錯覚の科学 (文春文庫) [ クリストファー・チャブリス ]
錯覚の科学 (文春文庫) [ クリストファー・チャブリス ] (JUGEMレビュー »)
ここ数年で断トツのインパクトでした、誰もが犯す悪意なき嘘について。
それは克服可能な「個人の資質の問題」ではなく、だから盗用は必ずしも悪意ではないし医療ミスだってプロ失格じゃない訳です。
「たった一つの真実」なんて詭弁だし、所詮は見たい物を見て信じたい事を信じてるのよ。
己の記憶力を根拠に持論を曲げない友人には、是非とも本書を読んで柔軟さを学んでほしいな!
紹介記事【2020.03.16】
【中古】 バランサンド /ミルトン・バナナ・トリオ 【中古】afb
【中古】 バランサンド /ミルトン・バナナ・トリオ 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
ミルトン・バナナは「ゲッツ/ジルベルト」にも参加したボサノバ・レジェンドだったようで、ヴィオランのバチーダ奏法を応用した軽やかなビートがチャーミングなインスト物です。
東芝EMIの旧盤は別トリオの音源が混在したイカサマCDながら、ボッサ・トレスとのカップリングと思えば悪くないかも。笑
紹介記事【2020.02.22】
ACCA13区監察課 Blu-ray BOX 1【Blu-ray】 [ 下野紘 ]
ACCA13区監察課 Blu-ray BOX 1【Blu-ray】 [ 下野紘 ] (JUGEMレビュー »)
オノ・ナツメが原作でマッドハウス制作と、期待に違わぬスリリングかつユーモラスな展開が絶妙!
曲も映像も洒落てるOPは毎回飛ばさず観ちゃう位、大人のほうが楽しめる心理描写はハードボイルド風味のファンタジーという感じ。
紹介記事【2020.02.19】
セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー! [DVD]
セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー! [DVD] (JUGEMレビュー »)
宇宙で冷戦終結を迎え置き去り状態の「最後のソビエト連邦国民」と無線が趣味のハバナ大学教授に、ソビエトを憎む老CIAや反米官僚が絡む異色コメディ。
なので旧ソビエトとキューバの関係や、キューバがアメリカから経済封鎖を受けていた位は把握しときましょう。
古い喜劇の味わいを思わせる友情物語で、トボケたラストに繋がる枠物語の構成も見事。
紹介記事【2020.06.18】
探しに行こうよ
探しに行こうよ (JUGEMレビュー »)
終盤で詰んで積みゲー化していましたが、攻略本を入手したので再開しクリア達成!
PS2初期のタイトルで粗は色々ありますが、それを補う楽しさがありますね。
冒険ごっこの通過儀礼を、町の大人たちも密かに懐かしく思っているのでしょうな・・・バトル少な目のパズル進行と世界観のバランスがマッチして、ラストで温かい気持ちになりました。
紹介記事【2020.01.29】
愛しのインチキガチャガチャ大全ーコスモスのすべてー【電子書籍】[ ワッキー貝山 ]
愛しのインチキガチャガチャ大全ーコスモスのすべてー【電子書籍】[ ワッキー貝山 ] (JUGEMレビュー »)
(注・サムネは【電子書籍】です)
創業するやスーパーカー・ブームに乗り、ガチャガチャ界に名を馳せたコスモス。
「ハズレ」という画期的な概念を持ち込むなど大人気ない阿漕さに、読めば呆れる伝説の数々!
10万点を越えるコレクターにより陽の目を見た驚きと苦笑いの裏側、時代のユルさに悪乗り出来た時代の仇花か?
紹介記事【2020.01.24】
送料無料【中古】私たちの幸せな時間 (Bunch Comics Extra) [Comic] 佐原 ミズ; 孔 枝泳 and 蓮池 薫
送料無料【中古】私たちの幸せな時間 (Bunch Comics Extra) [Comic] 佐原 ミズ; 孔 枝泳 and 蓮池 薫 (JUGEMレビュー »)
粗筋だけなら一昔前のケータイ小説にありそうですけど、これは「泣ける漫画」として「泣いてスッキリ」じゃ詰まらないな。
彼は私かもしれない、そう感じた事を「ない」と即答してしまう人こそ僕には恐ろしく思えます。
僅かに心を詰まらせる、この幕切れの匙加減も見事だな…所詮は自分の時間を生きるしかないが故にこそ惜しむべき死も最大限の糧に変えてゆく、キリスト教的なカタルシスではありますが。
紹介記事【2020.03.03】
劇場版 天上人とアクト人最後の戦い【中古】【アニメ】中古DVD
劇場版 天上人とアクト人最後の戦い【中古】【アニメ】中古DVD (JUGEMレビュー »)
決して悪口ではなく、単に(ゆるふわ系)が好みじゃないので京都アニメーション作品って基本的に観ないのですが。
本編後に連続再生された特典映像で事件前の京アニ第一スタジオを観て、お亡くなりになった木上監督らの姿に胸が苦しくなりました。
失われた才能と未来を思い、死は画面越しの出来事ではないと改めて痛感しました。R.I.P.
紹介記事【2020.04.21】
ザ・タイガー!!! [ プータリット・プロムバンダル ]
ザ・タイガー!!! [ プータリット・プロムバンダル ] (JUGEMレビュー »)
タイの伝説に基づいた、人食い虎の魔物と戦うファンタジック・サスペンス・SFXアクション!
タイ語にクメール語に中国語とオーストラリア英語が辺境のジャングルで入り乱れる発想が面白いですね、それと食った人に化ける妖虎はゾンビ的で西洋ホラーの影響も思わせたりと好い意味でエキゾチック。
観ないジャンルであれば尚更オススメです、個人的には。
紹介記事【2020.06.13】
シンデレラはウンザウンザを踊る / バックドロップシンデレラ
シンデレラはウンザウンザを踊る / バックドロップシンデレラ (JUGEMレビュー »)
まるでN.Y.パンクを笠置シヅ子が乗っ取ったような?って両方とも詳しくない個人の感想ですが、今時こんな万人受けしそうにない音楽が商業ベースに乗れてる自主自立スタンスは本物。
ウンザウンザなる独自の「ええじゃないかポルカ」的な音楽スタイルを追究するカッコ好さ!
紹介記事【2020.02.04】
暴力戦士 [ 田中健 ]
暴力戦士 [ 田中健 ] (JUGEMレビュー »)
六甲の野外フェスで抗争勃発、東京側のリーダーが神戸リーダーの妹と呉越同舟の70年代クヨクヨ邦画版「手錠のままの脱獄」。
まぁ70年代とはいっても'79年の公開ですし全然クヨクヨじゃない石井輝男監督作です、ワルな田中健&ワルな岡田奈々+ホンワカした劇伴音楽のミスマッチぶりが逆に微妙さ加減を演出してる気も。
紹介記事【2020.02.18】
【中古】 ロリータの詩集(1) 花とゆめC1469/山中音和(著者) 【中古】afb
【中古】 ロリータの詩集(1) 花とゆめC1469/山中音和(著者) 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
ロリといっても訳アリ少女が徐々に「言葉」を取り戻していく高校生群像劇で、この大人になってから黒歴史化しそうな青臭いクールさが気恥ずかしくもあります。
上條淳士っぽい仏頂面に微妙な起伏を見せ、十代の粗い鋭さを感じさせます。
コミュニケーションって相手を通じて自分を見てるのね、その双方向の情報整理が年頃的に紛らわしく感じられたんだなーなんて。
紹介記事【2020.02.23】
HAIM / Days Are Gone 【CD】
HAIM / Days Are Gone 【CD】 (JUGEMレビュー »)
(注・サムネは前作です)
露出過多なセクシー路線に走りがちな女性シンガーとは一線を画すビジュアルといい、個人的に注目の若手3姉妹です。
父の影響で幼少時から学んだビートのセンス、民族音楽を専攻した長女はベースもフレーズがユニーク。
リズミカルな節回しの歌い方からはケイト・ブッシュを連想しました、楽曲のポップさと裏腹な何かしらハッとさせられる音のフックは前作が偶然の産物ではなかった証拠です。
紹介記事【2020.04.12】
◆◆日本昭和トンデモ児童書大全 オールカラー版 / 中柳豪文/著 / 辰巳出版
◆◆日本昭和トンデモ児童書大全 オールカラー版 / 中柳豪文/著 / 辰巳出版 (JUGEMレビュー »)
高度成長期を経て政治紛争も落ち着き、子供相手の経済が回り始めた時代の怪しい児童書から91冊を厳選。
夢と科学の分岐点、情報社会の一歩手前で他愛ない悪夢を盛り上げていた陰の功労者たちの人物伝も短いながら奥行きが増します。
こういったサブカル昭和臭は電子書籍じゃ嗅げないよなぁ?笑
紹介記事【2020.02.09】
空色のメロディ 1【電子書籍】[ 水沢めぐみ ]
空色のメロディ 1【電子書籍】[ 水沢めぐみ ] (JUGEMレビュー »)
(注・サムネは【電子書籍】です)
昔の「りぼん」とか「なかよし」っぽさと「少女コミック」っぽさとの中間といった印象で、洋風カントリーに王子様テイストは鉄板ですな。笑
番外編までバッチリ取りこぼしのない構成&画力で飽きさせませんよ、今じゃ出来ない牧歌的な少女漫画のエッセンスを堪能しました。
紹介記事【2020.04.02】
もののあはれ (ハヤカワ文庫SF ケン・リュウ短篇傑作集 0) [ ケン・リュウ ]
もののあはれ (ハヤカワ文庫SF ケン・リュウ短篇傑作集 0) [ ケン・リュウ ] (JUGEMレビュー »)
中国SFへの興味で手にした短編集ですが、原題も「Mono no Aware」と日本的な精神性の翻訳感に気恥ずかしさと碁の大局観や利他の解釈を絡めた表題作に感嘆させられ。
分かったように持ち上げてる訳ではなく、他にも70年代ハチャハチャ風味に本領発揮のシンギュラリティSFと清代末のファンタジー〜香港スチームパンクなどサービス精神も旺盛。
一神教的世界観からの落とし処もまた東洋的といいますか、僕は心地好かったな。
紹介記事【2020.05.28】
ハピネット Happinet DOPE/ドープ!! 【DVD】
ハピネット Happinet DOPE/ドープ!! 【DVD】 (JUGEMレビュー »)
制作にファレル・ウィリアムスが噛んでるだけあって、90年代ラップ愛と直球加減のハズし方が独特です。
正に「違法な薬物」+「まぬけ」=「素晴らしい」ドープさ、ハーレムでド底辺スクールカーストでマイノリティな3人組がどんでん返しを繰り返しつつ見事な着地を決めてくれました。
ラストショットの射抜くような眼差しは、ユルく観せつつ「スーパーフライ」の哀しみをアップデートしてるね。
紹介記事【2020.04.07】
【中古】SIMPLE2000シリーズ アルティメット Vol.2 エディット・レーシング
【中古】SIMPLE2000シリーズ アルティメット Vol.2 エディット・レーシング (JUGEMレビュー »)
噛めば噛むほどハマる、所謂スルメゲーなのです。
ディスクやゲームソフトやらでのコース生成もユニークですが、何より本編に再び絶賛ドハマり中です。
攻略サイトも本もないので、相性やレベルの効果にメール総数の増減など手探りで検証。
もしかして逆走バグを発見したのって僕ぐらいじゃない?笑
紹介記事【2020.02.26】
【中古】 おあとがよろしいようで コミックエッセイ /オカヤイヅミ(著者) 【中古】afb
【中古】 おあとがよろしいようで コミックエッセイ /オカヤイヅミ(著者) 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
いや落語の漫画じゃなく、食と死を問うエッセイ漫画です。
15名の作家たちとの会食インタビューを、益田ミリが筆書したようなタッチで描いてます。
“死ぬ前に食べたいものってなに?”という「話に詰まった酒席の定番」みたいな企画で一席設けるとは、みんなオイシイ発想ですな!笑
死は誰もが体験しうる一番遠い未来、実は「おあとがよろしいようで」=「次の準備が整いました」って深いな。
紹介記事【2020.01.18】
planetarian ちいさなほしのゆめ+星の人 Webアニメ版全5話+劇場版コンボパック ブルーレイ+DVDセット【Blu-ray】
planetarian ちいさなほしのゆめ+星の人 Webアニメ版全5話+劇場版コンボパック ブルーレイ+DVDセット【Blu-ray】 (JUGEMレビュー »)
原作が美少女PCゲーながら、天然ロボのウザさにも理由があり違和感なく引き込まれました。
荒廃した現在(遠未来)と既視感を覚える過去(近未来)の断絶と実利主義にならざるを得ない世知辛さから、叶わない夢に希望を見るほろ苦さは思いがけなく深く沁みました。
紹介記事【2020.01.25】
外国人ヒットマン [ 一橋 文哉 ]
外国人ヒットマン [ 一橋 文哉 ] (JUGEMレビュー »)
なんか国内の犯罪絡みって引いちゃうんですが、未だ未解決の様々な凶悪事件とアジア裏社会の巧妙さに何故か興味が湧きまして。
来日した足でサクッと済ませて即帰国という日帰り殺人旅行、偽造パスポートだから追跡調査も難しいし近隣諸国とは犯人引き渡し条約を締結してない点が利用されてる節もあり震撼モノ。
紹介記事【2020.03.29】
【中古】 妖精のネジ(文庫版) ソノラマC文庫/奈知未佐子(著者) 【中古】afb
【中古】 妖精のネジ(文庫版) ソノラマC文庫/奈知未佐子(著者) 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
25本のショートファンタジーを収録、心がキュッとしてほぐれます。
最初は地味な印象でしたが、デッサン力の高いデフォルメと時代に左右されない画風は只者じゃないですな。
僅かな紙数で過不足なく見せるクオリティでサラリと読ませる、甘く切ないストーリーの巧みさも見事。
紹介記事【2020.04.06】
ブレイク・ビーターズ [ ゴードン・ケメラー ]
ブレイク・ビーターズ [ ゴードン・ケメラー ] (JUGEMレビュー »)
旧東独、といっても今じゃ通じなさそうですが…80年代の社会主義国でヒップホップに目覚めちゃった若者と、彼らの活動を体制翼賛に取り込もうとする当局との丁々発止を描く青春コメディ。
飼い慣らそうとする権力側と調子を合わせつつ苦悩する主人公たち、ベルリンの壁が崩壊して彼らを待ち受けるラストのほろ苦さとタフさに男泣きです。
自分でいる事を描いている点で、英国のサルサ映画「カムバック!」と併せてオススメ。
紹介記事【2019.11.02】
ポルノ☆スターへの道 [ ニック・スウォードソン ]
ポルノ☆スターへの道 [ ニック・スウォードソン ] (JUGEMレビュー »)
ラジー賞を独占した下ネタ満載ムービー、とりあえず下品ですけど線引きはキッチリしてますね…笑わせる内容は、少なくとも男性なら他人事じゃないというか。
女性同士の巨乳幻想みたいなね、目の付け処が上手いなぁと。
まぁ万人向けではないにせよ、僕は感心しつつ大笑いしました。
紹介記事【2019.10.17】
あきれたあきれた大作戦 [ ピーター・フォーク ]
あきれたあきれた大作戦 [ ピーター・フォーク ] (JUGEMレビュー »)
笑いって鮮度があると思ってました、本作を観るまでは。
先が読めずに引き込まれましたが、確かに繰り返し観たくなるかも…計算されたシナリオが効いた笑いと、映像的な古さもまた味わい深いです。
スタンダードでバカバカしくて無駄のない、意外な傑作。
紹介記事【2019.12.10】
月曜日の友達(1-2巻 全巻) 全巻セット
月曜日の友達(1-2巻 全巻) 全巻セット (JUGEMレビュー »)
中学生になったばかりの頃の、世界の拡がりに戸惑う姿は性別や世代を超えて響きますね。
作画力もストーリーテリングも卓越してます、些細な一瞬を捉える巧さが。
忘れていた何か、忘れたくなかった何か…最後のコマに、胸が苦しくなりました。
紹介記事【2019.11.11】
【中古】 山本耳かき店 ビッグCスペシャル/安倍夜郎(著者) 【中古】afb
【中古】 山本耳かき店 ビッグCスペシャル/安倍夜郎(著者) 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
耳かき店ブームの火付け役、なんて書いては申し訳ないのですけども…決してブームに便乗した後追いではない、と。
穏やかな時間の流れる小さな町で、耳かき屋さんを訪れる客の脳内イメージが秀逸です。
こんな表現があったのか、こんな漫画があったのかと目からウロコ耳から(略)。
紹介記事【2019.12.23】
【中古】 マンガでわかる 戦後ニッポン /手塚治虫(著者),水木しげる(著者),つげ義春(著者),はるき悦巳(著者),ちばてつや(著者) 【中古】afb
【中古】 マンガでわかる 戦後ニッポン /手塚治虫(著者),水木しげる(著者),つげ義春(著者),はるき悦巳(著者),ちばてつや(著者) 【中古】afb (JUGEMレビュー »)
現代に至る国内の移ろいを漫画に語らせる好企画アンソロジーです。
漫画にしか出来ない表現は、例えば三輪自動車が走る風景でありリンチされる米軍の操縦士であり…基本的に主観視点であるが故の、俯瞰の効く文学表現よりも接地した仮想体験なのかも。
いわば漫画こそが伝え得た戦後の一片、切り口を変えて続けてもらいたいですね。
紹介記事【2019.12.12】
絵はがきにされた少年 [ 藤原章生 ]
絵はがきにされた少年 [ 藤原章生 ] (JUGEMレビュー »)
アフリカに対する先入観や固定観念が、ことごとく覆されます…偏見を持たないように心掛けていたつもりでも、日本にいて伝わってくる情報自体にバイアスが入っている訳ですが。
西欧支配の呪縛に歪められた各地の民族性や搾取の構造など、日本では見えにくい暗部が著者の目を通して見えてくるようで。
アフリカの話であり、同時に現代の実像でもあるのでは?と。
紹介記事【2019.09.1】

最近読んだマンガ
施耐庵・作「水滸伝」

久しぶりに「幻想水滸伝III」にハマっている今、以前も読んだ「まんがで読破」シリーズを改めて読み直してみました…一応「幻想〜」は「水滸伝」を基にしたゲームとはいうものの、飽くまで基本設定を下敷きにしているだけなのでストーリーも世界も別物です。
それを踏まえつつも、敢えて両作品のの宿星を重ねてみたいなと…しかし本作は長大な原作のサワリ程度ですし、108星の集結までを所々で改変して詰め込んだダイジェストなのです。
なので本来なら“好漢108人中の序列第一位(Wikipedia情報)”という主役の宋江が超脇役なんですよ。

原作の宋江に相当する天魁星は、「幻水」シリーズでも歴代主人公に割り当てられているようですが…何故か「幻水3」に限っては城主トーマスの宿星なんですよ、つまり主人公が城主ではない「幻水3」は原作に対する第三者的なアプローチを試みていたのかも。
「幻水3」の50年前にハルモニアとグラスランドで交わされた和平協定は遼と宋の和議を下敷きにしており、更に本作後のエピソードで宿星を記した石板が天から落ちてくるのも第四章以降に行けるようになる「石板の地」という訳です。
ともあれ、試しに本作の流れを「幻水3」キャラに直してみるとこんな感じ。

ゼクセン連邦直属軍の槍術師範ユーバー(天雄星=林冲)と義兄弟の破戒僧ジョー軍曹(天孤星=花和尚)は、評議会の策略に追われビュッデヒュッケ城に逃亡。
「炎の英雄」(守護神=晁葢)と軍師シーザー(天機星=呉用)は赤髪鬼アイラ(天異星=劉唐)&道術遣いのルック(天間星=公孫勝)に誘われ、チビッコ三銃士のメルヴィル(天剣星=小二)/アラニス(天罪星=小五)/エリオット(天敗星=小七)と共に民衆の物だった星辰剣(生辰綱)をゼクセン連邦の軍人エッジ(天暗星=楊志)から奪回…「炎の英雄」の親友トーマス(天魁星=宋江)の報せにより、追っ手を返り討ちにしてビュッデヒュッケ城へ。

「炎の英雄」を新たな首領に生まれ変わったビュッデヒュッケ城へと神行法で駆け付けた牢番長ナッシュ(天速星=戴宗)は、死罪となったトーマスと連邦評議会の副長官ユイリ(天英星)を救うためユーバーや「炎の英雄」らに助力を要請…ナッシュの部下で「炎の英雄」を親と慕う怪力牢番人ハレック(天殺星=鉄牛)の義侠心に打たれた連邦の将軍シバ(天猛星=秦明)は街を陥落させたビュッデヒュッケ連合軍の前に恭順、その噂は九紋竜クリス(天微星=史進)と行者のヒューゴ(天傷星=武松)や義賊集団の首領セラ(地然星=樊瑞)も呼び寄せて隣国ハルモニアなど周辺国にも知れ渡る程の一大勢力となります。

遂にハルモニアが動き、混乱する連邦評議会で権力を掌握した陸謙…旧知のユーバーを投獄し救助に出陣した連合軍も強力な道術の剣で膠着状態、しかし神行法を施された「炎の英雄」が命懸けで剣に封印を施して連邦の政変は打倒されます。
以降は陸謙の部下だった一丈青リリィ(地急星=扈三娘)とゼクセン総大将デュパ(天勇星=関勝)も加わり、更に幾多の宿星が集結しハルモニアを退けるなど物語は続いてゆく…と締め括った本作、ユーバーvs.陸謙という構図で描かれておりビュッデヒュッケ城も「炎の英雄」からトーマスに引き継がれるまでの話でありました。

しかし晁葢を「炎の英雄」にしたキャスティングは好いとしても、他の「幻水3」キャラが滅茶苦茶すぎて訳分からん…これじゃ完全にミニゲームの芝居ですよ、って芝居はナディールを仲間にしないとプレイ出来ないのでそこら辺は後日の「幻水3」プレイ記事で改めて。
ちなみに戦闘スキルの「神行法」だけでなく「魔法剣」も原作由来だったのね、まだ色々と関連性あるんだろうけど…ちょっと星辰剣は無理矢理だよなー、あと関係ないけど宋国が後に金国から侵略されるのを思うとフィクション同士ながら時系列的には「射(周鳥)英雄傳」とも繋がるのね。


関連記事:
【最近読んだマンガ】施耐庵・作「水滸伝」| 2014.04.25

〈幻想水滸伝III〉関連記事:
【最近読んだマンガ】志水 アキ「幻想水滸伝3 運命の継承者」全11巻| 2007.12.04
【最近読んだ本】「幻想水滸伝III 公式ガイドブック 完全版」「幻想水滸伝III コナミ公式パーフェクトガイド」| 2011.11.28

〈中国〉関連記事:
【最近読んだ本】「道教の本―不老不死をめざす仙道呪術の世界」| 2007.12.02
【最近読んだマンガ】久保田千太郎(作)、久松文雄(画)「秦始皇帝」上下巻| 2009.09.22
【最近読んだマンガ】和泉かねよし「二の姫の物語」| 2009.06.25
【最近読んだマンガ】松本剛「北京的夏」| 2010.03.13
【最近みたDVD】「古代建築博物館」| 2010.05.15
【最近読んだ本】莫邦富「中国全省を読む地図」| 2010.07.09
【最近読んだマンガ】加藤四季「お嬢様と私」3巻| 2010.07.10
【最近読んだ本】奥平卓+大村益夫(訳)「[中国の思想]老子・列子」| 2010.07.18
【最近みたDVD】「NHKスペシャル 文明の道」第5集「シルクロードの謎 隊商の民ソグド」| 2010.11.06
【最近読んだ本】奈良行博「中国の吉祥文化と道教」| 2011.08.15
【最近やったゲーム】PS1ソフト「射雕英雄傳」前半| 2012.09.04
【最近やったゲーム】PS1ソフト「射雕英雄傳」後半| 2012.09.05
【最近読んだ本】金庸「射雕英雄伝【第一巻】砂漠の覇者ジンギスカーン」| 2012.10.14
【最近読んだ本】舟崎克彦(文)、橋本淳子(絵)、小林敏也(構成)「大仙人」| 2012.12.31
【最近読んだ本】伊藤清司(監修・解説)「怪奇鳥獣図巻」| 2014.08.09
【最近読んだ本】田中俊明(監修)「この一冊で早わかり 日本・中国・朝鮮 東アジア三国史」| 2016.10.25
【最近みたDVD】「スキップ・トレース」| 2018.03.14
【最近読んだ本】宮城谷昌光「重耳 (上)」| 2019.05.10
【最近行ったところ】「中国写真紀行 −日本人が撮った100年前の風景−」展| 2018.10.29
0
    | comic | 2015.11.23 Monday | comments(0) | trackbacks(0) |
    最近読んだマンガ
    施耐庵・作「水滸伝」

    バラエティ・アートワークスによる企画と漫画の「まんがで読破」シリーズです、原著者は元の末期から明の初期に活躍した小説家だそうですが実在かも定かでないし本当の著者ではないかもしれないというね…いかにも大陸らしい大らかさですが、話自体は12世紀の初めとされる反乱の記録を元に脚色したのだとか。
    つまり「実話に基づく感動ストーリー」っていう訳ですか、まぁ相当ふくらましてるんでしょうけども?笑

    個人的には水滸伝とか三國志って何の偏見だか好きになれないんですよねー、ジャンル的には中国武侠伝って割と好きなんですけど…ただ昔プレイした「幻想水滸伝III」というゲームソフトが結構面白かったので、下敷きになっている水滸伝には関心がありました。
    まぁ大雑把な筋は筒井康隆のパロディ小説で分かってましたから、興味としては「幻水3」との関連性だけといってもいい位でね!笑

    メインとなるキャラクターを敢えて比べるなら、妻を殺される禁軍の英雄・林冲は「幻水3」のヒューゴ少年でしょうか…僻村の名士と慕われる晁蓋がザクセン連邦のワイアット(ジンバ)とクリスを足したような存在とすれば、北京(ほっけい)大名府の上級役人だった宋江はハルモニアの傭兵で辺境部隊を率いるゲドといった役どころですかね?
    無論シリーズに共通する時系列の絡みもある訳で、原作どおりではない翻案や脚色を勘案すればピッタリ当てはまる筈ないんですが。

    唐代に天より下り伏魔殿に封印されし108の魔星、世が乱れ悪が蔓延る時が来れば解き放たれて人に宿り替天行道・忠義双全の志により悪を滅する…その伝説を地で行くのが、宋の悪政に立ち上がった梁山泊を拠点とする義賊と志士たち。
    中原(ちゅうげん)が「幻水3」におけるグラスランドなら宋の東京(とうけい)開封府はザクセン連邦の議会で、隣の強国・遼はハルモニア神聖国ですな…梁山泊は勿論ビュッデヒュッケ城ですし、当然108星に相当する敵味方キャラのユニークさも幻水シリーズ最大の売りになっております。

    ゲーム中では大した必要性が感じられなかったスキル「神行法」も原作由来だったのね、本作は林冲の盟友・陸謙の造反を阻んで宋の皇帝より招安を受けるまでのダイジェストですが原作にはもっと関連エピソードが出てくるんだろうなぁ?
    でも、とりあえず本書で僕としては満足なのです。笑


    関連記事:
    【最近やったゲーム】PS2ソフト「幻想水滸伝III」| 2015.08.05
    【最近読んだマンガ】施耐庵・作「水滸伝」(再読)| 2015.11.23

    関連ありそうな記事:
    【最近読んだマンガ】久保田千太郎(作)、久松文雄(画)「秦始皇帝」上下巻| 2009.09.22
    【最近みたDVD】「古代建築博物館」| 2010.05.15
    【最近読んだマンガ】加藤四季「お嬢様と私」3巻| 2010.07.10
    【最近やったゲーム】PS1ソフト「射雕英雄傳」前半| 2012.09.04
    【最近やったゲーム】PS1ソフト「射雕英雄傳」後半| 2012.09.05
    【最近読んだ本】金庸「射(周鳥)英雄伝【第一巻】砂漠の覇者ジンギスカーン」| 2012.10.14
    【最近読んだ本】宮城谷昌光「重耳 (上)」| 2019.05.10
    0
      | comic | 2014.04.25 Friday | comments(0) | trackbacks(0) |
      最近読んだマンガ
      バラエティー・アートワークス(企画・漫画)「赤と黒」

      こちらも原作はスタンダール、里中満智子版に続いて「まんがで読破」シリーズ版を読み比べてみました。
      あちらが'95年で、こちらは'08年…偶然でしょうけど、長大な原作のダイジェストにしては里中版と重なり過ぎているような?
      描き方は変えていてもエピソードが全被りしてるせいで、却って里中版の優秀さを印象付けるだけになってしまったのは残念です。
      いわば(後出しの当て馬)状態ですね、まぁシリーズの方針として外す訳にもいかなかったのでしょうけど。

      あとは本作が、里中版と比べて如何にダメかを列挙するしかありません。
      精神的に幼稚なジュリアンを始めとして、みんな性格の振れ幅が激しいですね。
      時々、描かれるべき感情と描ける表情がズレてます。
      クライマックスの独白も“僕はかげろう…愛を知らぬかげろう”って、あんた雅夢ですか?笑
      狂人たちの誇大妄想が絡み合い、ラストはジュリアンの首を抱え恍惚のマチルドと…すっかりサイコ・ホラーですが、もはや名作と呼べる内容ではありません。

      表現力の差は、ここまで極端な読後感の違いを生じさせてしまうんですねぇ〜?
      本作を読むのであれば、是非とも併せて里中版を読んでください…これは原作を生かした好例と殺した一例をセットで体験できる稀有なケースなのです、もちろん本作が悪いのではなく里中満智子が凄いのですが。


      関連記事:【最近読んだ本】名香智子「皇妃エリザベート」| 2010.10.16
      0
        | comic | 2013.02.19 Tuesday | comments(0) | trackbacks(0) |
        最近読んだマンガ
        マルクス・作「資本論」

        バラエティ・アートワークスなる企画集団による「まんがで読破」シリーズの野心作、と言わせていただきましょうか…本編の後に「第一巻を基に物語化したもので続きは原著で」の断り書きが!笑
        おいおい、これまで「失われた時を求めて」「日本書記」まで丸ごと漫画化してたのに…いきなりシリーズ・タイトルの「読破」に疑問符でしょうか。
        というか裏表紙の見返しに紹介されている既刊にある「続・資本論」が、まさか原著の第二巻だったりはしませんよね…?

        本書では「チーズ職人の息子が資本家との契約で全財産を担保に取られて経営者となる一方、搾取の構造に気付いた男が労働者を前に抗議集会を開くまで」が描かれておりますが…このドラマは原著の挿話を全面採用したとかでしょうかね?
        終わり方が(これからってタイミングで打ち切りとなった連載)みたいで、読者は作中「労働者は社畜である」と知らされたのみで集会を強制解散させられる民衆の心情を味わえます。

        このモヤモヤとした読後感、社会の奴隷としてではない労働とは?…といった訳で、世の中には不労所得を求めるデイ・トレーダーが増殖してるのでしょうな。
        そういう利己的発想は集団全体としてみると「相応の責任を分担する事で運営される社会構造」の否定でしかなく、ネット・ゲームでいえばゲーム・バランスを崩壊させる裏技ですよね?

        もしかしたらそうやって旧弊した資本主義の腐敗を促進させる事が新たな経済システムの誕生を可能とするのかも…なんて前向きに捉えてみますが、個人的には仮想経済に集るなら死んだ方がマシというものです。
        かといって、チーズ職人の親父さんみたくも生きられない僕なのです。
        0
          | comic | 2011.10.25 Tuesday | comments(0) | trackbacks(0) |
          最近読んだマンガ
          舎人親王(編)「日本書紀」

          「まんがで読破」シリーズ、新たな地平へ…といった感じですな、これをコミカライズした以上はコーランや大蔵経までイケる筈!

          企画・漫画はバラエティ・アートワークスですが、表紙の見返しに編纂者として載っていたのが舎人親王。
          第40代天武天皇の命によって始動した日本書紀プロジェクト、約40年を経て全30巻が完成した時の編纂者が皇子である舎人親王だったんだそうで。

          時を同じくして編纂が始まった古事記が国内向けに日本語で書かれた天皇の系譜であり伝承や神話に基づいているのに対し、日本書紀とは文献の記録を集約して国外向けに天皇家の正史として漢文で書かれたものだったんですねぇ。
          クニノトコタチ(以下尊称略)からイザナギ&イザナミに至る11柱の神世七代、国生みからウガヤフキアエズとタマヨリ姫までの「神代紀」は神々の話です。
          続くカムヤマトイワレビコが初代の神武天皇となり、第41代持統天皇までが「天皇紀」となっています。

          本書のユニークな点は原書のストレートな漫画化ではなく客観的な註釈を交えた構成となっているところです、まぁ原書のとおり“日本の正史”として描くのは確かに微妙ですよね…?笑
          古代日本のロマンを感じさせながらも駆け足な展開なのですが、仏教伝来に伴う蘇我氏と物部氏の対立から任申の乱までは描写も細かくなりドラマチック。
          また初代天皇が高千穂から大和へ進軍して朝廷を興す辺りや、ヤマトタケルの熊襲平定と東征などに隠された物語を勝手に想像してワクワクしちゃいました。


          関連記事:
          【最近読んだ本】大宅壮一「実録・天皇記」| 2008.12.23
          0
            | comic | 2011.10.13 Thursday | comments(0) | trackbacks(0) |
            最近読んだマンガ
            トルストイ(原作)「戦争と平和」

            バラエティ・アートワークスなる集団が企画と漫画を担う「まんがで読破」シリーズの1冊、初版'07年。

            基本的に名作や純文学の類いを回避してきた僕にとって、ロシア系の重厚な大作は絶対的なスルー対象だった。
            19世紀のフランス皇帝ナポレオンによるロシア侵攻を背景に繰り広げられる、大河ドラマのような青春群像劇…こういう作品は若いうちに読んでおくべきだろうと僕は思う。
            なぜなら、この原著から多寡を問わず影響を受けたであろう作品は限りなくあり、それらの後から源泉に触れたところで得るものは少ないからである。

            こうして要点をダイジェストした漫画には賛否両論あるだろうが、僕としては簡潔にまとめた本作で充分に事足りると感じる。
            そもそも西欧の歴史文化とは縁遠い地にあって、教養と称して分厚く退屈なフィクションを読むのは自己満足でしかない筈だ。
            ちょっとした興味の範囲、といった需要には本書が応えてくれる。

            どのような分担になっているのか不明だが、様々な漫画からの模倣と思しきタッチが見られ、やや見づらいながらも絵柄の統一感は保たれている。
            そして強調しておくが、薄っぺらい漫画本と侮れないだけの感動はある。
            散々パクられた作品の漫画化であっても、そこに心を動かす物語があれば本質は揺るがないのだろう。
            “歴史に平和が記されることはない”…けだし名言である。


            関連記事:
            【最近読んだマンガ】パスカル・ラバテ「イビクス ネヴゾーロフの数奇な運命」| 2012.07.30
            0
              | comic | 2011.08.29 Monday | comments(0) | trackbacks(0) |
              最近読んだマンガ
              プルースト(原作)、バラエティ・アートワークス(企画・漫画)「失われた時を求めて」

              意外とハズレのない「まんがで読破」シリーズ、原著は未読なため比較できませんが充分に面白いですし意外にも感動しました。
              本来ならジョイスの「ユリシーズ」と並ぶ近代文学の大著と称されるボリュームですから、ここまでコンパクトに収まる筈がなかろうとは思うのですが。

              人生の折り返しを過ぎたブルジョアジーが紅茶に浸したマドレーヌの味に引き戻され、第一次大戦前後の人生を回顧してゆく…おそらく原著ではこの思い出部分が丁寧に冗長にページ数を稼いでいるのでしょう。

              退廃的な貴族生活と戦争のもたらした虚無感により冷えきった心…失われた時。
              このフラット感は今でいう軽うつ状態でしょうか、午後のティータイムに沸き上がる一炊の夢は兆しです。
              療養所帰りの彼に届く招待状、旧交に刻まれた時の痕跡に己の老いを知る時…失われた時から目覚めます。
              感じる事を止めてしまった傷だらけの魂に世界は感受性の扉を叩き、ふいに訪れた再生と救済が止めどない涙となって溢れるクライマックスに胸を打たれます。

              無感動な精神状態に作家への夢を断たれた彼は最終的に夢を叶え、迸るペンの勢いは悟りの域に達して時のロンドを綴る…。
              途中、確かにエピソードが圧縮されてる感はあれど無理なく読ませるのは編集力と構成力の賜物ですね!
              0
                | comic | 2011.03.24 Thursday | comments(0) | trackbacks(0) |
                最近読んだマンガ
                新渡戸稲造・作「武士道」

                といっても「まんがで読破」シリーズでして、原作をバラエティ・アートワークスなる漫画集団の企画で大幅に再構成したであろう内容となっております。
                まぁひょっとしたら、原作においても「忠臣蔵」に大きくページを割いているのやもしれませんけど…。

                旧五千円札から「おひさしぶりー」と抜け出てくるイントロ、そして紙幣を折った兜の稲造というラストはユニークですな。
                一介の浪人者の生活と、赤穂浪士の物語を通じて稲造翁が「武士道」の何たるかを解説していきます。

                封建制度という背骨を失って功利主義や軍政のドグマに転化された「武士道」が、本来的には愛に基づいた「道」であるという主張は強く心を揺さぶっていい…筈なのですが。
                何故か、あんまり響かなかったんですよねぇ。

                儒教思想に由来する義勇仁礼誠名と忠の徳目、それはそれで分かるのですが。
                まだ根っこの部分を説明してはいないように感じられるのです。
                それと海外留学の折に外国人から指摘された、宗教不在の道徳教育というエピソードにも引っ掛かりを覚えてしまうのですね。

                なんだか内田樹「日本辺境論」の受け売りっぽいですが、西欧に言われて国旗や国歌を作った時期の日本と重ねてしまうのです。
                西欧の価値観に沿って説明せねば、そんな意図から書かれた「武士道」は見直されてよい気がするのです。
                そんな頭を働かせてくれる、という点で好著かと。


                関連記事:
                【最近読んだ本】ジョージ秋山「武士道とは死ぬことと見つけたり」| 2007.06.24
                【最近読んだ本】山本周五郎「雨あがる」| 2010.10.24
                【最近読んだマンガ】宮本武蔵(原作)、近藤こうじ(漫画)「コミック版 超訳 五輪書」| 2011.04.23
                【最近みたDVD】「果し合い」| 2018.03.25
                【最近読んだ本】池波正太郎「夢の階段」| 2019.06.15
                0
                  | comic | 2010.08.09 Monday | comments(0) | trackbacks(0) |




                  ↑ top