最近みたDVD
「セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!」 (←リンク先はTSUTAYA作品情報)
'17年のアメリカ/キューバ/スペイン合作映画で原題も同じ「SERGIO & SERGEI」、某サイトには“実在した旧ソビエトの宇宙飛行士で「最後のソビエト連邦国民」とも言われたセルゲイ・クリカレフをモデルに、冷戦終結に振り回された2人の男たちを描いた異色コメディ”とありました…けれども主役はハバナの大学教授セルジオであり、彼の一人娘マリアナが回想する25年前の物語です。
それとコメディといってもヒューマンタッチな友情物で、どこか古いイタリア喜劇映画の味わいを感じさせますね…まぁトボケたラストにはクスッとしましたが、そういう可笑しみです。
旧ソビエト連邦とキューバの関係は、キューバがアメリカから経済封鎖を受けていた位には把握しときましょう…ベルリンの壁崩壊を経てソ連はロシアに、そして“取り残されたキューバは経済が悪化”と急展開した'91年のハバナが舞台。
ロシア留学で学んだマルクス・レーニン思想を抱えて人生を見失ったセルジオ、給与の支払いも遅れて暮らしもカツカツ…焦りと悩みの捌け口はハム(無線通信)、ですが無線機が買えずにモールス通信でやり取り。
N.Y.のハム仲間ピーターから贈られた無線機を検閲で没収した当局、CIAの魂胆を探るためセルジオに返還して通信を傍受開始。
一方ミール宇宙ステーションに独り滞在中のセルゲイは、地上管制官のイーゴリから“君が戻る国はロシアになる”と聞かされ…更に祖国崩壊のゴタゴタで帰還予定が白紙になるも、心配なのは自分以上に物価急騰で食事も事欠く家族の事。
明日への不安に押し潰されそうな大学教授と衛星軌道上の宇宙飛行士、そしてセルジオのセルゲイ話を笑い飛ばす老いぼれエージェントのピーター…彼は祖国ポーランドでスターリンにユダヤ教徒の家族を虐殺された過去があり、アンゴラ出兵も経験したガチ赤セルジオとの相容れなさが意外な形で判明してしまいます。
三者三様の壁、ですかね。
小隕石群の衝突でパネルが壊れたミール、単独で船外修理に出るセルゲイ…宇宙滞在記録という国の威信に隠蔽されるだろうから、もし通信が途絶えたら自分の死を家族に事実を伝えてくれとセルジオに頼みます。
我が身の危険より、ミール廃棄となればアメリカの思う壺だと…そこでセルジオは一計を案じ、気まずくなったピーターと交信再開。
ここから予想も付かない打開策でセルゲイの緊急帰還が実現します、それは観てのお楽しみですがガチ資本主義者ならニコリともしない想定内なんでしょうね?
ともあれ“宇宙競争の最後の英雄”セルゲイは生還し、歴史の陰にハム仲間と。
(下段に続きます、ネタバレ有り)
関連ありそうな記事:
【最近読んだ本】毛利 衛・撮影「私たちのいのち 地球の素顔」| 2008.04.01
【最近読んだ本】マイケル・ライト(編)「フル・ムーン」| 2009.08.18
【最近みたDVD】「ザ・ムーン」| 2014.08.14
【最近読んだ本】アーサー・C・クラーク「宇宙のランデヴー」| 2014.09.29
【最近みたDVD】「ゼロ・グラビティ」| 2014.10.07
【最近みたDVD】「王立宇宙軍 オネアミスの翼」| 2015.07.02
【最近みた映画】「アポロ11 完全版」| 2019.09.27
→〈キューバ〉関連記事
→〈旧ソ連〉関連記事
→〈東欧〉関連記事
'17年のアメリカ/キューバ/スペイン合作映画で原題も同じ「SERGIO & SERGEI」、某サイトには“実在した旧ソビエトの宇宙飛行士で「最後のソビエト連邦国民」とも言われたセルゲイ・クリカレフをモデルに、冷戦終結に振り回された2人の男たちを描いた異色コメディ”とありました…けれども主役はハバナの大学教授セルジオであり、彼の一人娘マリアナが回想する25年前の物語です。
それとコメディといってもヒューマンタッチな友情物で、どこか古いイタリア喜劇映画の味わいを感じさせますね…まぁトボケたラストにはクスッとしましたが、そういう可笑しみです。
旧ソビエト連邦とキューバの関係は、キューバがアメリカから経済封鎖を受けていた位には把握しときましょう…ベルリンの壁崩壊を経てソ連はロシアに、そして“取り残されたキューバは経済が悪化”と急展開した'91年のハバナが舞台。
ロシア留学で学んだマルクス・レーニン思想を抱えて人生を見失ったセルジオ、給与の支払いも遅れて暮らしもカツカツ…焦りと悩みの捌け口はハム(無線通信)、ですが無線機が買えずにモールス通信でやり取り。
N.Y.のハム仲間ピーターから贈られた無線機を検閲で没収した当局、CIAの魂胆を探るためセルジオに返還して通信を傍受開始。
一方ミール宇宙ステーションに独り滞在中のセルゲイは、地上管制官のイーゴリから“君が戻る国はロシアになる”と聞かされ…更に祖国崩壊のゴタゴタで帰還予定が白紙になるも、心配なのは自分以上に物価急騰で食事も事欠く家族の事。
明日への不安に押し潰されそうな大学教授と衛星軌道上の宇宙飛行士、そしてセルジオのセルゲイ話を笑い飛ばす老いぼれエージェントのピーター…彼は祖国ポーランドでスターリンにユダヤ教徒の家族を虐殺された過去があり、アンゴラ出兵も経験したガチ赤セルジオとの相容れなさが意外な形で判明してしまいます。
三者三様の壁、ですかね。
小隕石群の衝突でパネルが壊れたミール、単独で船外修理に出るセルゲイ…宇宙滞在記録という国の威信に隠蔽されるだろうから、もし通信が途絶えたら自分の死を家族に事実を伝えてくれとセルジオに頼みます。
我が身の危険より、ミール廃棄となればアメリカの思う壺だと…そこでセルジオは一計を案じ、気まずくなったピーターと交信再開。
ここから予想も付かない打開策でセルゲイの緊急帰還が実現します、それは観てのお楽しみですがガチ資本主義者ならニコリともしない想定内なんでしょうね?
ともあれ“宇宙競争の最後の英雄”セルゲイは生還し、歴史の陰にハム仲間と。
(下段に続きます、ネタバレ有り)
関連ありそうな記事:
【最近読んだ本】毛利 衛・撮影「私たちのいのち 地球の素顔」| 2008.04.01
【最近読んだ本】マイケル・ライト(編)「フル・ムーン」| 2009.08.18
【最近みたDVD】「ザ・ムーン」| 2014.08.14
【最近読んだ本】アーサー・C・クラーク「宇宙のランデヴー」| 2014.09.29
【最近みたDVD】「ゼロ・グラビティ」| 2014.10.07
【最近みたDVD】「王立宇宙軍 オネアミスの翼」| 2015.07.02
【最近みた映画】「アポロ11 完全版」| 2019.09.27
→〈キューバ〉関連記事
→〈旧ソ連〉関連記事
→〈東欧〉関連記事
「我々は徐々に茹でられたカエルだ」と自嘲するセルゲイ、信じた世界の消滅に適応出来ないセルジオ。
著書は出版の見込みが立たず、ロシア語も履修科目から消え…教え子ポーラは当局に目を付けられるわクラスじゃ改革主義者と非難されるわ八方塞がりのセルジオ、破れかぶれの現状打開策は多少ご都合主義的ですが結構スリリングでした。
25年を経て60歳を迎えた父のため、マリアナは友人2人をサプライズに招いたと語り93分の大団円に。
“実際の出来事をもとにした架空の物語”ですし、コメディ・リリーフの傍受係ラミロに生じる唐突なゼログラビティも大有りです。
官僚主義の象徴で“赤い先導者”と自称するラミロ、英語もロシア語も初心者レベルでセルジオの会話を偽装工作とご注進…何故か空手に励んだり、生真面目な滑稽でラストを飾ります。
隣人ウーリセスも好い味出してますね、セルジオに密造ラム酒を唆したり国外脱出する市民に難民ボートを制作販売と商魂逞しい事!
僕が行った頃も闇営業してる家があったのを思い出し、家族を養うためなら泥をも被る覚悟も時には必要かと…この正論社会だから余計にそう感じましたよ、異論はあるでしょうけども?
それにしてもオールド・ハバナの景色は見たまんま、自転車が似合う街だよな。
ただ、ハバナ大の敷地を歩き回った記憶では見た事ない場所ばかりでした…まぁ今とじゃ変わってても不思議はないし、ハバナ近郊にはハバナ大学の他にも大学があるのかもしれないし。
あと印象的だったのはカリダの肝っ玉母さんっぷりね、息子の給料不払いに宝石を売ったり葉巻の内職したりラム酒密造にノリノリだったり…亡き夫もセルジオも理想を追っていると言う母ちゃんは地に足が着いてるというか、もしかしたらジェンダー論ではなく現実主義的な女性の意見は世界共通なのかもと思ったり。
早速酔っ払って皆と陽気に踊ってたけど、やっぱキューバは音楽がないとね!笑
幼いマリアナは、特に髪型が若い時のジューサやエスペランサ・スポルディングを連想させますね…セルジオとテーブル叩いてモールス会話する場面が好いです、いつかは彼女も祖母カリダ体型になるんだよなぁ?
「カプリコン1はニクソン大統領が関与した」と語るピーターはFBIガサ入れを受けてましたが、そこもマジ話なのか?…セルゲイ生還の裏ではピーターのコネかFBI経由でか、ミール救援をNASAに打診されたロシア大統領が顔を真っ赤にして48時間以内の帰還計画を命じたのです。
“ミールでの最後の活動は広報活動”で、コーラを飲む映像が経費バーターと。
ピーターはトム・ウェイツ似のロン・パールマン、FBIのポールはA.J.バックリー…セルジオ役はトマス・カオでセルゲイ役はヘクター・ノア、その他の主な出演者は以下のとおり。
傍受係ラミロ役マリオ・ゲッラ/マリアナ役アイリン・デ・ラ・カリダー・ロドリゲス/母カリダ役アナ・グロリア・ブドゥエン/隣人ウリセス役アルマンド・ミゲル・ゴメス/管制官イゴール役ローランド・レイムヤノフ/ラミロの上司リア役ユリエット・クルス/教え子パウラ役カミラ・アーティッシュ/学部長ソニア役イダルミス・ガルシア、監督はエルネスト・ダラナス・セラーノだそう。
| cinema | 2020.06.18 Thursday | comments(0) | - |