”(p.125)

“安渓県はかつて茶の産地として知られていたが、今では「電信詐欺の里」などと呼ばれるほど犯罪に手を染める住民が多いとされる。もはや「村ぐるみの産業」と言われるまでに発展したという”(p.127)

“東北マフィアが圧倒的に強かったのは、その構成メンバーの多くが中国残留孤児の二世か三世か、あるいは親族などの関係者(中略)として既に日本で生活しているうえ、日本国籍を有していただけに、後に続く中国人たちの偽装結婚の相手は事欠かなかった”(p.128)

“中国東北部はかつて「満州」と呼ばれた遼寧、吉林、黒龍江省の三省に跨がる広大な土地で(中略)最北部のロシア・シベリア開発に積極的に参入し、その前線基地の役割を果たすとともに、北朝鮮との貿易窓口として「瀬取り」と称する海上取引など秘密の貿易交渉も行っており(中略)二〇一三年まで十年間続いた胡錦濤政権が自らの歴史的な偉業達成を意識し、大連市を中心とした東北部に多額の国家予算を投入した”(p.130)

“「清龍会」をはじめとする福建マフィアの面々に対し、情報提供や活動支援などを行い、内部に食い込んでいた広域指定暴力団系の企業舎弟にKという男がいた。彼はいきつけのスナックでホステスとして働いていた稲垣さんに、スーパー「ナンペイ大和田店」に勤めるよう強く働きかけていた(中略)Kの情報収集は慎重かつ徹底しており、例えば息の掛かった中国人ホステスを店長に近づけ(中略)稲垣さんの話し相手になって、さらなる情報収集を行っていたが、「上海から来た」と言いながら実は福建省出身で、「清龍会」のメンバーだった(中略)店長をたらし込んでいた別の中国人ホステスもおり、彼女も事件後に消息を絶っている(中略)稲垣さんが犯人に対し「話が違う」と漏らしたことは(中略)強盗団と言うより「滅族・滅門」(一家皆殺し)を得意とする凶悪な連中がいて、今回の事件ではそうした人物が強盗団の代わりに現場に行った”(p.153)

“二〇一七年七月に中国政府への忠誠を誓い、その後押しを受けて香港の行政長官に就任した林鄭月娥(キャリー・ラム)氏がこれまで実施したことと言えば、今回の「逃亡犯条例」改正をめぐる混乱のほかに、一四年の緩やかな反政府デモ「雨傘運動」に参加した活動家の処罰、反対派立法会議員の議員資格剥奪、独立を主張する政治団体の活動禁止、英紙編集者のビザ更新拒否、中国職員による高速鉄道駅での出入境審査を認める「一地両検」の実施……など、中国政府が突きつける公式・非公式を問わない無理な要求に対し、一つ一つ丁寧に応えていったに過ぎなかった”(p.161)

“返還時に中国のGDP(国内総生産)の二〇パーセント以上を占めていた「経済の香港」が今や三パーセント前後にまで落ち込むなど、街の経済と人々の暮らしぶりは良くならず、頭脳と資金を持った香港市民の海外流出は未だに後を絶たない”(p.162)

“事件発生の直前まで交際していたとされる土建・不動産会社社長が事件現場付近に居住するフィリピン人の男に稲垣さんの殺害を持ちかけたとする疑惑が濃厚となり(中略)社長の背後に暴力団や右翼団体が潜んでいて、その人脈の先にはフィリピンの政治家や軍閥、闇社会の面々の名前が連なっていることが分かった(中略)情報を寄せてきたフィリピン人は行方不明になっており、実行犯の存在を示す有力情報や証人が次々と姿を消し、結局、捜査員たちは実行犯を追い詰められないまま、帰国せざるを得なかった”(p.177)

“マニラ市で二〇一四年〜一五年、山梨県韮崎市の整骨院経営者(当時三十二歳)と同県笛吹市の会社役員(同四十二歳)の男性二人が殺害される事件が発生(中略)主犯の男は「保険の手続きは善意でやったこと。私は一度もフィリピンに行ったことはないんです」と堂々と主張した(中略)後に取材すると、フィリピンで関係した人物は、日本人、フィリピン人を問わず全員が変死したか行方不明になっており、裏に潜む暗殺請負組織が手を伸ばした可能性が高くなっている”(p.178)

“広域指定暴力団の組長を辞めて移住し(中略)カタギとして事業を営むG元組長の(中略)息のかかった居酒屋や飲食店が多いだけに、カンボジアの日本人社会はG元組長が事実上支配している(中略)社会資本の整備が遅れている分土地代や人件費が安く、政治体制が不十分な国柄だけに政治家や官僚、警察官などを賄賂と接待漬けにしておけば、何でもやりたい放題という大いなる利点がある(中略)先に進出し成功を収めている(G元組長のような)日本人の存在は頼りになる(中略)どこにでもチャイニーズマフィアがいる。いきなり彼らと連携は出来んから”(p.187)

“特に日本の企業や老舗店舗、年金資金を捻出するのに四苦八苦している各業界ファンド団体を標的にして、多額の資金を騙し取るマネー犯罪を画策している連中が、関係する暴力団組織を引き連れて続々とカンボジアの地に現れた(中略)現在はすっかり一線から退いた感のあるG元組長だが、現役時代には華僑人脈を通じて中国人ヒットマンとも連携しており(中略)まさに「恐ろしくて強力な爺」(本人の弁)”(p.191)

“積極的な活動ぶりで目立っているのが韓国系暗殺請負組織であり、最も熱心にG元組長周辺に接触を試みている人物こそが、一九九五年の地下鉄サリン事件などで教祖の麻原彰晃以下多くの幹部が逮捕され、教団壊滅の危機に陥っていたオウム真理教の元幹部で、新しい教団を設立する動きを見せているXと、その新しい弟子たちであった(中略)G元組長の側近だった人物とともに暗殺者グループの情報を豊富に持ち、暗殺者の斡旋、仲介業務を担っている(中略)暗殺・テロ行為の計画立案や犯行サポートには、日本やカンボジアにいるオウム真理教の残党たちが深くかかわっており(中略)国際犯罪ネットワークの拠点として稼働している”(p.192)

“今でも釜山には密航ビジネスの拠点としての名残りはあるが(中略)北朝鮮出身者を中心とする大がかりなマフィア集団が含まれており(中略)広域指定暴力団系の企業舎弟が北朝鮮に産業廃棄物を持ち込み、埋め立てに使ったり、代わりに覚醒剤やアサリ、カキなどの海産物を密輸入して(中略)いったん国内の海岸にばらまいた後で回収する手口で善意の第三者を装って法の網をくぐり抜け(中略)北朝鮮ルートの覚醒剤とタイルートのアヘンを中国船を使って密輸し、海上で北朝鮮の漁船と接触し、アサリなどと一緒に(中略)いったん福建省に拠点を置く中国籍漁船に乗せ換え、暴力団事務所がある鳥取県境港港に係留中の漁船と尖閣諸島近くの公海上で取引する”(p.196)

“かつてG組は山口組きっての武闘派として知られ、突出した資金力で(中略)山一抗争や伊丹十三監督襲撃事件で悪名を馳せたが、G元組長は有名人とのゴルフコンペで除籍処分を受けて組を解放した。その後で、一一年にカンボジア国籍を取得して移住した(中略)周囲にはオウム真理教の残党もいるし、暴力団同士の抗争事件やオウム真理教幹部の村井秀夫の暗殺にも関わった弘道会系下部団体の暗殺組織「十仁会」の面々も控えており(中略)日本人ではあるものの、それらの国民からすれば外国人ヒットマンなのだ”(p.198)
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