ReLIFE 完結編(完全生産限定版) [DVD]
ReLIFE 完結編(完全生産限定版) [DVD] (JUGEMレビュー »)

ブラック企業で心を折られた27歳ニートが、渡りに舟と食い付いたのは人生リセット人体実験?
アニメが描く夢の世界も、時代を表しているのですなぁ。
うっかり大人目線で色々やらかすネタに笑いつつ、いつしか心を掴まれてしまいました。
紹介記事【2018.05.16】
おいでよ どうぶつの森
おいでよ どうぶつの森 (JUGEMレビュー »)

22世紀を目指し、カレンダーの最終日までタイムスリップしたりと相変わらず楽しんでます。
2100年のどうぶつ村は如何に?笑
紹介記事【2019.06.19】
エクソダスギルティー (通常版)
エクソダスギルティー (通常版) (JUGEMレビュー »)

異なる3つの時代の物語を切り替えながら進む、マルチタイム・ザッピングシステムのアドベンチャー・ゲームです。
資料本「ワールドガイダンス」必携、正直クセが強く微妙ですが。笑
当時流行ったであろう「小説『聖書』」やガイア仮説のSFファンタジー&サスペンス、システム的には不便ですが僕は楽しめました。
紹介記事【2018.11.05】

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最近読んだ本
石川純一「宗教世界地図」

再読です、いや再々読か?
本書は'90年の「Foresight」誌創刊号から約2年半の連載記事をベースとして'93年の単行本化と同様、時代に即した大幅な加筆修正を加えた新潮文庫版ではありますが…それも既に20年以上が経過していると思えば、世界情勢を理解する一助とするには些か鮮度に難ありという気もします。
だけど本書の内容は未だに役立ってくれている実感があるし、手放すにしても折角だから最後に一読してからでも好いよな…といった次第で、世界を股にかけるビジネスマンにはオススメ出来ない代物でしょう。笑
実際、90年代の宗教事情でも現在は見えてきます。

改めて思うのは、いわゆる西欧列強の爪痕ですね…アフリカの内紛も大半が宗主国という植民支配の都合で引いた国境や内政干渉が膿みとなってる印象ですが、中東〜南アジア一帯の紛争も根っこにあるのは英仏その他の残した負の遺産と。
先進国ぶって他人事みたく非難決議とか、よく言えるよな…宗主国による分割統治とは、宗派間を対立させて抵抗勢力を団結させない政治的工作だった訳です。
旨味は吸ったし、そろそろヤバいから手を引くかと撤退したり独立させたり…で、自分たちが付けた傷から流れる膿みに眉を潜める。
そんな欧米への不信感は拭えませんわな、と超納得。

(いやそれ宗教じゃなくね)と思われるかもしれませんが、現代の主だった宗教的対立で火が点いてる場所には過去に煽った者がいるんですよ…イランの故ホメイニ師の革命輸出も始まりには英国の石油利権絡みの工作があるし、かつては異教徒同士で共存していた国も他国の分割統治で対立構造へと変質してしまったり。
大体において異教徒に寛容だったイスラム教をテロリストの温床みたく言うのも、キリスト教が図々しくて恩知らずなのを棚上げしてると思えるんですよね…それは本書を読んだから、という訳ではありませんが。
ま、一神教は一神教で仲良くやってくれっていうね!

著者は序文で「冷戦が終わって宗教が台頭してきた」という解釈の一面性に「冷戦時代の国際政治が“分かりやすい構図”でのみ語られてきた」点を指摘していて、これは現代の世界情勢においても当てはまる気がします…宗教問題もまた一つの切り口であり、保護主義政策や迎合政治もまた一つの切り口に過ぎないと。
そして「N.Y.でのイスラム教徒によるビル爆破テロ」という一文は、911以前の90年代半ばには既にそうした事例があったという事ですね…あのWTCの事故がイスラム系のテロと即断された背景には、自演か他作かはともかく既に下地があったという訳です。

また宗教の本質とは“極めて政治的な”生の変革であり、精神の平安や救済とは貧困や社会欺瞞に直面する人々が現状を改変していく理想や希望でもあるのでした…多くの宗教は最初、被支配層や社会の底辺から染み込むように広まります。
そうして宗教が国を動かす程に浸透するにつれ保守化し、改革派や新たな創唱宗教が変革を生み出していく…なるほど政教分離が難しいのも道理です、宗教は「ありのままで」的な現状維持を肯定しないからね?笑
飽くなき細やかな夢の実現、あるいは失われた栄光の日々を…煽動したり虚栄心をくすぐったりの、人を操る手段も口実もSNSで多様化しそう。笑


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以下、個人的メモ

【レバノン・シリア】
本書で個人的に最も印象深く、かつ混同しがちなのがレバノンのマロン派とシリアのアラウィ派…マロン派は原キリスト教の異端ながらレバノン国内のシーア派に次ぐスンニ派と同等の宗教人口、フランスはレバノン独立時に自国の都合で“キリスト教徒が多数派となるよう境界線を引いた”ものの結局はイスラム教に逆転されてバカ丸出しです。
レバノンのドルーズ派は“シーア派のなかのさらなる分派”で、シリアやイスラエル山間部にも居住…ドルーズ派同様にアラウィ派もシーア派内の一分派で、迫害を逃れて山岳地帯に隠れたイスラム密教を“スンニ派を牽制する「分断支配」の道具として使った”のもフランスとはご立派。笑
貧しいアラウィ派は軍人になるしか生活手段がなく、結果的にクーデターを経て彼らを率いるアサド大統領が登場したのを思えばシリア情勢の見方も変わろうというもの…同じバース党を名乗るフセインのイラクはスンニ派、共に国内の少数派ではあれ分かりにくい!

【シーア派とスンニ派】
そもそも原理主義とは“北米のプロテスタントに生まれた聖書根本主義を指している”そうで、イスラムの原理主義も本来の“十九世紀末に始まった極めて精神的な「復興運動」”に基づく底辺層への地道な喜捨や福祉の行動を伴うからこそ支持を得ているのです。

【イラン】
'79年にパーレビ王制の打倒を実現した、シーア派によるイラン革命の精神は中東アラブ諸国で主流を占めるスンニ派にも「輸出」されていきます…全世界に9億人以上のイスラム教徒は8割超がスンニ派ながら、イランでは8割以上がシーア派12イマム派の信徒。
ペルシャ湾をはさんだバーレーンやイラクでも人口の過半数を占める多数派で、レバノンも総人口の1/4と少なくはない比率。
歴史的にみてシーア派の主要三派であるザイド派やイスマイル派の内、教義的に穏健派だった12イマム派を変えたのが革命の指導者ホメイニ師だったのだとか。
“一方、イスラム教以外で目立つのは、三十万人を超えるバハイ教徒の存在。これはシーア派の改革宗教として十九世紀に誕生。キリスト教の影響を受けて”いるそうで、イランはゾロアスター教も健在だった筈。

【イラク】
イラク国内はバグダッド以南に多数派のアラブ系シーア派が集中、半数程度のスンニ派はバグダッドを中心に国土の大半を占めており北部のクルド族もスンニ派…隣国のシーア派革命が国内に波及するのを恐れたスンニ派バース党の独裁者フセインが先制しイラン・イラク戦争が勃発、同様にスンニ派の湾岸諸国や欧米も肩入れしてイラクを軍事大国に育てたツケは10年後のクウェート侵攻と湾岸戦争に回っていく訳ですな。
'90年の侵攻・併合に踏み切った当時のイラク大統領フセイン、クウェートの石油・領土の利権には先進国も噛んでたろうね…摺り寄る欧米勢を利用する気で逆に殺られちゃう、このイスラムあるある感が哀れ。
最初は「無神論者」として、次は富を独占する腐敗王制を打倒する「アラブ民族主義者」として…遂にはイスラム教徒として「不信心者に冒涜されている聖地メッカ、メジナの解放」で自らを正当化した必死さ、だけど結局アラブ・イスラムのタニマチは宗教が否定する王族なんでしょうな?

【イスラム湾岸諸国】
エジプトの首都カイロが「湾岸産油国の金持ちたちが豪遊する避暑地」とは知らなかったし、イスラム教の聖典コーランが「いかなる王も認めない」と記しているのも知らなかった!…湾岸諸国王家や首長家は単に部族の長で宗教的権威を持たない事、但しサウジは18世紀にワッハーブ派との盟約で国王が最高指導者を兼務するよう手を打った事も知りませんでしたけど。
イスラム原理主義者も金で黙らされてるのかね、先ずは内輪の辻褄を合わせた方が説得力あるんじゃ?

【アフガニスタン】
イランと東に接するアフガニスタンも中央を走るヒンズークシ山脈は少数シーア派ハザラ人の牙城、同じスンニ派同士でも南部の多数派パシュトゥン人と山脈以北のタジク/ウズベク族。
ソ連撤退まで団結していたイスラム勢の民族対立はパキスタンの支援を受けたパシュトゥン組織タリバンの台頭を許してしまい、列強支配の緩衝地帯として線引きされた国家の内戦も背後に各派を支援する周辺国の思惑を孕んでいるようで。

【東南アジア】
イスラム教の普及率?では群を抜く東南アジア、仏教徒をも凌ぐ最大宗教勢力。
発祥の地とは雲泥の環境差で、ヒンドゥーなどからの改宗目的も交易や高い文化教養の吸収など現実的。
ロヒンギャ問題もこれらイスラム教国がASEANに働きかけていると聞けば、そりゃあミャンマーの反発も分かる気がしますね。
ミャンマーが英領インドに併合されていた時代に、ロヒンギャはバングラデシュから流入したんじゃない?
東チモールの独立も、元ポルトガル領でカトリックが多いと聞けばなるほど…考えようによっては、列強支配が近代国家の成立に寄与したともいえます。

【ロシア宗教事情】
冷戦終了の立役者ゴルバチョフは旧ソ連を「欧州の一員」または「キリスト教社会の一員」と考えて、連邦の7割以上がアジアに位置してイスラム系民族を多数抱えている意識が欠落していたとか…その辺は「錯覚の科学」で紹介された武力外交の失敗談を思わせます、要は権力中枢にスラヴ系しかいないんでしょう。
しかもキリスト教圏とはいえ東方的なロシア正教の国、社会主義の下から現れたのは欧州ではなく紛れもない「ロシア」だったとはスラヴ人の幻想というか自己認識を如実に表してます。
旧ソ連時代はロシア正教徒に匹敵するイスラム人口を抱えた、インドネシア/パキスタン/バングラデシュ/インドに次ぐ世界第五位のイスラム大国だったとは…ロシア移行後も、ウラル山脈〜カザフスタン付近のタタールスタン&バシコルトスタン両共和国やカスピ海に面するダゲスタン共和国にイスラム教徒が多数。
ソ連崩壊後は“オウム真理教など世界各国の新興宗教が一時、どっと流れ込んだ”というロシア、神の名を借りた経済活動と思えば日本の宗教法人に対する甘さも本書の指摘どおりかも?

【ウクライナ宗教事情】
人口と面積でフランスと同等のウクライナ独立&クリミア問題の陰には、どうやらロシア正教に強制併合されていたウクライナ・カトリック教会(東方帰一教会)からの返還要求やらウクライナ正教会の民族主義煽動も絡んでいたようで…というか“ギリシャ正教にのっとりながらも、実質的にはカトリック”故にバチカンの意向が絡む辺り、正にロシア正教vs.カトリック!

【東方教会】
“カトリックが法王の下で一つの組織であるのに対して、ギリシャ正教はこれを受け入れた民族、国家ごとに教会を形づくる”
根付いた社会の土着文化や保守的風土と結び付き、ロシア正教会はラテン・ゲルマン文化圏と距離を置いたロシア文化を開花させますが…それ故に西欧のルネッサンスや宗教改革を体験し損ね、近代化にも乗り遅れてしまうとは皮肉でした。
ロシアより早い9世紀に正教が広まったバルカン諸国では「正教」「カトリック」「イスラム教」が交錯、その歴史がユーゴ紛争という三つ巴の「宗教戦争」に発展したのも悲惨でした。

【コプト教】
“コプトとはエジプトを表すギリシャ語「アイギュプトス」に由来するアラビア語”で“東方キリスト諸教会においては、エチオピア教会、アルメニア教会と同じグループ”とされ、歴史的には使徒マルコ宣教の地でありローマやアンティオキアと並ぶ古代キリスト教世界の中心地なのだとか。
その大多数はカイロもしくは上エジプトに居住、独自の暦と三位一体以前のキリスト単性論が特徴だそう。
ただし7世紀以降のイスラム支配でコプト語の衰退やイスラム教への改宗が進み、蓄財と教育レベルの高さを維持して命脈を繋いだコプト教徒は十字軍時代や仏軍占領時代などで重用された事から「欧州列強の手先」と見なされてしまいます…更には19世紀末からの英国支配でも統治者の下で職を得る一方、逆に“英国支配に抵抗を続けたワフド党の活動家の中に占めるコプト教徒の割合は、決して無視できるものではなかった”とも書かれています。
対英支配に立ち上がる娯楽映画「ノー・サレンダー」も、よく観たら何かヒントがあったりしたのかな?
“故サダト大統領は、このイスラム教徒とコプト教徒の潜在的な対立を自己の政治保身に利用し”たそうですが、コプト教徒のガリ前国連事務総長を当時の副首相に起用したムバラク政権になって一掃された様子。

【カトリックとプロテスタント】
英国国教会がプロテスタントと言われると笑っちゃいますが、北アイルランド問題はカトリックから離脱した英国の宗教問題ですな。
プロテスタント優勢のアメリカは南部バプテスト教会が最大保守勢力、歴代大統領でカトリックはケネディだけ…カトリックの牙城たる中南米を席巻した「解放の神学」改革は、東欧の砦ポーランドやアジアのバチカンことフィリピンや韓国などにも波及したようで。

【韓国】
韓国国民は約1/4がキリスト教徒だそうですが、あの暗闇に光る赤い十字架は独りで迷ったソウルで死亡フラグかと思いました。
“朝鮮にキリスト教が根付いた要因としては、中国(清)の準属国と化し政争に明け暮れるだけの李朝の支配から祖国を救う「救国・抵抗の宗教」として(中略)儒教の伝統的権威主義を基礎とする李朝封建体制を真っ向から否定するのはキリスト教だけだったから”
国民の半数は、大半が李朝以来の儒教とシャーマニズムといった土俗信仰に生活習慣を依拠しているとか…仏教徒やキリスト教徒であっても葬式は儒教式に行う傾向は、儒教心の賜物か。
元々キリスト教が盛んだった朝鮮北部は今や北朝鮮、抗日運動や70年代の民主化闘争を主導して政治を動かす「救国・抵抗の宗教」が対北融和に熱心なのも当然か…歴代の大統領も輩出してるだけに、影響力は色んな意味で大きそうです。

【ユーゴスラビア】
南スラヴ人の国というだけあって“旧ユーゴの共和国名になっている民族はみな同じ南スラブ人”ながら、西部はカトリック圏のオーストリア=ハンガリー帝国で東部は正教圏のオスマン・トルコ帝国に編入され…その境界に位置したボスニアは正教とカトリック両方から異端視されたボゴミール教徒が住み、オスマン・トルコ領となった時に“実利的な理由から、イスラム教に大量改宗して”ボスニア人ではなく自らをムスリム人という独立した民族であると主張する至ったと。
“逆にいえば宗教以外はたいした違いはないということでもある。セルビア人、クロアチア人、ムスリム人というけれども、要は「正教徒」「カトリック」「イスラム教徒」ということである。実際、彼らは外見はほとんど違わないし、言語においても東京と大阪ほどの差もないという。それが違う宗教を受け入れ、異なった歴史を歩んだことで「民族」になってしまった”
ムスリム人の誕生はイラン革命に先駆ける60年代半ばでしたが、'92年からのボスニア内戦突入によりイスラム諸国の支援とムジャヒディンの対欧州代理戦争と化してしまいました。
そもそもセルビア民族主義者のオーストリア皇太子暗殺が大戦の引き金となるまで、長く共存を保ってきた歴史があるだけにバルカンを火薬庫に変えた不運は宗教だけでは語れません。
“面白いことに、このイスラム教徒たちは、自分たちのことを「トルコ人」と呼んでいた事実があるということだ。トルコ人とは、セルビア人にとっては「イスラム教徒」という意味である。ちなみに本物のトルコ人のことは、「オスマン人」と呼んでいたという(中略)もっとも、これは正教徒のセルビア人も同様で、まだセルビア人という意識はなく、「セルビア正教会の信者」という意識しかなかった(中略)十九世紀になって次第に正教徒たちは、「セルビア人」という意識を持ち始める。それが最高潮に達したのが、一八七八年のセルビア独立である。こうした「セルビア人」の覚醒を憧れの眼差しで見ていたのがイスラム教徒たちで、彼らは次第に「トルコ人(イスラム教徒)」ではなく「セルビア人のイスラム教徒」であると自覚し始める(中略)旧ユーゴができると、また彼らの意識は一変する。正教徒のセルビア人とカトリックのクロアチア人に挟まれて、「自分たちは全く違う存在だ」という意識が急浮上し、ついに「ムスリム人」という違う「民族」であると主張し始めたのである”

【インド】
ECに匹敵する国土に倍の人口を抱えるインドは少数派のイスラム教徒でも1億、イスラムの影響を受けたヒンドゥー改革宗教のシク教徒もパンジャブ州では多数派…英国統治が対立を煽ったイスラム教徒はパキスタンとして独立するも、北部カシミール及びバングラデシュ周辺は依然としてイスラム教徒が多数派。
下層カーストの就職を優遇すれば“「大学を出ても職がない」上・中カースト層”の反発を招き、蚊帳の外に置かれた他宗教から過激派が勃興すればヒンドゥー至上主義のタカ派が躍進してボンベイ呼称をムンバイに変更するなど地味に揉め事が絶えないお国柄です。
イギリス以前からカースト対立を統治に利用してきた政治構造が、先進国への足枷となっているのは歴史の宿命なのかもしれません。
インドでイスラム教が広まったのはムガール帝国時代の下層カーストが中心で、かつては仏教もカースト制への批判から生まれたにも関わらず結局ヒンドゥーへと揺り戻されてしまう…「インド即興旅行」の時空を超える行者ですね、火を覚えて「しめた、これでいい」っていう話のリアリティ。

【ラマ教】
“チベットではこの呼称は蔑称であるとして用いられない”としながら、終始一貫してチベット仏教をラマ教と書いているのは何故かな…もしや山岳シャーマニズム的な土着宗教、ボン教を“布教の道具として巧みに取り入れ、独自の発展を遂げたのがチベット仏教”とあるので仏教とは分けて捉えているのでしょうか?
“「世界の真相は、直視され得るものではなく、推論によってしか把握されない」という「空の教理」”が特徴で、15世紀には後に多数派となる“現世利益をもたらす呪術の色彩を排し、戒律の遵守を説く”黄帽派が登場…“従来からの紅帽派、ボン教系の黒帽派と区別され”僧侶の妻帯を認めない黄帽派は教主(ラマ)を仏教の輪廻転生に基づいて決めることとなり、ラサのガンデン寺を本拠としていた黄帽派は“ラサのポタラ(宮殿)派とシガツェのタシルンポ寺派に分裂”し初代教主ツォンカパの弟子2人がそれぞれ教派を継承。
中国のチベット動乱を経てダライ・ラマ14世は亡命生活へ、中国に協力的だったパンチェン・ラマ10世は'89年に亡くなります…先ずダライ側がパンチェンの後継者認定を行うも、これに負けじと中国は5か月遅れで共産党公認の後継者を認定しちゃったという。
そこにはチベット独立運動の抑え込みだけでなく、社会主義体制から脱却したモンゴルでのチベット仏教復活が内モンゴル自治区に飛び火する懸念も潜んでいるようで…新疆ウイグル自治区への弾圧も旧ソ崩壊後の中央アジアで燃え上がったイスラム熱を警戒しての仕打ちだとして、漢族支配終焉の暁には何が起きるやら。

【イスラエル】
未だにイスラエルというと偽アメグラ映画「グローイング・アップ」のイメージな僕ですが、厳格なユダヤ教の宗派ではチーズバーガーも週末の映画鑑賞も教義に反するのだそうで…まぁイスラム教も色々あるように、ユダヤ教も辛口から甘口まであって当然なのかも。
ラビン首相を暗殺したのも同胞ユダヤの過激派ですし、以来ユダヤ人は僕の中でイメージダウンしっ放し。
超正統派ユダヤ教原理主義者は兵役を拒否し税金を納めず世俗的な国家そのものを認めないそうです、イスラエル全土でも数千人しかいない超少数派ですけど。
アシュケナジと呼ばれる東欧系ユダヤ人が一級市民で、セファルディと呼ばれるアラブ系ユダヤ人は貧困層に多いのね…そういえば「なりすましユダヤ人」というのもいるらしいし、契約の民も涙ぐましさ満点。笑
しかし“「タカ派こそ譲歩できる」というのも、政治の鉄則だ”とは初耳でした。
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    | books | 2020.05.17 Sunday | comments(0) | - |













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