最近みたDVD
「DOPE / ドープ!!」(←リンク先はTSUTAYA作品情報)
映像特典の「日本版予告編」を先に観たら、制作総指揮はN*E*R*Dのメンバーというか「Happy」のファレル・ウィリアムスだったの?!…といっても複数の内の一人みたいですね、むしろ僕はプロデューサーのフォレスト・ウィテカーが気になってたんですけど。
まぁファレルが噛んでるだけあって、彼が提供した楽曲など全編90年代ラップ愛と直球加減のハズし方が独特な'15年のコメディ。
最初にドープの意味解説、一に「違法な薬物」二に「まぬけ」…そしてスラングでは「素晴らしいの意味」ってよく知らないけどホントかね、でも正にタイトルどおりのストーリーかと。
冒頭からデ・ラ・ソウルにDr.ドレーのポスターやN.W.A.のCDといった室内、そして父親から送られて来たビデオは「スーパーフライ」!…カリフォルニアのイングルウッド、通称ホトムズ(どん底)にありがちな貧困地域の母子家庭です。
マルコムは90年代ヒップホップ・オタク、中東系混血のジブ&男装ビアンのディギーというギーク仲間とつるんで当時のMTVを観て言葉遣いや格好を真似したり…スクールカーストもド底辺で運動部にボコられ、うっかり抗争の巻き添えで殺されかねない暮らし。
白人っぽい趣味を笑われ、白人みたく勉強して大学を目指す変わり者3人組。
大学入試作文は「アイス・キューブについて」じゃなく、自分自身の家族や生活をテーマにしろと教師に助言され…ちゃんと聞いてた?と思わせて、どんでん返しを繰り返しつつも見事な着地を決めてくれました。
売人ドムの「MCハマーみたいなパンツ穿いて」とか“最悪なのはフレッシュ・プリンス”でニヤリ、シャーデー美女ナキアに誘われ入り込んだパーティーでSWAT突入ドンパチに巻き込まれつつ彼女を救出し「高卒認定試験に合格したらプロムに行って」と頼み込む度胸は大したもんだ!笑
そこからパーティー現場のMDMAを巡る、とんだハプニングが始まりまして。
(下段に続きます)
映像特典の「日本版予告編」を先に観たら、制作総指揮はN*E*R*Dのメンバーというか「Happy」のファレル・ウィリアムスだったの?!…といっても複数の内の一人みたいですね、むしろ僕はプロデューサーのフォレスト・ウィテカーが気になってたんですけど。
まぁファレルが噛んでるだけあって、彼が提供した楽曲など全編90年代ラップ愛と直球加減のハズし方が独特な'15年のコメディ。
最初にドープの意味解説、一に「違法な薬物」二に「まぬけ」…そしてスラングでは「素晴らしいの意味」ってよく知らないけどホントかね、でも正にタイトルどおりのストーリーかと。
冒頭からデ・ラ・ソウルにDr.ドレーのポスターやN.W.A.のCDといった室内、そして父親から送られて来たビデオは「スーパーフライ」!…カリフォルニアのイングルウッド、通称ホトムズ(どん底)にありがちな貧困地域の母子家庭です。
マルコムは90年代ヒップホップ・オタク、中東系混血のジブ&男装ビアンのディギーというギーク仲間とつるんで当時のMTVを観て言葉遣いや格好を真似したり…スクールカーストもド底辺で運動部にボコられ、うっかり抗争の巻き添えで殺されかねない暮らし。
白人っぽい趣味を笑われ、白人みたく勉強して大学を目指す変わり者3人組。
大学入試作文は「アイス・キューブについて」じゃなく、自分自身の家族や生活をテーマにしろと教師に助言され…ちゃんと聞いてた?と思わせて、どんでん返しを繰り返しつつも見事な着地を決めてくれました。
売人ドムの「MCハマーみたいなパンツ穿いて」とか“最悪なのはフレッシュ・プリンス”でニヤリ、シャーデー美女ナキアに誘われ入り込んだパーティーでSWAT突入ドンパチに巻き込まれつつ彼女を救出し「高卒認定試験に合格したらプロムに行って」と頼み込む度胸は大したもんだ!笑
そこからパーティー現場のMDMAを巡る、とんだハプニングが始まりまして。
(下段に続きます)
大枠は青春コメディなのでヤバいエリアのユース・カルチャー盛り々々&無理めなハッピーエンドなのは大目に見てください、ご都合主義ではあれどもう一度観たいと思わせる不思議な味があります…多分ラップのリリックまで分かれば面白いんだろうな、あと何故ブツが“モリー・リングウォルド”?っていうのも。笑
ブラッズとクリップスのブツ揉めから「ウチの高校じゃオールAでも無理」と言う割にハーバード卒のOBオースティン・ジャコビーと面接、3人のバンド名がオレオというベタさはともかくAJのエロ娘リリーの“モリー”ってる白昼放尿に闇サイト運営と大忙し。
個人的にラストショットで見せるマルコムの眼差しがグッときました、演じたシャメイク・ムーアといいラッパー系の出演者が多かったようですね…ブラッズを仕切るドミニクもそうだしAJの息子ジェイリール役も確かそうだったような。
それとドムも昔は青少年育成計画(ボーイズ・クラブ)に参加しててAJの手下になってたり、ビクトリアズ・シークレットのシャネル・イマン演じるリリーも動画拡散で散々だけど“パパみたいなウソつきになっちゃダメ”と言ったりして。
貧困と犯罪が隣り合わせの町から脱け出せない、まるで「スーパーフライ」の哀しみが漂ってくるようで。
象徴的なのがゾーイ・クラヴィッツ演じるナキアで、ドン底から抜け出すため大学を目指す彼女はマルコムも結局はブツに関わってると知って失望しますが…仲直りしたプロムの夜と翌朝の合否通知で僕は「サタデー・ナイト・フィーバー」を思い出しました、そういえばマルコムが危ない一線を越える寸前の終わった感でも…現状に甘んじた先の地獄と脱け出すために踏み出して終わる感じは、似てるという話ではなく個人的に掴まれちゃうんですよ!
ってこうして考えると、僕が本作に妙な魅力を感じるのはマイ・フェイバリットな2作の美味しいトコを彷彿とさせるからなのかも?
でもそれだけじゃないのはカリフォルニアの今っぽさであり、ラスト10分でマルコムが語る「成績優秀で健全な少年」&「片や貧困地区の母子家庭でドラッグ売買」という分かりやすいストーリーでもあります。
“僕が白人でも同じ質問を?”の「黒人映画は人種差別を掲げる」パターン+エンドロールの「黒人だからブレイクダンス踊れるよ」的な紛らわしい逆説性は、敢えてパターナリズムの典型を自ら持ち出してるようで…つまり観客自身の習慣化した幻想的現実処理を指摘し、それこそ「黒人がハーバード?」的な分からなさも型に当て嵌めたがるパターンを衝いている気が。
つまり「バスケ以外で黒人が大学にいける訳ない」「探知機がオタクに反応しても麻薬持ってる筈ない」「オールAのマジメ君が教室で裏商売などしない」といったディテールは伏線だった訳です、偏見の根底にある「分かりやすい型」で片付けてる時短な発想への。
もっと言うなら知ろうとせず型に嵌める無関心さですね、愛と反対にあるのは邪悪でも憎悪でもないって言うじゃない?…隣人を愛せよと説くキリスト教の、ファンダメンタリストが世界で最も多いというアメリカにおける愛と対極の背信を実は問うているのかもね。
とか言っておいて、我ながら深読みし過ぎですな?笑
いずれにしても最後でマジになっちゃう点は評価が割れそうです、所詮は大多数にとって共感しようがないオタクなんて他人事だし。
“はみ出し者は 世界をあらゆる角度から見ることを強いられる 異なる人や場所から教訓を学び 知識を得る”とカッコいいコト言って、フィデルの“本物か偽物かは関係ない”やドムの“滑りやすい坂”とキルワードをサンプリングしまくるストリート流?は可笑しかったなぁ…それとブレイク・レイモンド・アンダーソン演じるバカ白人ウィルの見た目がアル・ヤンコビックで、ファレルの「Happy」パロディ曲「Tacky」を連想しちゃいましたよ!
ウィルがリリーの前カレで彼女にモリーの味を教えた張本人だったり、白人だからダチでもニガは禁止など愉快な役どころです…また“音楽を通じて生まれ育ちの違う子供が交流する”バンド・キャンプも興味深いな、アメリカって色々な育成プログラムがあるのね?
肝が据わってるディギー役のカーシー・クレモンズ、なんか軽いジブ役トニー・レボロリも印象的でした、しかし日本語吹替えじゃなかったとしてもフォレストがナレーターとは気付かなかったろうな…90年代ヒップホップ中心の音楽に何故かギル・スコット・ヘロンが1曲、やっぱり改めて観返したくなってきたわ。
| cinema | 2020.04.07 Tuesday | comments(0) | - |