最近みたDVD
「Planetarian 〜星の人〜」(←リンク先はTSUTAYA作品情報)
これは先日みた「ワンダフルデイズ」で声優の大木民夫を知り、Wikipedia情報で更に興味を持ちまして。
で、更に本作のWikipedia情報で“日本のアニメ作品の中で唯一主役を演じた作品であり、アニメ作品における遺作となった”と読んで借りてみた次第なのです…原作のKEYって確か美少女PCゲーのメーカーだった筈なので不安はあったものの、あんまり前情報を仕入れずに観てみました。
まぁADVっぽい美少女キャラは出てきましたが1体だけですし、荒廃した未来という世界観も目新しくはないにせよ作り手の熱意と丁寧さが伝わってきたし話にも好感が持てました。
先日の「クロノス・ジョウンターの伝説」同様、話の前後に現在形の物語があって中間に長い回想を挟むという構成なのですが…変わり果てた現在(遠未来)と既視感を覚える過去(近未来)の断絶ぶりが効いてますね、その大状況が繋ぐ主人公の生き様に(そう来るか!)と感心しちゃいましたよ。
美少女ロボの設定が「メンテナンスの受けられない立場」で天然っぽい喋りのウザさに理由を与えたのも上手いです、萌え要素が苦手でも違和感なく引き込まれましたし…「ロボットの死」というブラッドベリ的な展開の伏線にも、って本作に関してはネタバレしたくないので詳細は下段で!笑
本作を観終わって何故か脳内再生されたYEYEの「ゆらゆら」という歌といい、少なからず日本の現代社会には杉浦日向子の使った“乾いた絶望”とはまた異なる明るい終末の諦感が漂っている気がして…80年代から顕著な傾向ではあれど未だ世紀末思想から脱却し得ていない薄暗いムード、それは仮想現実に偏った発展と反比例するように停滞を続ける物理的な世界のアンバランスさに起因しているのかも?なんて思ったり。
いわば失われた知識の語り部として空が見えない世界で敬われた“星の人”も、実利主義にならざるを得ない時代では見向きもされないとか現代そのものです。
(下欄に続きます、ネタバレあり)
→〈祈り・巡礼〉関連記事
これは先日みた「ワンダフルデイズ」で声優の大木民夫を知り、Wikipedia情報で更に興味を持ちまして。
で、更に本作のWikipedia情報で“日本のアニメ作品の中で唯一主役を演じた作品であり、アニメ作品における遺作となった”と読んで借りてみた次第なのです…原作のKEYって確か美少女PCゲーのメーカーだった筈なので不安はあったものの、あんまり前情報を仕入れずに観てみました。
まぁADVっぽい美少女キャラは出てきましたが1体だけですし、荒廃した未来という世界観も目新しくはないにせよ作り手の熱意と丁寧さが伝わってきたし話にも好感が持てました。
先日の「クロノス・ジョウンターの伝説」同様、話の前後に現在形の物語があって中間に長い回想を挟むという構成なのですが…変わり果てた現在(遠未来)と既視感を覚える過去(近未来)の断絶ぶりが効いてますね、その大状況が繋ぐ主人公の生き様に(そう来るか!)と感心しちゃいましたよ。
美少女ロボの設定が「メンテナンスの受けられない立場」で天然っぽい喋りのウザさに理由を与えたのも上手いです、萌え要素が苦手でも違和感なく引き込まれましたし…「ロボットの死」というブラッドベリ的な展開の伏線にも、って本作に関してはネタバレしたくないので詳細は下段で!笑
本作を観終わって何故か脳内再生されたYEYEの「ゆらゆら」という歌といい、少なからず日本の現代社会には杉浦日向子の使った“乾いた絶望”とはまた異なる明るい終末の諦感が漂っている気がして…80年代から顕著な傾向ではあれど未だ世紀末思想から脱却し得ていない薄暗いムード、それは仮想現実に偏った発展と反比例するように停滞を続ける物理的な世界のアンバランスさに起因しているのかも?なんて思ったり。
いわば失われた知識の語り部として空が見えない世界で敬われた“星の人”も、実利主義にならざるを得ない時代では見向きもされないとか現代そのものです。
(下欄に続きます、ネタバレあり)
→〈祈り・巡礼〉関連記事
吹雪の夜に行き倒れた老人と彼を救護したシェルター、そこは戦乱の果てに緩やかな滅びを辿る未来…世界を知らない子供たちと「星の人」と呼ばれた男の交流、その長い旅の終焉とささやかな救済が描かれます。
といっても大半は「星の人」として生きるに至った老人の、青年期の回想が大半を占めるので…むしろ「屑屋」時代の青年と廃墟化したプラネタリウムに残されていた案内嬢との物語、というべきかもしれません。
人類の黄昏もロボットの死もSF創成期から語られてきたテーマでありながら、こうした有終の美は語り口次第で古びる事なく語り継がれて行き得るのですね。
放棄された無人の封印都市に侵入し、未だ活動する対人戦闘機械の監視を潜って有用な物資を回収する「屑屋」の男…デパート屋上施設に放置された案内嬢ロボットは僅かな非常用電源で稼働しており、データ更新も受けられず“少し壊れて”プラネタリウム外の30年が経過した人類社会の状況を把握出来ていません。
時に滑稽で鬱陶しい案内嬢ではありますが、幸福だった世界の遺産である事を思い出させてくれるのです。
彼女に救われた青年は遺されたメモリーチップを胸に、自作の小型機で人々に星の灯影を見せながら旅して来ました…彼女との約束を果たすためか、あるいは?
行き倒れた彼を助けた子供たちは、手作りの天幕で見果てぬ世界を知り希望に胸を膨らませます…しかし現実は僅かな人類も減少の一途で老人を留める余裕どころか、星を見る余地すら人々には残されていません。
退去を命じられた「星の人」は子供たちに本と機材を託し、余命が尽きんとした瞬間に捜し続けていた自動人形と出会います…嘘みたいな結末ではなく実は夢も希望もない話ではありますが、その意味を得た彼の人生は心を揺さぶりました。
死に際に(報われた)と思える事の有り難さ、そしてエンドロールが終わっても煌めき続けた星々の演出にも深い余韻を味わいました。
直接の関係はありませんが、きっと「夢みるように眠りたい」で涙した人なら本作でも静かな感動を受ける筈…青年期の描写や案内嬢ロボットに抵抗を覚える人も少なくはないでしょうけれども、観る価値のあるアニメだと僕は感じました。
「星の人」を演じた大木は役者を意識させない声で、適役だったのかも分からなかったな…そういえば「FF12」のアナスタシス大僧正CVも「ワンダフル〜」総督同様、出番は短かったけど印象に残ってます。
「屑屋」CVの小野大輔は「009」ジェット/「GANTZ:O」加藤/「黒執事」セバスCVとニヒルな役が多いのね、しかし「侍」ドナ・ドナの声も出してたとは!
| animation | 2020.01.25 Saturday | comments(0) | - |